最終更新日：2024-06-08

Mistral AIとは？特徴や主要モデルをわかりやすく徹底解説！

未来のAI技術をリードするMistral AIは、生成AIモデルの開発を手掛けるフランス発の革新的なスタートアップです。2023年の設立以来、AIの最前線で驚異的な進化を遂げています。

特に、最先端のMixture of Experts (MoE) アーキテクチャを採用したLLMであるMixtralシリーズは、その効率性と高性能で業界の注目を集めています。オープンソースの透明性と柔軟性を活かし、企業は自由にこれらのモデルをカスタマイズし、自社のニーズに最適なAIソリューションを構築することが可能です。

この記事では、Mistral AIの魅力や提供モデル、特徴を詳しく解説し、その活用方法についてご紹介します。

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1 Mistral AIとは？
2 Mistral AIの強み
3 Mistral AIでできること
4 企業でのMistral AIの活用シーン
5 Mistral AIの使用開始方法
6 Mistral AIについてよくある質問まとめ
7 まとめ

Mistral AIとは？

Mistral AIは、2023年に設立されたフランスのAIスタートアップです。この企業は、Meta社の元従業員やGoogle DeepMindの元研究者によって設立され、AIに強い人材が集まっています。

社名を関したMistralシリーズやMoEアーキテクチャを採用するMixtralシリーズなどの大規模言語モデル（LLM）の開発に注力し、その革新的な技術で急速に注目を集めています。

LLMについてはこちらで詳しく説明していますので併せてご覧ください。

オープンソースで提供

Mistral AIは、オープンソースのアプローチを多く採用し、企業がチャットボットや検索エンジンなどのAI製品を立ち上げるためのモデルを提供しています。このオープンソースモデルは、ユーザーが自由にコピーし、再利用できるため、独自のチャットボット構築などに活用できます。これにより、企業は独自のニーズに合わせたAIソリューションを構築しやすくなります。

Mistral AIが提供する主なモデルには以下があります。

主要LLM（オープンソース型）

以下は、オープンソースで提供されているモデルです。

Mistral 7B

Mistral 7Bは、7.3Bパラメータを持つ言語モデルで、GPT（ChatGPTのLLM）など主流LLMでも使用されるトランスフォーマーアーキテクチャを使用しています。2023年9月27日に公式にリリースされました。

自然言語処理タスク全般に適しており、特に英語とコード生成に強みを持ちます。同じオープンソースアプローチでLLMの主流を狙うMetaのLLaMA 13Bを上回る性能を持つとされています。

対応言語は英語です。比較的少ないパラメータで効率的に動くように設計されているSLMともいえるモデルで、Grouped Query Attention (GQA)やSliding Window Attention (SWA)などの技術が組み込まれています。これにより、計算効率とキャッシュサイズの低減が図られています。

Mixtral 8x7B

Mixtral 8x7Bは、2023年12月にリリースされたモデルで、46.7Bのパラメータを持ちながら、12Bのみをアクティブに使用するSparse Mixture of Experts（SMoE）アーキテクチャを使用しています。SMoEは、すべてのパラメータを一度にアクティブにするのではなく、特定の入力に対して必要な一部の「専門家」（パラメータグループ）のみをアクティブにします。

SMoEにより、計算コストが削減され、処理速度が向上します。また、特定のタスクや入力タイプに特化しており、そのタスクに対する最適な処理を行います。これにより、単一の大規模モデルよりも高い性能を発揮することが可能です。

高効率で多言語対応（英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語）し、コード生成にも優れています。Mixtral 8x7Bは、LLaMA 70BやGPT-3.5を多くのベンチマークで上回る性能を示しています。

対応言語は英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語です。

Mixtral 8x22B

Mixtral 8x22Bは、2024年4月にリリースされたモデルで、先行モデルと同様にオープンソースとして提供されています。141Bのパラメータを持ちながらも39Bのみをアクティブに使用するSMoEアーキテクチャを採用しています。

