AI(人工知能)導入のメリット・デメリットや業界活用事例
最終更新日:2024年09月23日
2010年代はスマートフォンの進化と普及がビジネスや人の生活を大きく変えた時代だと言われていますが、2020年代はAI(人工知能)の進化が世の中の変化に大きく関わってくると考えられています。特に2022年以降、ChatGPTに代表される生成AIの進化には目を見張るものがあります。
しかし、今後どのような形でAIが人々の生活や仕事に変化をもたらしていくのか、具体的に想像していくことはなかなか難しいかもしれません。
ここではAIの特性を理解し、導入する事で企業にとってどのようなメリットやデメリットがあるのか解説します。
また、AI Marketでは
目次
AI(人工知能)とは
人工知能(Artificial Intelligence)とは、通称「AI」とも呼ばれている、人工的に作り出されみずから学習していくコンピューターのことです。
AIは大きく分けて、「特化型AI」と「汎用型AI」(AGI)に分類できます。
特化型AIはひとつのタスクを行うことに長けているものを指していて、汎用型AI(AGI)は与えられた情報を元に様々な作業をこなし、応用できるもののことを指しています。
AIと聞くと多くの人が想像するドラえもんや鉄腕アトムのような存在は、汎用型AIの部類に入ることになります。
汎用型AIは技術の進化と共に、遠くない将来にシンギュラリティ(人類の知能を超えてしまうこと)を起こすと言われており、それによりAIは人々の生活や経済といった社会全般に、大きな変化をもたらすだろうと考えられています。
AIについての詳細は、AI(人工知能)とはなにかを正しく理解し、ビジネスに活用する方法に記載しておりますので、あわせてご覧ください。
AI(人工知能)の6つのメリット
ビジネスの世界において、AIが普及していくことは様々なメリットがあると考えられています。
ここではその中から、代表的な6つのメリットを紹介していきます。
生産性が向上する
どのような仕事においても、人が携わる作業においてミスをまったくのゼロにすることは、かなり難しいことです。
しかし単調な作業や正確さが求められる作業は、AIのもっとも得意とするところであり、間違いのないように設計されてさえいれば、AIに作業させることで、確実にミスを減らすことができます。
労働力不足が解消される
超高齢化社会を迎える日本にとって、労働力不足は何よりも深刻な問題と言えます。
そこでAIの導入によって、
例えば農業ではドローンの自動操縦による農薬の散布を行うことができますし、コールセンターのような受付業務も大部分を自動化させれば、人手不足の問題を解消することに繋がります。
人件費を抑えることができる
AIの導入は、人件費などのコストカットにも繋がると考えられています。
少ない人数で仕事を回すことができるようになれば、当然人件費の削減に繋がっていくことでしょう。
それ以外に、人材の育成という点においても、AIの導入は新人を1から育てるという教育コストのカットにも繋がるだろうと言われています。
高い精度でのデータ分析、予測が行える
データの分析や予測といった作業においても、AIはすでに質量共に人間には真似できないレベルに到達しています。
現在でも日々蓄積され続ける膨大なデータを元に、売上や利益の向上に繋がるマーケティングを行ったり、需要に応じた適切な数の在庫を確保し、品切れを防ぐといった効果が見込まれています。
経営面においても、目先の利益や私情などに囚われない客観的で長期的な視点として、重要な経営判断の参考になっています。
ミスが減り、安全性が向上する
なかなか気付きにくいことですが、
例えば仕事を完全自動化してしまえば、何か事故が起きてもその機械が壊れるだけであり、人の身体にまで危害が及ぶことはありません。
他に設備の老朽化や機械の故障予測など、起きうる事故の可能性を高い精度でシミュレートすることによって、事故の発生そのものを未然に防ぐことも期待されています。
コミュニケーションの質が向上する
近年の機械翻訳の精度の向上は目覚ましいものがあり、今後多くの国の人達と、より気楽な形でコミュニケーションを取ることがが可能なっていくと考えられています。
