日本語LLMとは?代表モデルの特徴・比較、選び方と業務活用のポイントを徹底解説!
最終更新日:2026年09月14日
記事監修者:森下 佳宏|BizTech株式会社 代表取締役

日本語でLLMを業務に活用する際は、自然な文章を生成できるかだけでなく、専門用語や指示を正しく理解し、業務に必要な品質を満たせるかを確認することが重要です。
ChatGPTやClaude、Geminiのように日本語に対応するLLMに加え、日本語の学習データや国内の業務用途を重視して開発されたモデルもあります。それぞれ、日本語の回答品質、提供形態、カスタマイズの方法、運用コストなどが異なります。
この記事では、日本語に最適化されたLLMの特徴と代表的なモデルを紹介します。なお、日本語に特化したモデルが、日本語以外の言語に対応していないわけではありません。
関連記事:「LLMとは?活用相談事例・AIエージェントとの連携・導入方法とコスト・代表的モデルを徹底解説!」
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日本語LLMとは?
日本語LLMとは、日本語の理解・生成に強く対応するLLMです。この記事では、特に日本語の性能向上を目的として開発・追加学習されたモデルを中心に扱います。日本語への特化と、国内企業による開発は異なる分類です。
多言語対応のLLMも、日本語を入力として処理し、日本語の回答を生成できます。日本語で利用するために、日本語特化モデルが必須というわけではありません。
一方、業務で求められる表現や専門用語への対応、カスタマイズのしやすさなどによっては、日本語に最適化されたLLMが適している場合もあります。
以下では、日本語の処理で確認したいポイントを説明します。
日本特有の知識や情報を回答する
英語などの主要言語に比べ、日本語で利用可能な高品質な学習データセットは限られています。大規模なデータセットの構築と維持は高コストであり、これが日本語LLMの発展を妨げる一因になっています。
しかし、最近では、オープンソースの取り組みや公的機関によるデータセットの提供が増えてきています。日本語の大規模なデータを学習することで、日本特有の知識や情報を取り入れることができます。これにより、日本のユーザーのニーズにより的確に応えることが可能となります。
関連記事:「オープンソースLLMを徹底比較!特徴・活用メリット・代表モデルの比較ポイントも解説」
文脈に応じた表現や省略を理解する
日本語の業務文書や会話では、主語や目的語の省略、敬語、曖昧な指示などを、前後の文脈から解釈する必要があります。例えば、「先ほどの条件で進めてください」という指示では、過去のやり取りから対象や条件を特定しなければなりません。
日本語LLMを選ぶ際は、文章の自然さだけでなく、省略された情報や指示の対象を正しく理解できるかを確認することが重要です。日本語に特化しているという名称だけで判断せず、実際の業務文書や会話を使って評価します。
日本独自の文化や慣習の理解が必要
日本には独自の文化、慣習、ビジネスマナーがあります。日本語のLLMは、これらの背景知識を学習することで、日本のユーザーに合わせたコミュニケーションが可能になります。
日本語LLMを活用することで、日本市場に特化したサービスやソリューションを提供できます。これにより、グローバル市場での競争力だけでなく、国内市場でのプレゼンスも高めることができます。
関連記事:「LLMを評価するLLM-as-a-Judgeとは?概要・メリット・活用シーン・注意点を徹底紹介!」
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日本語に強い代表的なLLM
日本語に最適化されたLLMには、独自に事前学習したモデルや、既存の基盤モデルに日本語の継続事前学習・指示調整などを施したモデルがあります。
以下では、代表的なモデルを提供元ごとに紹介します。
日本語の回答品質に加え、APIで利用できるか、自社環境で実行できるか、どのような利用条件があるかも確認して選ぶことが重要です。
NTT:tsuzumi

