経産省とNEDO、生成AI開発力強化プロジェクト「GENIAC」で新たに23件の支援テーマを採択!AI基盤モデル開発を強化
最終更新日:2024年10月11日
経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2024年10月10日、生成AIの開発力強化に向けたプロジェクト「GENIAC」において、新たに計23件のテーマを採択したと発表した。
このうち20件は基盤モデル開発のための計算資源提供支援、3件はデータの利活用に向けた実証を行うテーマだ。GENIACは2024年2月から開始されており、今回は第2期となる。本プロジェクトを通じて、日本の生成AI開発力の確保・強化を目指している。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- 経産省とNEDO、生成AI開発力強化プロジェクト「GENIAC」で新たに23件のテーマを採択し、計算資源提供や実証実験を支援
- 採択テーマには、特化型モデル開発、マルチモーダル基盤モデル開発、データセット構築など、多岐にわたる生成AI関連プロジェクトが含まれる
- 産学官連携や企業間協力を通じて、日本の生成AI開発力強化と産業競争力向上を目指す取り組みが本格化
GENIACプロジェクトの概要と目的
GENIACプロジェクトは、日本の生成AI開発力を確保・強化するために2024年2月から開始された取り組みだ。生成AIは労働力不足などの社会課題解決に貢献すると期待されており、国際的な開発競争が激化している中、日本としての開発力確保が重要となっている。
プロジェクトでは、基盤モデルの開発に必要な計算資源の提供支援やコミュニティの運営などを行っている。第1期(2024年2~8月)では10件の開発テーマに取り組み、今回の第2期では新たに20件の基盤モデル開発テーマと3件のデータ関連テーマを採択した。
計算資源の確保が大きな課題となる基盤モデル開発に対し、NEDOは「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」を活用し、計算資源の利用料等を補助する形で支援を行う。
採択された主要テーマの内容
今回採択された20件の基盤モデル開発テーマには、以下のような特徴的なプロジェクトが含まれている:
1. 特化型モデル開発:アニメ産業、薬学分野、製薬業務、食品・流通小売領域など、特定分野に特化した基盤モデルの開発
2. マルチモーダル基盤モデル:音声、画像、テキストなど複数のモダリティを扱うモデルの開発
3. 日本語処理技術:世界最高性能の日本語言語処理技術の研究
4. 産業応用:自動運転、創薬、観光産業など、特定の産業用途に向けた基盤モデルの開発
また、データ関連テーマとしては、効率的なアノテーション手法の開発や、データホルダーと生成AI開発者の連携における課題解決、個別業界全体での生成AI利活用促進などが採択されている。
これらのテーマを通じて、日本の強みを活かした生成AI基盤モデルの開発や、データ活用の好循環創出を目指している。
また、採択されたテーマの中には、大学や研究機関と企業の共同研究や、複数企業による共同提案が多く見られる。例えば、株式会社Preferred Elementsと株式会社Preferred Networksの共同提案によるLLM(大規模言語モデル)の開発や、ウーブン・バイ・トヨタ株式会社による都市時空間理解に向けたマルチモーダル基盤モデルの開発などが挙げられる。
また、国立研究開発法人産業技術総合研究所や大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所、国立大学法人東北大学など、学術研究機関との連携も見られる。
このような産学官連携や企業間協力を通じて、日本の総力を結集した生成AI開発力の強化が期待される。
採択企業とテーマ一覧
計算資源の提供支援|ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発(助成)
No. | 採択企業 | 開発テーマ |
---|---|---|
1 | 株式会社 ABEJA | 特化型モデル開発のためのモデルの小型化 |
2 | 株式会社 AIdeaLab | 動画生成 AI 基盤モデルと動画生成 AI プラットフォームの開発 |
3 | AiHUB 株式会社 | 日本のアニメ産業活性化の為のアニメ分野特化型基盤モデル開発 |
4 | AI inside 株式会社 | 生成 AI 基盤による非定型帳票の革新と自律促進 |
5 | 株式会社 EQUES | 薬学分野・製薬業務に特化した LLM の開発 |
6 | 株式会社 Kotoba Technologies Japan | リアルタイム音声基盤モデルの開発と日本市場における実用化 |
7 | NABLAS 株式会社 | 食品・流通小売領域の専門知識を取り込んだマルチモーダルな大規模モデルの開発 |
8 | 株式会社 Preferred Elements 【共同提案者】株式会社 Preferred networks | 世界最大規模の高品質データセットの構築およびそれを用いたLLM(大規模言語モデル)の開発 |
9 | SyntheticGestalt 株式会社 | AI創薬を実現させる分子情報特化基盤モデル開発 |
10 | Turing 株式会社 | 完全自動運転に向けた身体性を持つマルチモーダル基盤モデルの開発 |
11 | ウーブン・バイ・トヨタ株式会社 | 都市時空間理解に向けたマルチモーダル基盤モデルの開発 |
12 | 株式会社オルツ | パーソナル AI の実現を目標とした世界最高性能の日本語言語処理技術の研究 |
13 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 | 地域気候サービスのための生成 AI 基盤モデルの開発 |
14 | カラクリ株式会社 | 日本のカスタマーサポートのための高品質 AI エージェントモデルの開発 |
15 | ストックマーク株式会社 | ハルシネーションを抑止したドキュメント読解基盤モデルの構築 |
16 | 株式会社データグリッド 【共同研究先】大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 | ユーザー意図を反映する選択的編集能力を備えた Vision 系基盤モデルの開発 |
17 | 株式会社ヒューマノーム研究所 | 創薬を加速する遺伝子発現量の基盤モデル開発 |
18 | フューチャー株式会社 【共同研究先】国立大学法人東北大学、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学、公立大学法人会津大学 | 日本語とソフトウェア開発に特化した基盤モデルの構築 |
19 | 株式会社リコー | 企業の知の結晶である様々なドキュメント群を読み取るマルチモーダル LLM の開発 |
20 | 株式会社ユビタス | 観光産業用向け405B LLM/基盤モデル開発 |
生成AIの学習に必要なデータセット構築及びデータ・生成AIの利活用に向けた調査
No. | 採択企業 | 開発テーマ |
---|---|---|
1 | ソフトバンク株式会社 【共同実施先】国立研究開発法人産業技術総合研究所、株式会社マクロミル、Valright Advisory 株式会社 | 生成AIの学習に必要なデータセット構築及びデータ・生成AIの利活用に向けた調査 |
2 | セーフィー株式会社 | 生成AI開発者とデータホルダーの連携に係る先進事例の調査 |
3 | 株式会社オー・エル・エム・デジタル | 個別業界全体における生成AIの利活用に係る先進事例の調査 |
AI Market の見解
GENIACプロジェクトの第2期採択テーマは、日本の生成AI開発力強化に向けた本格的な取り組みを示している。特に注目すべき点は、特定分野に特化した基盤モデルの開発や、日本語処理技術の高度化、産業応用を見据えたプロジェクトが多く含まれていることだ。これらは日本の強みを活かした差別化戦略として評価できる。
また、データセット構築や利活用に関する調査テーマの採択は、生成AI開発におけるデータの重要性を認識し、課題解決に向けた取り組みを強化する姿勢を示している。特に、データホルダーと開発者の連携促進や、業界全体での利活用推進は、日本の産業構造を考慮した現実的なアプローチと言える。
一方で、国際的な開発競争が激化する中、これらの取り組みがどれだけのスピードと規模で進められるかが課題となる。また、開発された基盤モデルの社会実装や、産業競争力向上につながる具体的な成果創出までには時間を要する可能性がある。今後は、継続的な支援と柔軟な戦略調整が求められるだろう。
参照元:経済産業省
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