LLM・SLM・VLM・MLLM・LVM・LMMなどの重要用語の意味と違いが分かる!重要な生成AIモデル種類紹介
最終更新日:2025年01月17日
企業のAI活用が加速するなか、LLM(大規模言語モデル)が業務効率化の重要ツールとして注目を集めています。しかし、LLM、VLM、MLLMなど、次々と登場する新しい技術に戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
LLM、SLN、MLLMをはじめとしたアルファベットの略語となっているモデル名や用語が多く存在しているため、混同してしまう方も多いでしょう。
本記事では、各種言語モデルや用語の特徴と実践的な活用方法を、実例を交えながら解説します。AI導入による具体的な業務改善のイメージを掴み、自社に最適な技術選択を行うための指針となる情報を提供します。
関連記事:「LLMの正しい理解と具体的な活用方法、導入コストの分析をわかりやすく解説」
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目次
- 1 LLM (Large Language Model)
- 2 SLM(Small Language Model)
- 3 VLM(Vision-Language Model)
- 4 MLLM(Multimodal Large Language Model)マルチモーダルLLM
- 5 MLLM(Multilingual Language Model)多言語モデル
- 6 基盤モデル(Foundation Model)
- 7 MLM(Masked Language Model)
- 8 PaLM(Pathways Language Model)
- 9 Llama(Large Language Model Meta AI)
- 10 生成AI系ではないモデル
- 11 言語モデルや重要用語についてよくある質問まとめ
- 12 まとめ
LLM (Large Language Model)
LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)は、膨大なテキストデータをもとに学習し、自然言語を理解・生成するモデルです。文脈や意味を高度に捉えることが可能です。
LLMでは、Transformerと呼ばれるニューラルネットワークアーキテクチャが核となります。Transformerで単語やフレーズの関係性を解析することで、より深い言語理解を実現しています。
社内のデジタル化を進める上で、LLMは有用なツールとして活用できます。特に、自然言語を用いた操作性は非技術者にも分かりやすく、幅広い業務で導入しやすいでしょう。
LLMの主な応用分野
LLMは以下のような多様な分野で活用されています。
- カスタマーサポート:24時間365日対応可能な高度なチャットボット
- 文書生成:レポート、マーケティングコンテンツの自動作成
- データ分析:市場動向の分析、顧客インサイトの抽出
- 高精度な多言語翻訳
- 要約:長文の効率的な要約と重要ポイントの抽出
LLMについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
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SLM(Small Language Model)
SLM(Small Language Model)は「小規模言語モデル」と訳される、比較的小さなパラメータ数を持つAIモデルです。2024年頃から登場し始め、LLM(Large Language Model)とは対照的に、特定のタスクや分野に特化した設計がされています。
SLMは、開発コストや運用の柔軟性に優れており、ここ1年で多くの企業がSLM開発プラットフォームを提供しています。特にスタートアップ企業が先行しており、今後は大手企業も参入する可能性が高い注目度の高い技術です。
SLMは、LLMに比べて計算リソースの消費が抑えられます。これにより、スマートフォンやオフライン環境でも快適に使用できる利点があります。小規模な設計のおかげで、SLMはファインチューニングが容易であり、短時間で特定の知識を学習することが可能です。
有名なモデルとしては、Microsoft社のPhi-3や、Mistral 7Bなどが挙げられます。
関連記事:「SLM(小規模言語モデル)とは?LLMとの違いは?小規模の理由・企業へのメリット・デメリット」
VLM(Vision-Language Model)
VLM(Vision-Language Model)とは、画像とテキストの情報を統合的に処理するために設計されたAIモデルです。画像に関する質問に自然言語で回答できるため、専門知識がなくても利用可能です。
VLMは、画像データから抽出される視覚的特徴と、テキストデータから得られる意味的特徴を結びつけることで機能します。画像内の物体を特定し、その説明をテキストで生成するというような、高度なタスクを実現することが可能です。
VLMの主な応用分野
VLMの応用範囲は広く、以下のような分野で活用されています。
- 画像キャプション生成
- ビジュアル検索
- コンテンツモデレーション
- 医療画像診断支援:X線やMRI画像の分析による早期異常検出
- 手術支援:精密な手術ロボットの開発
- 医療VQA(Visual Question Answering):医療画像に関する質問応答システム
- 製品の欠陥検出による品質保証
- 予知保全:機械画像の分析による故障予測
関連記事:「VLMとは?画像とテキストを統合処理する仕組み・メリット・デメリット・活用分野」
MLLM(Multimodal Large Language Model)マルチモーダルLLM
MLLM(マルチモーダルLLM)は、テキストだけでなく画像、音声、動画などの複数の情報形式を統合的に処理できる次世代の大規模言語モデルです。従来のLLMの言語処理能力を基盤としつつ、視覚や聴覚情報を含む多様なデータを同時に理解・生成する能力を持っています。
複数のデータ形式を活用することで、従来のシングルモーダルモデルよりも高精度なタスク処理が可能になります。複数の情報を統合して処理することで、人間の認知プロセスにより近い形での理解と判断が可能になります。
MLLMの主な応用分野
MLLMの具体的な応用例は以下の通りです.