NTTが開発する「tsuzumi」は、日本語の処理能力と運用効率を重視したLLMです。後続モデルの「tsuzumi 2」は、機密情報を扱う企業・行政機関などでの利用を想定し、オンプレミスやプライベートクラウドでの活用が進められています。
2026年5月にはtsuzumi 2のアップデートが発表され、図表を含む日本語のビジネス文書の処理性能を強化し、1GPU環境での動作に対応しています。
業務文書の読み取りや情報抽出などへの適用を検討する際は、処理対象の文書と必要な精度に加え、利用するモデルの仕様や実行環境を確認することが重要です。
関連記事:「NTTが開発した日本語特化型LLM「tsuzumi」とは?特徴と活用法、性能、料金プランを徹底解説」
参照:NTT|NTT版LLM tsuzumi 2アップデート
NEC:日本語特化型LLM「cotomi」

NECの「cotomi」は、日本語の生成・対話性能や高速な処理を重視したLLMです。NECはcotomiを中核として、企業の業務に合わせた生成AIの導入・活用を支援しています。
業界に特化したモデルへの対応や、AIエージェントに必要な推論・外部連携機能も強化されています。2026年3月には、「cotomi v3」がデジタル庁の「ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデル」に選定されました。
導入にあたっては、日本語の回答品質や処理速度に加え、自社のデータを扱う環境、カスタマイズの範囲、提供条件を確認します。
参照:NEC|「ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデル(LLM)」に選定
富士通:Takane

「Takane」は、Cohereの企業向けLLMの技術と、富士通の日本語に特化した追加学習・ファインチューニング技術を組み合わせて開発されたLLMです。日本語の業務文書や専門用語を扱う、企業向けの用途を重視しています。
業種・業務に合わせたカスタマイズや、RAGを組み合わせた社内情報の活用に対応します。また、2025年4月にはNutanixのAIプラットフォームへの対応が発表され、プライベート環境での利用を支援しています。
機密情報を扱う業務で導入を検討する際は、回答品質に加え、構築する環境や対応する提供サービス、運用・保守の条件を確認することが重要です。
参照:富士通|企業向け日本語強化型LLM「Takane」がNutanixのAIプラットフォームに対応
SB Intuitions:Sarashina

「Sarashina」は、ソフトバンク子会社のSB Intuitionsが開発する、日本語の処理能力を重視した国産LLMです。日本語の文章や、日本特有の文化・慣習を踏まえた応答などへの活用を目指しています。
ソフトバンクは、企業や自治体が自社システムに組み込める「Sarashina API」を提供しています。文章生成を行うChat Completions APIと、文章を検索・比較などに利用できるベクトルへ変換するEmbeddings APIが用意されています。
文章の校正・要約、議事録や提案書の作成、社内ナレッジを活用した回答生成などが用途となります。導入時には、利用するモデルやAPIの仕様、料金、データの取り扱い条件を確認します。
Preferred Networks:PLaMo

「PLaMo」は、Preferred Networks(PFN)が独自に開発する国産の生成AI基盤モデルです。日本語の処理能力や指示への対応を重視し、文章生成・要約などの業務での活用に向けて開発されています。
チャットで回答を試す方法に加え、APIを通じて自社のアプリケーションや業務システムに組み込む方法があります。実際の業務文書や質問を使って品質を確認し、利用目的に合うかを検証できます。
導入を検討する際は、利用可能なモデルの種類、対応する機能、料金などを確認し、日本語の回答品質と運用コストのバランスを比較することが重要です。
参照:Preferred Networks|PLaMo公式サイト
参照:Preferred Networks|PLaMo 2.0 Primeリリース
東大松尾研発:ELYZA(KDDI子会社)

東京大学の松尾研究室発のAIカンパニーである株式会社ELYZAが日本語のLLMを発表しました。70億パラメータを持つ「ELYZA-japanese-Llama-2-70b」という日本語特化型のLLMです。Meta社のオープンソース基盤モデル「Llama 2 70B」をベースとして開発されました。
ローカルLLMのベースとされて使われることも多いLLMです。
このモデルは国内外のモデルと比較しても高い性能を示しており、特に日本語の処理において最高水準の性能を実現しています。ELYZAはこの技術を基に、さらに多様な業界や企業向けに特化したLLMの開発も進めており、その技術力と応用範囲の拡大が期待されます。
参照:70億パラメータの商用利用可能な日本語LLM「ELYZA-japanese-Llama-2-7b」を一般公開しました
楽天:Rakuten AI