Mixtral 8x22Bは、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語において強力なマルチリンガル能力を持ち、数学やコーディングのタスクにおいても高い性能を発揮します。また、64Kのトークンコンテキストウィンドウを持ち、大規模なドキュメントからの正確な情報取得を可能にしています。多くのベンチマークで優れた結果を示しています。

対応言語は英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語です。

主要LLM（商用型）

以下は、商用モデルとして提供されているモデルで、柔軟性やパフォーマンスに優れたモデルです。

Mistral Small

Mistral Smallは、シンプルなタスクに最適で、高効率かつ低コストで利用可能です。スパムメールの分類や基本的なテキスト生成などのタスクに適しています。

対応言語は英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語です。

Mistral Large

Mistral Largeは、Mistral AIのフラッグシップモデルで、特に複雑な推論や専門的なタスクに最適です。このモデルは、他のすべてのモデルをほぼすべてのベンチマークで上回る性能を示しており、特にコーディングや数学のタスクにおいて優れています。

対応言語は英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語です。

Mistral embed

現在は英語のみに対応しており、テキストから文章の特徴を抽出することができるembeddingモデルです。

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Mistral AIの強み

様々な大規模言語モデルがリリースされている中で、Mistral AIは以下のような強みを持ちます。

MoEアーキテクチャ

Mistral AIは、先進的なMixture of Experts（MoE）アーキテクチャを採用しています。この技術は、複数の専門モデルを組み合わせて使用することで、必要に応じて最適なモデルを選択し、高効率かつ高性能な計算を実現します。この仕組みにより、計算リソースを効率的に活用し、高い性能を発揮することが可能です。

ChatGPTに搭載されているGPTで採用されているトランスフォーマーモデルが、一貫して高性能な出力を提供するために多くのパラメータを活用しているのとは異なるアプローチです。

ChatGPTとはなにか、機能や使い方事例をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。

特に、Mixtral 8x7BやMixtral 8x22Bなどのモデルは、このアーキテクチャを基にしたSMoE（Sparse Mixture of Experts）アーキテクチャを使用し、推論時には必要なエキスパートのみをアクティブにすることで、パフォーマンスを最適化しつつコストを抑えています。

SMoEは、MoEの改良版であり、計算効率を向上させるために、入力に対してより少数の専門家（パラメータ）のみをアクティブにするアーキテクチャです。これにより、必要な計算リソースを大幅に削減します。特に大規模モデルにおいて有効で、高性能かつコスト効率の良い推論を実現するために設計されています。

オープンソースと透明性

Mistral AIのモデルはオープンソースで提供されており、そのコードとデータは誰でもアクセスや利用が可能です。例えば、Mistral 7BやMixtral 8x22Bなどのモデルは、Apache 2.0ライセンスの下で公開されており、自由に利用・改変が可能です。

GPTは、OpenAIのAPIを通じて利用可能になります。商業的利用に関しては制約があり、利用には料金が発生します。Mistral AIの透明性により、開発者や研究者はモデルの内部を理解し、自分のニーズに合わせて無料で利用し、カスタマイズできます。また、オープンソースであることで、コミュニティ全体が協力して技術を進化させることができます。

コード補完と生成能力

Mistral AIは、自然言語だけでなく、プログラミング言語にも優れた理解力を有しており、HumanEvalやMBPPなどのベンチマークテストで高い性能を示しています。これにより開発者はより迅速かつ正確にコードを生成し、プロジェクトの効率を大幅に向上させることができます。

特に、Mixtral 8x22Bは数学やコード生成において卓越した能力を発揮し、複雑なプログラミングタスクも簡単に処理できます。

Mistral AIでできること

以下は、Mistral AIを使って主にできることです。

テキスト生成

Mistral AIは、与えられたテーマに基づいて人間のようなテキストを生成できます。これにより、記事やブログの作成、アイデアのブレスト、コピーライティングなどが可能になります。

