Difyの商用利用は可能?ライセンスが必要なケースや取得方法、グレーゾーンの注意点を徹底解説
最終更新日:2025年08月04日

- DifyはApache License 2.0に基づき、社内利用から有料サービスの開発まで原則として商用利用が可能
- 「マルチテナント型SaaSの提供」と「ロゴ・著作権情報の変更」の2つのケースでは、追加で商用ライセンスの取得が必要
- 利用形態が規約に違反しないか判断に迷う場合は、自己判断せずDify公式へ問い合わせる
オープンソースのLLMOpsプラットフォーム「Dify」を活用し、LLM(大規模言語モデル)を組み込んだ高機能なAIアプリケーションを開発したいと考える企業が増えています。
Difyは、原則として商用利用が可能です。そのため、社内ツールへの組み込みや、有料サービスの開発にも対応できます。
ただし、一部の利用形態ではライセンスの取得が求められるため、事前に条件を把握しておく必要があります。
本記事では、Difyの商用利用が公式に許可されている範囲から、追加のライセンス取得が必須となる具体的なケース、その取得手順、そして将来的なリスクへの備えまで、ビジネス利用の前に押さえておくべき情報を網羅的に解説します。自社での商用利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
Difyは原則商用利用が可能
LangGenius社が、オープンソースのLLMOps開発プラットフォームとして公開しているDifyは、原則商用利用が認められています。
DifyはApache License 2.0ライセンスに準拠しているため、企業が社内業務に組み込んだり、独自のアプリケーションを開発・公開したりする用途において、法的な制限を受けずに利用することが可能です。
また、商用アプリとして外部に提供するケースでも、基本的には問題ありません。Difyで構築したアプリをエンドユーザーに提供し、収益を得ることも許容されています。
ただし、商用利用といっても、すべてのケースが無条件で認められているわけではなく、追加ライセンスの取得が必要となる場合があります。商用利用ができないケースについては後ほど詳しく解説します。
Difyの商用利用が許可されるケース
Difyの商用利用が許可されるケースとして、以下のような使い方が挙げられます。
- 業務効率化を目的として社内システムにDifyを組み込む(社内チャットボット・FAQ自動応答システム)
- 開発段階での技術検証(PoC)やプロトタイプを作成する
- Difyで構築したAIアプリケーションをSaaSやサブスクリプション形式で一般ユーザー向けに販売する
将来的な商用化を視野に入れた開発フェーズでも、現時点で商用的利益を得ていなければ、ライセンス違反には該当しません。この柔軟性は、スタートアップやAI導入を模索する企業にとって、大きなメリットとなります。
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Difyの商用利用ができない・ライセンスが必要なケースは?
Difyは商用利用を原則認めていますが、すべてのケースが無制限に許可されているわけではありません。以下のようなケースでは、商用利用ができない、もしくはライセンスの取得が必要です。
マルチテナントSaaSを提供する場合
マルチテナントSaaSとは、一つのシステム上に複数の顧客(テナント)を収容し、それぞれのユーザーが独立した環境で利用できるよう構成されたサービスを指します。
複数の法人や個人ユーザーが同一のDifyベースにログインし、専用のAIアプリケーションやデータを操作できるような構成が該当します。Amazonや楽天のようなECサイトが代表的なマルチテナントシステムです。
このような形態では、Dify本体のシステムやUIコンポーネントが多数の第三者に提供されるため、社内利用や個別アプリケーション提供とは異なります。DifyはこのようなSaaS形式の展開に関して、商用ライセンスの取得が必要になる可能性があると明記しています。
マルチテナント構成は利用形態が複雑化するため、開発内容によってはDify開発元の意図する利用範囲を逸脱してしまうリスクもあります。
一方で、自社内で閉じた利用にとどまるケースや、単一クライアント向けに専用構築されたDifyベースのアプリは該当しないとされています。
そのため、マルチテナントSaaSの構築を検討している場合は、早い段階でDifyビジネスチームへ連絡を取り、ライセンス条件を確認することが重要です。
ロゴおよび著作権情報の削除・変更を行う場合
Difyはソースコードが公開されており、基本的な改変や再配布は認められています。しかし、以下の行為はライセンス違反となる可能性があります。