楽天グループは、日本語に最適化されたLLM「Rakuten AI」シリーズを開発しています。2024年に公開したRakuten AI 7Bに続き、2026年3月には「Rakuten AI 3.0」を提供開始しました。
Rakuten AI 3.0は、日本語に最適化された約7,000億パラメータのMoE(Mixture of Experts)モデルです。複数の専門部分を持ち、入力に応じてその一部を使って処理する構造を採用しています。
公開モデルの利用を検討する際は、モデルごとのライセンスや必要な計算資源を確認する必要があります。初期の7Bモデルと大規模な後続モデルでは、実行環境や適した用途が異なります。
参照:楽天|Rakuten AI 3.0を提供開始
参照:楽天|RakutenAI-3.0モデルカード
IBM:Granite日本語版

IBMはGranite(グラナイト)の日本語版モデルを2024年2月に提供開始しました。このモデルは、80億パラメータを持ち、インターネット、学術、コード、法務、財務の領域から得たビジネス関連データで学習しています。
IBMは、企業向けAIとデータのプラットフォームであるIBM watsonxに、Granite基盤モデル群を継続的に追加しています。Granite日本語版は、日本語のテキスト処理に特化し、長い日本語の文章の効率的な処理と高速な推論を実現することが目標です。これにより、日本のクライアントは自社に適したAIモデルを選択し、生成AI(ジェネレーティブAI)の活用を加速できるようになります。
参照:信頼できるデータで構築した基盤モデルGraniteの日本語版を提供開始し、日本のお客様の生成AI活用を加速
Lightblue:ao-Karasu

東京大学発、最先端アルゴリズムの現場実装に取り組むAIスタートアップの株式会社Lightblueは、720億パラメータを擁する日本語特化のLLM「ao-Karasu」を2024年3月に公開しました。
2024年3月の同社発表では、Japanese MT-Benchによる自動評価で、国内最高水準の日本語性能を示したとしています。
Lightblueはこのモデルを基に、DXコンサルティングや受託開発で培ったノウハウを活かし、業務理解を基にしたカスタマイズサービスを提供しています。
参照:Lightblue、国内最高水準の日本語LLMモデル「ao-Karasu」を公開
rinna:Youri 7B

AIキャラクタービジネスを手がけるrinna株式会社は、2023年10月にMeta社のオープンソース基盤モデル「Llama 2」をベースに日本語学習を行なった「Youri 7B」シリーズを発表しました。
Youri 7Bシリーズは、Llamaの70億パラメータモデルへさらに日本語・英語を400億トークンさらに学習させたモデルです。Youri 7Bは日本語の学習量が少ないLlamaの弱点を補ったモデルでベンチマークスコアも高水準ですが、ファイルサイズが大きいため動かすコンピュータのスペックが要求される側面もあります。
参照:Hugging Face|rinna/youri-7b
サイバーエージェント:CyberAgentLM

サイバーエージェントは、70億パラメータと32,000トークン対応の日本語LLM「CyberAgentLM」を開発しました。このモデルは、AWSの機械学習サービス「Amazon SageMaker」で扱えるようになり、これが世界的なクラウドサービスで同社のLLMが公開される初の事例となります。
このLLMは、企業がAWSサービスを通じて簡単に自社環境にデプロイ可能で、日本語の自然言語処理技術の発展に貢献することを目指しています。
参照:独自の日本語LLM(大規模言語モデル)、Amazon SageMaker JumpStartで公開
日本語LLMの比較・選び方
日本語LLMは、日本語の回答品質だけでなく、利用方法や運用コスト、自社の業務への適合性を比較して選ぶことが重要です。
日本語に特化したモデルに加え、多言語対応の汎用モデルも候補に含め、実際の業務で必要な性能を確認します。
公開ベンチマークのスコアが高くても、自社の専門用語や文書形式に適切に対応できるとは限りません。同じ業務データと評価基準で候補モデルを比較し、回答の正確性や指示への対応、人による修正の手間まで確認すると、導入後の効果を判断しやすくなります。
また、機密情報の取り扱いや商用利用の条件、運用に必要な設備・人員も選定に影響します。以下の項目を基に、必要な品質と運用条件を満たすモデルを絞り込みましょう。
| 比較項目 | 確認すること | 確認方法・判断のポイント |
|---|---|---|
| 日本語の回答品質 | 専門用語、敬語、省略表現、複雑な指示を正しく扱えるか | 実際の業務文書や質問を使い、正確性と読みやすさを評価する |
| 業務への適合性 | 要約、情報抽出、質問応答など、目的の処理を実行できるか | 必要な項目の抽出率や、人による修正の量を比較する |
| 提供形態・運用環境 | API、クラウドサービス、自社環境での実行に対応しているか | データの取り扱い要件や、運用できる人員・設備と照合する |
| 速度・コスト | 応答時間、利用料金、必要な計算資源が要件に合うか | 想定する入力の長さや処理件数で、品質と費用を比較する |
| 利用条件・カスタマイズ | 商用利用、追加学習、再配布などが認められているか | モデルごとのライセンスや契約条件を確認する |
日本語のLLMに対する今後の期待

