GPT-4o miniとは?GPT-4oとの違い・使い方・5つのメリット・2つの注意点を徹底解説!
最終更新日:2024年09月10日
Open AIは2024年7月18日、GPT-4oの最新モデルであるGPT-4o miniを発表しました。GPT-4oの小型モデルとして、高性能とコスト効率を実現することが可能で、さまざまな分野での活躍が期待されています。
技術開発によって言語モデルの大規模化が進む中で、SLM(小規模言語モデル)をベースとしたAIモデルは低コストと特定タスクへの特化、高速処理が可能です。GPT-4o miniもSLMを基盤としており、GPT-4oの軽量モデルとして注目されています。
この記事では、GPT-4o miniとGPT-4oの違いや使い方、料金、メリット、利用時の注意点、活用が期待されている分野について解説します。
SLMとはなにか、メリットや使い方事例をこちらの記事で、GPT-4oについてはこちらで詳しく説明していますので併せてご覧ください。
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目次
GPT-4o miniとは?
GPT-4o miniは、OpenAIが2024年7月18日に発表した軽量な自然言語処理モデルです。ChatGPTにも使われるGPT-4oの優れた機能を継承しつつ、よりコンパクトで効率的な設計が特徴です。
関連ニュース記事:「OpenAIがコスト効率の高い小型AIモデル「GPT-4o mini」を発表」
GPT-4o miniが注目される主要な理由は、SLM(小規模言語モデル)であることです。SLMはLLM(大規模言語モデル)と異なり、パラメータ数を少なくすることで、高速処理を可能にする技術です。必要な部分にのみ計算リソースを集中させることで、無駄な計算を削減しつつ、高速で高精度な応答を実現します。GPT-4oの他にも、Microsoftの提供するPhi-3もSLMとして有名です。
このSLMにより、GPT-4o miniは従来のモデルと比較して軽量かつ高速な処理が可能になりました。GPT-4o miniは小規模なデバイスやクラウド上での利用も可能で、コストパフォーマンスに優れたAIソリューションを提供します。
SLM技術の導入により、GPT-4o miniはさまざまなシーンでの活用が期待されており、今後のAI活用において重要な役割を果たすとされています。ファインチューニング機能も開放されており、開発者にとっては見逃せないSLMとなっています。
GPT-4oとの違い・比較
GPT-4o miniは、その名前が示す通りGPT-4oをベースにした軽量版のモデルです。現在リリースされているGPT-4oとは違いがあり、それぞれに特徴があります。
まず、GPT-4oはLLM(大規模言語モデル)がベースであり、高度な応答生成能力を備えている反面、大きなリソースを必要とします。これに対して、GPT-4o miniは計算リソースを効率化するために設計されており、必要最低限のリソースで効率的に動作することが可能です。
そのため、GPT-4o miniは、GPT-4oよりも約2倍の出力スピードで処理が可能で、大量のタスクを迅速に処理することができます。したがって、高頻度API呼び出しが必要なタスクやリアルタイム応答に適しています。
GPT-4o miniはGPT-4に近い処理性能を持っており、GPT-3.5 Turboよりも高精度の出力は得られます。ただし、GPT-4oに比べてパラメータ数が少ない(正確なパラメータ数は非公表)ため、出力の精度や知識の深さは若干劣ります。GPT-4oと比較すると、複雑な分析や高度なクリエイティブタスクにおいて満足のいく出力を得にくいといった違いがあります。
さらに、GPT-4oはマルチモーダルを売りにしていますが、GPT-4o miniも同様にマルチモーダル対応となっている他、対応言語はGPT-4oと同じ数に対応しています。
このような同じ部分と違う箇所を理解しておくと、GPT-4oとGPT-4o miniを目的や使用環境に応じて使い分けられるようになります。それぞれの特徴を理解することで、最適なモデルを選んで使用できるでしょう。
GPT-4o miniの使い方とAPI料金
GPT-4o miniは、ChatGPTの無料モデルのデフォルトモデルとなっています。(2024年9月時点)
また、GPT-4o miniをAPIで使用する料金は以下のようになっており、APIの利用料金は大幅に安くなっています。
モデル | 入力価格(100万トークンあたり) | 出力価格(100万トークンあたり) |
GPT-4o mini | 0.15ドル | 0.6ドル |
