【Google】Agent2Agentとは?AIエージェントを繋ぐプロトコルの特徴や仕組み、MCPやAutoGen、LangGraph、CrewAIとの違い、活用事例を徹底解説!
最終更新日:2025年05月09日

- A2Aは、Googleが主導するオープンプロトコルで、異なるベンダーやフレームワークで構築されたAIエージェント間の連携を可能にする。
- 既存標準(HTTP、SSE、JSON-RPC)に準拠し、安全で拡張性のあるエージェント連携を実現。
- エージェントの能力を活かした自然言語による連携が可能で、テキスト・音声・映像など多様なデータ形式に対応。
- タスク管理、機能検出、適切なインターフェース選択などの機能を備える。
- MCPと補完関係にあり、より広範なエージェントシステムを実現する基盤となる。
AIエージェントが注目を集める中、異なるベンダーやフレームワークで構築されたエージェント間の連携が大きな課題となっています。この課題を解決するために登場したのが、Googleが主導するオープンプロトコルAgent2Agent (A2A)です。
本記事では、A2Aの基本的な概念から、その特徴、仕組み、既存のプロトコル(MCP)やフレームワーク(AutoGen、LangGraph、CrewAIなど)との違い、そして具体的な活用事例に至るまで、網羅的に解説します。
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目次
Agent2Agentとは?
Agent2Agent (A2A) とは、2025年4月12日にGoogleが公開した、異なるベンダーやフレームワークで構築されたAIエージェント同士が、安全に情報を交換し、アクションを調整することを可能にするオープンプロトコル(共通規格)です。
A2Aは、AIエージェントがサイロ化されたデータシステムやアプリケーションを越えて、互いに連携できるようにすることで、エージェントのメリットを最大限に引き出すことを目的としています。
Launched at #GoogleCloudNext: "a new, open protocol called Agent2Agent that allows artificial intelligence agents to interoperate securely with each other even if they’re built by different developers or on a separate framework."
Learn more about A2A ↓ https://t.co/Lul5AFsTSl
— Google Cloud (@googlecloud) April 12, 2025
Googleが主導し、Atlassian、Box、Cohere、Salesforce、SAP、ServiceNowなど50以上のテクノロジーパートナーや、Accenture、Deloitte、PwCといった主要なサービスプロバイダーの支援と貢献を得て発表されており、2025年5月にはMicrosoftもA2Aをサポートすることを発表しました。
このプロトコルにより、開発者はA2Aプロトコルを使用することで構築された他のエージェントと接続可能なエージェントを開発でき、ユーザーは様々なプロバイダーのエージェントを柔軟に組み合わせることが可能になります。
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A2Aの特徴
A2Aプロトコルは、エージェント間の効果的なコラボレーションを実現するために、以下の5つの主要な設計原則に基づいて構築されています。
エージェント能力の重視 (Embrace agentic capabilities)
エージェントがメモリ、ツール、コンテキストを共有していない場合でも、自然で非構造化されたモダリティで連携できるようにすることに焦点を当てています。これにより、エージェントを単なる「ツール」として制限することなく、より優れたマルチエージェントの連携を実現します。
既存標準への準拠 (Build on existing standards)
HTTP、SSE (Server-Sent Events)、JSON-RPCといった既存の一般的な標準技術に基づいて構築されています。これにより、企業が日常的に使用している既存のITスタックとの統合が容易になります。
デフォルトでのセキュリティ (Secure by default)
エンタープライズグレードの認証・認可をサポートするように設計されており、発表時点ではOpenAPIの認証スキームと同等の機能を提供します。これにより、エージェント間の安全な情報交換とアクションの実行が保証されます。
長時間タスクのサポート (Support for long-running tasks)
迅速なタスクから、人間が介在する場合に数時間あるいは数日かかる可能性のある詳細な調査まで、柔軟に対応できるように設計されています。このプロセスを通じて、A2Aはユーザーに対してリアルタイムのフィードバック、通知、ステータスアップデートユーザーに提供できます。
モダリティ非依存 (Modality agnostic)
エージェントの世界はテキストだけに限定されないため、音声やビデオストリーミングを含む様々な形式のデータを扱えるように設計されています。これにより、より多様で質の高いエージェント間コミュニケーションが可能になります。
A2Aの主要な機能
A2Aプロトコルは、「クライアント」エージェントと「リモート」エージェント間の連携を促進します。クライアントエージェントはタスクを策定し伝達する責任を負い、リモートエージェントはそのタスクに基づいて行動し、正しい情報を提供したり正しいアクションを実行したりすることを目指します。
クライアントエージェントとリモートエージェントのインタラクションには、いくつかの主要な機能が含まれます。
安全なコラボレーション (Secure collaboration)
