秘密計算で企業間データ連携MIを実現する「EAGLYS ALCHEMISTA」、大塚化学でのPoCで有用性を実証
最終更新日:2024年01月24日
EAGLYS株式会社は、2023年8月2日、同社サービス「EAGLYS ALCHEMISTA」のPoC(概念実証)を、大塚化学株式会社と共に実施したと発表した。
「EAGLYS ALCHEMISTA」は、秘密計算を利用して安全な企業間データ連携MI(マテリアルズ・インフォマティクス)を実現するサービスだ。同サービスのPoCは、化学品メーカーである大塚化学において原料探索などを行う形で実施され、材料開発の効率化や属人化の防止といった効果が期待できる結果が確認されている。
<本ニュースの10秒要約>
- 秘匿性を保ちながらデータを共有できる秘密計算で、企業間連携を実現する「EAGLYS ALCHEMISTA」
- 業界に先駆ける形で「EAGLYS ALCHEMISTA」に注目した化学品メーカーの大塚化学が、PoCに参画
- 秘密計算による企業間データ連携MIの業務利用が可能であると立証、ナレッジ共有などにも期待
「あらゆるデータを安全に活用し、価値に変える」EAGLYS
EAGLYSは、秘密計算などによってインダストリーデータの活用を促進している企業だ。
秘密計算は、実験データの秘匿性を保ちながら共有や活用が可能な技術を指す。データを暗号化したまま他の企業と安全に計算を行うことができるため、特許や知財保護の観点からも安心してデータを共有できるというメリットを持つ。近年は日本においても、企業を超えたデータの集約と活用によってグローバル競争力を高めうる技術として「秘密計算」は大きく注目されている。
この秘密計算を中心とするセキュアコンピューティング技術を活かしてEAGLYSは、データセキュリティ/データ利活用サービスの提供や、秘密計算ソフトウェア「DataArmor(データアーマー)」シリーズの開発/販売を展開。またAI開発/解析サービスも手がけ、「あらゆるデータを安全に活用し、価値に変える」というミッションの実現を目指している。
秘密計算により企業間データ連携MIを実現する「EAGLYS ALCHEMISTA」
秘密計算に関する事業を展開する中でEAGLYSは、日本の化学産業において企業間データ連携がさほど進んでいないことに注目した。欧米や中国の化学産業では、国家や大企業を中心として企業を超えたデータの集約と活用が進んでおり、グローバル競争力も向上している。こうした動きに日本の化学産業も対応するべきだと考えたEAGLYSは、秘密計算により企業間データ連携MIを実現するサービスとして「EAGLYS ALCHEMISTA」の開発を開始した。
「EAGLYS ALCHEMISTA」は、秘匿化したまま計算可能な状態で化学品開発に関わるデリケートなデータを企業間で共有できるサービスだ。同サービスでは、安全なデータ連携や企業横断の実験シミュレーション、またAIモデルの秘匿性を保ったまま複数企業を横断した材料開発シミュレーションや最適な化合物組成/実験条件の算出などが可能。研究開発のスピード向上やコスト削減を実現する次世代型のマテリアルズ・インフォマティクスソリューションとして、2023年内の正式リリースを予定している。
PoCをさらに推進、化学業界のさらなる発展を目指す
今回「EAGLYS ALCHEMISTA」のPoCに参画した大塚化学は、化学品開発を手がけるメーカーとしてMIに注目し、2019年からはMIの有用性実証を開始した経緯を持つ。こうした取り組みの中で、業界に先駆ける形で秘密計算を利用した「EAGLYS ALCHEMISTA」に注目し、同サービスのPoCを実施するに至った。
大塚化学における「EAGLYS ALCHEMISTA」のPoCでは、複数原料で構成される配合材の開発において最適な主原料の探索および全原料の配合比率の推計が行われた。検証において同サービスは、秘密計算によるモデル学習の精度は平文で実施した場合と同等であることを示し、秘密計算による企業間データ連携MIの業務利用が可能であることを立証。
また、データ連携により議論やすり合わせを可能にすることで、材料開発のスピードアップや各研究者が持つナレッジの会社資産化促進、属人化の防止についても効果を発揮している。
EAGLYSは今後、「EAGLYS ALCHEMISTA」のPoCをさらに推進することで、化学業界のさらなる発展を目指すとしている。
参照元:PRTIMES
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