情報通信総合研究所が企業の生成AI導入調査結果を発表、中小企業の利用率低迷が浮き彫りに
最終更新日:2025年09月09日

情報通信総合研究所は2025年9月4日、企業における生成AI導入状況に関するアンケート調査結果を発表した。
大企業を中心に生成AI利用が進む一方、中小企業では依然として導入率が低く、その主因として「利用用途・シーンがない」ことが判明し、幅広いユースケース共有の重要性が明らかになった。
- 大企業と中小企業間で生成AI導入率に大きな格差が存在し、企業規模による利用状況の違いが顕著
- 業種別では情報通信業や金融業で導入が進む一方、運輸業やサービス業では10%程度に留まる
- 中小企業の未導入理由は「利用用途・シーンがない」が最多で、具体的活用事例の共有が課題
情報通信総合研究所が実施した生成AI導入に関する調査は、全国の就業者96,156名を対象とした大規模なWebアンケートであり、2025年7月11日から17日にかけて行われた。
この調査は昨年に続く2回目の実施となり、企業における生成AI活用の現状と課題を明らかにした。従業員規模別の分析では、大企業ほど生成AIの導入・利用率が高く、中小企業との間に明確な格差が存在することが確認された。
この傾向は昨年の調査結果と一致しており、企業規模による技術導入の格差が継続していることを示している。
業種別の導入状況を見ると、情報通信業や金融業、保険業において生成AIの利用が特に進んでいることが判明した。これらの業種では、デジタル技術への親和性や業務のデジタル化が進んでいることが導入促進の要因と考えられる。
一方、運輸業や郵便業、各種サービス業では導入率が10%前後に留まっており、業種間の格差も顕著に現れている。この結果は、業種特性や既存の業務プロセス、技術への理解度などが生成AI導入に大きく影響していることを物語っている。
生成AIを利用しない理由について詳しく分析した結果、大企業・中小企業ともに「利用用途・シーンがない」という回答が最も多かった。
特に中小企業では、この理由が他の要因を大きく上回っており、具体的な活用方法が見えないことが導入の大きな障壁となっている。
大企業では「情報漏洩などセキュリティが心配」が2番目に多い理由として挙げられており、コストや効果よりもリスク管理を重視する傾向が見られる。この違いは、企業規模による資源や専門知識の差が影響していると考えられる。
AI Marketの見解
今回の調査結果は、日本における生成AI普及の現状と課題を明確に示している。企業規模による導入格差は、技術投資余力や専門人材の確保能力の差を反映しており、中小企業支援策の必要性を浮き彫りにしている。
特に「利用用途・シーンがない」という課題は、単なる技術的問題ではなく、具体的な業務への適用方法を理解する機会の不足を示している。エージェントAIの登場により、生成AIの活用範囲はさらに拡大すると想定されるため、中小企業向けの導入支援や事例共有プラットフォームの整備が急務となる。
参照元:株式会社情報通信総合研究所
生成AI企業導入に関するよくある質問まとめ
- 中小企業が生成AIを導入するためには何が必要か?
まず具体的な活用事例を知ることが重要です。業務プロセスの中で文章作成、データ分析、顧客対応などの場面で生成AIを活用できる用途を見つけ、小規模な試験導入から始めることが効果的です。また、セキュリティ対策や従業員教育も並行して進める必要があります。
- エージェントAIと従来の生成AIの違いは何か?
エージェントAIは自律的に計画を立てて実行できるAIシステムで、従来の生成AIよりも高度な業務自動化が可能です。単純な文章生成や画像作成を超えて、複数のタスクを組み合わせた業務処理や、継続的な作業の管理・実行ができるため、より大きな生産性向上が期待されます。

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