エージェントは互いにメッセージを送信して、コンテキスト、返信、既存の回答、またはユーザーの指示を伝達できます。機密情報を含む可能性のあるデータも安全に交換し、協調作業を進めることができます。
タスク管理 (Task and state management)
クライアントエージェントとリモートエージェント間の通信は、エンドユーザーの要求を満たしタスク完了を目指します。この「タスク」オブジェクトはプロトコルによって定義され、ライフサイクルを持ちます。
タスクは即座に完了することも、長時間実行されるタスクの場合は各エージェントがタスク完了の最新状況について互いに同期を保つために通信することもできます。
ユーザーエクスペリエンスの向上 (User experience negotiation)
各メッセージには、動画・画像やテキストファイルなど形式の異なるデータが含まれます。動画の再生ができるかなどユーザーの使用するインターフェースの能力を考慮し、データ形式に合わせて適切な表示方法を決定します。
機能検出 (Capability discovery)
エージェントは、JSON形式の「エージェントカード (Agent Card)」を使用して自身の機能を公開できます。これにより、クライアントエージェントはタスクを実行できる最適なエージェントを特定し、A2Aを利用してリモートエージェントと通信できます。
A2Aの仕組み
A2Aのコンポーネント
A2Aプロトコルは、独立したAIエージェント間の通信を円滑に行うために、以下のコンポーネントに基づいています。
項目 | 説明 |
---|---|
エージェントカード (Agent Card) | エージェントの機能、スキル、エンドポイントURL、認証要件などを記述した公開メタデータファイル(通常は /.well-known/agent.json に配置)。クライアントエージェントが適切なリモートエージェントを探す際にこれを使用します。 |
A2Aサーバー (A2A Server) | A2Aプロトコルメソッド(JSON仕様で定義)を実装するHTTPエンドポイントを公開するエージェント。リクエストを受信し、タスクの実行を管理します。 |
A2Aクライアント (A2A Client) | A2Aサービスを利用するアプリケーションまたは別のエージェント。A2AサーバーのURLにリクエスト(tasks/send など)を送信します。 |
タスク (Task) | 作業の中心単位。クライアントはメッセージを送信してタスクを開始します。タスクには一意のIDがあり、提出済み、作業中、入力要求、完了、失敗、キャンセルといった状態遷移を経ます。 |
メッセージ (Message) | クライアント(ロール:「user」)とエージェント(ロール:「agent」)間の通信の内容を表します。メッセージにはパートが含まれます。 |
パート (Part) | メッセージまたはアーティファクト内の基本的なコンテンツユニット。テキストパート、ファイルパート(インラインバイトまたはURI)、またはデータパート(構造化JSON用、例:フォーム)があります。 |
アーティファクト (Artifact) | タスク中にエージェントによって生成された出力(生成されたファイル、最終的な構造化データなど)を表します。アーティファクトにもパートが含まれます。 |
ストリーミング (Streaming) | 長時間実行タスクの場合、ストリーミング機能をサポートするサーバーのクライアントは、タスクステータス更新イベントやアーティファクト更新イベントのSSEを受信し、リアルタイムの進行状況を取得します。 |
プッシュ通知 (Push Notifications) | プッシュ通知をサポートするサーバーは、tasks/pushNotification/set を介して設定されたクライアント提供のWebフックURLに、タスクの更新を事前に送信できます。 |
典型的なフロー
A2Aにおける典型的な処理の流れは以下の通りです。
ステップ | 内容 |
---|---|
検出 (Discovery) | クライアントは、サーバーの既知のURLからエージェントカードを取得します。 |
開始 (Initiation) | クライアントは、初期ユーザーメッセージと一意のタスクIDを含む tasks/send または tasks/sendSubscribe リクエストを送信します。 |
処理 (Processing) |
|
インタラクション (Interaction) (オプション) | タスクが入力要求状態になった場合、クライアントは同じタスクIDを使用して tasks/send または tasks/sendSubscribe を介して後続のメッセージを送信します。 |
完了 (Completion) | タスクは最終的に 完了 (completed)、失敗 (failed)、キャンセル (canceled) のいずれかの終端状態に達します。 |
より詳細な仕組みについては、公式のGitHubをご参照ください。
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A2AとMCPとの違い
異なるAIエージェントを結ぶA2Aと類似するMCP(Model Context Protocol)というAnthoropicが公開したプロトコルがあります。
MCPは、AIエージェントが外部のツールやAPI、リソースと連携し、構造化された入出力を通じて機能を拡張するためのプロトコルで、A2AプロトコルとMCPは、AIエージェントのエコシステムにおいてそれぞれ異なる役割を担いつつ、互いに補完し合う関係にあります。
以下の表は、A2AとMCPの主な違いをまとめたものです。
項目 | A2A (Agent2Agent Protocol) | MCP (Model Context Protocol) |
---|---|---|
主な目的 | 異なるエージェント間の動的でマルチモーダルなコミュニケーションとコラボレーションを実現する。 | エージェントにツール、API、リソースへのアクセスを提供し、構造化された入出力を可能にする。 |