- 医療画像診断支援:医療ビッグデータを統合的に解析し、X線やMRI画像と患者の病歴を組み合わせて高精度な診断を支援
- 自動運転技術:複数のセンサーからの情報を統合し、リアルタイムで周囲の状況を判断して安全な運転を実現
- 産業用ロボット制御:画像、角度、速度、力覚などの複数の情報を組み合わせて判断し、繊細な作業
- 介護支援ロボット:言語だけでなく非言語コミュニケーションも理解し、高齢者の健康状態や生活状況の変化を把握
- 監視システム: 映像と音声データを組み合わせて分析し、より正確な異常検知
- マルチモーダル検索:テキスト、画像、音声などの複数のモダリティを統合して、より高度な検索機能を実現
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MLLM(Multilingual Language Model)多言語モデル
MLLM(Multilingual Language Model)は、多言語対応を目的としたモデルで、複数の言語間での理解と生成が可能な技術です。アルファベットの略語としては上記のマルチモーダルLLMのMLLMと混在している状況ですが、全く別の概念を表します。
MLLMでは、一つのモデル内で多様な言語データを学習することで、翻訳や多言語検索、言語間のコンテンツ生成といった幅広いタスクに対応します。
従来の言語モデルに比べ、MLLMは高度な統合性を持っています。異なる言語間の共通点を活用し、既存の知識を再利用できるように設計されています。クロスリンガルと呼ばれるMLLM独自のアプローチにより、学習データが少ないリソースの言語でも高い性能を発揮することが可能です。
こうした特性から、MLLMの応用範囲は非常に広く、以下のような分野で活用されています。
- 自動翻訳
- 多言語検索
- カスタマーサポート
MLLMは単一のモデルで複数言語に対応できるため、開発や運用コストを削減できます。また、これまで十分にサポートされていなかった言語に対しても、高品質なサービスを提供することが可能です。
グローバル化が進む現代において、MLLMは不可欠な自然言語処理技術と言えるでしょう。国際展開を目指す企業にとっては、異なる言語での情報処理を効率化し、顧客体験を向上させる重要なツールとなります。
基盤モデル(Foundation Model)
基盤モデル(Foundation Model)とは、言語処理、画像処理問わず、幅広いタスクに対応できる汎用的なAIモデルを指します。これらのモデルは、膨大なデータセットを用いて事前学習されており、さまざまな特定タスクに適応するためファインチューニングすることで、多様な用途に利用することが可能です。
基盤モデルでは、大規模なテキストデータやマルチモーダルのデータから学習することで、人間のような文脈理解やタスク処理が可能になります。基盤モデルが持つ汎用性は、自然言語処理や画像認識、生成モデルなど、複数の分野を横断します。
代表的な基盤モデル
代表的な基盤モデルは以下の通りです。
- GPTシリーズ(GPT-4o、GPT-4o miniなど)
- BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)
- DALL-E
- Stable Diffusion
- CLIP(Contrastive Language-Image Pretraining)
基盤モデルの高い汎用性とスケーラビリティによって、社内業務を自動化し、付加価値の高い仕事に集中できる環境を整えることが可能です。新製品開発や市場分析など、データを基盤とした意思決定の迅速化にも貢献するでしょう。
関連記事:「基盤モデルとは一体どんなものなのか?従来のAIとどう違うのか?そのメリットとは?」
MLM(Masked Language Model)
MLM(Masked Language Model)は、自然言語処理の分野で広く利用されている学習手法です。モデルが文章の一部を隠して(マスキングして)、その部分を予測することで学習します。
MLMでは前後の文脈を考慮しながら単語を予測するため、双方向性を備えた自然言語処理が可能です。例えば、「今日は___が晴れています。」という文を、モデルは文脈情報を使って「空」という適切な単語を予測するように学習します。
MLMは、以下のような場面で活用されています。
- 検索エンジン
- カスタマーサービス
- 医療情報処理
- 社内ドキュメントの分類・要約
- メールの自動応答生成
特定の業界向けにカスタマイズされたMLMを構築することで、より精度の高い情報処理や意思決定支援が可能となります。
PaLM(Pathways Language Model)
PaLM(Pathways Language Model)とは、Googleによって開発された大規模言語モデルです。Pathwaysと呼ばれる高度なアーキテクチャを基盤としており、幅広い言語のタスクに対応します。
Pathwaysアーキテクチャは、単一タスクに特化したモデルとは異なり、一つのモデルで複数のタスクを同時に処理できる構造となっています。また、PaLMは数千億規模のパラメータを持つことで、他の言語モデルを凌駕する性能を発揮します。
巨大なパラメータ数と精度の高さを誇るPaLMは、意味的に高度な推論や、複数の文脈をまたいだ情報統合にも優れています。これにより、複雑なデータ解析や高度な意思決定支援が求められる場面で役立つでしょう。
2025年4月以降、PaLMの提供が終了予定であり、新しいGeminiへの移行が推奨されています。
