デグレとは?原因・デグレード防止策・AI活用のメリット・活用事例・注意点を徹底解説!
最終更新日:2026年03月04日
記事監修者:森下 佳宏|BizTech株式会社 代表取締役

- システムの変更時に既存機能が損なわれる「デグレ」は、ユーザー体験の悪化や信頼性の低下を招き、放置すると技術的負債
- デグレ防止には、コードレビューやナレッジ共有といった開発体制の改善、段階的なリリース、「リグレッションテスト」の導入
- コード生成・解析AIの活用が進んでおり、テストの自動化、異常検知、コードレビュー支援などを通じて、人手では困難だった複雑な依存関係の管理を効率化
アジャイル開発、CI/CDの導入が進む昨今、頻繁なリリースやアップデートに伴い、デグレ(デグレード)のリスクが増大しています。そのため、デグレの発生原因や防止策を理解し適切に対策を講じることが、品質保証や開発効率の向上に直結します。
デグレは、軽微な表示崩れからサービスの信頼性を揺るがす大規模障害まで、様々な問題を引き起こすリスクを内包しています。
この記事では、デグレが発生する典型的なシーンとその根本原因を解き明かし、開発体制の改善からリグレッションテストの導入、そしてコード生成・解析AIを活用した影響範囲の特定や検知の自動化まで、デグレを未然に防ぐための体系的な対策、デグレ防止のためにリグレッションテストにAIを活用している事例を分かりやすく解説します。
ソフトウェア開発や運用の品質を高めたい企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
デグレ(デグレード)とは?

デグレ(デグレード)とは、システムの新規開発や修正により、既存の正常動作部分が壊れる現象を指します。英語の “Degrade”(悪化させる、品質を低下させる)を語源とします。
例えば、ある画面のUIを修正後に別機能の表示崩れが起きた場合や、特定の計算式を修正すると関連処理でエラーが出たなどのケースです。
デグレはリグレッションとも呼ばれますが、リグレッションは機能の不具合に特化した専門用語、デグレは性能やユーザー体験も含めた劣化全般を指す用語として使い分けられていることが一般的です。
特に大規模で複雑なシステムではデグレが発生しやすく、品質低下やユーザー体験の悪化、サービス停止などの重大なトラブルにつながる恐れがあります。そのため、早期の検出と予防が不可欠です。
デグレードの放置が引き起こす問題
デグレは一見軽微な不具合に見えても、対応を怠ることで以下のような深刻な問題に発展する可能性があります。
| 問題 | 長期的な影響 |
|---|---|
| ユーザー体験の悪化 | 表示崩れや動作の不一致が続くと、ユーザーの満足度が低下し、サービス離れを促進 |
| システムの信頼性低下 | 不具合が蓄積するとトラブル対応が常態化し、開発・運用チームの生産性や信頼性が損なわれる |
| 技術的負債の増加 | 新たな機能追加を行い続けると、問題の原因がさらに見えにくくなり、将来的な保守コストが増大 |
| トラブルの連鎖と障害の拡大 | 見無関係に思える不具合が別の機能に波及し、重大な障害やサービス停止が発生 |
デグレは小さな劣化として見逃されがちですが、長期的にはシステム全体の品質とビジネス成果に直結する問題です。
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よくあるデグレードの発生シーンと発生原因

デグレは、システムの仕様変更やバグ修正をはじめとする日常的な開発作業の中に潜んでいます。ここでは、代表的な発生シーンとその背後にある原因を見ていきましょう。
仕様変更・追加開発時
新機能の追加や既存仕様の変更は、システム全体に影響を及ぼし、デグレを引き起こすリスクがあります。例えば、商品購入フローに新しい決済手段を追加した結果、既存の割引クーポンが正常に適用されなくなるケースが挙げられます。
以下が、根本的な原因です。
- 既存機能との依存関係の見落とし
- ドキュメントや設計書の未更新
- テストケースの不備
仕様情報が整備されておらず、連携関係を把握できないまま既存ロジックに影響を与えるケースはよく発生します。例えば、ある機能Aの修正が、その機能を利用している別の機能B、C、Dに意図せず影響を与えてしまうケースです。
システムの規模が大きくなるほど、この依存関係は指数関数的に複雑化します。