- Difyの管理画面や起動画面に表示されるロゴを独自のロゴに差し替える
- 画面下部のクレジット表示を消すような変更を加える
Difyの開発者に対するクレジット表示を維持し、プロジェクトの透明性と信頼性が担保されなければ商用利用はできません。
見た目の変更が小規模であっても、意図せずライセンス違反となるケースもあるため、ロゴや著作権情報の扱いには慎重な判断が求められます。
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Difyの商用利用のライセンスを取得する方法
以下は、Difyの商用ライセンス取得に向けた基本的な手順です。
- 利用形態の整理
自社がDifyをどのような形で利用するのか、具体的な用途やユーザー構成を明確にする - 問い合わせ先の確認
Difyの公式GitHubリポジトリまたは公式サイトに記載されている「Business Contact」宛てに連絡する - 連絡内容の記載
利用予定のプロジェクト概要・商用利用の具体的な形態(例:SaaS提供、再販、UIカスタマイズの有無)・想定するユーザー数や月間アクティブ数・自社情報(会社名、担当者、Webサイトなど) - 開発元とのライセンス条件の調整
Difyチームからの返信内容に応じて、必要なライセンスの種類や契約条件について協議する - 運用開始
ライセンス契約が締結された後は、合意内容に基づいてDifyを商用利用できます。契約内容は定期的に見直される可能性があるため、契約後も変更がないか注意して運用を続けましょう。
問い合わせ前の確認・準備事項
Difyの商用ライセンスを取得する際に、開発元に問い合わせたいと考える企業も多いと思いますが、その前にいくつか確認・整理しておくべき事項があります。
最も重要なのは、自社で想定しているDifyの利用形態です。Difyの開発環境や商用利用方法によっては、ライセンス違反になるケースがあるため、以下の点を整理しておきましょう。
- Difyを利用するサービスの概要(例:チャットAI、データ分析支援ツール)
- 対象ユーザー(社内利用のみか、外部ユーザーにも提供するか)
- マルチテナント型かシングルテナント型か
- UIやロゴに対してどの程度のカスタマイズを行うか
- アプリケーションやプラグインの再販予定の有無
また、事業としてのスケール感も伝えておく必要があります。以下の情報があると、ライセンスの範囲や費用見積もりの見通しが立ちやすくなります。
- 想定される月間ユーザー数
- ユーザーのアクセス規模
- 導入予定企業数
また、DifyのApache License 2.0ライセンスそのものについても、基本的な内容を理解しておくことを推奨します。これにより、どの行為ができて、どの行為が制限される可能性があるかを判断しやすくなります。
問い合わせ前にこれらの情報を整理しておくことで、Difyチームとのスムーズなやり取りが可能となり、ライセンス取得の可否判断も迅速に進めることができます。
Difyを商用利用する際の注意点
Difyを商用利用する際は、以下の点に注意が必要です。
オープンソースライセンスは更新される可能性がある
Difyはオープンソースプロジェクトである以上、将来的にライセンス内容が変更される可能性があります。ユーザー数の増加や商用展開の拡大に伴って、ライセンス体系や条件が見直されることは十分にあり得るでしょう。
- 無料で認められていた機能に制限が加えられる
- 商用利用において有償ライセンスの取得が必須になる
また、オープンソースコミュニティでは「バージョンごとのライセンス変更」が行われるケースもあります。そのため、導入時に採用したバージョンのライセンスと、今後アップデートを適用する際のライセンスが一致するとは限りません。
ライセンスの変更は、既存のサービスや開発フローに影響を及ぼすため、Difyを基盤としたサービスを運用する企業は、継続的にライセンス情報をチェックする体制を整える必要があります。ライセンス体系が変更した場合は、運用方針との整合性を取ることも重要です。
長期的に安定した商用運用を目指す企業としては、法務部門やシステム管理者と連携しながら、最新のライセンス情報を把握しておくことが必要です。
商用利用が曖昧なグレーケースはDifyビジネスチームに問い合わせる
Difyはオープンソースとして広く公開されている一方で、以下のようなケースでは、商用利用に関する判断が曖昧になりやすい傾向にあります。
- グループ企業内の他事業部や子会社で運用する場合はマルチテナント型と言えるか
- 顧客企業にDifyベースのシステムを開発・提供した場合にコア機能を基にした「再販」とみなされるか
