NVIDIAがエージェント型AIプラットフォーム構築のためのLlama Nemotronリーズニングモデルを発表
最終更新日:2025年03月24日

NVIDIAは2025年3月18日(現地時間)、エージェント型AIプラットフォームを構築するためのオープンリーズニングAIモデルファミリー「Llama Nemotron」を発表した。
このモデルは独立または連携したチームとして複雑なタスクを解決し、高度なAIエージェントを開発するためのビジネス対応の基盤を提供することを目的としている。
- NVIDIAのLlama Nemotronリーズニングモデルは、複雑な意思決定を行うエージェント型AI開発のためのビジネス向け基盤として設計され、他のオープンモデルより5倍の推論速度を実現
- Accenture、Microsoft、SAP、ServiceNowなど主要企業がNVIDIAと協力し、業界向けリーズニング機能を強化したエージェント型AIプラットフォームの開発を推進
- NVIDIA AI EnterpriseがAI-Q Blueprint、AIデータプラットフォームなどエージェント型AIの開発・展開に不可欠なツールとソフトウェアを包括的に提供
NVIDIAが発表したLlama Nemotronリーズニングモデルファミリーは、エージェント型AIプラットフォームの構築を加速させるために設計された。
このモデルはLlamaをベースとしており、事後トレーニングによって多段階の数学、コーディング、推論、そして複雑な意思決定能力が強化されている。この改良により、ベースモデルと比較して精度が最大20パーセント向上し、他の主要なオープンリーズニングモデルと比較して推論速度が5倍に最適化された。
この性能向上は、エージェント型AIがより複雑なリーズニングタスクを処理できるようにし、意思決定能力を強化して企業の運用コストを削減する効果がある。
Accenture、Amdocs、Atlassian、Box、Cadence、CrowdStrike、Deloitte、IQVIA、Microsoft、SAP、ServiceNowなどの主要企業がすでにNVIDIAと協力して、エージェント型AIプラットフォームにこれらの新しいリーズニングモデルとソフトウェアを組み込む取り組みを開始している。
Llama Nemotronモデルファミリーは、NVIDIA NIMマイクロサービスとしてNano、Super、Ultraの3つのサイズで提供され、エージェント型AIの様々な展開シナリオに対応している。
Nanoモデルは、PCやエッジデバイスにおけるエージェント開発に最適化され、Superモデルは単一のGPU上で最高の精度と最高のスループットを実現、Ultraモデルはマルチ GPUサーバー上で最大限のエージェントの精度を達成する。
NVIDIAはNVIDIA Nemotronモデルが生成した高品質のキュレーションされた合成データと、共同作成した追加のキュレーション済みデータセットを使用して、NVIDIA DGX Cloud上で広範な事後トレーニングを実施した。重要な点として、モデル開発に使用されたツール、データセット、トレーニング後の最適化手法は一般公開されており、企業は独自のカスタムリーズニングモデルを用いたエージェント開発において完全な柔軟性を得ることができる。
エージェント型AIプラットフォームのパイオニア企業は、Llama Nemotronリーズニングモデルを活用して、それぞれの業界特化型のソリューションを強化している。
MicrosoftはLlama NemotronリーズニングモデルとNIMマイクロサービスをMicrosoft Azure AI Foundryに統合し、Azure AI Foundryのモデルカタログを拡張している。これにより、Microsoft 365向けAzure AIエージェントサービスなどの顧客サービス強化が期待される。
SAPはLlama Nemotronモデルを活用し、SAP Business AIソリューションとAIコパイロットであるJouleを進化させている。
NVIDIAは、エージェント型AIの開発と展開を支援するための包括的なツールセットも提供している。
NVIDIA AI Enterpriseソフトウェアプラットフォームには、複数のエージェント型AI構成要素が含まれている。
構成要素 | 詳細 |
---|---|
