Amazon Lexとは?AWSとの連携・AIチャットボット作成手順・メリット・活用例を徹底解説!
最終更新日:2024年09月23日
AIを活用したチャットボットの導入が企業の競争力強化に欠かせない時代となっています。Amazonが提供するWebサービスの1つAmazon Lexは、音声を活用した会話型のインターフェースを簡単に作成できるツールとして、国内外のさまざまな企業に活用されているサービスです。特に、生成AI機能が追加されたことにより、注目度も増しています。
プログラミングの知識がなくても高度なチャットボットを作成できるAmazon Lexは、顧客サービスの向上や業務効率化を目指す企業にとって、強力なツールとなり得ます。
対話型AIと言うと、ChatGPTを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、Amazon Lexも非常に高精度なチャットボットを構築することが可能なサービスです。
この記事では、Amazon Lexの基礎知識やメリット・チャットボットの作成方法・活用シーン例を解説します。Amazon Lexを実際に使おうか迷っている方、気になっている方はぜひ参考にしてみてください。
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目次
Amazon Lexとは?
Amazon Lexは、AWS(Amazon Web Services)が提供する、AIの自然言語処理技術を利用したサービスで、AIチャットボットや音声認識システムなど会話型インターフェイスを構築するためのツールです。Amazon Lexのアプリケーションのみで会話型インターフェースの作成が可能で、AIシステム開発をフルマネジメントでサポートしてくれます。
テキストの認識には自然言語理解(NLU)、音声からテキストへの変換は自動音声認識(ASR)といったディープラーニングが活用されています。更に、2023年からは生成AIの機能が活用されており、より高精度な認識機能を持ち、さらに音声やテキストを介した自然な会話ができるチャットボットを簡単に作成できるようになっています。
Amazon Lexはインターフェースのデプロイまで対応するため、オムニチャネルの構築にも手間がかかりません。基本的な会話フローを指定するだけで、ボットが自動的に会話を管理し、レスポンスを調整します。深い知識がなくてもチャットボットが作成できるAIサービスとして、多くの企業やユーザーに選ばれています。
Amazon Lexの料金
Amazon Lexは従量課金制となっていて、サービスを利用した分だけ料金がかかる料金制度です。初期費用・月額料金はかかりません。
Amazon Lexの料金は以下の通りです。
リクエスト内容 | 料金 |
---|---|
音声 | 0.004 USD/リクエスト |
テキスト | 0.00075 USD/リクエスト |
リクエストに対する応答を1回とカウントし、リクエスト回数に応じて料金が発生します。
また、Amazon Lexは無料で試用することも可能です。利用を開始した日から最初の1年間は、1か月で最大 10,000回のテキストリクエストと5,000回の音声リクエスト・音声間隔処理ができます。
最初の2か月間は1ヶ月あたり2時間のトレーニングも可能で、自動チャットボットデザイナーを利用できます。そのため、自分好みのチャットボットを作成できるようになります。
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Amazon Lexのメリット
Amazon Lexには、主に3つのメリットがあります。チャットボットの作成ツールとして利用を検討している方は、Amazon Lexのメリットを押さえておきましょう。
独自のチャットボットを簡単に作成できる
Amazon Lexでは、独自のチャットボットを簡単に作成できます。会話型インターフェースの作成に効果的なコンソールが提供されていて、それによって会社のニーズに適したチャットボットの作成が可能です。そして、Amazon Lexのコンソールでは、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用してボットを作成できます。コーディングは不要で、数クリックでボットを設定できます。
チャットボットのインターフェースはカスタマイズ可能で、業務プロセスに最適な対話フローを構築できます。作成段階での設定を調整するだけで、音声やテキストに対応する自然言語処理モデルを作成できます。専門的な知識がなくてもチャットボットを利用できるのが、Amazon Lexの特徴です。
複数種類チャネルでのデプロイが容易
Amazon Lexは、オムニチャネルでのデプロイが容易で、さまざまなプラットフォームで一貫したユーザーエクスペリエンスを提供できます。Webサイトやモバイルアプリ、SNSなど複数のチャネルで同じチャットボットを利用することが可能です。
