防犯カメラの導入手順は?話題のAI付き防犯カメラのメリット・事例を徹底解説!
最終更新日:2024年09月23日
証拠の録画機能だけでなく、犯罪の抑止機能や関係者の監視機能を持つ防犯カメラ。適切なカメラを適切な場所に設置することで、余計なセキュリティコストを削減しつつ、防犯効果を最大限まで引き出すことができます。
しかし、家庭用防犯カメラの導入ステップや製品指向は比較的モデル化しているのに対し、オフィスや工場、公共エリアの防犯カメラ導入手順は複雑です。「防犯カメラの効果的な設置場所は?」「防犯カメラに搭載すべき機能は?」と悩みは尽きません。
本記事では、防犯カメラの導入手順や、目的別に設置すべき形状を紹介します。後半では、近年話題の高性能カメラである「AI搭載防犯カメラ」を紹介します。最後までお読みいただければ、設置すべき場所や形状、搭載するべき機能が分かるようになります。
AIカメラとは?防犯カメラ以外での活用事例についてはこちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
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目次
防犯カメラの導入手順4ステップ
防犯カメラの導入手順についてご紹介します。
1. 目的・活用方法を明確にする
2. 設置する場所を決める
3. カメラの形状を決める
4. カメラに搭載する機能を決める
それぞれのステップについて説明します。
1.目的・活用方法を明確にする
監視カメラには、大きく3つの役割があります。
- 犯罪を抑止する
- 証拠を録画する
- リアルタイムで監視する
これらの目的によって選ぶべきカメラは変わります。まずは、防犯カメラでどのような効果を狙いたいのかを明確にしましょう。
2.設置する場所を決める
次に、カメラを設置する場所を決めます。カメラ1つで全てを監視することはできないため、大抵の場合は複数の防犯カメラを設置します。
設置する場所は「何を守るのか」から考えると良いです。例えば、小売店でレジのお金を守りたい場合はレジまでの導線に、オフィスの重要書類を守りたい場合は書類置き場の近くに防犯カメラを設置する必要があります。
より多く設置できれば監視能力は上がりますが、同時に運用コストも高くなるため、効率よく最小限の台数で設置できる場所を考えましょう。
3.カメラの形状を決める
カメラの形状は「犯罪の抑止効果」に大きく関わります。防犯カメラは大きく分けて以下の5つに分類できます。
- ボックス型カメラ
- バレット型カメラ
- ドーム型カメラ
- 全方位カメラ
- PTZカメラ
ボックス型カメラ
箱型のカメラで、防犯カメラの中で最も存在感のあるカメラです。「証拠を録画する」役割に加え、ボックスカメラの存在感を活かして「犯罪を抑止する」効果を大きく発揮します。
バレット型カメラ
バレット型カメラは、ボックス型カメラにハウジングが付いた防犯カメラです。主に屋外に設置され、ボックス型カメラ同様に、大きな「犯罪を抑制する」効果を持ちます。
ボックス型カメラでも屋外に設置することができますが、ハウジングが付いている分バレット型の方が雨や雪に強い防犯カメラとなっています。しかし、ハウジングが付く分画角が狭くなるというデメリットもあるため、屋外であっても向いていない場合もあります。
ドーム型カメラ
オフィスなどに設置されることの多いカメラです。威圧感を抑えつつ設置できるため、「証拠を録画する」目的で防犯カメラを設置する場合に向いています。
しかし、ボックス型カメラに比べて威圧感は低いですが、どの方向を監視しているか分かりにくいため、広い範囲で抑止効果を発揮します。
全方位カメラ
360度監視できる防犯カメラです。形状はドーム型カメラに似た商品が多いです。設置する環境によっては1台で死角なく撮影できます。棚や障害物が少ない場所への設置に向いています。
PTZカメラ
PTZは、Pan(水平方向)Tilt(垂直方向)Zoom(拡大)の頭文字を取ったカメラで、全方位を拡大・縮小しながら撮影できます。視野が動くドーム型カメラのようなものです。
全方位撮影できますが、視野が限られているため必ず死角ができます。全方位カメラと併用されることが多いです。
4.カメラに搭載する機能を決める
最後に、防犯カメラに設置する機能を決めます。防犯カメラに搭載できる機能には以下のようなものがあります。
- 音声録音
- 赤外線照明
- AI分析
音声録音では、映像に加えて音声も録音することができます。映像外の物音や悲鳴を捉えることができるため、より詳細な情報を得ることができます。既に搭載されている機器が多い機能です。
赤外線照明では、暗闇でも映像を記録することができます。夜間の監視もしっかり行いたい場合に有効です。
AI分析は、顔認証や異常行動の認識、異常時の管理人への通知など、人が監視する以上の効果をもたらす機能です。監視・録画機能に限らず、マーケット分析や勤怠管理にも利用できるため、防犯以外への問題も解決できます。最近はカメラにAI機能を搭載したエッジAIが主流となっています。デバイスに直接AIを搭載することで、スピーディな推論処理を行うことができる技術です。
エッジAIのメリット、活用事例についてはこちらの記事で特集していますので併せてご覧ください。
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AIを用いた防犯カメラのメリット