AI-Q NVIDIA AI Blueprint | 知識を自律的に認識、推論、行動できるAIエージェントと企業を接続するフレームワーク。NIMマイクロサービスで構築され、マルチモーダル情報検索用にNVIDIA NeMo Retrieverを統合。オープンソースのNVIDIA AgentIQツールキットを使用してエージェントとデータの接続、最適化、透明性の確保を実現 |
NVIDIA AIデータプラットフォーム | AI-Q Blueprintで構築されたAIクエリエージェントを備えた、新しいクラスのエンタープライズインフラ向けのカスタマイズ可能なリファレンスデザイン。企業特有のデータ環境に合わせたエージェント開発を支援 |
NVIDIA NIMマイクロサービス | 複雑なエージェント型AIアプリケーションの推論を最適化し、あらゆる環境で継続的な学習とリアルタイムの適応を可能にするサービス。Meta、Microsoft、Mistral AI、Googleなど主要モデルビルダーの最新モデルで信頼性の高い展開を保証 |
NVIDIA NeMoマイクロサービス | 人間およびAIが生成したフィードバックからAIエージェントが継続的に学習できる強固なデータフライホイールを迅速に確立、維持するためのエンタープライズグレードのソリューション。エージェントの継続的な性能向上を実現 |
Data Flywheel NVIDIA AI Blueprint | NeMoマイクロサービスを使用してデータフライホイールを簡単に構築、最適化するためのリファレンスアーキテクチャを開発者に提供。エージェントの学習サイクルを効率化 |
NVIDIA AgentIQツールキット | オープンソースで提供されるエージェント開発支援ツール。GitHub上で現在入手可能で、エージェントとデータの接続、最適化、透明性確保のための機能を提供 |
AI Market の見解
NVIDIAのLlama Nemotronリーズニングモデルファミリーの発表は、エージェント型AI市場の成熟化を示す重要な転換点と言える。
従来のAIモデルが単一のタスク処理に特化していたのに対し、このリーズニングモデルは複数の推論ステップを経た意思決定を自律的に行うエージェントの基盤となる。特に注目すべきは、Microsoft、SAP、Accentureなど主要企業が各業界向けのエージェント型AIプラットフォームを構築するためにこのモデルを活用している点だ。
これは、エージェント型AIが理論から実用段階へと移行していることを示している。
また、NVIDIAが提供するAI-Q BlueprintやAgentIQツールキットなどのエージェント開発インフラは、より多くの企業がAIエージェントを自社業務に組み込むためのハードルを下げると想定される。
企業は単にAIモデルを導入するだけでなく、業務プロセスを自律的に遂行し、継続的に学習・改善するエージェントシステムを構築する方向へと進化している。このエコシステムの発展により、AIの活用領域は単純な予測や分類から、複雑な意思決定や問題解決へと拡大すると評価できる。
参照元:PR TIMES
AIエージェントに関するよくある質問まとめ
- AIエージェントとは何で、従来のAIモデルとどう違うのですか?
AIエージェントは、与えられた目標に向かって自律的に行動し、判断するAIシステムです。従来のAIモデルが単一の機能(画像認識や文章生成など)に特化していたのに対し、エージェントは複数のステップにわたる推論を行い、意思決定を下し、さらに必要に応じて行動を修正できます。
Llama Nemotronリーズニングモデルは、このような複雑な推論プロセスを強化することで、単独または連携してより複雑なタスクを解決できるエージェントの開発を可能にします。
- NVIDIAのエージェント型AIプラットフォームはビジネスにどのようなメリットをもたらしますか?
エージェント型AIプラットフォームは、業務プロセスの自動化から意思決定支援まで、幅広いビジネス価値を提供します。具体的には、複雑な問題解決の高速化、人間の意思決定の質向上、運用コストの削減、組織知識の活用と拡張などが期待できます。
Accenture、SAP、ServiceNowなどの企業事例では、業界固有の課題に合わせたカスタムAIエージェントの開発により、ビジネス変革の加速や生産性向上が実現されています。また、エージェントは継続的に学習・適応するため、時間とともに価値が向上するという特徴があります。

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