AIエージェントとチャットボットの違いとは?業務部門ごとの使い分け方まで徹底解説!
最終更新日:2025年12月14日

- AIエージェントとチャットボットの決定的な違いは自律性
- エージェントのLLMは外部システムを操作する意思決定エンジンとして機能し、チャットボットのLLMはテキストで回答を生成するRead-Only型
- AIエージェントは、レポート作成、請求処理、属人化した複雑な業務プロセス全体の自動化など実行と判断が伴う課題解決に必須
チャットボットは、顧客対応や業務効率化において欠かせないツールとして、多くの企業で活躍しています。近年は、AIが自律的に調査から判断、実行まで担う「AIエージェント」が登場し、チャットボットよりもさらに高度な自動化が実現しつつあります。
とはいえ、「高性能なチャットボットとAIエージェントは何が違うの?」などの疑問があり、どちらを導入すべきか迷っている方もいるでしょう。
本記事では、AIエージェントとチャットボットの違いについて、単なる機能比較に留まらず、アーキテクチャの視点から紹介します。また、違いを踏まえて、ビジネスでの最適な使い分け方も解説します。
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目次
AIエージェントとチャットボットの違いは?


AIエージェントは計画から実行、自己修正までを行える自律型アプリケーションであるのに対し、チャットボットは情報検索APIの機能にとどまる点が大きな違いです。
以下では、AIエージェントとチャットボットの違いを詳しく紹介します。それぞれがビジネスにおいて、どのような異なる役割を持つのか見ていきましょう。
自律性
AIエージェントとチャットボットは、以下のように行動の主導権を持つ先が明確に異なります。
| 特徴 | AIエージェント (AI Agent) | チャットボット (Chatbot) |
|---|---|---|
| 自律性 | 高い(自律的な判断・タスク実行) | 低い(ユーザーからの指示に対する受動的な応答) |
| 役割 | 目標達成のための能動的な「実行者/パートナー」 | 対話を通じた受動的な「応答者/インターフェース」 |
| 機能 | 複数ステップの複雑なタスクの分解・実行・外部連携 | 定型的な質問への回答、情報検索、要約、文章生成 |
| 目的 | 業務プロセス全体の自動化、複雑な問題解決 | 問い合わせ対応の効率化、情報提供、簡単なタスク支援 |
AIエージェントは、与えられたゴールに対して、タスク分解→必要な手順を計画→外部ツールで実行→次のアクションを判断するといった自律的なワークフローを備えています。そのため、ユーザーが都度指示を出さなくても、目的達成に必要な作業を自律的に前へ進めることが可能です。
一方でチャットボットは、ユーザーの質問に答えることで情報を補完する仕組みのため、自ら次の行動を起こすことはできません。
LLMの役割
AIエージェントとLLM(大規模言語モデル)搭載のチャットボットは、LLMが持つ役割という観点で以下のような違いがあります。
- AIエージェント:目的達成に向けて判断し、必要に応じて外部ツールを使って実行する
- チャットボット:ユーザーの発話を読解し、テキストで回答することに役割が限定される
AIエージェントにとって、LLMはただ発話を読解し、回答を生成する存在ではありません。問い合わせ内容や状況に応じて行動を判断し、外部ツールを使い分けながらタスクを遂行する意思決定エンジンとして機能します。
AIエージェントの判断と道具活用を支えているコア技術が、Function Calling(関数呼び出し) です。LLM自らが今は検索すべきか、計算すべきか、それともメール送信やシステム操作を行うべきかを判断し、適切な関数やAPIを呼び出して実行します。
一方でチャットボットのLLMは、ユーザーの入力を読み解き、適切な回答を要約して返すことに特化したRead-Only型です。データベースやAPIにアクセスする場合でも、回答に必要な情報を取得するだけで内部システムの操作やツール実行は行いません。
LLMの役割の違いを理解することで、チャットボットとAIエージェントをどの業務にどう使い分けるべきかが明確になり、目的に応じた最適な活用・設計ができます。
思考サイクル
AIエージェントとチャットボットは、以下のように思考サイクルが本質的に異なります。