また、最新仕様の共有不足により、テスト計画に反映されないまま検証漏れが発生することもあります。さらに、実装者とテスト担当の連携不足により、他機能のテストが不十分になることも少なくありません。
仕様変更や追加開発は一見単純に見えても、影響範囲を正確に把握できない場合は重大なデグレにつながります。
バグ修正時
既存の不具合を修正する際にも、意図しない副作用によって新たなデグレを引き起こすリスクがあります。例えば、数値の丸め処理に関するバグを修正した際に、請求金額の算出ロジック全体に想定外の影響が及び、帳票出力の金額がずれるケースがあります。
以下が主な原因です。
- 原因の誤認識による誤った修正
- ユニットテストや結合テストの欠如
実装者の判断ミスにより、表面的なエラーに対応した結果、他の正常な機能に影響が波及することがよくあります。また、仕様や影響範囲の把握が不十分なまま、検証を省略し、周辺機能の不具合を見逃す場合も少なくありません。
特に、長年運用されているレガシーシステムの改修や、担当者の引き継ぎが不十分な場合にリスクが高まります。
バグ修正という限定的な作業でも、影響範囲を正確に把握しないまま変更を加えると、既存機能の動作を損なうデグレにつながります。
UI/UX改善作業時
画面の見た目や操作性を改善する目的でUI/UXを変更する作業でも、意図せぬデグレが発生することがあります。例えば、検索ボタンの位置やサイズを変更した結果、スマホ画面でボタンが押せなくなったり、意図しない動作が実行されたりするケースが典型的です。
以下が代表的な原因です。
- フロントエンドの構造変更による影響
- 動作仕様の解釈違い
- 画面単位のテスト不足
仕様情報の整備不足により、ボタン配置やDOM構造の変更がJavaScriptのイベント取得やスタイル継承に影響を及ぼすケースが多いです。また、実装者がデザインを優先するあまり、もともとの挙動を変更し、既存操作と異なる動作になる解釈違いも少なくありません。
さらに、実装者とテスト担当の連携不足により、見た目中心の確認に偏り、データ連携やバリデーションなど機能面の検証が漏れるケースもあります。
UI/UXの改善はユーザー体験の向上に直結する一方で、機能との整合性を欠いた変更は既存動作を損なうデグレが生じます。
バージョンアップ・ライブラリ更新時
使用中のフレームワークや外部ライブラリをバージョンアップする際も、既存機能に予期せぬ影響を与え、デグレを引き起こすリスクがあります。具体的には、JavaScriptのライブラリをアップデートした結果、一部の機能が非推奨となっており、動作しなくなるケースがあります。
以下が主な原因です。
- 互換性の変更による不具合
- API仕様の変更
- 依存関係の衝突
環境の変化による影響により、上位互換のバージョンでも挙動の違いに気づかず、既存コードが正常に動作しなくなるケースはよく観察されます。また、更新内容の確認漏れにより、メソッド名や引数の変更が既存処理と合わず、不整合が発生することも少なくありません。
さらに、ライブラリのバージョン選定における認識違いから、依存構成が崩れて実行時エラーが発生することもあります。
ライブラリやプラットフォームの更新は、セキュリティや保守性の向上に不可欠です。しかし、既存機能との整合性を十分に確認しないままアップデートを行うと、想定外のデグレを招きます。
リファクタリング時
リファクタリングは、コードの可読性や保守性を高めることを目的とした内部構造の改善作業です。本来は機能変更を伴わないはずの修正ですが、処理ロジックの微妙な変化や例外ケースの見落としなどにより、意図せぬデグレが発生することがあります。
例えば、重複していた関数を共通関数にまとめた結果、一部の特殊なパラメータに対応できなくなり、エラー発生につながることがあります。
以下が、よくある根本的な原因です。
- 処理ロジックの変更による影響
- 抽象化・統合による特殊ケースの漏れ
- テストの軽視
影響範囲の考慮不足により、振る舞いを変えないつもりの書き換えでもロジックが微妙に変化し、結果にズレが生じるケースはよく発生します。また、要件変更への対応にともなう副作用として、共通化の過程で例外処理が考慮されず、想定外の動作を引き起こすことも少なくありません。
さらに、プログラマーのケアレスミスにより、「動作に影響しない」と判断してテストを省略し、不具合を見逃すミスも生じえます。
リファクタリング時は、影響範囲を過小評価しないよう十分な注意が必要です。
デグレを防ぐための対策は?AIの活用法は?

