コールセンターでのAI導入事例8選!自動応答・音声認識・チャットボットで効率アップ
最終更新日:2024年09月23日
コールセンターへのAI(人工知能)導入は、コスト削減、自動応答による業務効率化、問い合わせ件数削減、業務の平準化などさまざまなメリットがあることは既に周知の事実となっています。
カスタマーサービスが非生産的業務とみなされていた時代とは打って変わって、顧客とのファーストコンタクトから企業戦略は始まっています。
しかし、「自社に」どのAIサービスを導入すれば課題を解決できるのか、となると決め手となる基準がわからない方が多いようです。
今回は、コールセンターが抱えている課題に適したAIサービスが見つかるよう、コールセンター業務におけるAIサービスの内容や他社の導入事例をご紹介。ぜひお読みください。
なお、AI Marketでは、AI開発会社の選定サポートや最適な開発会社の紹介を行っています。
AI開発会社の選定に迷ったり、依頼方法がわからなかったら、AI Marketの専門のコンサルタントが御社に最適な開発会社の選定を無料でサポートしますので、いつでもお気軽にご相談ください。
目次
コールセンターが抱える問題とは?
AIサービスを導入・開発するために、コールセンター業界が抱えている課題を把握しておきましょう。下記の問題が生じていたらAIサービスの導入を検討することをおすすめします。
新人教育に時間がかかる
新人オペレーターの研修期間は少なくとも3か月は必要であるといわれています。
オペレーターを育てるためには自社サービスの内容やビジネスマナーなど教えることが多いでしょう。
しかしながら、研修に時間をかけてしまうと、それだけでかなりの人件費がかかってしまいます。
コールセンターは一般的に人材不足と言われているため、できるだけ研修期間を短くしていかなければなりません。
オペレーターによってレベル差が生まれやすい
オペレーターの対応に差が生まれているのも問題です。オペレーターは声の調子や言葉遣いで顧客の感情をプラスに変えたりマイナスにも変えてしまう仕事。
オペレーターは人間が行う業務のため、経験やスキルによって顧客への対応の仕方がどうしても変わってしまいます。優秀なオペレーターを育てたり、マニュアルを作成したりしても、品質に差が出てきてしまい、結果としてクレームに繋がってしまうこともあります。
離職率の高さ
コールセンターは人手不足が深刻化していますが、大きな原因として離職率の高さがあります。
株式会社リックテレコムが刊行している「コールセンター白書2019」によると、ほぼ半分の企業で離職率30%越えと、1年間で3割以上の人が辞めていることがわかりました。
離職理由はさまざまですが、主に下記が考えられます。
- 若者が電話しなくなった
- 不十分な教育のまま電話対応によるストレス
- クレーム対応による精神的ストレス
- 時給の高い企業への転職
SNSでの悪評の拡散
以前と比べて悪評が拡散されやすくなっていることも問題です。
オペレーターは顧客の気を損ねないよう慎重に対応する必要がありますが、間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
その時、顧客がいらだちを感じてSNSなどで悪質な評判を口コミに記載し、拡散してしまうケースがあります。
拡散することで、企業ブランドが損なわれ、全国の顧客から悪い印象を持たれて売上にも影響が出る可能性があります。
悪評が拡散されないためにも、間違った顧客対応を減らすことが重要です。
コールセンターでのAIサービス導入事例
コールセンター向けのAIサービスを導入した事例を紹介。導入目的に応じてぜひご参考ください。
通話データをAI音声認識で自動書き起こし(JALカード/アドバンスト・メディア)
JALグループのクレジットカード「JALカード」事業を行う株式会社JALカードは、株式会社アドバンスト・メディアが開発したコールセンター向けAI音声認識ソリューション「AmiVoice Communication Suite」を導入。
コールセンターでの導入事例でとくに多い音声認識機能のAIです。
これまでコールセンターで通話データをテキスト化したいとき、自ら音声データを聞いて書きおこしをしなければなりませんでした。
また、電子マニュアルは紙媒体にすると1000ページ分もあり、FAQを探すのに工数がかかっていました。