AI搭載の防犯カメラには、4つのメリットがあります。
- 24時間休まず監視できる
- リアルタイムで異常を知らせてくれる
- 人による監視が必要なくなる
- 勤怠管理・客足分析ができる
それぞれのポイントについて説明します。
24時間休まず監視できる
従来の防犯カメラと異なる点は24時間「監視」ができる点です。AIが搭載されていない防犯カメラも24時間「撮影」することはできますが、ただ映像を溜めていくことしかできません。
AI搭載の防犯カメラは異常を認識できるので、異常があれば異常の通知や警告が可能です。AIは電源さえあれば24時間休まずに監視してくれるため、業務時間外になっても監視を続けることができます。従来の「証拠の録画」だけでなく「監視」もできるため、より高度な監視が可能になります。
リアルタイムで異常を知らせてくれる
AIは異常を認識できるため、異常があればリアルタイムで管理者へ通知できます。
特に、動物の命を預かっているペットショップや、食品を保存している飲食店では、なにか異常が発生した際には一刻も早い対処が重要です。AI搭載の防犯カメラを設置すれば、早急な対処が可能になります。
人による監視が必要なくなる
AIは24時間監視できるため、営業時間を問わず監視業務が不要になります。人員不足の問題にも対応できるため、監視業務に追われている営業所・店舗は、AI搭載の防犯カメラがおすすめです。
加えて、人間のように集中力が切れることがないため、いつでも高品質な監視が可能です。眠くなりがちな監視業務を他の業務に回すことができるため、業務の効率化が図れます。
勤怠管理・客足分析ができる
AIはプログラムさえ組んでしまえば、複雑な業務やマルチタスクを瞬時にこなすことができます。この性質を活かし、防犯カメラの役割に加えて勤怠管理や客足分析も取り入れることができます。
経済産業省が策定した「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」でも、取得されたデータをネットワーク化して組み合わせることで様々なイノベーションが創出されることが記載されています。
防犯に加え、これまで手動で行っていた来場者カウント・人流解析や混み具合の予測などを任せ、マーケティングに活用することなども期待できます。
人流解析について詳しく知りたい方はこちらをご参考ください。
低コスト
コスト面では、高騰する人件費を削減できます。特に、ラズベリーパイなどのワンボードマイコンを使った安価なエッジAIシステムによる防犯カメラシステムの導入は人気を呼んでいます。
ラズベリーパイを用いた防犯カメラ事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
AIを用いた防犯カメラのデメリット
AIを導入すると、コストやプライバシー情報管理の点で対応すべき問題が生じます。
それぞれのポイントについて説明します。
導入・運用コストが高くなる
AI搭載の防犯カメラを導入すると、AIを動かすためのシステムが必要になります。通常の防犯カメラより高額になる場合が多いため、システムにより経費を割かなければいけなくなります。
しかし、適切に運用できれば、監視の人員が必要なくなることや、防犯効果により損失が少なくなることで、総合的に見ればプラスになることが多いです。
AIカメラはIT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)の対象にもなります。複数社連携IT導入類型の消費動向等分析経費のハードウェアに導入例として明記されています。対象事業者は、商工団体や中小企業、観光地域づくり法人(DMO)など商業活性化に取り組む組織です。
プライバシー保護の対応が必要になる
AIカメラを使用すると映像を撮ることになるので、肖像権の侵害行為をしないよう注意する必要があります。外部に流出しないよう強力なセキュリティツールを利用したり、映像を利用する際は権利を侵害していないか細かく確認するなど、プライバシーには注意を払わなければいけません。
AIの観点では、セキュリティを高める手法の一つとして、上述のエッジAIカメラという考え方があります。これは、取得したデータをインターネットを介してクラウド環境へアップロードすることなく、カメラの端末上でAI処理を行うという仕組みです。
一般的に、AIはAWSやGCPと呼ばれるクラウド環境に置かれたAIが処理を行うのですが、エッジAIはクラウド環境で処理を行わない、という点が特徴です。
プライバシー等のセキュリティを考慮する必要がある場合は、エッジAIという観点での検討も行うとよいでしょう。
尚、AIや映像の取り扱いにはある程度の知識が必要ですので、専門家に任せるというのも一つの手です。
専用の開発が必要になる場合がある
立ち入り禁止エリアへの人物の立ち入りを自動で検知するなど、汎用的なAIモデルである場合は、すでに当該目的に合致したAIカメラを導入することで、費用も安く抑えられ、スピーディーに導入することができるでしょう。
ただし、企業が固有で抱える課題や事情に対処したAIカメラを導入したい、という場合には、専用のAIモデルを開発する必要があるケースも多く、初期開発コストがかかることはもちろん、導入のスピードが遅くなる可能性も考えられます。