観光客をもてなす際、サービスの向上を期待できますし、海外からの問合せに対しても、より満足のいく対応ができるようになります。さらには言語的な障害を持っている人とも、より円滑な対応ができるようになるかもしれません。
AI Marketでは
AI(人工知能)の4つのデメリット
AIの進化によってより豊かな社会が作られていくことが期待されていますが、一方でその進化によるデメリットについても語られることがあります。
ここではその中から、よく語られる4つのデメリットを紹介していきます。
関連記事:「AI導入失敗ケース5例の原因徹底解説!失敗するプロジェクトには理由」
雇用が減少する可能性
AIの導入について語られる際、真っ先に論じられるのが
AIですべて自動化できる職業は、そのうち仕事にあぶれてしまうかもしれません。今後AIによって無くなる可能性がある仕事として、下記がよく挙げられます。
・レジ打ち
・乗り物の運転
・受付
・事務処理
・銀行員
・税理士や行政書士
これらの作業は人間よりも遥かに高いパフォーマンスでAIができるので、今後人が仕事を続けていくことは難しいかもしれません。
一方で、デザインや心理カウンセリングなど、AIが苦手な仕事は、現在よりも高い価値を持つようになっていくだろうと考えられています。
ChatGPTをはじめとする生成AIの台頭によって、シンギュラリティがグッと現実味を帯びた今、雇用構造は大きく変化することが予想されています。
シンギュラリティが社会、企業に与える影響をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
情報漏洩のリスクが高まる
AIに多くの仕事を任せた場合、企業にとってもっとも大きなリスクとは、そのAIが扱っている情報の漏洩だと言えるでしょう。
情報漏洩については外部からのサイバー攻撃だけに気をつけておけばよいわけではなく、内部の人にも気をつけなければいけません。
企業スパイとして外部からお金をもらっていたり、ITに不慣れな人が間違えて情報を流出させてしまったりなどのリスクも十分に考えられます。
このような事態を防ぐためにも、今後セキュリティ対策はより厳重に行なっていく必要があるだろうと考えられています。
思考のプロセスを人がたどりづらい
AIが扱っている情報と作業の量は実に膨大であり、もはや人が全貌を把握するのは不可能と言っていいレベルになっています。
チェスや将棋といったゲームにおいて、AIが人間の理解を超えた打ち筋でプロを圧倒したことがたびたび話題になっていますが、こうした事態がビジネスの世界においても訪れようとしています。
AIがなぜそのような判断を行なったのか、その思考の過程と道筋が分からないので、経営陣がその判断に納得できにくかったり、問題が起きた際に気付きにくく、対処方法が分からといった問題が起きる可能性は十分に考えられます。
誰の責任になるのか難しい
AIが起こしてしまったトラブルや、誤った判断を起こした際の責任は一体誰が取ることになるのか、現在の法律では明確に定義されていません。
例えば自動運転の車が事故を起こした際、その事故は車に乗っていた人の責任になるのか、それともそのAIを作ったメーカーの責任になるのかといった問題は、よく議論されています。
現状、AIを作ったメーカー側に責任があるという意見が優勢ですが、今後より精度が高くミスの少ないAIが登場した場合、
いずれにしろ現時点では明確な定義がないため、AIを導入する際に、十分に検討すべきこととして憶えておいた方がよいでしょう。
AI Marketでは
AI(人工知能)ができることと、できないこと
汎用型AIと言っても、何もかも人の代わりにできる万能な存在ではなく、人の代わりにできることとできないこと、得意なことと苦手なことは、明確に分かれています。
できること、得意なこととしては下記がよく挙げられます。
・音声認識
・画像認識
・言語処理、文章の作成
人間には扱え切れない量のデータを駆使し、膨大なパターンから情報と情報の共通点を見つけものを識別したり、言葉を理解し文章を作ったり校正したり、工場作業で異物を検知したり、といったことがAIの得意なことだと言えるでしょう。
逆にできないこと、苦手分野としては、下記が挙げられます。
・人の感情を理解し、行動すること
・完全な0の状態からアイデアを出し、作ること
