CriticGPTとは?機能・メリット・デメリット・応用例を徹底紹介!
最終更新日:2024年12月23日
CriticGPTは、OpenAIが開発したGPT-4ベースのモデルで、ChatGPTが生成するコード出力を批評し、エラーの特定することを目的としたツールです。2024年11月時点では一般公開されていない試験段階のサービスですが、ChatGPTの出力内容の改善を自動化できるツールとして注目されています。
本記事では、CriticGPTの機能やメリット・デメリットなどの基本情報とともに、具体的な応用例を詳しく紹介します。
ChatGPTのビジネス利用や、CriticGPTの導入を検討している企業担当者にとって役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
ChatGPTとはなにか、機能や使い方事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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目次
CriticGPTとは?
「CriticGPT」は、ChatGPTの出力を評価し改善する専用のAIモデルです。GPT-4をベースに構築されており、2024年6月27日にOpenAIがリリースしました。
CriticGPTの大きな目的は、コード内のバグを検出し、ChatGPTが生成したコードの品質を向上させることです。ChatGPTと比較して、より正確で詳細なレビューを提供でき、特にセキュリティ上の脆弱性や構造的なエラーに対して顕著な改善が可能との報告もあります。
そのため、一般未公開ながら、ソフトウェア開発や品質管理プロセスにおいて有効なツールとして多くの企業から期待されています。
なぜ必要か?
CriticGPTの開発背景には、RLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)の課題解決が大きく関係しています。従来、RLHFの手法によって、ChatGPTが生成する出力を人間が評価し、そのフィードバックを元にモデルを改良してきました。
しかし、ChatGPTの生成能力が高度化するにつれて、生成AIの出力の正確さを見極めることが困難となり、RLHFの限界が浮き彫りとなったのです。特にプログラミングコードにおいては、大規模な開発環境ではチェック項目が膨大になり、人間の評価に頼る手法では確実性が低下する傾向にあります。
この課題を解決するために、ChatGPTが生成したコードに、人間が意図的にエラーを挿入した特殊なデータセットを構築し、学習に使用しました。
また、CriticGPTでは新たにFSBS(Force Sampling Beam Search)と呼ばれる手法を採用しました。FSBSとは、CriticGPTが生成するフィードバックの質と量のバランスを最適化する技術で、AIのハルシネーション(=間違った情報をあたかも真実のように出力する現象)の軽減を目的とする技術です。
さらに、実際のプログラミングコードを学習に用いているため、プログラミング言語ごとの異なる特性に対応可能です。
このようにして、RLHFの課題を解決したCriticGPTは、正確で信頼性の高いコード生成およびレビューを実現し、生成AIの活用範囲が大きく広がると期待されています。
関連記事:「ChatGPTをプログラミングにどのように活用できるか、そのメリット、また活用時のポイントや注意事項について詳しく解説」
主な機能
CriticGPTの主な機能は、以下の2つに集約されています。
- エラー検出:ChatGPTが生成したコード内のエラーやバグを特定
- 批評生成:エラーについての詳細なフィードバックや修正案を提案
まず、ChatGPTが生成したプログラミングコード内のエラーやバグを高精度に特定できる機能は、CriticGPTの特筆すべき機能です。CriticGPTでは、構文エラーだけでなく、ロジックエラーやセキュリティ脆弱性といった、コードの品質に影響を及ぼす問題も検出可能です。
さらに、CriticGPTは検出したエラーの詳細なフィードバックを生成できます。具体的には、エラーの原因や影響を説明するだけでなく、詳しい修正提案を提示することが可能です。
特に、セキュリティに関する提案では、問題の潜在的なリスクについても包括的に説明します。
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CriticGPTのメリット