テキストの要約

Mistral AIは長文のコンテンツを要約し、重要なポイントを簡潔に抽出することもできます。ビジネスレポートや調査論文の要約、ニュース記事の短縮版など、情報のより簡単に理解することができます。

テキストの分類

Mistral AIはテキストの内容に基づいて分類することもできます。これにより、レビューの感情分析やスパムメールのフィルタリングなど、さまざまな用途に活用できます。

質問応答

Mistral AIは、質問応答タスクにおいても高い精度を誇ります。文章の中から情報を抽出し、人間のように自然な回答を提供することができます。カスタマーサポートや知識共有の自動化などで役立ちます。

プログラミング言語の生成

自然言語だけでなく、プログラミング言語の生成でも活躍します。これにより、コードのスニペットを生成したり、バグの修正を提案したり、既存のコードを最適化することができます。開発者にとっては、開発プロセスの効率化に大いに役立つツールです。

企業でのMistral AIの活用シーン

Mistral AIは、さまざまなビジネスや技術的な分野で広く利用されています。以下に、Mistral AIの具体的な利用シーンをいくつか紹介します。

コンテンツ生成

Mistral AIは、ブログ記事、コピーライティング、ソーシャルメディア投稿など、さまざまなコンテンツを自動生成するのに役立ちます。これにより、コンテンツ制作の効率が向上し、クリエイティブな作業が迅速に行えます。

企業は、頻繁に更新が必要なコンテンツをMistral AIに任せることで、人的リソースを他の重要な業務に集中させることができます。

カスタマーサポートの自動化

Mistral AIを使って、チャットボットを構築し、カスタマーサポートを自動化することも可能です。これにより、24時間体制で顧客の質問に対応でき、迅速かつ正確な回答を提供します。特に、FAQの自動応答やカスタマーサポートチケットの初期対応において、Mistral AIは効果的です。

マーケティングキャンペーンのカスタマイズ

MistralAIのモデルは、顧客データの分析とパーソナライズされたマーケティングメッセージの生成に利用できます。これにより、顧客の興味や行動に基づいたターゲットマーケティングが可能になります。

多言語対応のグローバルコミュニケーション

Mistral AIは多言語対応が可能で、言語を跨ぐコミュニケーションを円滑にします。ドキュメントの翻訳、ウェブサイトやアプリケーションの言語変換、顧客との多言語対応チャットなどに利用されます。これにより、企業はグローバル市場でのプレゼンスを強化できます。

市場調査や競合分析

Mistral AIは、市場調査や競合分析において企業のビッグデータを効率的に処理し、重要なインサイトを抽出するのに役立ちます。これにより、企業は市場のトレンドや競合他社の動向を迅速に理解し、戦略的な意思決定を行うことができます。

コード補完と自動生成

開発チームがMistralAIを活用して、コード補完やコード生成を行うことで、開発効率を大幅に向上させることができます。これは特に大規模なプロジェクトや複雑なプログラムで有効です。

法律文書のレビューと生成

法律部門での契約書や規約文書のレビュー、生成をMistralAIで自動化することができます。これにより、法務業務の効率化と正確性の向上が図れます。

Mistral AIの使用開始方法

Mistral AIのモデルを使い始めるのは同社の提供するAPIを使えば簡単です。

アカウント作成
まず、Mistral AIの公式ウェブサイトにアクセスし、アカウントを作成します。メールアドレスと基本情報を入力するだけで登録できます。
モデルの選択
Mistral AIのプラットフォームにログイン後、利用したいモデルを選択します。
APIキーの取得
プラットフォームの設定メニューからAPIキーを取得します。このキーを使って、外部アプリケーションやサービスからMistral AIのモデルにアクセスできます。
初期設定
APIキーを入力して設定を完了します。

この他、Microsoft AzureのAzure AI Studio、AWSのAmazon Bedrockでも基盤モデルとして提供されています。

また、楽天社やStability AI社がMistralベースの日本語最適化モデルを提供しています。