業務改善のため、音声認識の精度が高く、日本語に強いAmiVoiceを採用しています。AmiVoiceは顧客とオペレーターの会話をテキストに変換し、NGワードを使用していないか、対応に問題はないか等を管理するために役立てられています。
また、テキスト化したログを研修の際に活用するなど、人材の底上げや品質管理の向上にも適しています。
使い方がシンプルでテキストの書き起こしやFAQ検索機能により作業時間が大幅に時間短縮され、業務の効率化が実現されました。
なお、AI(人工知能)音声認識の仕組みとは?技術や企業の活用事例を紹介では、AIでの音声認識がコールセンターだけでなく他の業界での活用事例も紹介しているので、あわせてご覧ください。
通話記録のピンポイント再生による業務効率化(東名/NTTコミュニケーションズ)
法人向け光回線サービスを行っている株式会社東名は、NTTコミュニケーションズ株式会社の安価で利用できる音声認識システム「COTOHA Voice Insight」をテレマーケティングに採用しています。
「オフィス光119」の営業活動は主にテレマーケティングによるもので、9割以上の顧客と電話での口頭でやり取りをしています。
しかし、通話記録の内容を確認するモニタリング作業に時間がかかっており、業務効率の向上が課題となっていました。
COTOHA Voice Insightは、通話記録テキストに通話の経過時間が埋め込まれているため、音声を聞き返す必要がある際もピンポイントで再生でき、業務効率化が期待できます。
結果、音声認識によるテキスト化で1日がかりで15件程度しか通話の確認をできなかったのに対し、1時間で60件の通話確認が可能になり作業効率が約30倍アップしました。
AI音声認識・音声解析に強い、プロ厳選のAI開発会社では、音声認識・音声解析に強い開発会社を紹介してますので、ぜひご覧ください。
LINExAIでコールセンタースタッフをサポート(ベルシステム24)
株式会社ベルシステム24は就業者をサポートする取り組みとして、LINEで「AI-Chat for 就業者サポート」サービスを構築しました。
ベルシステム24はコールセンターアウトソーシングを中心としたサービスを提供する企業です。
これまで培ってきたノウハウから、チャットボットや電話の問い合わせによる自動応答プロダクトなどのAIサービスを手掛けています。
社員の離職率が高く定着率の低いコールセンター業務では、離職理由となる事項を減らすことが課題となっています。
ユーザー数の多いLINE上で活用できる「AI-Chat for 就業者サポート」は就業者サポート体制の効率化と充実に向けた取り組みです。
AIによるマネジメントをサポートすることで就業者のコミュニケーションの最適化、会社に対する不安の軽減による定着率の向上が改善されました。
問い合わせ前のユーザーが困っていることを予測(カラクリ)
チャットボット提供を手掛けるカラクリ株式会社は、企業サイトに訪問した人が困っていることを予測し、適切な案内を自動表示するチャットボットサービスを開始しました。
提供している「KARAKURI chatbot」サービスのオプション機能で「KARAKURI hello」です。
KARAKURI helloは、サイト訪問者がページを上下していたり特定のページを行き来したりしている場合、過去に同じ行動をしていた人から受けた相談をもとにAIが困りごとを予測します。
商品やサービスに疑問や不満を抱いていても、問い合わせすることなく利用をあきらめてしまうサイレントカスタマーを救い、購買率や再購入率などの向上の実現が期待できるということです。
KARAKURI chatbotでは、サイト訪問者がページ内のチャットから困りごとを検索し、自動でAIが返答しています。
コールセンターでは定型的な質問がおよそ8割を占め、チャットボットの導入によりコールセンターの負担の軽減につなげています。
AIを使ったFAQ作成サービス(キューアンドエー/東芝デジタルソリューションズ)
コールセンター運営を手掛けるキューアンドエー株式会社は、東芝デジタルソリューションズ株式会社のAIを活用したFAQの作成サービスを提供しています。
電話やメールなどの顧客との応対履歴をAIで解析し、出現頻度が高い質問と回答との組み合わせを自動的に抽出が可能です。
質問や回答を単に抜き出すだけではなく、似ている内容の質問を集約する機能もあるということです。
コールセンターではFAQがサポートの基盤となりますが、FAQが整備されているケースは多くありません。
