生成AIが患者説明から看護記録まで支援、三者連携で臨床研究と業務効率化を実現へ
最終更新日:2024年08月27日
医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪国際がんセンター、日本IBMは2024年8月、共同研究「生成AIを活用した患者還元型・臨床指向型の循環システム(AI創薬プラットフォーム事業)」の進捗を発表した。
3月から開始したこの研究では、8月から乳がん患者向けの「対話型疾患説明生成AI」の実運用を開始。このシステムは、AIアバターと生成AIチャットボットを組み合わせた双方向型の会話システムで、患者の理解促進と医療従事者の業務効率化を同時に実現する。今後、他のがん種への展開や、問診、看護記録作成などへのAI活用も予定されている。
<本ニュースの10秒要約>
- 三者連携で「対話型乳がん疾患説明生成AI」の実運用を開始し、患者の理解促進と医療従事者の業務効率化を同時に実現
- AIを活用した患者説明時間の30%削減を目指し、乳がん診療の均てん化と医療の地域格差是正にも期待
- 2025年には問診解析AI、看護音声入力AI、書類作成AIなど、さらなる生成AIシステムの展開を予定
「対話型乳がん疾患説明生成AI」の概要と効果
「対話型乳がん疾患説明生成AI」は、AIアバターと生成AIチャットボットを組み合わせた双方向型の会話システムだ。患者は受診前にQRコードからwebブラウザーにアクセスし、自由なタイミングで疾患の説明動画を視聴したり、疑問点をチャットボットに質問することができる。
このシステムはIBM watsonxでAI基盤を構築し、最新のLLM(大規模言語モデル)を活用している。導入の目的は、乳がん診療における疾患説明と同意取得に要する時間を30%軽減することだ。また、乳がん診療の均てん化により、医療の地域格差是正も期待されている。
患者からは、確かな情報が得られる点や、事前に不安を解消できる点が評価されている。医療従事者側も、患者の質問内容を事前に把握できる利点を挙げている。
生成AIを活用した医療サービスの今後の展開
今後、「対話型乳がん疾患説明生成AI」の精度向上を図るとともに、他のがん種への展開も計画されている。2025年1月からは消化管内科でも対話型疾患説明生成AIの運用を開始する予定だ。
さらに、2025年2月には3つの新たな生成AIシステムの導入が予定されている。1つ目は、Web問診結果を生成AIが解析し、医師の診察を支援する「問診生成AI」。2つ目は、看護カンファレンス内容の自動音声入力や電話応対記録の自動作成を行う「看護音声入力生成AI」。3つ目は、電子カルテの情報から必要な項目を選んで医療文書の作成を支援する「書類作成・サマリー作成AI」だ。
これらのシステムにより、医療現場の業務効率化と患者サービスの向上が期待されている。
医療現場における生成AI活用の課題と展望
生成AIを実臨床の現場で活用するには、医療現場の実情を正しく理解し、真に役立つサービスを提供する必要がある。同時に、AIを用いる場合のリスクを把握し、より安全な運用体制を構築することも重要だ。
三者は、これらの課題を踏まえつつ、患者や医療従事者にとって役立つAIサービスを安全に利用できる仕組みの構築を目指している。
生成AI(ジェネレーティブAI)について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考ください。
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