デグレは、システムの更新や修正に伴って一定のリスクを伴うものですが、適切な対策を講じることで発生頻度や影響範囲の低減が可能です。以下では、デグレを防止するための具体的な対策を紹介します。
開発・管理体制の改善
デグレの多くは、開発プロセスや情報共有の不備から生じます。そのため、以下のような体制の改善が有効です。
- コードレビューの徹底
- ナレッジの蓄積と共有
複数人によるコードチェックを義務付けることで、見落としや設計ミスを事前に発見しやすくなります。ロジックの整合性や副作用の有無を重点的にチェックすることが重要です。
このレビュープロセスにコード生成AIを活用する動きも活発です。 AIが潜在的なバグの指摘やコーディング規約のチェックを自動で行うことで、人間のレビュー担当者は、より本質的な設計思想や仕様の妥当性といった、高度な判断が求められる部分に集中できるようになります。
また、過去に発生したデグレや修正履歴、障害事例をチームで共有することで、コード修正時に同じミスを繰り返さない組織文化を築けます。
このナレッジ共有においても生成AIの活用が有効です。 ドキュメントやナレッジベースをAIに学習させておくことで、開発者が「〇〇機能を修正する際の注意点は?」と自然言語で質問するだけで関連する過去の事例や注意点を要約して提示させることが可能になります。
リリースのコントロール
リリースの進め方を工夫することで、デグレのリスクを事前に抑えられます。具体的には、以下のような手法が有効です。
- カナリアリリースなど段階的リリースの導入
- ベータテストや一部ユーザーへの限定公開など限定的なリリース
- A/Bテストやフィーチャートグル(Feature Toggle)の活用
カナリアリリースは、新バージョンをまずは限られたユーザーや環境に配信し、安定性を確認しながら徐々に対象範囲を拡大する手法です。異常が発見された場合でも、すぐにリリースを停止できるため影響を最小限に抑えられます。
一部の環境やユーザーに限定してリリースすることで重大なデグレのリスクを抑えつつ、安全に新機能を展開できます。
リグレッションテストの導入
リグレッションテストは、システムに変更を加えた際に、既存機能が引き続き正しく動作するかを確認するためのテストです。リグレッションテストでは、以下のテストを実施します。
- 単体テスト(ユニットテスト):個々の関数やメソッドレベルで正しい動作を検証
- 結合テスト:複数のモジュールを組み合わせた際の相互動作を検証
- E2Eテスト(End-to-End):実際のユーザー操作に近い形でシステム全体の挙動を検証
これらを自動化すると、確認漏れの防止や作業負荷の軽減が可能となり、継続的な品質維持につながります。
また、CI/CDパイプラインとの連携により、コード変更のたびに自動テストを実行できるため、デグレの早期発見にも効果的です。
影響範囲分析ツールの活用
仕様やコード変更に伴う副作用を防ぐには、どこに影響が及ぶかを事前に把握することが重要です。そこで有効なのが、以下のような影響範囲分析ツールの導入です。
| 種類 | 概要 | ツール例 |
|---|---|---|
| 静的解析ツール | コードを実行せずに構文や構造を解析し、依存関係やバグの可能性を検出 | SonarQube ESLint |
| 依存関係可視化ツール | クラスや関数間の依存関係を視覚化し、変更の影響範囲を把握 | Lattix Sourcegraph |
| 変更履歴分析ツール | 変更履歴とバグ発生箇所を関連付け、リスクの高い領域を特定 | CodeScene |
影響範囲分析ツールの活用により、人の経験や勘に頼らず、論理的な根拠に基づいてテストやレビュー範囲を決定でき、デグレリスクを最小化できます。
コード生成AIの活用
近年、AI技術、特にコード生成AI技術を活用してデグレの予防や検知を支援する取り組みが広がりつつあります。
具体的には、以下のような活用が可能です。
| AI活用方法 | 具体的にできること |
|---|---|
| テスト支援 | テストケースの自動生成や優先度の自動判定で、効率的なテスト設計が可能に |
| 異常検知 | 過去のエラー傾向やログデータを学習し、通常と異なる挙動を即座に検知 |
| コードレビューの自動化 | AIがコードの品質や設計ミス、セキュリティ上の懸念点を自動で指摘 |
| 変更影響予測 | 変更内容から影響範囲をAIが推定し、テスト対象を最適化 |