とは言え、AI開発会社は豊富な実績を保有している会社も多いため、汎用型のAIカメラでは難しいという場合でも、想像以上に低価格、かつ短納期で導入できる場合もありますので、AI開発会社へ一度相談してみることをお勧めします。
なお、AI開発の費用について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参考ください。
AIを用いた防犯カメラの設置事例4選
AI搭載の防犯カメラを実際に導入している以下の事例を紹介します。
- 果実泥棒を検知し即座に通知(TRINITY)
- 不審者を認識し音声とライトで威嚇(i.SEC)
- 防犯に加えスマートストア化も成功(イオン)
- マルチモーダルAIによる防犯カメラモニタリングの精度向上(NTTデータ)
それぞれの事例について説明します。
果実泥棒を検知し即座に通知(TRINITY)
株式会社TRINITYは、高級フルーツの盗難被害を防ぐ「果物泥棒検知AIシステム」を農家向けにリリースしました。さくらんぼ・桃・いちごなど、価格の高騰が進む高級フルーツは農業界でも盗難の多い作物ですが、インターネット環境のない果樹園では、防犯対策を行うのが困難でした。
そこでTRINITYは、防犯カメラ本体に、異常を検知する「AI」・インターネットを受ける「SIM」を導入し、盗難対処が可能な防犯カメラを開発しました。異常があれば即座にLINEで映像が送られるので、リアルタイムの対処が可能です。これにより、これまで盗難映像を見ることしかできなかった防犯カメラに、監視の役割を持たせることができました。
不審者を認識し音声とライトで威嚇(i.SEC)
i.SECは、人がいなくなった事務所の安全性を保つため、威嚇機能を持つ防犯カメラを開発しました。同社が開発した防犯カメラには、人と車を認識するAIが搭載されており、不審者や不審な車が事務所に侵入した場合に音声やライトで威嚇します。
機密情報が多くある事務所に「犯罪を抑止する」効果を持ったカメラを導入することで、事件を未然に防ぎます。加えて、ディープラーニングを行うことにより認識の精度が上がり、これまで葉っぱが横切っただけで警告が出ていた事態などを防いでいます。
防犯に加えスマートストア化も成功(イオン)
イオンリテールは、149台のAIカメラを導入したショッピングモール「イオンスタイル川口」をオープンしました。AIカメラは防犯の役割に加え、客の購買行動分析や客足分析を行い、AIの機能をフルに生かした店舗づくりに役立っています。
食品売り場では、AIカメラが人を認識すると広告が表示されます。また、困っている人を認識すると店員に知らせたりと、AIが蓄積データから客に合わせたサービスを提供しています。AIカメラをはじめとするDX化を本格的に導入した店舗として、防犯に加えてデータに基づいた様々な取り組みがされている店舗です。
マルチモーダルAIによる防犯カメラモニタリングの精度向上(NTTデータ)
株式会社NTTデータでは、防犯やセキュリティ分野において映像のみに限らず音などの別の情報を取り入れた高度な判断を可能としたマルチモーダルAIの開発に取り組んでいます。
従来の映像解析AIは入力データが映像のみに限定されたものが一般的でした。しかし、顧客へのヒアリングを通して、映像分析だけでは原理的に検出できない迷惑行為も存在することがわかったのが取り組みの端緒です。例えば、ビルエントランス内での迷惑行為の検出において、映像分析のみのAIでは大声でたむろしているといった行為を適切に検出できません。
マルチモーダルAIで映像と音を組み合わせて分析できれば、このような行為も適切に検出可能です。マルチモーダルAIの活用で、監視業務の効率化や防犯・セキュリティの高度化が期待できます。
こちらでマルチモーダルAIとは何か、活用事例詳しく説明しています。
防犯カメラについてよくある質問まとめ
- 防犯カメラの導入手順は何ですか?
防犯カメラの導入手順は以下の通りです。
- 目的・活用方法の明確化
- 設置場所の決定
- カメラ形状の選択
- 搭載機能の決定
- AI搭載防犯カメラのメリットとデメリットは何ですか?
AI搭載防犯カメラのメリット:
- 24時間休まず監視可能
- リアルタイムで異常通知
- 人による監視が不要
- 勤怠管理・客足分析が可能
- 長期的には低コスト
デメリット:
- 導入・運用の初期コストが高い
- プライバシー保護への対応が必要
- 特殊な用途では専用開発が必要な場合がある
- AIを用いた防犯カメラの実際の活用事例にはどのようなものがありますか?
AI搭載防犯カメラの活用事例は以下の通りです。
- 果実泥棒検知システム(TRINITY): 高級フルーツの盗難防止、即時通知
- 不審者認識・威嚇システム(i.SEC): 音声とライトによる自動威嚇
- スマートストア化(イオン): 防犯に加え、購買行動分析や客足分析に活用
- マルチモーダルAIによる高度監視(NTTデータ): 映像と音声を組み合わせた迷惑行為検出
まとめ
防犯カメラには様々な形状・機能がありますが、目的に応じて適切なカメラを選ぶことで、コストを抑えつつ、カメラの機能を最大限活かすことができます。
AIが搭載されているカメラは、防犯の役割に加え、マーケティングにも活用できる高機能カメラとなっています。防犯以外にも併せて解決したい問題があれば、AI防犯カメラを導入してみてはいかがでしょうか。
AI Marketでは、
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