ChatGPTは質問の仕方で活用成果がここまで変わる!プロンプトのコツやテンプレートを徹底解説
最終更新日:2025年05月16日

- ChatGPTから望む回答を得るには、質問の仕方(プロンプト)が重要であり、具体的で明確な指示が求められます。
- 回答の質を高めるには、Few-ShotプロンプティングやChain-of-Thoughtといった進んだテクニックに加え、対話を通じたフィードバックや質問者自身の目的意識も影響
- ChatGPTの能力には限界があり、ハルシネーションの可能性も認識しつつ、必要に応じて専門家の支援を検討することが効果的な活用につながります。
ChatGPTを業務に取り入れてみたものの、期待したような回答が得られず、活用方法に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ChatGPTから得られる成果は、投げかける「質問の仕方」に大きく左右されます。
この記事では、業務に直結する具体的で質の高い情報を引き出すためのChatGPTへの質問テクニックを網羅的に解説します。基本的なプロンプトの工夫から、最新の高度な手法、さらには対話の進め方やAIの特性を考慮したアプローチまでChatGPTの活用効果を高めるための実践的なヒントを提供します。
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目次
なぜChatGPTの活用は質問の仕方が重要?
ChatGPTにおいて「質問の仕方」が重要視される理由は、生成AIの応答がユーザーの入力に大きく依存するためです。
AIは曖昧な意図や背景を推測する力が人間と比べると貧弱です。そのため、入力されたプロンプトの内容が明確で具体的であるほど、的確な回答を返しやすくなります。
例えば、「営業資料の作り方を教えて」とだけ入力した場合、一般的な説明しか得られません。しかし「IT業界向けの新規開拓営業資料を、初心者でも理解できるように、5つのポイントでまとめてください」といった具体的な指示を加えることで、より業務に直結した実用的なアウトプットを得ることができます。
また、質問が複数の内容を含んでいたり、背景情報が不足していると、AIはどの部分に重点を置いて回答すべきか判断しづらくなります。その結果、回答が散漫になったり、欲しい情報にたどり着くまでに何度もやり取りが必要になるケースも少なくありません。
このように、質問の仕方を工夫することで、ChatGPTの回答精度や実用性が向上するだけでなく、不要なやり取りが減って業務効率が高まるメリットが得られます。
関連記事:「ChatGPTのプロンプトとは?作成のコツ・例文・システム」
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最新トレンドに見るChatGPTへの質問テクニックの進化
ChatGPTの進化とともに、プロンプトや質問テクニックも日々アップデートされています。
注目されている、より進化した質問テクニックのいくつかをご紹介します。これらは、LLM(大規模言語モデル)に対して単に情報を要求するだけでなく、思考のプロセスそのものをガイドしたり、外部ツールとの連携を促したりする点で、従来の手法から大きく飛躍しています。
Few-Shotプロンプティングの高度化
従来のFew-Shotプロンプティングのように、単にいくつかの例(ショット)を示すだけでなく、より複雑な思考プロセスや望ましいアウトプットの「形式」「論理展開」を具体的に数例提示することで、モデルの理解度と精度を飛躍的に向上させます。
例の質と量、そして提示する思考の道筋が重要になります。単なる模倣ではなく、モデルに「学習」させるイメージです。
Chain-of-Thought (CoT) プロンプティング / Step-by-Step Thinking
Chain-of-Thought (CoT) プロンプティングは、Step-by-Step Thinking(ステップバイステップ思考)とも呼ばれ、複雑な問題や計算が必要な問いに対して、人間が問題を解くように、思考の連鎖をプロンプト内に例として示します。そうすることで、モデルに論理的な思考プロセスを促し、正答率を高める手法です。
特に数学の問題や論理パズルなど、段階的な推論が必要な場合に有効です。
Self-Consistency (自己整合性)