関連記事:「Google PaLM 2とは何か?実際にできることや使い方、Google PaLM 2のさらに後継であるGemini」
Llama(Large Language Model Meta AI)
Llama(Large Language Model Meta AI)は、Metaが開発したオープンソースの大規模言語モデルです。効率性とパフォーマンスの両立を重視して設計され、リソース制約がある環境でも高度なタスクを処理できる性能を誇ります。
Transformerアーキテクチャを基盤としており、軽量化と計算効率を重視しています。このため、従来の大規模言語モデルに比べて少ない計算資源で動作可能です。加えて、文脈理解能力やテキスト生成性能において高い精度を維持します。
Llamaの主要バージョン
Llama 1 (2023年2月):初のLlamaモデルで、効率的なトレーニングと高い性能を実現
Llama 2 (2023年7月):パラメータ数が増加し、より多様なタスクに対応。オープンソースとして提供
Llama 3 (2024年4月):マルチモーダル対応を強化し、画像とテキストの統合的な処理が可能に。新たに8Bと70Bのモデルサイズが追加。
Llama 3.1 (2024年7月):自己回帰型モデルとしての性能を向上させ、405Bモデルも登場。指示モデルとベースモデルの2種類を提供し、ユーザーからの指示に対する応答精度が向上。
Llama 3.2 (2024年9月):画像エンコーディング機能を統合しビジョンタスクのサポートを開始。エッジデバイス向けの軽量モデルも追加。128Kトークンの長いコンテキストを処理可能。
Llamaシリーズが進化するにつれて、より多様なタスクへの対応力や効率性が向上していることを示しています。特に、マルチモーダル機能や軽量化が進むことで、幅広いアプリケーションへの適用が期待されています。
生成AI系ではないモデル
LVM (Latent Variable Model)
LVM(Latent Variable Model)は、観測可能なデータに隠れた構造や関係性を見つけるために設計された統計モデルです。観測データに直接現れない要素を推定することで、データの背後にあるパターンやメカニズムを理解します。
LLMとは異なる目的とアプローチを持ちますが、どちらも機械学習やデータ分析の分野で重要な役割を果たしています。
LVMはデータの複雑性を潜在変数とし、シンプルな構造で説明するための確率論的なモデル構築を行います。例えば、ユーザーの購買データからその人の好みや興味を推測するレコメンドシステムに利用されます。
主なアルゴリズムとして、潜在変数を導入した確率モデルや行列分解手法、ディープラーニング技術を応用したものがあります。代表的なLVMは以下の通りです。
- 混合ガウスモデル(GMM)
- 潜在ディリクレ配分(LDA)
- 変分オートエンコーダ(VAE)
LVMの応用は、マーケティングや医療、製造業まで多岐にわたります。新しいビジネスチャンスの発見や、業務プロセスの効率化に役立つ改善点を特定することにおいては、LVMが優れていると言えるでしょう。
LMM(Linear Mixed Model)
LMM(Linear Mixed Model)は統計モデルの一種で、観測データの中に固定効果とランダム効果の両方を組み込むモデルです。「線形混合モデル」とも呼ばれ、標準的な回帰分析では対応が難しいデータの解析に適しています。
固定効果とは全体的な傾向や一般的な影響を表すもので、ランダム効果とは個別のグループやサンプルに特有の変動を捉えるために使われます。
LMMを活用することによって、データの階層構造や繰り返し測定の特性を効果的に捉えることが可能です。例えば、ある製品のテストデータを解析する際、異なる工場や機械によるバラつきを考慮に入れながら、全体的な品質基準を評価できます。
LMMを組み込むことでデータの解析精度を向上させ、より質の高い意思決定ができるでしょう。
言語モデルや重要用語についてよくある質問まとめ
- LLMとSLMの違いは?
LLMとSLMはどちらも自然言語処理における重要なモデルですが、それぞれ異なる特性を持っています。
LLMはその規模と汎用性から幅広い用途で活用される一方、SLMは特定分野に特化した軽量モデルとして、高速かつ効率的な処理が求められる場面での利用が期待されています。今後、特定業界向けのSLMが増加することで、より専門的なニーズにも応えることができるでしょう。
- VLMとMLLMの違いは?
VLMは、画像とテキストの情報を同時に処理するマルチモーダルAIモデルです。視覚情報と言語情報を統合的に理解し、タスクを実行します。
MLLMは、テキスト、画像、音声など複数のデータ形式を統合的に処理できる大規模言語モデルです。LLMの特性を持ちながら、マルチモーダルなデータを扱うことができます。
まとめ
LLM(Large Language Model)は、業務効率化や顧客体験の向上に大きな可能性を秘めています。一方で、各モデルの特性を理解し、自社の課題に適した技術を選択することが成功の鍵となります。
導入を検討される際は、業界に精通したAIコンサルタントに相談することで、より確実な成果につながるでしょう。具体的な活用方法や費用対効果の試算など、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
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