- AIエージェント:複数ステップの思考サイクルを回し、タスクを継続的に進める
- チャットボット:1ステップの単発応答で完結し、回答生成に特化する
AIエージェントは、計画 → 実行→ 自己修正のサイクルを自律的に回すアーキテクチャを持っています。情報収集→分析→作成→登録→共有といった試行錯誤が前提となる業務を、人の代わりに継続的に回し続けられます。
一方、チャットボットは、1ステップで回答を生成する単発型の応答フローです。問い合わせ内容を読み取り、FAQや学習済み知識をもとに最適なテキストを返すことに特化しています。
そのため、検索や確認、要約といった短い完結タスクに最適です。
単発応答に最適化されたチャットボットとは異なり、AIエージェントは継続的に考え続けられるため、調査・分析・作業実行が連動する複雑な業務を担えます。
連携性
横断的な業務実行を担うAIエージェントと会話中心のチャットボットでは、以下のように外部システムとの連携範囲が大きく異なります。
- AIエージェント:CRMやERP、グループウェアなど複数システムを横断的に操作できる
- チャットボット:会話を中心に必要な情報を取得するのみで、外部連携は限定的
AIエージェントは、関数呼び出し機能やAPI実行を組み合わせることで、外部アプリや社内システムを直接操作します。
そのため、顧客情報の取得から見積作成の更新、日報作成など、複数ツールにまたがる処理をひとつのワークフローとして自律的に実行できます。例えば、Salesforceでリード情報を更新し、その内容をOneDriveに保存してSlackへ通知するといった横断的な業務もまとめて操作します。
さらに、エージェント間同士の連携も可能です。
一方、チャットボットにおける外部システムとの連携は、情報取得のための限定的なAPI呼び出しにとどまります。内部システムの更新や、複数サービスをまたいだ業務プロセスは実行できません。
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【課題別】AIエージェントとチャットボットの使い分け方


ここからは、AIエージェントとチャットボットの違いを踏まえて、企業が抱える課題に応じた使い分け方を紹介します。また、現状はチャットボットで十分なのか、エージェントによる業務実行が必要なのかを適切に判断するための基準も解説します。
定型的な問い合わせ業務を効率化したい場合はチャットボット
定型的な問い合わせの効率化を目的とする場合は、あえてAIエージェントを使わず、チャットボットを導入するほうが安全です。質問→回答のパターンが決まっている場合は、単発応答に特化したチャットボットのほうが安定性とコストの面で適しています。
チャットボットは、外部システムを直接操作しないうえに複数段階に及ぶ思考プロセスがなく、回答するだけで完結します。
一方、AIエージェントはAPIがエラーを返した際、ゴール達成を優先するあまり、勝手な解釈をし、強引に間違ったデータを投入するリスクがあります。
つまり、回答内容が一定で、システム操作を伴わない問い合わせ業務であれば、回答に特化したチャットボットのほうが最適です。
社内ナレッジやマニュアルへのアクセス性を高めたい場合はチャットボット
社内ナレッジやマニュアル、FAQなどへのアクセス性を高めたい場合も、チャットボットのほうが適しています。チャットボットはFAQや社内ドキュメント、マニュアルを横断検索し、必要な情報を瞬時に返せるため情報アクセスの効率化に有効です。
また、チャットボットにWeb検索やCode Interpreterなど高度な分析機能の使用権限を与え、より複雑な調査業務を行う「読み取り専用エージェント」として活用する方法も一つです。システム操作のリスクを避けつつ、情報収集力の強化だけを実現できるため、安全性と実用性のバランスを取れます。
導入することで社員が必要な情報を探す手間が減り、日常業務のスピード向上や問い合わせ削減につながります。そのため、「まずはAI活用を小さく始めたい」という企業にも取り入れやすい領域です。
社内の業務プロセスそのものを自動化したい場合はAIエージェント
社内のレポート作成や請求処理、システム入力、資料作成など、業務プロセスを自動化したい場合はチャットボットではなくAIエージェントの導入が必須です。業務を実行する能力はチャットボットにはなく、回答生成の範囲にとどまります。