Self-Consistency (自己整合性)は、上記のCoTプロンプティングを複数回実行し、それぞれ異なる思考経路から導き出された複数の回答の中から多数決や最も一貫性のある回答を選択します。そうすることで、より信頼性の高い結果を得る手法です。
一つの思考経路に囚われず複数の可能性を探ることで、より頑健で正確な答えにたどり着く確率を高めます。
Tree of Thoughts (ToT)
Tree of Thoughts (ToT)は、CoTをさらに発展させた考え方で、思考の過程で複数の選択肢(思考の枝)を生成・評価し、有望な思考経路を探索的に進めていくアプローチです。行き詰まった場合は前のステップに戻る(バックトラックする)ことも可能です。
より複雑な問題解決や、創造性が求められるタスク(例:新しいビジネスアイデアのブレインストーミング、複数の制約条件がある計画立案など)において、人間が多様な可能性を考慮しながら思考を深めていくプロセスを模倣します。
ReAct (Reason and Act) プロンプティング
ReAct (Reason and Act) プロンプティングは、ChatGPTに「推論(Reason)」と「行動(Act)」を交互に行わせるフレームワークです。例えば、「現在の日本の首都はどこか?」という質問に対して、まず「情報を検索する必要がある」と推論します。
次に「検索エンジンで『日本の首都』を検索する」という行動を指示(あるいはシミュレート)し、得られた結果に基づいて回答を生成します。
ChatGPTが内部知識だけでは答えられない問いに対して、検索エンジンなどの外部ツールを利用して情報を収集・検証しながら、より正確で最新の情報に基づいた回答を生成できるようになります。
マルチモーダルプロンプティング
マルチモーダルプロンプティングは、テキストだけでなく、画像、音声、動画などの複数の種類の情報(マルチモーダル)を組み合わせて入力として与えるプロンプティングです。
ChatGPTに画像を入力し、「この画像に写っている状況を説明し、考えられるリスクを3つ挙げてください」といった質問が可能です。よりリッチな文脈理解と、テキストに留まらない多様なアウトプット生成(例:画像の内容に基づいた物語生成、動画の要約など)を可能にします。
AIエージェント化とツールの活用
ChatGPTに特定の目標を与え、その目標達成のために自律的に計画を立て、必要な情報を収集し、複数のサブタスクを実行し、与えられたツールを使いこなす「AIエージェント」としての活用が進んでいます。
特に推論能力に優れたo3などのoシリーズを使うことが多いです。
まだ発展途上ですが、ChatGPTが単なる応答生成AIから具体的なタスクを代行してくれる能動的なアシスタントへと進化し、より複雑な業務プロセスの一部を自動化できるようになります。
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ChatGPTで効果的な答えを得るための質問の仕方
ChatGPTを業務や日常で最大限活用するためには、質問の仕方に工夫が必要です。実践的な視点から、ChatGPTに効果的な質問をするための具体的なコツを解説します。
明確かつ具体的な質問文を作成する
ChatGPTに質問する際は、曖昧な表現や抽象的な依頼を避け、できるだけ明確かつ具体的な文章を心がけましょう。
たとえば、「新しい事業アイデアを教えて」ではなく、以下のように内容や目的、期待するアウトプットのイメージを具体的に伝えることで、より実用的な回答が得られます。
当社の強みである『AAAA』と『BBBB』を活かした、シニア層向けの新しいヘルスケア関連の事業アイデアを3つ提案してください。それぞれのアイデアについて、想定されるターゲット顧客、提供価値、収益モデルも簡潔に説明してください。
質問文をクリアにすることで、ChatGPTは無駄な推測を減らし、求める情報により近い形で回答できます。ビジネスシーンでは、専門用語や略語も必要に応じて明示し、誤解を防ぐ工夫が重要です。
背景・条件・目的を伝えて期待値を明確にする
AIは背景や目的を自動的に読み取ることができません。質問に至った経緯や、達成したいゴール、前提条件などを一緒に伝えることで、より適切な回答が引き出せます。
たとえば、「社内向けのプレゼン資料を作成したい。対象は営業部の新人で、内容は2025年の市場動向について。10分程度で説明できる構成にしてください」といった具合です。
