サグリと野村證券が挑む北海道での脱炭素実証実験、AIと宙炭で農業革命へ
最終更新日:2024年06月21日
サグリ株式会社は2024年6月8日、野村證券株式会社と野村ファーム北海道株式会社の協力のもと、株式会社TOWINGのテクノロジーを活用した農業分野の脱炭素に関する実証実験を北海道で開始したと発表した。
この実証実験では、次世代土壌改良資材「宙炭」を使用し、化学肥料の大半を有機肥料に転換する農法を実証する。サグリは衛星データとAI技術を駆使し、環境負荷軽減効果と生産性向上効果の検証を行う。
<本ニュースの10秒要約>
- 野村證券協力のもと、サグリが北海道で農業分野の脱炭素実証実験を開始
- 次世代土壌改良資材「宙炭」を使用し、化学肥料から有機肥料への転換を目指す取り組み
- 衛星データとAI技術を活用し、環境負荷軽減効果と生産性向上効果の検証を実施
実証実験の背景と目的
この実証実験は、農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」に沿った取り組みとして位置付けられている。同戦略は2050年までに農林水産業のゼロエミッション化を目指し、化学肥料の使用量を30%低減するなどの環境負荷軽減策を推進している。
本実証実験は、この政策目標に合致する具体的な取り組みとして重要な意義を持つ。実験の主な目的は、次世代土壌改良資材「宙炭」を活用し、化学肥料の大半を有機肥料に転換する農法の効果を検証することだ。さらに、バイオ炭の農地施用による土壌への炭素貯留(カーボンファーミング)効果を確認し、カーボン・クレジット制度の活用可能性も探る。
実証実験の内容と手法
実証実験は北海道江別市江別太にある野村ファーム北海道の所有農地約2400㎡で行われる。南瓜約1000㎡とスイートコーン約1400㎡の栽培に「宙炭」を散布し、その効果を検証する。
サグリは衛星データをAI技術で解析し、宙炭散布後の土質改善による環境負荷軽減効果と収量等の生産性向上効果を分析する。この取り組みは、TOWINGの宙炭を散布した農地でサグリが土壌分析と生育分析を行う初めての試みとなる。
実験は2024年6月8日に宙炭の散布から始まり、スイートコーンは9月上旬、南瓜は9月中旬に収穫予定だ。この期間中、サグリのAI技術を駆使したモニタリングと分析が継続的に行われる。
参加企業の役割と技術の特徴
この実証実験では、各参加企業が独自の強みを活かして協力している。
TOWINGは独自開発の次世代土壌改良資材「宙炭」を提供する。宙炭は、バイオマス由来の炭素を主原料とし、土壌の保水性や通気性を改善する効果が期待されている。
野村證券と野村ファーム北海道は、実験場所の提供と農業経営のノウハウを活かした支援を行う。サグリは、衛星データとAI技術を組み合わせたソリューションを提供し、土壌分析や生育分析を担当する。
サグリの技術は、広範囲の農地を効率的にモニタリングし、詳細なデータ分析を可能にする点が特徴だ。これらの企業の協力により、従来の農業手法と最新テクノロジーを融合させた新たな農業モデルの構築を目指している。
今後の展望と期待される効果
本実証実験の成功は、農業分野における脱炭素化と生産性向上の両立に大きな影響を与える可能性がある。宙炭の使用により、化学肥料の使用量削減と土壌の質的改善が実現すれば、環境負荷の低減と農作物の収量増加が期待できる。さらに、カーボンファーミング効果が確認されれば、農業分野における新たな収益源としてカーボン・クレジット制度の活用も視野に入れることができる。
サグリのAI技術による分析結果は、今後の精密農業の発展にも寄与すると考えられる。この実証実験の成果は、日本の農業政策にも影響を与え、持続可能な農業モデルの構築に向けた重要な一歩となる可能性がある。今後は、この実験結果を基に、より大規模な実証実験や実用化に向けた取り組みが進められることが期待される。
参照元:PR TIMES
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