Recraft V3とは?特徴・活用メリット・始め方など最新情報を徹底紹介!
最終更新日:2025年01月30日

画像生成AI「Recraft V3」は、これまで最先端の画像生成AIを提供し、業界に大きな衝撃を与え続けているイギリスのデザインツール制作会社Recraftが2024年10月リリースした画像生成AIです。
Recraft V3は、ベンチマークテストで他の画像生成モデルを抑えて1位を獲得し、高精度な画像生成能力を持つツールとして注目を集めています。ベクター形式での出力、自由なアスペクト比設定、長文テキストの挿入など、これまでの画像生成AIにはない機能が満載です。
本記事では、Recraft V3の特徴や活用メリット、注意点までを紹介します。また、ビジネスで活用する際に押さえておきたい、利用プラン・商用利用などの最新情報を網羅的に解説します。
画像生成AIの導入を検討している方や、画像生成AIの最新ツールに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
Recraft V3とは?

Recraft V3とは、テキストから画像へ高精度で生成でき(Text-to-Image)、編集機能も提供する画像生成AIツールです。英国のスタートアップ企業Recraftが開発しました。
Recraft V3の画像生成精度は、Hugging Face主催の業界標準のベンチマークテストにおいて、ELOレーティング1,172点という優れたスコアを記録したことで証明されました。MidjourneyやStable Diffusion、DALL-Eといった他の高機能画像生成AIツールと比較して、品質や生成スピードの面で高い評価を得ています。
品質の中では特に、生成される画像の背景との整合性や解剖学的な正確性が評価されました。従来の画像生成AI特有の不自然さがRecraft V3では大幅に改善され、質の高い広告を自動生成できるツールとして話題を集めています。
さらに、SVG形式などベクター方式画像の対応やアスペクト比の柔軟な設定など、プロが必要とするデザインニーズに応える機能が際立っています。
また、Recraft V3はデスクトップ版に加え、iOSおよびAndroid向けのモバイルアプリやAPIを通じて、さまざまなプラットフォームで利用可能です。このような高機能性と柔軟性により、個人ユーザーから企業まで幅広いニーズに応えるツールとして注目されています。
Recraft V3の主な機能
Recraft V3は、プロ向けの用途から初心者のクリエイターまで幅広いニーズに応える多彩な機能を備えています。以下が、主な機能です。
- ベクターグラフィックス対応:解像度に依存しない高品質なベクター画像生成
- 多様な画像生成:写実的な写真、水彩画、ピクセルアート、ベクターイラストなどから画像生成が可能
- 長文テキスト対応:従来のAIモデルが苦手とした長文テキストからの画像生成を実現
- 長文のテキストレンダリング:従来の画像生成AIでは1語〜2語程度の短文しか挿入できなかったが、画像内に長文の英文を自然な形で挿入できる
- モックアップ機能:TシャツやiPhoneなどにデザインができる
- マイカスタム機能:自分のオリジナルデザインやイラストスタイルをもとに生成ができ、生成AIにありがちな著作権のリスク回避が可能
- AI編集ツール:背景変更、部分削除、新規オブジェクト追加など多彩な編集機能を搭載
- キャンバス:複数の画像を同時に編集できるスペース
これらの機能は初心者でも直感的に操作できるように設計されているため、ITスキルやデザイン制作スキルを必要とせず、誰でも美しいビジュアルを作成できます。
他の画像生成AIツールとの比較
以下の表で、主要な画像生成AIであるMidjourney・DALL-E・Stable DiffusionとRecraft V3を比較しました。
項目 | Recraft V3 | Midjourney | DALL-E | Stable Diffusion |
---|---|---|---|---|
編集機能 | 背景削除、テキスト挿入、モックアップ作成など多彩な編集機能を搭載 | 編集機能は限定的で、主に画像生成に特化 | 編集機能は限定的で、主に画像生成に特化 | オープンソースのため、外部ツールとの連携で編集可能 |
出力形式 | SVG・PNG・JPG・PDFなど多様な形式に対応 | 主にPNG形式での出力 | 主にPNG形式での出力 | ユーザーの設定により多様な形式での出力が可能 |
品質 (ELOスコア) | 1,172 (Hugging Faceのリーダーボードでトップ) | 1,098 | 984 | 941 |
料金プラン |
| 月額10ドルからの有料プランのみ |
| 無料で利用可能(オープンソース) |
商用利用 |
| 有料プランで可能 | 有料プランで可能 | ライセンスにより異なるが、基本的に可能 |
参照:Recraft: Quality, Generation Time & Price Analysis|Artificial Analysis
上記の比較から、Recraft V3は編集機能の充実度や多様な出力形式への対応、ELOスコアの高さなど、総合的なパフォーマンスで他の画像生成AIを上回ることが分かります。
したがって、Recraft V3は多機能や質の高い画像を出力できる画像生成AIを求めるユーザーに適した選択肢と言えます。
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Recraft V3の利用料金