CriticGPTは、正確なコード生成をサポートできることから、システム開発上でさまざまなメリットを得られます。以下では、CriticGPTのメリットを紹介します。
高精度なバグ・エラー検出
CriticGPTは、ChatGPTが生成したコード内のバグやエラーをより高精度に検出する能力を備えています。実際に行われた実証実験では、コード内のバグやエラーを63%の確率で正確に検出できることが明らかになっています。この確率は、今後人間のレビュアーよりも高精度なエラー検出が可能になると期待できる数値です。
また、CriticGPTが人間のレビュアーと共同でコードを評価する場合、単独で行うよりも多くのバグを検出できることも確認されています。協働することによって、レビューの質を向上させるだけでなく、誤ったフィードバック(ハルシネーション)を減らせるためです。
CriticGPTは人間のレビュアーに代替できるほど高精度な機能を持つことから、プログラミング教育の分野において良きパートナーツールになることが期待されます。例えば、リアルタイムでエラー箇所を指摘するだけでなく、問題の背景や改善方法を分かりやすく提示することで、学生自身の実践力と現場における学習効率の向上を実現できます。日本においてはIT人材不足への対応が急務となる中で、IT人材不足を解決する手段としてなり得るでしょう。
ChatGPTのハルシネーション対策
CriticGPTは、ChatGPTのハルシネーションを修正する機能も備えています。例えば、生成されたコード内に不正確な構文や非効率なアルゴリズムが含まれる場合でも、CriticGPTはその問題を特定し、適切な修正案を提示します。
CriticGPTは、誤りを含む大量の入力データで学習しているため、自然発生的なChatGPTのバグを効果的に検出できる可能性があります。この機能により、AIが生成する内容の信頼性と安全性を向上でき、生成AIをビジネス上で利用する際のリスク軽減が可能です。
しかし、CriticGPT自体も完全ではないため、ハルシネーションの完全な解決策とは言えません。むしろ、人間のトレーナーを補完し、より効率的かつ包括的なAIモデルの評価と改善を可能にするツールとして位置づけられています。
関連記事:「ChatGPTとはなにか、機能や使い方事例をこちらの記事で、生成AIとは何かについてはこちらで詳しく説明」
AI開発の迅速化
CriticGPTは、開発者がChatGPTを用いて生成したコードのエラーや脆弱性を特定し、コードレビューの自動化に貢献します。従来は人間がコードを評価するため多くの開発時間を要していましたが、CriticGPTではAIが自動でフィードバックを提供するため、改善サイクルを大幅に短縮できます。
開発者はCriticGPTから安全かつ正確なコードを書くための具体的な提案を受けることができ、目視確認や手動の修正に費やす時間を削減できるためです。
人間のレビュアーとは異なり、CriticGPTは疲れることがなく、複雑なコードにおいても高い精度でバグを検出しつづけることが可能です。そのため、ChatGPTと組み合わせることで大規模プロジェクトにおいても迅速な開発が期待されます。
ただし、CriticGPTは長く複雑なコードタスクの分析に苦労する可能性があります。これは、比較的短いChatGPTの応答で訓練されているためです。
関連記事:「AIシステム開発の手順や注意点を解説」
セキュリティリスクの回避
CriticGPTの活用によって、ChatGPTの生成物に懸念されるセキュリティリスクを回避できます。CriticGPTは単にコードのエラーを指摘するだけでなく、安全なコーディング方法を推奨する機能があり、セキュリティ脆弱性を未然に防ぐことが可能なためです。
そのため、CriticGPTはセキュリティ分野での利用価値が高く、CriticGPTが生成物の脆弱性を早期に検出できれば、サイバー攻撃のリスクを最小限に抑えられることが期待されます。実際に、CriticGPTを導入した開発チームがセキュリティインシデントの半減に成功した事例も報告されています。
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CriticGPTのデメリット
CriticGPTは一般公開されていないこともあり、発展途上のツールといえます。そのため、実際にビジネスで活用する際には、いくつかデメリットが考えられます。以下では、CriticGPTのデメリットを紹介します。
長く複雑な文章には対応できない
CriticGPTは、比較的短いChatGPTの回答データを元に学習されているため、長くて複雑なタスクや文章の評価にまだ課題があります。そのため、大規模なコードや複雑な構造のプログラムを解析する際に、エラーや改善点を見逃す可能性があります。
