Google DeepMind、最新のAIモデル「Gemini 2.5」を発表
最終更新日:2025年03月26日

Google DeepMindは2025年3月25日、同社最新のAIモデル「Gemini 2.5」を発表した。
最初のリリースとなる「Gemini 2.5 Pro Experimental」は、回答する前に思考プロセスを経ることで推論能力を高めた「思考モデル」として設計されており、主要なベンチマークテストで最高水準の性能を達成し、特に数学、科学、コーディング分野での能力が向上している。
- Googleの新AIモデル「Gemini 2.5 Pro」は回答前に思考するプロセスを組み込んだ「思考モデル」として設計され、複雑な推論タスクで高い性能を実現
- LMArenaリーダーボードで大幅なマージンで首位を獲得し、GPQAやAIME 2025などの数学・科学ベンチマークでも最高水準の成績を達成
- 100万トークン(近日中に200万トークン予定)のコンテキストウィンドウを持ち、テキスト、音声、画像、動画、コードリポジトリなどのマルチモーダルデータを理解可能
Gemini 2.5シリーズは「思考モデル(thinking models)」として設計されている。これは、応答を生成する前に思考プロセスを経ることで推論能力を強化し、性能と精度の向上を実現するアプローチだ。
GoogleはAIの「推論」能力について、単なる分類や予測以上のものと位置づけている。情報を分析し、論理的結論を導き、文脈やニュアンスを取り入れた上で情報に基づいた決定を下す能力を指す。
GoogleはこれまでにReinforcementLearningや思考連鎖(chain-of-thought)プロンプティングなどのテクニックを通じて、AIをより賢く推論能力の高いものにする方法を探求してきた。その過程で最近「Gemini 2.0 Flash Thinking」という最初の思考モデルを導入した。
今回のGemini 2.5では、大幅に強化されたベースモデルと改良されたポストトレーニングを組み合わせることで、新たな性能レベルを達成している。
今後Googleは、これらの思考能力をすべてのモデルに直接組み込み、より複雑な問題に対処し、より高機能でコンテキストを認識するエージェントをサポートする計画だ。
「Gemini 2.5 Pro Experimental」は、複雑なタスク向けの最も高度なモデルと位置づけられている。人間の好みを測定するLMArenaリーダーボードで大幅なマージンでトップに立ち、高品質なスタイルを備えた非常に優れたモデルであることを示している。
また、推論とコーディング能力にも優れ、一般的なコーディング、数学、科学のベンチマークでもリードしている。推論能力については、マジョリティボーティングのようなコストを増加させるテスト時のテクニックを使用せずに、GPQAやAIME 2025などの数学や科学のベンチマークで最先端の性能を示している。
また、人間の知識と推論の最先端をとらえるために数百人の専門家によって設計されたデータセット「Humanity’s Last Exam」でも、ツールを使用しないモデルの中で最先端の18.8%のスコアを記録している。
コーディング面でもGemini 2.5は2.0から大きな飛躍を遂げており、視覚的に魅力的なウェブアプリやエージェンティックコードアプリケーションの作成、コード変換や編集に優れている。業界標準のエージェンティックコード評価であるSWE-Bench Verifiedでは、カスタムエージェントセットアップで63.8%のスコアを記録した。
Gemini 2.5は、Geminiモデルの強みであるネイティブマルチモダリティと長いコンテキストウィンドウを基盤としている。2.5 Proは現在100万トークンのコンテキストウィンドウ(近日中に200万トークンに拡張予定)で提供され、前世代から改善された強力なパフォーマンスを発揮する。
テキスト、音声、画像、動画、さらには完全なコードリポジトリを含む、さまざまな情報源からの複雑な問題を理解し処理することができる。開発者や企業は現在Google AI Studioでの実験を開始でき、Gemini Advancedユーザーはデスクトップとモバイルのモデルドロップダウンで選択できる。
また、今後数週間以内にVertex AIでも利用可能になる予定だ。価格については今後数週間のうちに発表され、スケールされた本番利用のためにより高いレート制限で2.5 Proを使用できるようになる。Googleは、AIをより有用にするという目標のもと、Geminiの新機能を迅速に改善し続けるためのフィードバックを歓迎している。
AI Market の見解
Google DeepMindが発表したGemini 2.5は、AIモデルの推論能力向上に焦点を当てた重要な進展だ。技術的には「思考モデル」というアプローチで回答前に推論プロセスを組み込むことにより、特に複雑な数学・科学問題やコーディングタスクでの性能を飛躍的に向上させている。
これは単なる性能指標の向上を超え、AIがより人間的な思考プロセスに近づくための方向性を示すものだ。特にコンテキストウィンドウの拡大とマルチモーダルデータへの強い理解力は、実用的なアプリケーション開発における活用可能性を大きく広げる。
ビジネス面では、複雑なコードの生成や変換、深い推論を必要とするエンタープライズ向けのソリューション開発に大きなインパクトを与えると想定される。
市場全体への影響としては、OpenAIやAnthropicなど他の主要AIプロバイダーとの競争がさらに激化し、「思考する」AIモデルという新たな競争軸が形成される可能性がある。今後はGoogleがこの技術をVertex AIなどの商用プラットフォームに展開することで、エンタープライズAI市場での競争優位性を高めていくと考えられる。
参照元:Google
Gemini 2.5に関するよくある質問まとめ
- Gemini 2.5の「思考モデル」とは具体的にどのようなものですか?
Gemini 2.5の「思考モデル」とは、回答を生成する前に思考プロセスを経るAIモデルを指します。これは単に情報を分類・予測するだけでなく、情報を分析し、論理的結論を導き、文脈やニュアンスを考慮した上で判断する能力を持ちます。強化学習や思考連鎖(chain-of-thought)プロンプティングなどの技術を活用し、ベースモデルの強化と改良されたポストトレーニングを組み合わせることで実現しています。この思考能力により、特に数学、科学、コーディングといった複雑な推論を要する分野で高い性能を発揮します。
- Gemini 2.5 Proはどのような用途や環境で利用できますか?
Gemini 2.5 Proは現在、Google AI StudioとGemini Advancedユーザー向けGeminiアプリで利用可能で、近日中にVertex AIでも提供予定です。利用シーンとしては、複雑な数学・科学問題の解決、高度なコード生成、マルチモーダルデータ(テキスト、画像、音声、動画、コードリポジトリ)の理解と処理などに適しています。100万トークン(近日中に200万トークン)のコンテキストウィンドウを持ち、大量のデータや複雑な情報を処理できます。また、視覚的に魅力的なウェブアプリの作成やコード変換・編集にも優れており、開発者や企業向けのユースケースを想定しています。価格については今後数週間のうちに発表される予定です。

AI Market ニュース配信チームでは、AI Market がピックアップするAIや生成AIに関する業務提携、新技術発表など、編集部厳選のニュースコンテンツを配信しています。AIに関する最新の情報を収集したい方は、ぜひ𝕏(旧:Twitter)やYoutubeなど、他SNSアカウントもフォローしてください!
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
過去のニュース一覧:ニュース一覧
ニュース記事について:ニュース記事制作方針
運営会社:BizTech株式会社
ニュース掲載に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-press@biz-t.jp