Recraft V3は個人から大企業まで幅広いユーザーのニーズに応えるために、無料プランと有料プランを提供しています。
2025年1月時点で利用できるプランは、以下のとおりです。
プラン名 | 月額料金 | 特徴 | 月間クレジット数 |
---|---|---|---|
無料プラン | 0 | 生成された画像は公開され商用利用不可 | 50 |
ベーシックプラン | 12ドル/月 年契約では10ドル/月 |
| 1,000 4ドルで400追加利用可能 |
アドバンスドプラン | 33ドル/月 年契約では27ドル/月 | 4,000 4ドルで400追加利用可能 | |
プロプラン | 60ドル/月 年契約では48ドル/月 | 8,400 4ドルで400追加利用可能 |
各プランは、利用頻度やシーンに合わせて柔軟に選択できます。 例えば、生成画像を組織全体で活用する場合にはプロプランが最適です。画像生成1枚には、サイズや内容に応じて1,2クレジットが消費されます。
Recraft V3の商用利用について
Recraft V3では、無料プランを通じて作成された画像について、以下の商用利用を明確に禁止しています。
no commercial use of Free Tier Assets is permitted; (ii) Free Tier Assets are owned by Recraft and may not be sold, licensed or transferred; and (iii) Free Tier Assets may not be used to train artificial intelligence models, systems or networks or similar technology.
引用:Terms of service|Recraft
無料プランを利用する場合には、生成画像の販売やライセンス提供、転送を行わないように注意が必要です。
一方、有料プランでは商用目的での利用が可能となり、生成された画像の所有権もユーザーに帰属します。そのため、生成画像の商用利用を検討している場合は、有料プランの利用をおすすめします。
Recraft V3の始め方

Recraft V3はGoogle・Discord・Appleアカウント・メールアドレスのどれかでアカウント登録すれば、簡単に利用を開始できます。
以下が、利用開始までの具体的な手順です。
- Recraft公式サイトにアクセスし、アカウントを設定
- 職業や利用目的など簡単な質問の入力
- 無料プランまたは有料プランを選択
無料でも利用できるため、気軽にツールを体験してみましょう。
Recraft V3のメリット

Recraft V3には、出力できる画像や編集機能において多くのメリットがあります。以下では、Recraft V3のメリットを紹介します。
ベクター形式など多様な出力形式に対応
Recraft V3は、従来の画像生成AIでは対応していなかったベクター形式での出力を可能にした、業界初のツールです。PNGやJPG形式に加え、SVG形式やLottie形式にも対応しており、解像度に依存しない高品質な画像を生成可能です。
そのため、企業のロゴデザイン制作やオウンドメディアのサムネイル作成など、幅広いデザイン制作の用途で活用できます。
画像のアスペクト比を自由に設定
また、Recraft V3では生成する画像のアスペクト比を自由に設定できる点も特徴です。多くの画像生成ツールでは縦横比の調整が制限されている一方で、Recraft V3ではプロンプト入力時に希望する比率を容易に指定可能です。
例えば、SNS投稿用の「16:9」や印刷物用の「4:3」など、目的に応じた最適なサイズの画像を生成できます。
このようにRecraft V3は多様な出力形式や柔軟なアスペクト比設定機能を備えており、クリエイターの効率的なデザイン制作をサポートします。
長文テキストの画像生成が可能
従来の画像生成AIでは1語~2語程度の短いフレーズしか画像へ挿入できませんでしたが、Recraft V3では小説の一節や製品仕様書などの長文テキストを挿入した画像生成が可能です。
長文生成機能は、特に広告制作やプレゼンテーション資料の作成において、文章付きの画像やコンテンツを短時間で生成したい場合に大いに役立ちます。したがって、Recraft V3は画像生成AIのクリエイティブな可能性を広げるだけでなく、業務効率の向上にも大いに貢献します。
精密なデザイン制御
従来の画像生成AIでは、簡単な編集機能しか提供されておらず、生成された画像を使用するにはPhotoshopなどの外部編集ソフトで微調整する必要がありました。
一方、Recraft V3は、従来の画像生成AIにはない精密なデザイン制御を可能にする多機能を備えています。
ビジュアル例を基にスタイルを選択し、細部まで調整可能です。テキストプロンプトだけでなく、視覚的な要素や具体的な指示を用いてデザインをカスタマイズ可能です。
以下が、Recraft V3で使用できるデザイン機能の一部です。
- 不要な部分を消すAI Eraser機能
- ベクター画像の色味を調整したりできるRecolor Vector Images機能
- 背景を簡単に削除し、透明化や差し替えができるBackground Remover機能
- 切り抜き・拡大・文字の挿入・複数の画像をミックスして再生成する機能
- 解像度を向上させ、高品質な画像を生成するImage Upscaler機能
これらの機能によって画像生成AIの出力を柔軟にアレンジでき、プロのデザイナーの制作業務を効率化できるだけでなく、デザイン制作のスキルがないユーザーでもプロレベルの高品質な画像生成が可能となっています。
Recraft V3活用時の注意点