日本語特化のLLMは今後も大きな進化が期待されています。以下は、予想される今後の展望です。
高度な理解と生成能力の向上
日本語LLMの今後の発展では、日本語の複雑な文法や微妙なニュアンスを深く理解し、それをもとに自然で流暢な文章を生成する能力のさらなる向上が期待されています。これには、俗語や方言の理解、感情や意図を正確に捉える推論能力の強化が含まれます。
このような高度な理解と生成能力は、ユーザーの意図をより正確に捉え、多様なコミュニケーションやクリエイティブな内容生成に対応できることを意味します。
個々のニーズや業界に合わせたカスタマイズ
将来の日本語LLMは、エンドユーザーの特定のニーズに合わせたカスタマイズの可能性を広げることが期待されます。これは、個人の趣味や関心、職業的要求、または特定の業界固有の用語とプロセスに適応するモデルの開発を意味します。
ユーザーが直面する具体的な課題に対応し、その解決を助けるようなカスタマイズされたLLMは、使用体験を大きく向上させ、LLMの実用性をさらに拡大することができるでしょう。
国内外からの注目
日本語LLMの開発は国内外から注目を集めています。国際的なAI研究コミュニティでは、日本語などの非英語言語への対応が、多言語LLMの発展に不可欠であると認識されています。
また、日本国内では、政府や大企業、スタートアップがこの分野への投資を加速しており、国際競争力の強化という観点からも、日本語LLMの研究開発が推進されています。
モデルの軽量化
LLMの開発や運用コストを削減するために、LLMの軽量化、特にSLM(小規模言語モデル)への移行が注目されています。これにより、GPUリソースが削減でき、用途やケースに合わせてのチューニングがしやすくなります。今後、特定のビジネスプロセスや専門分野に特化した、小規模ながらも高性能なモデルが増えていくでしょう。その中には、当然日本語特化型LLMも含まれます。
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日本語特化のLLMについてよくある質問まとめ
- 日本語LLMと、日本語に対応する汎用LLMの違いは何ですか?
日本語に最適化されたLLMは、日本語の学習データや業務用途を重視して開発・追加学習されている点が特徴です。
一方、多言語対応の汎用LLMも日本語を理解し、回答を生成できます。日本語特化モデルが常に優れているわけではないため、実際の業務データで回答品質やコストを比較することが重要です。
- 日本語LLMを選ぶ際は、何を比較すればよいですか?
日本語の回答品質、業務への適合性、提供形態・運用環境、速度・コスト、利用条件を比較します。公開ベンチマークだけで判断せず、自社の専門用語や文書を使い、指示を正しく理解できるか、回答にどの程度の修正が必要かを確認しましょう。
まとめ
この記事では、日本語特化のLLMの現状や課題、そして有力なLLMの紹介をしました。英語が中心のLLMだけでなく、日本語に特化したLLMにおいても凄まじい進化を見せており、今後あらゆるビジネスシーンや業務での導入が進んでいくでしょう。
企業や個人は、用途に最適な言語モデルを理解し、タスクに適応させた活用を進めていくことが今後のポイントになります。
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