GPT-4o | 5ドル | 15ドル |
GPT-4o miniは、GPT-4oよりも大幅に低い料金設定となっていて、入力料金は約30分の1、出力価格は約25分の1で利用できます。
日本語の場合、1文字=1 〜3トークンとなるため、例えば出力が約33万文字〜100万文字で0.6ドルとなります。
尚、ChatGPTのAPI料金詳細はこちらの記事でご確認頂けます。
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GPT-4o miniの5つのメリット
軽量化を実現したGPT-4o miniでは、低コストと高速な応答がメリットとして挙げられます。それぞれのメリットについて解説します。
低コストでの運用が可能
GPT-4o miniはリソース効率が高いため、通常のAIモデルに比べて計算負荷が少なく、必要なインフラやハードウェアのコストを抑えることが可能です。クラウド環境での利用においては処理リソースの消費が少ないため、料金が低く抑えられ、全体的な運用コストを削減できます。
そのことから、中小企業やスタートアップのように限られた予算しか組めない会社でも、高度な自然言語処理技術を活用したプロジェクトを実現できます。
高速な応答を実現
GPT-4o miniは、軽量な設計と効率的な処理アルゴリズムにより、GPT-4oよりも約2倍の高速な応答を実現しています。LLMでは応答に時間がかかる場合がありましたが、GPT-4o miniでは処理に必要なリソースが最適化されているため、質問に対する応答を瞬時に提供することが可能です。
GPT-4o miniの高速な応答は、リアルタイムでのインタラクションが求められるアプリにおいて大きなメリットとなります。例えば、チャットボットやカスタマーサポートなど、即時性が求められる場面では、GPT-4o miniの高速応答が顧客満足度の向上に貢献します。
また、webサイトやモバイルでの使用においても、レスポンスが速いことでユーザー体験が向上し、離脱率の低減にもつながります。
GPT-4o miniは軽量化モデルが持つ高速性を活かし、多くのビジネスやサービスで効率的かつ迅速な対応を実現するための強力なツールとなります。
API利用
GPT-4o miniはAPIを通じて利用可能であり、システム連携や業務効率化に役立ちます。Chat Completions API、Assistants API、Batch APIで利用可能です。
特に高頻度API呼び出しやリアルタイム応答が必要なタスクに適しています。
しかも、入力100万トークンあたり0.15ドル、出力100万トークンあたり0.60ドルという料金設定は魅力でしょう。
尚、Googleの提供するGeminiは、Gpt-4o miniの低価格料金の影響を受け、2024年8月にAPI料金を大幅に値下げし、入力100万トークンあたり0.075ドル、出力100万トークンあたり0.3ドルと、GPT-4o miniの半額にしました。
この価格は128,000トークンまでとなっており、128,000トークン以上は入力100万トークンあたり0.15ドル、出力100万トークンあたり0.60ドルとGPT-4o miniと同じ価格設定となっています。
関連記事:「生成AIのAPIプラットフォーム別に紹介!各ツールの特徴を徹底解説!」
ファインチューニング可能
GPT-4o miniのファインチューニングが可能になっています。ファインチューニングにより、高度なカスタマイズが可能で、特定の用途に最適化された強力なAIモデルとなり、開発者にとってより柔軟で効果的なツールとなりました。ファインチューニングには以下のようなメリットがあります。
- 特定ドメインへの最適化:業界固有の専門知識や特殊な要件に対応したAIアプリケーションの開発が可能になります。
- 高度なカスタマイズ性:モデルの応答の構造やトーンを細かく調整できます。
- 少量データでの効果的な学習:限られたデータセットでも効果的なモデルのカスタマイズが可能になります。
GPT-3.5 Turboと比較してトレーニングコストが約37.5%削減されており、インプットとアウトプットのトークン数もそれぞれ約10%と20%削減されています。これにより、コストパフォーマンスが大幅に向上しています。
関連記事:「AIのファインチューニングとは?RAGとの違い・LLMで必要な理由・デメリット解説」
他のSLMを上回る性能
言語モデルの幅広い理解力と推論能力を評価する総合的なベンチマークMMLU(Massive Multitask Language Understanding)で、GPT-4o miniは82%のスコアを記録しています。以下の小型モデルと比べると、GPT-4o miniが幅広い分野での知識と理解力を持っていることを示しています。