こうした情報を加えることで、ChatGPTは回答の粒度やトーン、構成を調整しやすくなり、実務に直結したアウトプットを生成できます。
一度に一つのトピックに絞る
複数のテーマや要素を一度に盛り込むと、回答が散漫になったり、重要なポイントが抜け落ちるリスクがあります。たとえば「営業戦略と商品提案のコツを教えてください」ではなく、「営業戦略の立案方法について教えてください」といったように、一つのトピックごとに質問を分けるのが効果的です。
この方法を徹底することで、各テーマについて深掘りした回答を得やすくなり、やり取りもスムーズになります。
セッションの区切りを意識する
ChatGPTとの一つのチャットセッションでは、それまでのやり取りの文脈が保持されます。これは便利な反面、話題が多岐にわたったり、長時間に及んだりすると古い情報や関係のない文脈が影響して回答精度が低下することがあります。
新しいトピックについて質問する際は、チャットセッションを新しく開始するか、「これまでの話とは全く別に、〇〇について教えてください」のように、明確に文脈の区切りを意識させることが重要です。
フォーマット指定や出力条件を活用する
ChatGPTは、出力形式や条件を明示することで、より使いやすい成果物を生成できます。たとえば、以下のように希望するフォーマットやボリューム、トーンを指定しましょう。
箇条書きで3つ挙げてください
200文字以内で要約してください
表形式でまとめてください
回答の形式(箇条書き、表形式、マークダウン形式など)や文字数、トーン(丁寧、フレンドリーなど)を指定することで、そのまま活用しやすい形でアウトプットを得られます。
また、対象者や用途を指定することで、回答のレベルや視点を調整できます。たとえば、「経営者向けに」といった条件を加えると、より目的に合ったアウトプットが得られます。
継続的なやりとりで回答精度を高める
一度の質問で完璧な回答を得るのは難しい場合もあります。その際は、ChatGPTからの回答に対して追加質問やフィードバックを重ねることで、より精度の高い情報や提案を引き出せます。
たとえば、以下のようなやりとりを繰り返すことで、ChatGPTのアウトプットを業務要件に合わせてブラッシュアップできます。
もう少し詳しく
上記XXXの部分を補足してください
別の視点で説明してください
こうした継続的な対話は、業務効率化やナレッジ共有の質向上にも寄与します。
ChatGPTに「逆質問」させる
質問が曖昧な場合や、必要な情報が不足している(かどうかわからない)場合、ChatGPTに「逆質問」を促すことでやりとりの質を高めることができます。
たとえば「不明点があれば質問してください」と一言添えるとChatGPTが追加情報を求める質問を返してきます。そうすれば、意図のすり合わせや要件の明確化がスムーズに進みます。
実際、Custom Instruction機能などを上手に活用すると、ChatGPTが自動的に逆質問を行い、必要な情報が揃うまでやりとりを続けることも可能です。これにより、最終的なアウトプットの精度と納得感が大きく向上します。
ChatGPTの限界を理解する
ChatGPTは非常に高性能ですが、万能ではありません。得意なことと不得意なことが存在します。
- 得意なこと:文章生成、要約、アイデア出し
- 不得意なこと:最新すぎる情報、感情の深い理解、倫理的に複雑な判断、厳密な論理性が求められる証明など
また、ChatGPTが生成する情報は、時に誤りを含んでいたり、もっともらしい嘘(ハルシネーション)であったりする可能性があります。特にビジネスにおける重要な意思決定に関わる情報を得る場合は生成された内容を鵜呑みにせず、必ず複数の情報源でファクトチェックを行うなど、批判的な視点を持って検証する姿勢が不可欠です。
その能力と限界を正しく理解し、過度な期待をせず、あくまで「非常に優秀なアシスタント」として現実的な範囲で活用することが大切です。
関連記事:「ChatGPTの回答精度を上げる方法は?RAGの活用方法・プロンプト設計のコツも徹底解説!」
ビジネスシーン別・実務で役立つChatGPT質問テンプレート
ChatGPTは、営業、企画、カスタマーサポートなど多様な業務領域で活用されています。ここでは、役割・背景・条件を指定したテンプレート例、業務効率化を実現する質問の工夫、そして部門ごとの具体的な活用事例を紹介します。
役割・背景・条件を指定したプロンプト例