一方、AIエージェントは複数のシステムを横断しながら必要なデータを取得・処理し、正確かつ自律的に業務全体を遂行できます。例えば、問い合わせ対応では、データ登録や資料作成、ステータス更新など、付随する作業も含めて、業務プロセスそのものを代行できます。
AIエージェントを導入することで、業務の自動化が進み、生産性向上が期待できます。
属人化した業務を丸ごと自動化したい場合はAIエージェント
ベテラン社員しか把握していない業務プロセスや判断基準を再現したい場合も、AIエージェントの導入が効果的です。属人化した業務は、担当者の経験や判断に依存しており、新人では対応が難しいケースが多く発生します。
その点、AIエージェントは、暗黙知となっている手順をタスクとして形式化し、熟練の判断を伴う一連のプロセスとして再現できます。
また、担当者によって差が出る作業品質を均一化できるため、標準化や引き継ぎなど属人化特有の課題も解消できます。その結果、特定の担当者に依存して停滞していた業務が組織全体で再現可能になり、スケールしやすく、安定した運用が実現します。
特に、判断基準が複雑な業務ほどAIエージェントの導入効果が大きくなります。
関連記事:「AIエージェントの開発方法・手順を解説!必要な技術や代表的フレームワーク、注意点徹底ナビ」
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AIエージェントとチャットボットの違いについてよくある質問まとめ
- チャットボットとAIエージェントはどちらを先に導入すべきですか?
回答タスクがメインならチャットボット、本格的な業務自動化を目指すならAIエージェントが適しています。
具体的には、問い合わせ削減など、まずは安全な領域からAIを使いたい場合はチャットボットが最適です。
一方、システム操作・登録作業など、人の代わりに業務を実行させたい場合はAIエージェントが必須です。
- AIエージェントはどの業務から導入すると効果を感じやすいですか?
データ入力、レポート作成、ステータス更新、資料作成など「単純作業 × 分量が多い業務」から始めると効果が出やすいです。
これらは工数が大きく、ミスも起きやすいため、エージェントによる自動化のメリットが大きく表れます。
- LLMはAIエージェントとチャットボットでどのような異なる役割を果たしますか?
- AIエージェント: LLMは問い合わせ内容や状況に応じて行動を判断し、Function Callingなどを用いて外部ツールを操作しタスクを遂行する意思決定エンジンとして機能します。
- チャットボット: LLMはユーザーの入力を読み解き、適切な回答を要約して返すことに特化したRead-Only型であり、内部システムの操作やツール実行は行いません。
- 社内の業務プロセスそのものを自動化したい場合はどちらが適していますか?
AIエージェントの導入が必須です。業務を実行し、複数のシステムを横断しながらデータを取得・処理し、全体を遂行する能力はチャットボットにはなく、回答生成の範囲に留まります。
まとめ
AIエージェントとチャットボットは、どちらもLLMを基盤としていますが、「情報を返す存在」(チャットボット)と「業務を実行する存在」(AIエージェント)として、その役割と機能は明確に異なります。
チャットボットは、情報検索や定型的な問い合わせ対応など、単発応答で完結するタスクにおいて、安定性とコスト効率の点で依然として最適な選択肢です。一方でAIエージェントは、複数システムを横断し、自律的な判断を伴う複雑な業務プロセスや、属人化されたノウハウの再現・自動化に不可欠な技術です。
業務の実行が必要か、情報提供で事足りるかを軸に、両者を組織内で適材適所に共存させることが、AI投資の費用対効果を最大化する鍵となります。
しかし、自社の業務を深く分析し、AIエージェントにどこまで自律性を与えるか、既存システムとどのようにセキュアに連携させるかといった判断には専門的な知見が必要です。
業務プロセス全体の自動化・効率化について、さらに詳細な知識や知見が必要な場合は、ぜひお気軽にご相談ください。


AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、お客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。
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