- Gemini Flash:77.9%
- Claude Haiku:73.8%
特に、数学的推論においては、MGSMベンチマーク(数学と科学の問題解決)では、87.0%と他のモデルに比べて断トツのスコアを達成しています。
- Gemini Flash:75.5%
- Claude Haiku:71.5%
このスコアは、GPT-4o miniが数学的な問題を解く能力に優れていることを示しています。
GPT-4o miniを利用する際の2つの注意点
GPT-4o miniを利用する際は、出力精度や学習データの規模について注意しなければいけません。ここでは、GPT-4o miniを利用する際の注意点について解説します。
GPT-4oより出力精度は劣る
GPT-4o miniは軽量化と高速性を追求する一方で、出力精度においてはGPT-4oに劣る部分があります。GPT-4o miniはモデルのサイズや学習データの規模が縮小されているため、より複雑なタスクや高度な言語処理が必要な場合には、出力内容の精度が低下する可能性があるためです。
特に以下のような能力を要する質問に対して、GPT-4oに比べてやや簡略化された回答が生成されることがあります。
- 複雑な推論能力
- 専門的な知識を要する高度なタスク
- 長文の生成や詳細な分析
高度な正確性が求められる場面では、GPT-4o miniの限界を認識し、場合によっては補完的なリソースを活用する必要があるかもしれません。
学習データの規模が小さい
GPT-4o miniでは、GPT-4oよりも小さい規模の学習データが活用されていると言われています。そのため、特定の分野や専門的な知識が必要なタスクにおいては、モデルが持つ情報の範囲が限定される可能性があります。
広範な知識が求められる応答や複雑な文脈を含む質問に対しては、GPT-4o miniが提供する回答が一般的な情報に留まりやすくなります。また、最新のデータや専門的な分野に関しては、対応できない場合もあります。
このように、小規模な学習データを用いることで出力精度にも影響しています。とはいえ学習データを小さくしないと軽量化は実現しないため、低コスト・高速化の代償とも言えるでしょう。
GPT-4o miniの活用が期待される分野
GPT-4o miniは、低コストと高速化によって、さまざまな分野での活用が期待されています。特に、小規模システムやリソースが限られた環境での利用に適しています。
例えば、エッジコンピューティングでの活用が挙げられます。エッジデバイス上でのリアルタイム処理やローカルでのデータ解析が求められる分野において、GPT-4o miniは低遅延での応答が可能です。これにより、スマートデバイスやIoT領域での応用が加速するでしょう。
また、教育分野でもGPT-4o miniは有用です。軽量であるため、教育機関が学生向けにAIツールを提供する際、インフラやコストの負担を抑えながら質の高い教育支援を実現できます。例えば、個別学習支援ツールや教育用チャットボットなど、教育現場での多様なニーズに応えることが可能です。
他にも、GPT-4o miniは幅広い分野での活用が期待されています。軽量化によってAIを導入しやすくなったことで、さまざまな分野で応用できるでしょう。
GPT-4o miniについてよくある質問まとめ
- GPT-4o miniとGPT-4oの違いは何ですか?
GPT-4oは大規模言語モデル(LLM)を基盤としているのに対し、GPT-4o miniは小規模言語モデル(SLM)を基盤としています。ベースのモデルが異なることで、以下のような違いがあります。
- GPT-4o miniは効率的な計算処理が可能
- GPT-4o miniは低価格で運用できる
- 出力精度はGPT-4oに劣る
- GPT-4o miniはどんな分野で活用されていますか?
GPT-4o miniはエッジコンピューティングや教育をはじめ、さまざまな分野での活用が期待されています。また、中小企業やスタートアップなど、初期投資にかける費用が限られている会社でも、活用されやすいでしょう。
GPT-4o miniまとめ
GPT-4oの軽量版モデルであるGPT-4o miniは、低コストと素早いレスポンスを実現する、SLMをベースとしたAIモデルです。学習データが小規模であるため出力精度はGPT-4oと比べると劣るものの、さまざまな分野で活用されることが期待されています。
AIを運用したいけどリソースが限られている場合は、SLMが有効な手段となります。
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