| LLM(大規模言語モデル)によるドキュメント分析 | 仕様とコードの不整合を検出し、テスト漏れを防止 |
AIを活用したリグレッションテストも、従来の手動テストや自動テストの課題を解消するアプローチとして注目されています。AI搭載自動テストツール(Autify, MagicPodなど)のほか、ChatGPTやGitHub Copilotのような生成AIを活用し、テストコードの作成や修正を支援する手法も広がりつつあります。
AIを活用したリグレッションテストの特徴は、以下のとおりです。
- 変更点の自動検出・影響範囲の分析が可能
- UIの変化にも柔軟に対応できる自己修復型テストを実現
- ノーコード・ローコードツールにより、専門知識がなくてもテストシナリオを構築可能
AIはリグレッションテストに必要な人的リソースを削減しつつ、テストの網羅性と継続的な品質向上を実現します。特に、変更の多いソフトウェア開発において、スピードと品質を両立する手段として有効です。
一方で、AIが生成したテストコードの品質評価や、複雑なビジネスロジックの完全な理解には、依然として人間の専門家によるレビューが不可欠です。AIを鵜呑みにせず、人間の知見と組み合わせることが成功の鍵となります。
AIにより、人手では難しかった大量のコードや複雑な依存関係の管理が容易になり、デグレ防止の精度とスピードが飛躍的に向上します。特に、リリース頻度が高いプロジェクトや大規模システムには、AIの導入が有効です。
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デグレード防止のためにAIができることは?

デグレード防止のためのリグレッションテストにAIを活用することで、従来の課題である人的負荷・保守コスト・対応スピードの限界を克服できます。以下では、リグレッションテストにAIを活用する具体的な方法を紹介します。
ビジュアルリグレッションテスト
ビジュアルリグレッションテストは、UIの「見た目の変化」を検出することに特化したテスト手法です。画像認識AIがCSSの微細な変更やレイアウト崩れを自動的に検出し、視覚的なバグを未然に防ぐのに役立ちます。
AIは正常な状態のスクリーンショットを学習し、テスト実行時の画面と比較して、人間では気づきにくいわずかな差異を自動で検出します。
具体的には、以下のような方法で活用可能です。
- UI変更の自動検出と通知:AIがビジュアルの差分を検出し、変更箇所をハイライトして通知
- CSS・レイアウト崩れの検出:ボタンのズレや文字の重なりなど、視覚的な問題を自動で検出
- クロスブラウザ・クロスデバイスでの見た目チェックの自動化:異なる環境での表示差異をAIが自動で確認
- ピクセル単位と構造単位のダブルチェック:ピクセル比較とDOM解析で、微細なUIの違いも検出
従来は目視によるチェックに頼っていたUI品質の確認作業が大幅に効率化され、安定したUXを提供できるようになります。
UI変更に伴うテストスクリプトの自己修復機能
UIが頻繁に変更される開発現場では、セレクターやIDの変更によってテストスクリプトが破損し、メンテナンス負荷が増大します。「ボタンのデザインやIDが少し変わっただけで、テストが失敗してしまう」という経験は、多くの担当者がお持ちでしょう。
こうした課題は、AIによる自己修復機能を備えたテスト自動化ツールの導入により解決できます。AIを搭載したテスト自動化ツールは、オブジェクトの見た目や構造的な特徴を学習します。
これにより、開発者がUIの要素(IDやクラス名など)を変更しても、AIが「これは以前の『ログインボタン』と同じものだ」と賢く判断し、テストスクリプトを自動的に修正(自己修復)してくれるのです。
具体的には、以下のような方法で活用可能です。
- DOM構造や画面要素の変更解析:LLM(大規模言語モデル)がHTMLのDOM構造や属性、周囲の文脈を解析し、変更前後の要素を自動で対応づけ
- 類似要素の自動特定:テキスト・位置・属性・ラベルなどを基に、意味の近い要素をAIが推測してテスト継続
AIにより頻繁なUI変更にも強く、保守コストを抑えつつ継続的な自動テストを実現できます。
テストケースの自動生成
「どのテストケースを実行すべきか?」という判断は、リグレッションテストにおいて非常に重要です。テストケースが多すぎれば時間を浪費し、少なすぎればバグを見逃すリスクが高まります。