Recraft V3は発展途上のツールであるため、活用する際にはいくつか注意点があります。以下では、Recraft V3を活用する際の注意点を紹介します。
無料プランの制限
Recraft V3の無料プランを利用すれば、コストを抑えて始められますが、有料プランに比べていくつか制限がある点に注意が必要です。
以下が、無料プランの主な制限です。
- 1日当たり最大50枚(50クレジット)しか生成できない(有料プランでは1カ月当たり1,000枚以上)
- 1プロンプト当たり1枚しか生成できない(有料プランでは最大4枚可能)
- クリエイティブアップスケールツールが利用不可
- 商用利用不可
- 生成された画像の所有権がない
上記にあるように、無料プランでは1日に生成できる画像の数が限られており、一部の機能は利用できません。そのため、頻繁に画像生成が必要な場合や、高度な編集機能を活用したい場合には不向きです。
また、無料プランで生成した画像は商用利用が禁止されているため、ビジネスシーンでの利用を考えている場合には大きなネックとなるでしょう。
そのため、無料プランはRecraft V3の操作感や機能を試すには適していますが、プロジェクトチームや組織全体での利用を検討している場合は、有料プランの利用をおすすめします。有料プランでは、商用利用が可能になる上に生成画像の所有権がユーザーに付与され、利用できる機能が増えるため、より効果的にRecraft V3を業務へ活用できます。
これらの制限を理解した上で、自分の利用目的に合ったプランを選択し、Recraft V3を最大限活用しましょう。
日本語の生成・読解能力は低い
Recraft V3では日本語での入力も可能ですが、日本語の読解力や生成能力は英語と比べて高くありません。長文生成だけでなく、短文でも英語でのプロンプト入力が前提となっています。
例えば「こんにちは」といった短い日本語の文章を入力した場合でも、生成される画像の精度や関連性が大幅に低下する傾向にあります。
Recraft V3を日本語で利用する場合は期待する画像を得られない場合があるため、翻訳ツールを利用して英語で入力すると良いでしょう。
Recraft V3についてよくある質問まとめ
- Recraft V3は無料で使用できますか?
はい、Recraft V3には無料プランがあります。
Recraft V3の無料プランでは、1日に50枚まで画像生成が可能です。ただし、生成できる画像は1プロンプトあたり1枚のみで、商用利用はできません。また、クリエイティブアップスケールツールなどの高度な機能も利用できません。
- Recraft V3はどのような形式で画像を出力できますか?
Recraft V3では、PNG・JPG・SVG・PDF・Lottie形式など、幅広い形式で画像を出力できます。
そのため、Webコンテンツから印刷物、アニメーション制作まで、多様な用途で活用可能です。
まとめ
画像生成AIのRecraft V3は、高度な画像生成能力と多機能な編集ツールを備えており、デザイン制作の効率化に役立ちます。実際に業界標準のベンチマークテストでは、MidjourneyやStable Diffusionなど他の高性能な画像生成AIツールを抑え、トップの評価を獲得し、生成能力の高さが証明されました。
また、機能面においては、業界初のベクター形式をはじめ多様な出力形式への対応や柔軟なアスペクト比の設定、背景削除・モックアップ作成といった高度な編集機能を搭載しています。
Recraft V3は、SNSコンテンツの作成や製品デザイン、広告制作などさまざまな制作分野で活用でき、クリエイティブ業務の効率化につながります。
しかし、無料プランの制限や日本語対応の課題も存在します。より高度な活用や、特定のニーズに特化した画像生成が必要な場合は、専門家にご相談いただくことをお勧めします。
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