旭化成が生成AIで新規用途探索と技術伝承を強化、無形資産のデジタル活用を本格始動
最終更新日:2024年12月09日
2024年12月9日、旭化成株式会社は、材料の新規用途探索や製造現場の技術伝承において生成AIの活用を開始すると発表した。
これまで蓄積された過去のデータやノウハウなどの無形資産を生成AIによって活用し、競争力強化や事業上のリスク低減を目指す。すでに一部の材料では用途候補の選別時間を従来の約40%まで短縮するなど、具体的な成果が表れ始めている。
<本ニュースの10秒要約>
- 生成AIによる材料の新規用途探索の自動化により、6,000以上の用途候補を抽出し選別時間を60%削減
- 製造現場における熟練工のノウハウのデジタル化と生成AIによる危険予知活動の効率化による技術伝承の実現
- 全社的な生成AI活用基盤の整備と人材育成プログラムの展開による月間2,157時間の業務効率化を達成
新規用途探索における生成AIの活用
旭化成は専門人材と各事業領域が連携し、用途を自動抽出するAIと有望な用途候補を抽出する生成AIを開発した。この技術により、膨大な文献データから6,000以上の用途候補を考案し、選別時間を従来の約40%まで短縮することに成功した。
専門家のアイデアと同等の用途候補を短時間で考案できるようになり、材料化学や医療分野での活用を進めている。将来的には他社製品の技術分析による協業先選定にも活用を検討している。
製造現場における技術伝承のデジタル化
製造現場では、熟練社員の高年齢化と退職によるノウハウ継承が課題となっていた。過去事例のデータを読み込ませた生成AIを活用することで、経験の浅い従業員でもリスクと対応策を効率的に洗い出すことが可能になった。
今後は作業前の危険予知に加え、工場の各センサーから取得した非構造化データの解析により、作業中の危険回避にも活用を広げる計画だ。
全社的な生成AI活用の推進体制
2023年5月から開始したグループ全体での生成AI活用支援は、個人利用と組織利用の両面で展開している。個人向けにはMicrosoft 365 Copilotなどの既存サービスの活用を促進し、組織向けには2023年12月から生成AIモデル利用基盤を公開した。
書類作成や社内資料検索での活用により月間2,157時間の時間短縮を実現し、書類監査対応では年間1,820時間の効率化を達成している。
AI Market の見解
旭化成の生成AI活用戦略は、製造業における無形資産のデジタル活用の新たなモデルケースとなる取り組みだ。特に、材料開発における用途探索の自動化は、研究開発のスピードと効率を大きく向上させる可能性を持つ。
また、製造現場のノウハウのデジタル化は、日本の製造業が直面する技術伝承の課題に対する有効な解決策となるだろう。全社的な活用基盤の整備と具体的な効果の可視化は、他の製造業企業にとっても参考となる成功事例といえる。
参照元:PR TIMES
AI Market ニュース配信チームでは、AI Market がピックアップするAIや生成AIに関する業務提携、新技術発表など、編集部厳選のニュースコンテンツを配信しています。AIに関する最新の情報を収集したい方は、ぜひ𝕏(旧:Twitter)やYoutubeなど、他SNSアカウントもフォローしてください!
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
過去のニュース一覧:ニュース一覧
ニュース記事について:ニュース記事制作方針
運営会社:BizTech株式会社
ニュース掲載に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-press@biz-t.jp