コード生成AIを活用することで、ソフトウェアの仕様・コード構造・過去のテスト履歴を解析し、必要なテストケースを自動生成できます。アプリケーションの変更内容(ソースコードの差分)をAIが解析し、その変更が影響を及ぼす可能性のある範囲を特定。実行すべきリグレッションテストのケースを自動的に絞り込んでくれます。
具体的には、以下のような方法で活用可能です。
- 仕様書やユーザーストーリーからの自動抽出:自然言語で書かれた仕様から、機能ごとの入力・出力を自動抽出し、テストケースを生成
- 変更履歴やバグ情報からの優先度付きテスト設計:過去の不具合や変更箇所を分析し、リスクの高い部分を優先してテスト設計
AIによるテストケースの自動生成により、抜け漏れを防ぎつつ網羅的な設計が可能となり、テストの質とスピードを両立できます。
テストスクリプトの自動生成
テストスクリプトの自動生成は、コード生成AIを活用したリグレッションテストの中でも特に効率化が期待できます。
具体的には、以下のような活用が可能です。
- UIを操作してシナリオを記録し、自動でスクリプト化:AutifyやTestimでは、ブラウザ操作を録画するだけでテストコードを自動生成
- 自然言語からのスクリプト生成:ChatGPTやCodeWhispererなどで、PythonやJavaScriptのコードを自動生成
- 変更検知によるスクリプトの自動更新:UIやコードの差分をAIが検出し、影響箇所のみ自動で修正・再生成
AIによるテストスクリプトの自動生成は、手間のかかるコーディング作業を削減し、開発サイクル全体の効率化と品質向上に大きく貢献します。
テスト結果の分析
コード生成・解析AIを活用すると、テスト結果のログやエラーパターンを解析し、原因特定や修正の優先順位付けを効率化できます。その結果、テスト結果の可視化と分析の精度が向上し、品質改善のサイクルの加速につながります。
テスト結果の分析では、以下のような方法で活用可能です。
- 失敗パターンの自動分類と傾向分析:AIが類似エラーを自動でグルーピングし、原因別に可視化
- 偽陽性のフィルタリング:影響のない一時的な失敗をAIが自動判定・除外
- 修正候補の提示・レコメンド:過去の修正履歴やコード変更をもとに、具体的な修正候補をAIが提示
特に大規模なテストや頻繁なリリースが求められる開発環境では、高速なフィードバックループの構築につながります。
さらにAIは、過去のテスト結果と本番環境での障害発生データを関連付けて学習します。これにより、『この種のテスト失敗は重大な障害につながる可能性が高い』といったリスク予測を行い、リグレッションテストの実行計画を動的に最適化する、といった自律的な活用も始まっています。
CI/CDパイプラインへの組み込み
リグレッションテストを継続的に行うためには、CI/CDパイプラインとの統合が不可欠です。AIを活用することで、テストの実行・分析・修正提案までを一気通貫で自動化できます。
以下が、活用例です。
- コードのプッシュやマージをトリガーにAIテストを自動実行:GitHub Actionsなどと連携し、コード変更ごとにAIが自動でリグレッションテストを実行
- AIによる動的テスト選定の組み込み:変更内容に応じて必要なテストだけをAIが選別
- テスト結果とデプロイ判断の連携:AIがテスト結果を分析し、デプロイの可否を自動判定
AIを組み込んだCI/CD運用は、高速かつ安定したリリース体制の構築に役立ちます。
デグレ防止のためのリグレッションテスト×AIの活用事例
すでにリグレッションテストにAIを活用している企業も見られます。以下では、リグレッションテストとAIの活用事例を紹介します。
テストAIエージェントで開発速度と品質の向上を実現【三菱UFJ eスマート証券】

三菱UFJ eスマート証券株式会社では、ネット証券は市場の変化が激しく、迅速なデリバリーが求められる一方で、品質を軽視すれば顧客に直接的な影響が及ぶため、スピードと品質のバランスに常に課題を感じていました。
そこで、リリーススピードと品質を両立させるために、オーティファイ株式会社が開発したテスト自動化ツール「Autify」を導入しました。
従来、Webサイトの約2,000箇所に及ぶ修正をテストする必要がありましたが、Autifyの導入により画面遷移シナリオを自動化し、差分やエビデンスの取得を効率的に実現しました。また、URLの法則に基づく一括テストや、全画面チェックによる影響範囲の自動検知など、開発環境の保守作業も大幅に省力化されています。