ユーザーはどのチャネルを利用しても同じ品質の対話体験を得ることができるため、サービスの品質が安定します。また、FacebookやSlackなどのツールに対応したチャットボットにスケーリングすることも可能です。これにより、ビジネスの成長に合わせてチャットボットの利用範囲を拡大できます。
AWSのサービスとシームレスに統合できる
AWSではさまざまなWebサービスを提供していて、それらのサービスとAmazon Lexはシームレスに統合できます。
Amazon DynamoDB、Amazon Lambda、Amazon S3、Amazon CloudWatchといったAWSと統合することで、Amazon Lexで作成したチャットボットのストレージ管理、モニタリング、セキュリティなどをサービス品質を向上させることが可能です。
- AWS Lambda:既存のエンタープライズアプリケーションやデータベースと簡単に統合
- Amazon CloudWatch:ボットのパフォーマンスと運用データを監視・分析
- Amazon DynamoDB:ボットがユーザーとの対話履歴やセッション情報を効率的に保存・取得
- Amazon Cognito:ユーザー認証とアクセス管理
- Amazon Polly:音声対応のアプリケーションを構築し、ユーザーに対する音声応答を提供
Amazon LexはAWSの豊富なサービス群と統合することで、より強力なチャットボットを構築し、運用できるようになります。
APIを使える
Amazon LexにはAPIがあります。これらのAPIを使用することで、チャットボットの作成、管理、および実行が可能です。APIを利用することで、より柔軟で高度なチャットボットソリューションを構築することができます。
Amazon Lexは、V1とV2の2つのバージョンが存在し、それぞれに異なるAPIが提供されています。
Amazon Lex V1 APIは、チャットボットの作成、管理、および実行に必要な機能を提供します。Amazon Lex V2 APIは、V1に比べて新しい機能が追加され、より柔軟で強力なインターフェースを提供します。V2 APIは、複数の言語をサポートし、1つのボットで複数の言語を扱うことができるなど、生産性を向上させるアップデートが含まれています。
関連記事:「チャットボットのAPIとは?おすすめ製品・活用メリット・導入注意点を徹底解説!」
Amazon Lexでチャットボットを作成する方法
Amazon Lexでチャットボットを作成するには、以下の手順に沿って進める必要があります。Amazon Lexでチャットボットを作成するには、AWSのアカウントを持っていなければいけません。
ここではアカウントを持っていることを前提に説明します。
Amazon Lexコンソールにアクセス
AWSマネジメントコンソールにサインインし、Amazon Lex V2のコンソールを開きます。
ボットの作成
「ボットを作成」をクリックし、ボットの基本情報を入力します。ボット名や説明を設定し、IAMロールを選択します。IAMロールは、Amazon Lexが他のAWSサービスにアクセスするために必要です。
言語の設定
使用する言語を選択します。日本語を含む複数の言語に対応しています。必要に応じて音声モデルを選択することもできます。
インテントの作成
インテントは、ユーザーが実行したいアクションを表します。必要なインテントを作成し、インテントに関連するスロット(ユーザーから取得する必要のある情報)を設定します。
例えば、予約システムであれば「日付」や「人数」などがスロットになります。
チャットボットがどんな会話をしてほしいのか、どんな情報を引き出したいのか設定することで、ユーザーに最適な質問を投げかけることが可能です。
設定では、質問のプロンプトが事前にあります。それらのプロンプトの編集・追加を行い、ユーザーニーズを満たす会話ができるように設定します。プロンプトの編集・追加では、以下の項目を入力する必要があります。
- プロンプト名
- スロットタイプ
- プロンプト
これらの手順を通じて、チャットボットがユーザーの意図を汲み取れるようなチャットボットに設定することが可能です。
フルフィルメントの設定
インテントがトリガーされた際に実行されるアクションを定義します。AWS Lambdaを使用して、外部システムとの連携やデータ処理を行うことができます。
会話の内容や目的(インテント)を設定する
チャットボットの基本情報を入力したら、ユーザーとの会話内容や目的(インテント)を設定します。
完成したチャットボットをテストする
インテントやスロットの設定が完了したら、チャットボットをテストして正しく動作するか確認します。実際のユーザーとのやり取りをシミュレーションし、設定に問題がないかを検証する工程です。
テストでは実際にテキストや音声で質問し、それに対してチャットボットが回答してくれます。会話が終わったら「検査」をクリックし、会話内容に適したインテントを引き出せているか確認できます。応答にミスがあれば、再度設定が必要です。
すべての機能が正常に動作していることを確認したら、テスト終了となり、チャットボットを本番環境にデプロイする準備が整います。
チャネルの統合
作成したボットをWebサイトやモバイルアプリ、SNS(例えばSlackやFacebook Messenger)と統合します。これにより、ユーザーは様々なプラットフォームでボットを利用できます。
Amazon Lexの活用シーン5選
Amazon Lexは、さまざまな業界や用途で活用することが可能です。オムニチャネルのデプロイメントが容易である点から、主に以下のシーンで利用されています。
カスタマーサポートの支援
Amazon Lexで自動化されたチャットボットを導入することで、カスタマーセンターで効果的なサポートが期待できます。例えば、よくある質問(FAQ)に対する自動応答や、注文状況の確認、アカウント情報の変更など、さまざまなタスクを自動化することが可能です。
チャットボットは24時間365日稼働できるため、顧客はいつでもサポートを受けられ、従来のサポートスタッフの負担を軽減できます。また、チャットボットが初期対応を行うことで、顧客の待ち時間短縮にも貢献するでしょう。
顧客の利便性や満足度を向上させるためには、カスタマーサポートの充実が重要です。その点で、Amazon Lexは独自のチャットボットで迅速なカスタマーサポートができます。
アプリケーションでの音声認識
Amazon Lexでは音声認識技術を活用することで、アプリケーションに音声インターフェースを搭載できます。これにより、ユーザーは音声で対話することが可能で、操作の利便性が向上します。
ナビゲーションアプリで音声コマンドを使用して目的地を設定したり、メッセージアプリで音声からテキストに変換して入力など、ハンズフリーでの操作が可能になります。運転中や作業中など、手が離せない状況でも利用可能です。
AIの自然言語処理による高精度な音声認識によって、直感的なユーザーエクスペリエンスを提供します。
自社特化のエンタープライズボット
Amazon Lexでは、自社特有のニーズに応じたエンタープライズボットを開発することが可能です。質問のプロンプトが設定できるため、独自のチャットボットを作成できます。
例えば、福利厚生や休暇申請に関する質問に自動で回答するボットを導入することで、従業員のサポート業務を効率化できます。また、経費報告や支払い状況の確認など、日常的なタスクを自動化することも可能です。
エンタープライズボットは、企業の既存のシステムと統合することができ、データの一貫性とアクセスの効率性を確保します。従業員が自然な言葉でチャットボットとやり取りできるため、ユーザーエクスペリエンスも向上します。
予約システムの自動化
Amazon Lexを使用すると、ホテルやレストランの予約システムを自動化できます。ユーザーは音声またはテキストを介して予約を行うことができ、ボットは必要な情報(例:予約日、時間、人数など)を収集します。
企業側は予約管理の効率化を図ることができ、ユーザーに対して一貫した高品質なサービスを提供することができます。
CRMシステムと連携しユーザータスクを自動化
Amazon Lexは、CRMシステムと統合することで、マーケティング活動を自動化できます。Amazon Lexを使用して顧客情報を収集し、CRMシステムに自動的に保存できます。
例えば、ユーザーが住所変更を希望する場合、ボットが新しい住所を尋ね、その情報をCRMシステムに更新します。さらに、マーケティングキャンペーンを実施する際には、ボットが自動的に顧客にキャンペーン情報を提供し、参加希望者の情報を収集します。これにより、キャンペーンの管理が効率化されます。
また、顧客からの問い合わせに対して、ボットが自動で対応し、必要な情報を提供します。複雑な問い合わせについては、適切な担当者にエスカレーションすることも可能です。
Amazon Lexについてよくある質問まとめ
- Amazon Lexとはどんなサービスですか?
Amazon Lexは、AWS(Amazon Web Services)が提供する、チャットボットや音声認識システムを構築するためのツールです。
- Amazon Lexでチャットボットを作成する手順は?
Amazon Lexのチャットボットは、以下の手順で作成できます。
- AWSのアカウント作成
- チャットボットの情報を入力する
- 会話の内容や目的(インテント)を設定する
- 完成したチャットボットをテストする
まとめ
Amazon Lexはチャットボットの作成ツールとして優秀で、初心者でも自社のニーズに最適なチャットボットを構築できます。
カスタマーサポート、音声認識アプリケーション、エンタープライズボット、予約システム、CRMとの連携など、幅広い分野での活用が期待できます。Amazon Lexを導入することで、顧客サービスの向上や業務プロセスの効率化を実現し、企業の競争力強化につながる可能性があります。
チャットボットの構築を検討している方は、Amazon Lexを使ってみるのも良いかもしれません。無料トライアル期間もあるため、まずは自社のニーズに合わせて試してみることもできるでしょう。
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