FAQの整備のための作業工数が多くかかってしまうからです。
AIによって抽出されたFAQを人手で最終的にチェックし、依頼企業へ納品し、依頼企業側は自社のFAQサイトやチャットボットなどに内容を反映できます。
AIで会話速度を点数化(プレミアグループ/レブコム)
中古車ローンなどを手掛けるプレミアグループ株式会社は、AIを活用して会話速度などを評価して、電話によるローンの回収作業を効率化しています。
株式会社RevComm(レブコム)のAI通話解析サービスの「ミーテル」を導入しました。
従来のローン回収プロセスは、債権の回収部門が延滞中の債権者に一律で電話をかけて、電話をとった債権者には自動で機械音声を流し支払いを要請していました。
支払いを延滞する顧客も多く、さらに電話をかけて支払いを促し回収していたため、スタッフ側の負担が重く時間も長くかかっていました。
ミーテルはAIを使って会話の速度を測定できます。1分間にいくつ単語を話したかも計測可能です。一般的に、対話者の会話スピードから10%前後の速度で説明者が話すと理解されやすいとされています。10%以上の早口だと理解されず、10%未満の遅いスピードだと相手の興味を削いでしまうからです。加えて相手の話した言葉にかぶせてしまった回数も測定し、総合して点数化します。
会話速度などを定量的に点数で評価、回収につなげやすい会話の方法を浸透させる狙いがあります。債権回収を効率化して、他の業務に専念できる時間を増やし事業成長を目指すということです。
AIが問い合わせ内容を理解(東京ガス/アクセンチュア)
アクセンチュア株式会社ではAIを活用して、社内に埋もれた知見やデータを経営や事業改善につなげるサービス提供をしています。東京ガス株式会社ではコールセンターの顧客対応に、このサービスを導入しました。東京ガスでの活用は、顧客との通話から問い合わせ内容をAIが理解し、推奨する回答および確認が必要な項目を、オペレーターが使用するディスプレイ上に表示します。
音声や文字情報からAIが文脈や意図を理解、膨大なデータをもとに最適な回答の提示。コールセンターでの活用が進められています。自然言語処理や音声認識をベースとして、体系化されずに点在している知見やデータを集約し、活用の環境を整えます。
AIに学習させたのは社内に蓄積された過去の応対記録などです。横断的な情報収集が可能となり、従来型の検索では探すのが難しかった最適な回答を提示できます。オペレーターによる回答のばらつきを防ぎ、対応時間も短縮できたということです。
今後は、定型の問い合わせには自動で対応できるよう体制の構築を目指していくということです。
【徹底比較】コールセンター向けおすすめAIサービス会社の記事にて、おすすめのサービスを紹介しています。ぜひご覧ください。
AI開発会社の選定に迷ったり、依頼方法がわからなかったら、AI Marketの専門コンサルタントが御社に最適な開発会社のを無料で選定しますので、いつでもお気軽にご相談ください。
コールセンターでのAIチャットボット導入事例
コールセンターでAIチャットボットを導入した自動応答事例を紹介。サービス別で紹介していますので、導入目的に応じてぜひご参考ください。
AIによるボイスボットでの自動応答の導入事例はこちらの記事で紹介していますので併せてご覧ください。
AIチャットボット導入で問い合わせ対応の品質維持(SMBC日興証券/NTTコミュニケーションズ)
SMBC日興証券株式会社は、日本語を高精度に理解できるNTTコミュニケーションズの「COTOHA」を採用して、LINEを使った問い合わせにAIチャットボットを活用しています。
SMBC日興証券株式会社は、三井住友フィナンシャルグループで個人の資産形成や法人の事業を資金面で支援しています。
事業の一つにコールセンターを使って自分のペースで株式投資できるサービスがあります。
SMBC日興証券は問合せ窓口の格付けにおいて、最高評価を11年連続で取るなど水準の高い問い合わせサービスを行っていました。
しかし、利用者増加に伴い、品質を維持しながら対応していくためにはどのようにすれば良いのかという課題がありました。
対策として、LINE問い合わせにAIチャットボットを活用し、回答できないときはすぐにオペレーターにつなげられるようなシステムへと変更しています。
結果、オペレーターがいない場合でも自動応答で問い合わせ対応可能となり、品質を維持することができました。
