国連開発計画とIBM、AIモデルで公平なエネルギーアクセスの未来を予測!世界102カ国のデータを活用
最終更新日:2024年09月20日
2024年9月17日(現地時間)、国連開発計画(UNDP)とIBMが革新的なAIモデルの提供を開始した。UNDPのGeoHubプラットフォーム上で公開された「Electricity Access Forecasting」と「Clean Energy Equity Index」は、IBM watsonxなどの先端技術を駆使し、エネルギーアクセスと公平性の予測・分析を可能にする。
これらのモデルは、政策立案者から一般市民まで、誰もが無料で利用可能。複雑なエネルギー問題の解決と、データ駆動型の意思決定支援を目指す画期的な取り組みだ。
目次
<本ニュースの10秒要約>
- UNDPとIBM、エネルギーアクセスと公平性を予測するAIモデルを開発し、GeoHubで無料提供開始
- 102カ国のデータを基に2030年までの電力アクセスを予測
- 政策立案者から一般市民まで、誰もが利用可能なオープンなプラットフォーム
UNDPとIBMの革新的な協業:エネルギー問題解決へのAIアプローチ
国連開発計画(UNDP)とIBMは、2年間にわたるIBMサステナビリティー・アクセラレーター・プログラムを通じて協業し、エネルギーに関する2つの革新的なAIモデルを開発した。
これらのモデルは、UNDPのグローバルなGeoHubプラットフォーム上で提供される。GeoHubは、地理空間データとサービスを一元化したエコシステムであり、時間と地理に関するデータを衛星画像と組み合わせ、簡単にデータセットをアップロード、視覚化、分析できるプラットフォームを提供する。
開発されたAIモデルは、「Electricity Access Forecasting(電力アクセス予測)」と「Clean Energy Equity Index(クリーンエネルギーの公平性指数)」の2つだ。
これらのモデルは、IBM watsonx、IBM Cloud、IBM Environmental Intelligenceなどの先端技術を駆使して開発された。これにより、国レベルやコミュニティーレベルの政策立案者から一般市民まで、幅広いユーザーが高度なAI技術を通じて複雑なエネルギー問題を分析し、公正なエネルギー移行に向けたデータ駆動型の意思決定を行うことが可能になる。
AIモデルの詳細:Electricity Access ForecastingとClean Energy Equity Index
Electricity Access Forecastingは、IBM Environmental Intelligenceから提供される土地利用データに加え、人口、インフラストラクチャー、都市化、標高、衛星データなどの要因を評価し、2030年までの電力アクセスに関する大規模な将来予測を提供する。
このモデルには、アフリカ、アジア太平洋、ラテンアメリカ、中東を含むグローバル・サウスの102カ国からのデータが含まれている。
一方、Clean Energy Equity Indexは、IBMとUNDP、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校が共同で開発した世界初の統計地理空間モデルだ。このモデルは、地理空間分析と環境、経済、社会的要因を組み合わせ、クリーン・エナジー・エクイティー・スコア(0-1)を算出する。
ユーザーは、ダッシュボード上でモデル内の各要因を個別に表示およびカスタマイズし、クリーン・エネルギーへの公平なアクセスに最も大きな影響を与える要因を評価できる。現在、このモデルはアフリカの53カ国のデータを提供している。
オープンアクセスによるエネルギー問題解決への貢献
これらのAIモデルの特筆すべき点は、一般に無料で公開されていることだ。歴史的に、このような先進的なモデルは、必ずしもすべてのユーザーが自由にアクセスできるわけではなかった。
しかし、IBMとUNDPは協力して、政策立案者、政府、ジャーナリスト、意思決定者に不可欠なエネルギーに関するリソースを提供すると同時に、複雑なクリーン・エネルギーに関する情報や先進テクノロジーへの一般市民の自由なアクセスを強化するソリューションを共同開発した。
このアプローチにより、より多くの人々がデータと洞察にアクセスし、エネルギー問題に関する理解を深め、informed decisionを行うことが可能になる。これは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた重要なステップであり、公正なエネルギー移行を促進する上で大きな役割を果たすことが期待される。
AI Market の見解
UNDPとIBMによる今回の取り組みは、AIとデータサイエンスの力を活用して、グローバルな課題解決に貢献する画期的な事例と言える。特に注目すべきは、高度なAIモデルを一般に公開することで、エネルギー問題に関する民主的なアプローチを促進している点だ。
これにより、政策立案者だけでなく、一般市民も含めた幅広いステークホルダーが、データに基づいた意思決定に参加できるようになる。
技術的には、IBM watsonxやIBM Cloudなどの最先端技術を活用し、多様なデータソースを統合して複雑なモデルを構築している点が特徴的だ。特に、Electricity Access Forecastingモデルが2030年までの電力アクセスを予測できる点は、長期的な政策立案に大きく貢献する可能性がある。
ビジネス的観点からは、このようなオープンな取り組みが、クリーンエネルギー分野における新たなビジネス機会の創出につながる可能性がある。データに基づいた市場分析や投資判断が可能になることで、より効率的で持続可能なエネルギープロジェクトの実現が期待できる。
今後の市場への影響としては、エネルギーセクターにおけるAIの活用がさらに加速すると予想される。また、このようなオープンプラットフォームの存在が、エネルギー関連のスタートアップやイノベーションを促進し、より公平で持続可能なエネルギー市場の形成に寄与する可能性が高い。UNDPとIBMの取り組みは、技術とサステナビリティの融合による社会課題解決の新たなモデルを示しており、今後のグローバルな開発アプローチに大きな影響を与えると考えられる。
参照元:IBM
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