連携対象 | エージェント同士 | エージェントとツール、API、リソース |
位置づけ | エージェント間の協調作業のためのオープンスタンダード。コミュニティ主導で開発。 | エージェントが外部機能を利用するためのツールやリソースを提供するプロトコル。 |
Googleのサポート | Google ADK、LangGraph、CrewAIなどがサポート。 | Google ADKがMCPツールをサポートしており、幅広いMCPサーバーをエージェントで利用可能。 |
A2Aは、エージェントが互いに直接対話し、タスクを共同で遂行するための「言語」や「ルール」を提供するのに対し、MCPは、一つのエージェントが特定の機能(例:データベース検索、計算処理など)を実行するために外部の「道具」を使う際のインターフェースを提供すると言えます。
MCPは、エージェントに役立つツールとコンテキストを提供することに主眼を置いています。A2Aは、このMCPを補完するものとして設計されており、エージェント同士が直接連携するシチュエーションに特化しています。
両プロトコルが連携することで、より高度で複雑なタスクをAIエージェントが自律的に処理できるようになることが期待されます。
マルチエージェントフレームワーク(AutoGen、LangGraph、CrewAIなど)との違い
Agent2Agent(A2A)と、マルチエージェントフレームワークは、複数のエージェントが連携するシステムを構築できるという点で共通していますが、それぞれ異なる役割を担っています。
A2Aは、異なる開発元や異なるフレームワークで構築されたAIエージェント同士が、共通の通信手順(プロトコル)を通じて連携・協調できるようにするための標準化された通信規約です。
一方、AutoGen、LangGraph、CrewAIなどに代表されるマルチエージェントフレームワークは、エージェント自体やマルチエージェントシステムを構築するための開発フレームワーク/ライブラリです。これらを使うことで、複数のエージェントを設計し、連携させながら特定のタスクを処理するアプリケーションを作成できます。
異なるベンダーやフレームワーク上のエージェントとの連携が簡単にできるという点がA2Aの長所であり、一つのフレームワークで簡潔する際はより手軽にシステム構築ができるという点がマルチエージェントフレームワークの長所になります。
A2Aの活用事例
人材採用
人材採用のプロセスは、A2Aによるエージェント間の連携によって、以下のように簡素化・最適化できます。
- タスクの開始: 採用担当マネージャーは、Agentspaceなどのインターフェースを通じて、自身のエージェントに職務記述書や勤務地、スキルセットに合致する候補者を検索するよう指示します。
- 専門エージェントとの連携: 指示を受けたエージェントは、特定の求人サイトやLinkedInのようなSNSから候補者情報を収集する専門エージェントと、A2Aプロトコルを介して連携・対話します。
- 結果の集約と次のアクション: 複数エージェントから得られた候補者リストを統合し、採用担当者はその情報をもとに面接日程の調整など、次のステップを指示できます。
- 追加プロセスの自動化: 面接後には、バックグラウンドチェックを担当する別の人事系エージェントを関与させることで、採用プロセス全体を自動化できます。
このように、A2Aは複数のエージェントが役割を分担し、連携することで、採用に関する一連の作業を人手をかけずに効率よく進行させる仕組みを構築することが可能です。
エージェント間の対話
Webアプリケーション上でLLMを搭載した複数のAIエージェントとリアルタイムに対話も可能です。ユーザーからの入力は「ホストエージェント」に送信され、そこから複数の「リモートエージェント」へA2A経由でリクエストが転送されます。
リモートエージェントはそれぞれのAgentCardを用いて自己の機能を公開し、画像やWebフォームなどのマルチモーダルなコンテンツを含む応答を返します。
これにより、ユーザーインターフェースでは対話の流れに沿って、複雑な出力が自然に表示されます。
Agent2Agentについてよくある質問まとめ
- Agent2Agentとは何ですか?
A2A(Agent2Agent)は、異なるベンダーやフレームワークで構築されたAIエージェント同士が、共通のプロトコルを使って安全に情報を交換し、協調作業を行えるようにするためのオープンプロトコルです。
従来のAIエージェントは、同一プラットフォーム内では連携できても、他社製のエージェントとの統合が困難でした。A2Aはこの“エージェント間の壁”を取り払い、柔軟な相互運用性を実現します。
- MCPとの違いは何ですか?
MCP(Model Context Protocol)は、AIエージェントが外部のツールやAPI、データベースなどと連携し、構造化された入出力を処理するためのプロトコルです。
一方、A2Aはエージェント同士の連携を目的としたプロトコルであり、相補的な関係にあります。
MCPが「外部ツールとの接続」を担うのに対し、A2Aは「エージェント同士の対話と協調」を担います。
まとめ
Agent2Agent (A2A)は、様々なAIエージェントが円滑に連携するためのオープンプロトコル(共通規格)です。異なるベンダーやフレームワークの壁を越え、AIエージェントたちが協調してタスクを遂行できるようになることで、企業はこれまで以上に複雑な課題解決や新たなイノベーションの創出を期待できるようになります。
A2Aは、オープンスタンダードとして開発が進められており、主導するGoogle以外にも多くのテクノロジーパートナーやサービスプロバイダーがその策定と普及に協力しています。
セキュリティ、既存システムとの統合の容易さ、長時間タスクや多様なモダリティへの対応といった企業ニーズを考慮した設計は、A2Aが広く受け入れられるための強固な基盤となるでしょう。
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