例えばその日の人の気持ちを理解し、それに合わせて機嫌よく起こしてくれる目覚まし時計なんていうものを作ることは非常に難しいですし、保育士のような無邪気な子ども世話は、AIの得意分野ではありません。
そして何より、発明と呼べるような完全に新しいアイデアを0から生み出すことは、今後AIがいくら進化しても不可能と考えられています。
【業界別】AIの導入例
ここまで読んでいく中で、AIが導入されることでどのようなメリットやデメリットがあり、何が得意で何が苦手なのかを理解できたでしょう。
それでは、ここでは現在AIを導入していることで、仕事においてどのような変化が実際に起きているのか、いくつかの例を業界別に紹介します。
医療現場における、AI導入例
AIの進化は医療業界にとって大きなメリットをもたらしていて、カルテの記入や力作業のサポートによる医療現場の効率化に役立っています。
他にもCTスキャンやレントゲンなどの画像の認識精度の向上により診断ミスを減らしたり、多くのデータを学習する事でより精度の高い診断を行うことができるようになっています。
より詳しく医療現場における事例を知りたい方は、医療業界のAI活用事例の記事をご参考ください。
農業における、AI導入例
AIによって収穫作業の自動化、データを元に収穫量を予測し、定した出荷を見込むことができます。畑全体に散布する適切な農薬量を計算し、ドローンに散布させることも可能です。
習得するのに多くの時間がかかる農業技術の継承も、AIに覚えさせてしまえば、ノウハウが失われることはありません。
ただし、農業にAIを導入するにはそれなりの導入コストが必要ですし、高齢者が最新のテクノロジーを扱うのは少し難しいと指摘されています。
さらに詳しく農業における事例を知りたい方は、農業へのAI導入・活用事例の記事をご参考ください。
小売業における、AI導入例
スーパーやコンビニには自動レジが置かれるようになりましたし、シフト管理などにもAIが活用されています。
タッチパネルで欲しいものを選択すると、ロボットが商品売り場まで案内してくれるサービスを導入しているホームセンターもあります。
家電専門店では夜間の修理受付が自動化されたり、海外観光客の質問に答えることができたりするAIチャットなども開発されています。
さらに詳しく小売業における事例を知りたい方は、小売業界でのAI導入・活用事例の記事をご参考ください。
AI導入のメリット・デメリットについてよくある質問まとめ
- AIを導入することで企業にはどのようなメリットがありますか?
AI導入の主なメリットは以下の6つです。
- 生産性の向上
- 労働力不足の解消
- 人件費の削減
- 高精度のデータ分析と予測
- ミス削減による安全性の向上
- コミュニケーションの質の向上
- AI導入の際に注意すべき点や課題にはどのようなものがありますか?
AI導入の際には以下の点に注意が必要です。
- 雇用への影響の可能性
- 情報漏洩リスクの増大
- AIの思考プロセスの不透明性
- 責任の所在の不明確さ
- 導入コストの検討
- 既存の従業員のAI技術への適応
- AI活用事例にはどのようなものがありますか?
各業界でのAI活用事例には以下のようなものがあります。
医療:
- 画像診断の精度向上
- カルテ記入の効率化
- 診断支援
農業:
- 収穫作業の自動化
- 収穫量の予測
- 農薬散布の最適化
小売業:
- 自動レジの導入
- シフト管理の効率化
- 商品案内ロボットの活用
- 多言語対応のAIチャットボット
AI(人工知能)導入の際は、開発会社に相談しよう
AIは今後人々の生活と仕事を変化させ、欠かせない存在となっていきます。
とはいえ、安易に導入して高いコストを無駄にしたり、下手に扱って逆効果になってしまうケースも十分に考えられるので、AIの導入の際には、慎重な判断が必要だと言えるでしょう。
AI Marketでは、多くの業界に対応した適切なAIサービスや、AI開発会社の紹介を行なっています。
自社の業務にもAIを導入してみたいが、具体的にどうすればいいのか分からないなど、AIに関することならいつでもご相談ください。
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