この制約により、CriticGPTは比較的小規模なコードや簡単なコードレビューに使われると予想されています。
分散している間違いには対応できない
コード内のバグは分散している傾向にありますが、現時点におけるCriticGPTの能力は一か所に集中しているバグしか検出できません。コード全体に散らばったスペルミスなどのケアレスミス的なエラーや、複数クラスを跨いで発生するエラーについては、見落とす可能性があります。
そのため、大規模なコードベースや複雑なプロジェクトにおいて分散しているエラーを特定するためには、人間のレビューアーや他の補助ツールとの併用が必要になる可能性もあります。
ハルシネーションのバグを誘導する可能性がある
CriticGPTは、批判的な意見を強調する性質があるため、元のコードやコンテンツに存在しないエラーや誤りをあたかも事実のように提示する場合があります。この問題は、いわゆる「ハルシネーション」に分類され、誤った情報や不正確な指摘が生成されるリスクを含んでいます。
そのため、CriticGPTを活用する際には生成された内容を信用しきるのではなく、あくまでもコードレビューのサポートツールとして活用し、開発工程内で人間のレビュアーによる確認プロセスが必要になるでしょう。開発者はAIの出力を検証し、必要に応じて修正を行うことで、CriticGPTの誤ったフィードバックが原因でコード品質が低下するリスクを回避できます。
高度なエラーやバグの発見に課題
CriticGPTの学習データセットは、意図的にバグを挿入した簡単なコードや、人間でも容易に発見できるバグが含まれた小規模なデータセットを使用しています。このデータセットにより、CriticGPTの性能は比較的単純なエラー検出に最適化されており、高度で人間のレビュアーに見逃されがちなバグの検出は期待できません。
そのため、CriticGPTを導入する際には、検出可能なバグについて確認しておくと良いでしょう。
CriticGPTの展望
今後、CriticGPTが以下に対応することによって、より幅広いビジネスシーンで活用されると期待できます。
- 他のドメインや幅広い開発環境への応用力
- コードレビューの完全自動化
まず、CriticGPTは現在、主にコードレビューに特化したツールにとどまっていますが、将来的には他ドメインへの応用が期待されています。例えば、文章校正やライティング支援ツールとして文法エラーや表現の改善を指摘するなど、コンテンツ制作へ応用される可能性があります。
また、コードレビュー機能においてはニッチな言語やカスタムフレームワークにも対応することによって、より多様な開発環境で活用可能となるでしょう。さらに、複雑なコードレビューにも対応可能になれば、人間のレビュアーを介さずともリアルタイムでの指摘が可能になり、生成AIによるコードレビューの完全自動化が実現されます。
最終的には、テスト自動化やデプロイメント支援などを含む多機能AIツールの一部として統合され、幅広い業務の効率化に寄与するツールへと進化すると期待されます。
CriticGPTについてよくある質問まとめ
- CriticGPTは一般公開されていますか?
2024年12月現在、CriticGPTは一般公開されておらず、試験段階のツールとして限定的に利用されています。今後の公開スケジュールについては公式発表を待つ必要があります。
- CriticGPTの使用にはどのような注意点がありますか?
CriticGPTは、長く複雑なタスクや分散したエラーの検出に限界があります。また、ハルシネーション(実際にはない欠点の指摘)が発生する可能性があるため、出力内容を慎重に確認することが重要です。
まとめ
CriticGPTは、ChatGPTの出力を評価・改善するために設計されたGPT-4ベースのAIモデルです。コードのバグやエラー検出機能に特化しており、高精度なエラー検出や改善提案で業務効率化を支援します。
単なるコーディングチェッカーではなく、AIシステムの信頼性と安全性を高めるための重要な一歩とされています。人間のAIトレーナーを補完し、より効率的かつ包括的なAIモデルの評価と改善を可能にする可能性が期待されています。
ただし、現時点では一般公開前なこともあり、ハルシネーションのバグ生成など検出機能の未熟な点もあります。
今後さらに機能性が向上すれば、コーディング効率化やチャットボット開発、文章校正など幅広い分野で活用でき、業務プロセスの改善や競争力向上に貢献するでしょう。
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