Autifyは誰でも扱えるノーコード型のため、作業の正確性とスピードを維持しつつ、リリース対応時の出勤人数削減や工数短縮にも貢献しています。
リグレッションテストの自動化で重大なインシデントを抑制【UPSIDER】

株式会社UPSIDERでは、決済サービスにおける品質維持とリリースの安定性を高めるために、株式会社MagicPodが開発するテスト自動化AIツール「MagicPod」を導入しました。従来はリグレッションテストが定期的に行われず、リリース後に不具合が発覚する事態もありましたが、MagicPodの活用によりテスト体制が大きく改善されました。
導入後、開発チームとQAチームが連携してリグレッションテストの自動化に取り組み、現在では22件のテストケースが毎晩自動実行され、結果はSlackで即時共有される体制が整っています。
ユーザーの利用限度額設定やデータの不整合といったリスクの高い不具合をリリース前に検知できるようになり、重大なインシデントの未然防止に成功しています。また、画像差分チェック機能やメールテスト機能なども活用し、手動では対応しきれなかった領域の品質保証も実現しました。
デグレについてよくある質問まとめ
- デグレはなぜ発生してしまうのですか?
デグレは、主に以下のような日常的な開発シーンで発生します。
- 仕様変更・追加開発時: 既存機能との複雑な依存関係の見落としが原因。
- バグ修正時: 修正による副作用の考慮が不十分な場合に発生。
- UI/UX改善作業時: 見た目の変更が、機能面の動作に意図せず影響を及ぼす。
- ライブラリ更新時: 新バージョンとの互換性の問題で既存コードが動かなくなる。
- リファクタリング時: コード改善の過程で、元の処理ロジックを意図せず変更してしまう。
- デグレを防ぐには、どのような対策が有効ですか?
デグレを防ぐためには、以下のような体系的な対策が有効です。
- 開発・管理体制の改善: コードレビューの徹底や、生成AIを活用したナレッジ共有を行う。
- リリースのコントロール: 一部のユーザーから段階的に公開する「カナリアリリース」などを導入する。
- リグレッションテストの導入: システム変更後に既存機能の動作を再確認するテストを自動化する。
- 影響範囲分析ツールの活用: 静的解析ツールなどを使い、変更が及ぼす影響範囲を事前に特定する。
- コード生成AIの活用: テスト支援、異常検知、コードレビューなどをAIで自動化・効率化する。
- デグレ対策にAIを導入するメリットは何ですか?
AIを活用することで、テストケースの自動生成、異常検知、コードレビューの効率化などが実現し、人的ミスの削減と品質向上につながります。継続的インテグレーション(CI)との組み合わせにも有効です。
まとめ
デグレは、機能追加や修正に伴って既存機能が意図せず壊れてしまう品質劣化のリスクであり、開発・運用現場で頻繁に発生しえます。しかし、その発生原因を理解し、開発体制の改善やリグレッションテストの導入、影響範囲分析ツールの活用といった対策を計画的に講じることでリスクは大幅に管理できます。
特にコード生成・解析AIの活用は、テストケースの自動生成やコードレビューの支援など、従来の手法だけでは限界があった領域の品質と効率を大きく向上させる可能性を秘めています。
もし自社の開発プロセスに最適なデグレ対策や具体的なAIツールの選定・導入方法についてお悩みの場合は、専門的な知見を持つパートナーへの相談が有効です。現状の課題を整理し、より効果的な品質保証体制を構築するための第一歩として、ぜひお気軽にご相談ください。

AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、現場のお客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を5年以上実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応し、参加累計5,000人を超えるAIイベントを主催。AIシステム開発PM歴8年以上。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。(JDLA GENERAL 資格保有)
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