- Difyをプリインストールした専用サーバーをハードウェア(アプライアンス製品)として販売した場合
こうした曖昧なケースで独自に判断を下すのは、ライセンス違反のリスクを伴います。そのため、Difyのビジネスチームに相談し、商用利用の可否やライセンス取得が必要かを確認することが推奨されます。
問い合わせはDifyのGitHubリポジトリや公式サイトから行うことができます。商用展開の規模や仕様が不確定な段階でも、可能な範囲で利用計画を伝えることで、適切な判断が得られやすくなります。
問い合わせを通じて正式な許諾を得ておけば、ライセンス違反の懸念することなく、安心して開発・提供が可能です。自己判断での運用は避け、Difyの方針に沿った形で商用展開を進めるようにしましょう。
Dify活用に関するマニュアル・ガイドラインを策定しておく
Difyの商用展開を見据える場合には、社内での運用ルールや技術方針を明文化したマニュアル・ガイドラインを整備しておくことが重要です。
Difyは柔軟なカスタマイズ性や拡張性が特徴である一方で、運用担当者によって、実装方法やライセンスの認識に差が生まれやすい側面もあります。複数人で開発を行う環境や、将来的に他部署・外部パートナーとの連携を想定している場合には、注意が必要です。
ガイドラインを設ける際は、以下の観点を重視しましょう。
- 商用ライセンス取得の基準と申請手順
- Difyの構成変更(UI改変やロゴ差し替え)に関する承認ルール
- アップデート時のライセンスチェックとバージョン管理方法
- プラグイン開発・連携時の注意点と品質基準
- 開発・運用における問い合わせ先や技術的な責任範囲の明確化
これらを整備しておくことで、利用の可否に関する誤解や、ライセンス違反のリスクを未然に防ぐことができます。また、新たにプロジェクトに参加するメンバーに対しても、一貫性のある運用が可能です。
Difyの商用利用についてよくある質問まとめ
- Difyは商用目的で利用できますか?
はい、本当です。DifyはApache License 2.0ライセンスを採用しているため、企業の社内システムへの組み込みや、開発したAIアプリケーションを有料で販売するなど、法的な制限なく商用利用することが原則として認められています。
- Difyで開発したアプリを販売しても問題ありませんか?
Difyを活用して構築したAIアプリを提供することは、ライセンス上許容されています。
- 商用利用がライセンス違反になるのはどんなケースですか?
以下の2つのケースでは、追加でDifyの商用ライセンスを取得する必要があります。
- マルチテナントSaaSの提供: 一つのシステム基盤で、複数の顧客企業や個人ユーザーが独立して利用する形態のサービスを提供するケース。
- ロゴおよび著作権情報の削除・変更: DifyのUIに表示されるロゴを自社のものに差し替えたり、著作権表示を削除したりするケース。
- Difyの商用ライセンスを取得するには?
商用ライセンスが必要と判断された場合は、以下の流れで取得を進めてください。
- 利用目的やシステム構成を整理する
- Dify公式のGitHubまたはWebサイトに問い合わせる
- 商用利用の形態・規模・予定される収益モデルを明示する
- Difyビジネスチームと条件を調整し、契約締結後に正式に利用開始する
- Difyを商用利用する際に、どのような点に注意すべきですか?
注意すべき点は主に3つです。
- ライセンスの変更可能性: オープンソースであるため、将来ライセンス内容が更新される可能性があります。継続的な情報確認が必要です。
- 曖昧なケースの相談: 自社の利用形態が規約に違反するか判断に迷う場合は、自己判断せずDifyのビジネスチームに問い合わせることが推奨されます。
- 社内ガイドラインの策定: ライセンス違反を防ぎ、一貫性のある運用を行うため、利用ルールや技術方針を定めた社内マニュアルを整備することが重要です。
まとめ
Difyは、オープンソースのAIアプリ開発基盤として、商用利用に対応可能な柔軟性を備えています。しかし、マルチテナント型のSaaS提供やロゴの削除、商用プラグインの開発といった一部のケースでは、利用制限やDifyの商用ライセンス取得が必要になる可能性があります。
「マルチテナント」や「再販」の定義など、自社の事業計画がライセンス条件にどう該当するのか、法務的な解釈を含めて判断に迷う場面も少なくありません。
特に、事業の根幹に関わるシステムとしてDifyの導入を本格的に検討する場合には、技術的な実現可能性とライセンス遵守の両面から専門的な知見が不可欠です。
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