Vertex AIとは?Gemini・RAG・AIエージェント・機械学習まで、できることや料金を徹底解説
最終更新日:2026年08月24日
記事監修者:森下 佳宏|BizTech株式会社 代表取締役

AI・生成AIを自社システムや業務に導入しようとしても、「どのモデルを使うべきか」「自社データとどう連携するか」「モデルの評価や運用までどの基盤で行うか」と悩む企業も多いのではないでしょうか。
Google Cloudの「Vertex AI」は、従来の機械学習モデルの開発・学習・デプロイに加え、Geminiなどの生成AIモデルの利用、RAG、AIエージェント開発、モデル評価、MLOps・LLMOpsまでを一つの環境で扱える統合AIプラットフォームです。
生成AIをAPIで利用するだけでなく、自社データとの連携やモデルのカスタマイズ、業務システムへの組み込み、本番運用までGoogle Cloud上で一貫して設計できる点が大きな特徴です。
この記事では、Vertex AIの主要機能、生成AI・機械学習でできること、料金、導入メリット、連携できるGoogle Cloudサービスを解説します。Geminiや生成AIを企業システムへ導入したい方も、従来型の機械学習基盤を検討している方も、Vertex AIが自社に適しているか判断する参考にしてください。
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目次
Vertex AIとは?

Vertex AIは、Google Cloudが提供する機械学習・生成AI・AIエージェントの開発から本番運用までを支援する統合AIプラットフォームです。
従来型の機械学習では、データセットの準備、モデルの学習、ハイパーパラメータ調整、デプロイ、予測、監視などを一つの環境で行えます。
関連記事:「機械学習とは?AI・ディープラーニングとの違い、教師あり・教師なし・強化学習のアルゴリズムをわかりやすく解説」
さらに現在は、GoogleのGeminiをはじめとする生成AIモデルの利用、自社データと連携するRAG、モデル評価、プロンプト管理、AIエージェントの構築など、企業が生成AIアプリケーションを開発・運用するための機能も充実しています。
そのためVertex AIは、単なる「機械学習モデルを作るためのサービス」ではなく、従来型AIから生成AIまでをGoogle Cloud上で統合的に開発・運用するための基盤と位置づけられます。
Google AI Studioは、Geminiモデルを素早く試し、プロンプトやマルチモーダル処理を検証するための開発環境です。Vertex AIが企業向けの本番運用・ガバナンス・MLOpsまでを含む基盤であるのに対し、Google AI StudioはGeminiを手軽に試す用途に向いています。
Vertex AIの料金
Vertex AIは、利用するモデルや機能ごとに料金が発生する従量課金制です。
生成AIでは、主に入力・出力トークン数や画像生成量に応じて課金されます。一方、従来型の機械学習では、モデルのトレーニングやデプロイ、予測に使用したコンピューティングリソースに応じて料金が発生します。
以下は、2026年8月時点の代表的な料金例です。
生成AI(Gemini)の料金例
| モデル | 入力料金 | 出力料金 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Gemini 3.7 Flash | $0.75/100万トークン | $3.75/100万トークン | 速度・性能のバランスに優れた汎用モデル |
| Gemini 3.5 Flash | $1.50/100万トークン | $9.00/100万トークン | 高性能なFlash系モデル |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | $0.30/100万トークン | $2.50/100万トークン | 大量処理やコスト重視の用途向け |
| Gemini 3.1 Pro Preview | $2.00/100万トークン ※20万トークン以下の場合 | $12.00/100万トークン | 複雑な推論・高度な業務向け |
※上記はグローバルエンドポイントの標準料金例です。Gemini 3.7 Flashは2026年12月31日までの料金で、2027年1月1日以降は料金変更が予定されています。入力コンテキスト長や利用リージョン、キャッシュ、Batch/Flex利用などによって料金は異なります。
画像生成モデルの料金例
| モデル | 入力料金 | 画像出力料金 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Gemini 3.1 Flash-Lite Image (Nano Banana 2 Lite) | $0.25/100万トークン | $30.00/100万画像出力トークン | 大量生成・低コスト重視 |
| Gemini 3.1 Flash Image (Nano Banana 2) | $0.50/100万トークン | $60.00/100万画像出力トークン | 品質・速度・コストのバランスを重視 |
| Gemini 3 Pro Image (Nano Banana Pro) | $2.00/100万トークン | $120.00/100万画像出力トークン | 高品質なクリエイティブ・複雑な指示 |
関連記事:「Nano Bananaとは?料金・機能・使い方を徹底解説」
AutoML・従来型機械学習の料金例
| 処理 | 料金例 | 概要 |
|---|---|---|
| AutoML画像モデルのトレーニング | $3.465/ノード時間 | 画像分類などのAutoMLモデル学習 |
| AutoML画像モデルのデプロイ・オンライン予測 | $1.375/ノード時間〜 | 学習済み画像モデルをオンライン推論で利用 |
| AutoML表形式データのトレーニング | $21.252/ノード時間 | 分類・回帰などの表形式データモデルを学習 |
| カスタムモデルのトレーニング・推論 | 利用するマシン・GPU・TPU・リージョンにより変動 | 独自モデルを任意のコンピューティング環境で学習・デプロイ |
Vertex AIは、GeminiのAPI利用だけでなく、RAG、AIエージェント、モデル評価、検索、トレーニング、デプロイなど、利用する機能ごとに料金体系が異なります。そのため、実際の導入では「どのモデルを使うか」だけでなく、処理件数、入力データ量、推論回数、利用リージョンなどを踏まえて試算することが重要です。
また、新規のGoogle Cloudユーザーは、条件を満たす場合に無料クレジットを利用できます。
AIの開発費用の相場、見積方法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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Vertex AIでできること・メリット

