NTT東日本、横浜市の選挙管理事務などでRAG技術を活用した生成AI実証を支援し成果を報告
最終更新日:2025年04月21日

東日本電信電話株式会社神奈川事業部は、横浜市が2024年11月から2025年3月まで実施したRAG(検索拡張生成)実証を伴走支援し、その成果を2025年4月18日に報告した。
選挙管理事務、権利擁護業務、データ活用業務の3分野で実証を行い、限られた人員で質の高い行政サービスを維持するための生成AI活用の有効性が示された。
- 横浜市がNTT東日本の支援のもと、選挙管理事務などの業務で独自データを活用したRAG実証を実施し成果を報告
- 生成AI導入の効果を高めるため、研修実施やユースケース創出、ガイドライン策定など包括的な伴走型サポートを提供
- 自治体の人材不足課題に対し、導入から活用定着まで一気通貫の支援を行い、行政サービスの効率化に貢献する取り組み
近年、自治体職員の減少が進む中、AIの導入は限られた人員で質の高い行政サービスを維持するための重要な手段として注目されている。
総務省の2023年12月末時点の調査によると、政令指定都市では約4割が生成AIを導入済みであり、実証実験中も含めると約9割が導入を進めている状況だ。
一方で、多くの自治体では「取り組むための人材がいない又は不足している」という課題を抱えている。横浜市では2023年12月から生成AI実証を開始し、全庁導入などの取り組みを実施してきたが、さらに実用性の高い環境での活用を目指して2024年11月からRAG実証を行った。
このRAG実証において、自治体向けに生成AIの環境構築・活用支援を行っているNTT東日本グループが伴走支援を実施した。
今回のRAG実証は2024年11月から2025年3月までの期間で行われ、精度の高いデータ取り込みの検証、実証テーマを通した実用性の検証、RAG環境の運用に係る検討の3点が主な実証概要となった。
実証テーマとしては、選挙管理事務、権利擁護業務(成年後見制度等)、データ活用業務の3分野が選ばれた。
NTT東日本グループによる伴走支援の内容は多岐にわたり、生成AI基礎・Copilotハンズオン研修の実施、ユースケース創出支援、ガイドライン策定支援、技術支援などが含まれる。
特に技術支援では、自治体から提供された独自データを機械判読性の高いデータへ整理したり、検証ポイントの特定や業務要件の把握を行ったりするなど、専門的な知識を活かした支援が行われた。
自治体におけるAI導入には専門的な知識が必要とされるが、多くの自治体ではこうした知識を持つ人材が不足している現状がある。NTT東日本グループは今後も生成AIの環境構築だけでなく、導入から活用定着まで一気通貫で伴走型の支援を実施することを表明している。
このような取り組みを通じて、少子高齢化に伴う行政サービスの効率化といった社会課題を解決し、持続可能な循環型社会を地域と共創することを目指している。行政のデジタル化が進む中、RAG技術を活用した生成AIの導入は、業務効率化と行政サービスの質の向上に大きく寄与すると期待されている。
AI Market の見解
今回のNTT東日本による横浜市へのRAG実証支援は、自治体における生成AI活用の実践例として注目に値する。生成AIの特徴である自然言語での対話機能に、RAG技術を組み合わせることで、自治体固有の情報を参照した回答生成が可能となり、業務効率化の可能性が大幅に広がると考えられる。
特に選挙管理事務や権利擁護業務などの専門性の高い業務への適用は、ナレッジの蓄積・活用という点で技術的意義が大きい。
ビジネス面では、NTT東日本が単なる技術提供にとどまらず、研修やガイドライン策定まで含めた包括的支援を行っている点が特徴的であり、自治体のAI人材不足という課題に対する有効なアプローチと評価できる。
今後は同様の取り組みが他の自治体にも波及し、行政サービスのデジタル化と効率化が加速すると想定される。また、自治体業務での実証結果は、民間企業におけるRAG技術活用のモデルケースとしても参考になると想定される。
参照元:PR TIMES
RAG技術に関するよくある質問まとめ
- RAG技術とは何ですか?
RAG(Retrieval-Augmented Generation)は検索拡張生成と訳され、大規模言語モデル(LLM)が学習していないユーザ固有の情報を連携・取得して回答を生成する技術だ。
通常の生成AIは訓練データの範囲内でしか回答できないが、RAG技術を用いると、特定のデータセットを参照して情報を生成できるため、組織内の独自文書や最新情報に基づいた回答が可能になる。自治体の場合、条例や規則など独自の行政文書に基づいた回答を生成AIに行わせることができる。
- 自治体がRAG技術を導入するメリットは何ですか?
自治体がRAG技術を導入する主なメリットは、職員の業務効率化と行政サービスの質の維持・向上だ。
職員数が減少する中でも、RAG技術により専門知識が必要な選挙管理事務や権利擁護業務などで、自治体固有の情報に基づいた正確な回答や文書作成が可能になる。
また、ベテラン職員のノウハウを組織知として蓄積・活用できるため、人材不足や技術継承の課題解決にも貢献する。さらに、市民からの問い合わせ対応の迅速化など、住民サービスの向上にもつながる可能性がある。

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