Spiral.AIと博報堂プロダクツがコンタクトセンター事業領域における生成AI技術導入を目指す
最終更新日:2023年11月08日
Spiral.AI株式会社は、2023年8月22日、コンタクトセンター事業領域における生成AI技術導入・活用を目指すプロジェクトを、株式会社博報堂プロダクツと共同で開始したと発表した。
Spiral.AIはLLM(巨大言語モデル)の社会実装を専門とするAI企業であり、博報堂プロダクツは広告・プロモーションの総合制作事業会社だ。両社が今回開始したプロジェクトでは、現状の生成AIが抱える課題の解消を通じて、コンタクトセンター事業領域での生成AI実装が進められる。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- AI企業と広告総合制作事業会社が共同で、コンタクトセンター事業領域への生成AI導入を推進
- 現状の生成AIが抱える「正答性」「情報セキュリティ」「ユーザー体験価値」という課題を解消
- オペレーターが情報を探す負担を軽減、「LLMがコンシェルジュのように寄り添う世界」も実現へ
コンタクトセンターへの生成AI導入を阻む課題
昨今、コンタクトセンター領域においても生成AI技術の早期導入および活用が求められるようになった。しかしこの導入では、現状の生成AIが抱える「正答性」「情報セキュリティ」「ユーザー体験価値」という3点が大きな課題となる。
LLMにおける「正答性」の課題、すなわち「事実に基づかない回答を行うことがある」という問題は、正確な情報を生活者に直接届けるコンタクトセンター業務においては致命的欠陥だ。「情報セキュリティ」については、ジェイルブレイク手法などによる個人情報データの抜き出しが問題となっている。そして「ユーザー体験価値」に関しては、一義的に正しい情報を返すだけのロボットでは安心/納得の醸成が難しいという課題があった。
「正答性」「情報セキュリティ」「ユーザー体験価値」に関する課題を解決
Spiral.AIと博報堂プロダクツによる共同プロジェクトでは、この3つの課題を解決すべき重点対策領域と定めて、コンタクトセンターへの生成AI導入推進を図る。
「正答性」の課題について同プロジェクトでは、ファインチューニングを始めとする多面的なアプローチにより、正答性向上に取り組む。ファインチューニングはAI学習の手法の一つであり、事前学習モデルに追加学習を行わせることで新たなタスクへの適応を実現するというものだ。
「情報セキュリティ」については、既に提供が始まっている個別クラウド環境のセキュリティ検証に加え、オンプレミスモデルの導入なども視野に入れる形で技術検証を推進。「ユーザー体験価値」に関しては、独自の応答手法開発を進めることで「生活者に寄り添うAI」の実現を目指す。
情報検索技術の精度向上と、音声入出力インターフェースのシームレス実装
両社の共同プロジェクトにおいて進められる具体的な技術開発としては、情報検索技術の精度向上と、音声入出力インターフェースのシームレス実装が挙げられる。
情報検索技術の精度向上については、チャット型の文章検索エンジンの基本機能に加えて、独自アルゴリズムの開発や独自領域へのモデル特化を推進。一般的に用いられるベクトル検索を上回る精度を実現することで、質問への回答の的確な絞り込みを行い、オペレーターが情報を探す負担を軽減するとしている。
音声入出力インターフェースのシームレス実装では、顧客とオペレーターの通常会話の中から問い合わせ内容を抽出するアルゴリズムを活用することで、より自然なLLM利用を推進する。頭を悩ませながらプロンプト作成を行う必要をなくし、LLMがコンシェルジュのように寄り添う世界の実現を図るとしている。
LLM利活用基盤「Spiral.Bot」をベースとして、ソリューション提供を開始
同プロジェクトでは、まず「業務システム開発フェーズ」としてコンタクトセンターのオペレーターを支援するAIの導入を進め、次いで「カスタマーインターフェース開発フェーズ」にて生活者が直接AIと応答できる環境の構築を行う予定だ。Spiral.AIは今後、同社のLLM利活用基盤「Spiral.Bot」をベースとして、コンタクトセンター領域におけるソリューション提供を開始するとしている。
参照元:PRTIMES
生成AI(ジェネレーティブAI)について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考ください。LLM(大規模言語モデル)とは何か、どんな仕組みか、こちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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