Vertex AIを活用すると、以下のようなことが可能になります。
- Geminiなどの生成AIモデルを利用できる
- RAGや自社データ連携による生成AIシステムを構築できる
- AIエージェントを開発・運用できる
- 生成AIの評価・プロンプト改善を行える
- 機械学習モデルの学習・チューニング・デプロイにも対応
- AI開発から本番運用まで一つのプラットフォームで管理できる
- Google Cloudのデータ基盤や各種サービスと連携しやすい
それぞれについて解説します。
Geminiなどの生成AIモデルを利用できる
Vertex AIでは、GoogleのGeminiファミリーをはじめ、用途に応じた生成AIモデルを利用できます。
文章生成、要約、情報抽出、コード生成、画像・音声などを扱うマルチモーダル処理といった機能を、自社アプリケーションや業務システムへAPI経由で組み込むことが可能です。
また、Vertex AIのModel Gardenでは、Googleが提供するモデルだけでなく、サードパーティーやオープンモデルも探し、比較・導入できます。
そのため、特定のモデルに限定されず、必要な精度、処理速度、料金、データの取り扱い、カスタマイズ性などに応じてモデルを選択できます。生成AIモデルは更新頻度が高いため、モデル名だけでなく、自社の用途や要件に合わせて比較することが重要です。
RAGや自社データ連携による生成AIシステムを構築できる
企業で生成AIを活用する場合、モデルが持つ一般的な知識だけでなく、社内マニュアル、製品情報、FAQ、契約書、業務データなどを参照させたいケースが多くあります。
Vertex AIでは、検索・Embeddingなどの機能と生成AIモデルを組み合わせることで、自社データを検索して回答を生成するRAGシステムを構築できます。
例えば、社内文書検索、問い合わせ対応、製品サポート、営業支援など、自社固有の情報を扱う生成AIシステムの基盤として利用できます。
また、Vertex AI Searchなどを活用することで、キーワード検索とベクトル検索(意味検索)を組み合わせたハイブリッド検索にも対応できます。
キーワードによる正確な一致だけでなく、エンベディングモデルを用いて文章の意味や文脈の近さも考慮できるため、ユーザーの曖昧な質問や専門用語を含む検索でも、関連性の高い情報を取得しやすくなります。
このような検索機能とGeminiなどの生成AIを組み合わせることで、企業固有のデータを参照しながら回答する生成AIアプリケーションを構築できます。
AIエージェントを開発・運用できる
Vertex AIでは、生成AIに質問へ回答させるだけでなく、外部ツールやデータベース、業務システムと連携し、複数の処理を実行するAIエージェントの開発にも対応しています。
例えば、社内データを検索し、情報を整理してレポートを作成する、顧客情報を確認して問い合わせへの回答案を生成する、といった一連の業務フローをAIに実行させることができます。
そのため、Vertex AIは生成AIを「チャットとして使う」だけでなく、企業の業務プロセスへAIを組み込むための開発基盤としても利用できます。
生成AIの評価・プロンプト改善を行える
Vertex AIでは、生成AIモデルの回答品質を評価し、プロンプトやモデルの選択を改善するための機能を利用できます。
生成AIは同じ入力でも回答品質にばらつきが生じるため、本番導入では「動くか」だけでなく、正確性、関連性、安全性などの観点から継続的に評価することが重要です。
Vertex AIを利用することで、モデル開発から評価・改善・運用までを同じGoogle Cloud環境で管理しやすくなります。
機械学習モデルの学習・チューニング・デプロイにも対応
Vertex AIは生成AIだけでなく、従来型の機械学習モデルの開発・運用にも対応しています。
AutoMLやカスタムトレーニングを利用することで、データセットの管理、モデル学習、ハイパーパラメータの調整、評価、デプロイ、オンライン予測までを一つの環境で管理できます。
そのため、生成AIと既存の機械学習モデルを組み合わせたAIシステムを構築したい企業にも適しています。
関連記事:「AI駆動開発ツール10選徹底比較!タイプ・社内リソース・ビジネス課題から選ぶ方法をわかりやすく解説」
AI開発から本番運用まで一つのプラットフォームで管理できる
Vertex AIでは、従来型の機械学習に加え、生成AI、RAG、AIエージェント、モデル評価、デプロイ、運用までを一つの基盤で管理できます。
生成AIモデルをAPIで呼び出すだけでなく、アクセス制御、ログ管理、モデル評価、データ連携など、企業が生成AIアプリケーションを本番環境で運用するために必要な機能も利用できます。
各工程で異なる開発環境を利用すると、ツール間の連携やデータ形式の調整、権限管理などが複雑になりがちです。Vertex AI上で開発から運用までをまとめることで、複数の基盤をまたいで管理する負担を軽減できます。
また、Vertex AIは、従来のMLOps(機械学習運用)に加えて、LLMOps(大規模言語モデル運用)にも対応しています。
機械学習モデルだけでなく、生成AIモデルやプロンプトについても、評価・改善・更新・監視を継続的に行いやすい環境を構築できます。
PoC段階ではGoogle AI StudioでGeminiを試し、本番環境ではVertex AIを利用して、アクセス制御やデータ連携、評価・監視まで含めて運用するといった使い分けも可能です。
Google Cloudのデータ基盤や各種サービスと連携しやすい
Vertex AIはGoogleが開発していることもあり、Google Cloudとの統合・連携性に優れています。
データの互換性が高ければ開発業務を効率化できるため、すでにGoogle Cloudのツールを利用している方におすすめです。
Vertex AIと連携できるGoogle Cloudのサービス、プロダクト

Vertex AIはGoogle Cloudとの統合・連携性に優れています。Google Cloudには、AI・生成AIの開発やデータ活用を支えるサービスが数多くあります。
- BigQuery
- Cloud Storage
- Looker
これらのツールは、Vertex AIと連携することで、AIモデルの開発・運用、自社データとの連携、RAGや生成AIアプリケーションの構築を支える基盤を形成します。
BigQuery
BigQueryは、大規模データの分析・蓄積に対応するフルマネージド型のデータウェアハウスです。非常に高いデータ処理能力を有しているため、数テラバイトから数ペタバイトのデータを数秒から数分で処理できます。
BigQueryに蓄積された顧客データ、売上データ、業務データなどをVertex AIと連携することで、機械学習の学習データとして利用できるだけでなく、生成AIによる分析、RAG、AIエージェントからのデータ参照などにも活用できます。
また、データの分析のほか、データを蓄積する用途でも利用できます。大きなデータを扱う方におすすめのサービスです。
Cloud Storage
Cloud Storageは、大量の非構造データを保存できるフルマネージド型のストレージサービスです。堅牢性に優れたプラットフォームにて、大量のデータを低コストで保管できます。
学習データだけでなく、PDF、画像、音声、動画、社内文書などを保存できます。Vertex AIと連携することで、RAGで参照するデータや、マルチモーダル生成AIで処理するファイルの保存先としても活用できます。
Looker
Lookerは、データの調査や可視化、共有を支援するツールです。データ定義の作成やデータの集計から、レポートの可視化までが行える機能が搭載されています。
Lookerは、BigQueryをはじめとした様々なデータベースからデータを抽出して分析します。データをアップロードする必要がないため、時間をかけずに調査や可視化が行えます。
Lookerの分析結果は、Lookerを利用していない人にも共有できるため、外部の人へのデータ共有にも活用できます。
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Vertex AIについてよくある質問まとめ
- Vertex AIとは?
Vertex AIは、Google Cloudが提供する統合AIプラットフォームです。
Geminiなどの生成AIモデルの利用、RAG、AIエージェントの開発、モデル評価に加え、従来型の機械学習モデルの学習・チューニング・デプロイまで一つの環境で管理できます。
- Vertex AIで何ができる?
Geminiなどの生成AIモデルを使った文章生成やマルチモーダル処理、自社データと連携したRAG、AIエージェント開発、モデル・プロンプトの評価や改善、機械学習モデルの開発・運用などが可能です。
BigQueryやCloud StorageなどのGoogle Cloudサービスとも連携できます。
- Vertex AIとGoogle AI Studioの違いは何ですか?
Google AI Studioは、Geminiモデルやプロンプトを手軽に試す用途に向いた開発環境です。
一方、Vertex AIは、生成AIや機械学習を企業システムへ組み込み、データ連携、アクセス管理、評価、デプロイ、本番運用まで行うための基盤として適しています。
まとめ
Vertex AIは、従来型の機械学習だけでなく、Geminiなどの生成AI、RAG、AIエージェント、モデル評価、MLOps・LLMOpsまでをGoogle Cloud上で統合的に開発・運用できるAIプラットフォームです。
特に、BigQueryやCloud StorageなどのGoogle Cloudサービスをすでに利用している企業では、自社データと生成AIを連携しやすく、PoCから本番運用まで一貫した環境を構築しやすい点が大きなメリットです。
一方で、利用するモデルや機能によって料金体系や設計が大きく異なるため、導入時は「生成AIを使いたい」のような抽象的な目的ではなく、対象業務、扱うデータ、必要精度、セキュリティ要件、既存システムとの連携方法まで整理したうえで検討することが重要です。

AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、現場のお客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を5年以上実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応し、参加累計8,000人を超えるAIイベントを主催。AIシステム開発PM歴8年以上。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。(JDLA GENERAL 資格保有)
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