日立が日系企業初のNVIDIAグローバルシステムインテグレーターに参画、AIトランスフォーメーション事業を大幅拡大
最終更新日:2025年06月06日

株式会社日立製作所が2025年6月6日、NVIDIA のグローバルシステムインテグレータープログラムに日系企業として初めて参画したと発表した。
これにより両社は、高速データ処理やAIエージェントなどの先進技術を活用したソリューション開発を加速し、世界中の企業のAIトランスフォーメーションを支援する。
- 日立が日系企業初のNVIDIAグローバルシステムインテグレーター参画を果たし、AI市場での地位を強化
- 両社協業により米国・日本を中心とした重要成長地域でのAIソリューション提供体制を本格構築
- 日立の豊富なOT経験とNVIDIA AI技術の融合で産業特化型AIソリューションの開発を推進
この協業により、日立はNVIDIAと連携して高速データ処理やAIエージェントといった先進技術を活用したビジネスソリューションの開発を進める。
両社は共同のGo-to-Marketプログラムを通じて、米国や日本を含む重要な成長地域において、より多くの顧客に対してAIの迅速な導入を支援するソリューションを提供していく方針だ。
今回の協業拡大では、日立が3つの主要な取り組みを開始する。
第一に、AIトランスフォーメーション加速に向けた事業計画の立案・推進である。日立はNVIDIAと連携し、インダストリアルAI市場向けの共同事業計画と成長戦略を確立する。ソリューション開発においてはNVIDIA AI Enterprise、NVIDIA Omniverseなどのプラットフォームを活用し、新たなAIユースケースを創出する。
具体的な取り組みとして、日立ビルシステムでは、エレベーターなどのビル設備メンテナンス作業における効率的な安全管理の実現に向けて生成AIの活用を推進する。
NVIDIA AI Blueprint for Video Search and Summarization(VSS)を活用し、マニュアルや熟練エンジニアの作業手順を学習させ、現場エンジニアのウェアラブルカメラ映像をリアルタイムで分析してガイドやアラートを提供することで、作業効率性と安全性の向上を目指す。
第二に、Go-to-marketに向けた共同施策の推進である。日立はNVIDIAの製品やソリューション、マーケティングプログラム、トレーニング、ウェビナーに関する最新ノウハウを活用し、顧客向けの共同Go-to-marketイニシアチブを開発・実行する。
さらに、グローバルカンファレンスであるNVIDIA GTCに参加し、顧客企業の成功事例や新しいソリューション・技術を共有・紹介していく。
第三に、トレーニングと人材育成の強化である。日立は拡大するAI市場において、高度な生成AIスキルを持つ「GenAI Professional」を5万人以上確保するための育成を推進している。
その一環として、NVIDIA提供のDGX Cloud、NVIDIA AI、NVIDIA Omniverseなどの技術における実践的な専門知識を深めるトレーニングプログラムを組み込み、OTとAIの専門家を育成することで、インダストリアルAI市場をリードする人材基盤を強化する。
日立の執行役副社長阿部淳氏は、日立がミッションクリティカルな分野で培ってきたOTとデータに関する深いドメインナレッジを有しており、NVIDIAのGSIパートナーとして唯一無二のソリューションプロバイダーであると自負すると述べた。
また、NVIDIA日本代表の大崎真孝氏は、日立の豊富なOTデータと現場知見をNVIDIAのAIプラットフォームと組み合わせることで、企業のAI活用をさらに深化させ、新たな価値創出を促進すると評価した。
両社の強みを最大限に活かした協業により、業界ごとに最適化されたAIソリューションの構築が加速し、企業の生産性向上と持続的な成長が実現されると想定される。
AI Marketの見解
今回の日立とNVIDIAの協業拡大は、日本企業によるAI市場での戦略的ポジショニングの転換点となり得る。
技術的観点では、日立が長年蓄積してきたOT(制御・運用技術)の専門知識とNVIDIAの最先端AI技術プラットフォームの融合により、従来の汎用AIソリューションでは対応困難な産業特化型AIアプリケーションの開発が可能となる。特に、物理世界とデジタル世界を橋渡しするフィジカルAIの実現において、日立の現場知見は極めて高い価値を持つ。
ビジネス的特徴として、GSIプログラムへの参画により日立は、単なるシステム導入支援から、AIトランスフォーメーション全体の戦略パートナーとしての地位を確立する。
これは従来のシステムインテグレーション事業から、より高付加価値なコンサルティング・ソリューション事業への転換を意味する。また、5万人規模のGenAI Professional育成計画は、日本国内のAI人材不足解決に寄与すると同時に、日立の競争優位性を長期的に確保する戦略的投資として位置づけられる。
今後の市場への影響として、日立の参画により日系企業によるグローバルAI市場での存在感が向上し、欧米IT企業が主導するAI市場における日本の技術的プレゼンス拡大が期待される。
特に製造業、インフラ、エネルギーなどの産業分野において、日本企業が持つ現場運用ノウハウを活かしたAIソリューションの国際展開が加速すると想定される。
参照元:株式会社日立製作所
日立とNVIDIAの協業に関するよくある質問まとめ
- 日立がNVIDIAのGSIプログラムに参画することで、どのような具体的なメリットがありますか?
日立はNVIDIAの最新AI技術やマーケティングプログラムへの優先アクセスが可能となり、共同でのGo-to-market戦略を展開できます。また、NVIDIA AI Enterprise、Omniverseなどの先進プラットフォームを活用した産業特化型AIソリューションの開発が加速し、グローバル市場での競争力が向上します。
- 今回の協業により、日立の既存事業にはどのような変化が生じますか?
日立ビルシステムでのエレベーターメンテナンス業務における生成AI活用や、日立レールでのHMAXソリューション展開など、既存事業のAI化が進展します。また、5万人規模のGenAI Professional育成により、全社的なAI活用能力が向上し、従来のシステムインテグレーション事業からAIトランスフォーメーション支援事業への転換が加速します。

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