ChatGPTに的確な回答を求めるには、「誰の立場で」「どんな背景・目的で」「どのような条件で」答えてほしいかを明確に伝えることが効果的です。以下はビジネスで汎用的に使える基本テンプレートです。
役割:あなたは[専門性・職種]の専門家として回答してください。
背景:[現状や課題、目的]について検討しています。
質問:[具体的な依頼内容]
条件:
・回答は[形式の指定]
・[文字数や制約条件]
・[その他の要望]
たとえば、営業資料の作成依頼であれば以下のような形で指示します。
あなたはIT業界の営業マネージャーです。新規顧客向けの提案資料を、A4一枚・箇条書き形式で作成してください。ターゲットは中堅企業の経営層です。
また、アイデア出しや問題解決を求める場合は、観点や手順を明記することで、より具体的なアウトプットが得られます。
[テーマ]について、以下の観点からアイデアを5つ提案してください:市場性、実現可能性、独自性
[課題]について、原因分析・解決策・メリット・デメリット・実施手順の順で整理してください。
議事録作成のためのプロンプト例
今日の営業会議の音声データをテキスト化したものです。主要な決定事項、担当者、期限を明確にした上で、A4一枚に収まるように議事録を作成してください。フォーマットは、1. 日時・場所、2. 出席者、3. 議題、4. 決定事項、5. TODOリスト、6. 次回会議予定、の順でお願いします。
関連記事:「ChatGPTで議事録作成・文字起こしを効率化!おすすめAIツール解説」
アイデア創出のためのプロンプト例
あなたは未来のトレンドを予測するアナリストです。当社の持つ『AI画像認識技術』と『ドローン技術』を組み合わせた、物流業界向けのいままでにないサービスアイデアを5つ提案してください。それぞれのアイデアについて、解決できる課題と想定される市場規模も記述してください。
メール作成のためのプロンプト例
あなたは誠実なカスタマーサポート担当者です。先日納品した製品に不具合があり、顧客からクレームを受けました。製品交換と今後の対応について説明し、丁寧にお詫びするメールを作成してください。顧客名は〇〇様、製品名は△△です。
まとめ
ChatGPTの成果を最大化するには、プロンプトや質問の仕方が決定的な役割を果たします。曖昧な質問では一般的な回答しか得られませんが、目的・背景・条件を具体的に伝えることで、業務に直結した実践的なアウトプットが得られます。
もし、これらのテクニックを自社の状況に合わせて最適化したい、あるいはさらに複雑なAI活用や導入戦略について具体的なアドバイスが必要だと感じられた場合は、専門的な知識を持つコンサルタントにご相談いただくことをお勧めします。
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ChatGPTでの質問の仕方についてよくある質問まとめ
- ChatGPTを使う上で、なぜ質問の仕方が大切なのですか?
- AIはユーザーの入力(プロンプト)に大きく依存して応答するためです。
- AIは曖昧な意図や背景を推測する能力が人間より劣るため、明確で具体的な指示であるほど的確な回答をしやすくなります。
- 質問の仕方を工夫することで、回答の質や実用性が向上するだけでなく、不要なやり取りが減って業務効率も高まります。
- ChatGPTの回答精度を高めるにはどうしたらいいですか?
- 明確かつ具体的な質問文を作成する: 曖昧な表現を避け、具体的なキーワードや条件を盛り込みます。
- 背景・条件・目的を伝える: 質問の背景や目的、前提条件を伝えることで、より文脈に即した回答が得られます。
- 一度に一つのトピックに絞る: 質問をシンプルに保ち、回答の焦点を明確にします。
- セッションの区切りを意識する: 新しい話題では新しいチャットを開始するか、文脈の区切りを明確に伝えます。
- フォーマット指定や出力条件を活用する: 回答の形式や文字数、トーンを指定します。
- 継続的なやりとりで回答精度を高める: 得られた回答に対してフィードバックや追加質問を重ねます。
- ChatGPTに「逆質問」させる: 必要な情報が不足している場合に、ChatGPTに追加情報を求めるよう促します。
- ChatGPTの限界を理解する: 情報の正確性(ハルシネーションの可能性)や知識のカットオフ時期を認識します。

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