また、オペレーターの勤務時間が短縮したことで、働き方改革を複合的に行えました。
コールセンターでAIチャットボットを導入している事例については、こちらの記事でさらにたくさんの事例を紹介しています。
【徹底比較】コールセンター向けおすすめAIサービス会社の記事にて、おすすめのサービスを紹介しています。ぜひご覧ください。
AI開発会社の選定に迷ったり、依頼方法がわからなかったら、AI Marketの専門のコンサルタントが御社に最適な開発会社の選定を無料でサポートしますので、いつでもお気軽にご相談ください。
コールセンターへのAIサービス活用・導入時の注意点
コールセンターでAIサービスを活用することはメリットが大きいですが、導入するにはいくつか注意しておきたい点があるので紹介します。
関連記事:「AI導入失敗ケース5例の原因徹底解説!失敗するプロジェクトには理由」
音声認識精度を高める環境造り
音声認識システムは使えば使うほど精度が向上します。AIを導入するためには音声認識システムの精度が高まるような環境づくりを整備しましょう。導入時の認識精度だけでなく、導入後どのように向上していくかが大切です。音声認識システムは使えば使うほど精度が向上するシステムなので、できる限り使用してください。
AIサービスにも判断ミスがある?
AIサービスもどんなに精度が高くても判断を間違えてしまい、大きなトラブルを招く場合があります。そのため、AIが判断ミスを起こした時にサービス提供側に責任があるか利用者であるコールセンターの責任になるのかしっかり決めておく必要があるでしょう。
コスト面の考慮
コスト面もしっかりと考える必要があります。あなたのコールセンター用の音声認識システムにするためには専門用語のチューニングが必要です。チューニングは導入時だけでなく定期メンテナンスで行われ、その都度コストが発生してしまいます。
そのため、どれくらいのコストが必要なのかをあらかじめはっきりとさせておきましょう。
【徹底比較】コールセンター向けおすすめAIサービス会社の記事にて、おすすめのサービスを紹介しています。ぜひご覧ください。
コールセンターでのAI導入についてよくある質問まとめ
- コールセンターにAIを導入するメリットにはどのようなものがありますか?
コールセンターへのAI導入のメリットには以下があります。
- オペレーターの品質向上
- モニタリング業務の効率化
- お問い合わせ対応の自動化によるオペレーター負担軽減
- 人材採用や新人教育のコスト削減
- 24時間365日の対応が可能になる
- コールセンターでのAI導入事例にはどのようなものがありますか?
主な導入事例には以下のようなものがあります。
- JALカード:AI音声認識で通話データを自動書き起こし
- 東名:通話記録のピンポイント再生による業務効率化
- SMBC日興証券:AIチャットボットによる問い合わせ対応の品質維持
- 東京ガス:AIが問い合わせ内容を理解し、最適な回答を提示
- キューアンドエー:AIを使ったFAQ自動作成サービス
- コールセンターへのAIサービス導入時の注意点は何ですか?
主な注意点は以下の通りです。
- 音声認識精度を高めるための環境整備
- AIの判断ミスに対する責任の所在の明確化
- 導入・運用コストの考慮(専門用語のチューニングなど)
- 既存のシステムとの連携や統合の検討
- 従業員へのトレーニングと抵抗感への対処
導入目的や成果を参考に検討しましょう!
以上、さまざまな企業のAIサービスの内容と他社の導入目的や効果について紹介しました。各社のポイントを整理すると、以下のようになります。
【目的の共通点】
- オペレーターの品質向上
- コールセンター管理者のモニタリング業務効率化
- お問い合わせ数増加によるオペレーター負担低減
- 人材採用や新人教育のコスト削減
【解決できた課題】
- 自動生成FAQシステムによりオペレーターがスムーズに回答でき、品質向上
- 音声認識でのテキスト化でモニタリングが効率化
- チャットボットや自動応答によってオペレーターの応対数の削減
- オペレーターの応対件数削減により、人件費や教育コストの削減
AIを活用することで、御社のコールセンターでの課題点が解消できるかもしれません。課題解決のために、コールセンター向けのAIサービスを提供している会社に問い合わせてみてはいかがでしょうか?
AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp