生成AI時代の企業向けソフトウェア販売、市場縮小の中で見出す3.3兆ドルの機会
最終更新日:2024年09月27日
ベンチャーキャピタルa16zのパートナーらが、生成AI時代における企業向けソフトウェア販売の課題と戦略に関する分析を発表した。この分析によると、ソフトウェア市場全体が縮小し、生成AI関連製品への需要が高まる中、従来の販売手法では通用しなくなっている。
しかし、Fortune 500のCIOらとの対話や独自の調査データから、生成AIの影響を受けにくい分野に3.3兆ドル(全体の85%以上)の潜在的な市場が存在することが明らかになった。この記事では、現在の市場状況を分析し、新たな販売戦略を提案している。
<本ニュースの10秒要約>
- ソフトウェア市場全体が縮小する中、生成AIの影響を受けにくい分野に3.3兆ドルの潜在市場が存在
- 企業向けソフトウェア販売では、製品主導の成長戦略よりも従来型の営業活動が再び重要に
- 顧客企業のCIOは、明確なROIと生成AI時代を見据えた製品ロードマップを重視
現在のソフトウェア市場の課題
現在のソフトウェア市場は、複数の要因により販売が困難になっている。まず、マクロ経済の不確実性により、企業のCIOらは新規プロジェクトへの投資を控えている。次に、コロナ禍で急増したSaaS製品の整理統合が進んでおり、新規ベンダーの採用に慎重になっている。さらに、生成AI関連製品への需要が高まる一方で、技術の進化を見極めるために大規模な投資を控える傾向がある。
これらの要因により、スタートアップにとって獲得可能な新規資金は半減し、サイバーセキュリティやデータベース分野以外では成長が鈍化している。具体的には、民間企業向けソフトウェアの成長率は2021年の112%から2023年には60%に低下している。
この状況下で成功するためには、市場を適切にセグメント化し、機会を見出す必要がある。分析によると、生成AIの影響を「即時」「中期」「長期」の3つに分類でき、「中期」と「長期」のセグメントに3.3兆ドル(全体の85%以上)の潜在的なIT支出が存在する。これらの企業は、今後2-3年で生成AIの影響に備える準備をしているか、主にROIを重視している。
新たな販売戦略のポイント
現在の市場環境下で成功するためには、従来とは異なるアプローチが必要だ。CIOらへのインタビューから、以下のポイントが重要であることが明らかになった。
1. 製品主導の成長(PLG)戦略だけでは不十分:
企業向け営業が再び重要になっている。CFOやCIOを含む、より長期的な販売サイクルに備える必要がある。公開市場のデータによると、PLG企業の成長率は2021年の約60%から2023年には18%に低下した一方、トップダウン型の企業は30%から24%へと比較的安定した成長を維持している。
2. 価値とROIの明確化:
大多数のCIOは、明確で測定可能なROIを提供するソフトウェアを求めている。コスト削減や収益向上など、具体的な価値を示すことが重要だ。特に非生成AI製品については、実験的な用途ではなく、実質的な価値が重視される。
3. 製品ロードマップの重要性:
CIOは、生成AIが自社のビジネスをどのように加速できるかを理解するためのパートナーを求めている。自社製品が5年後の生成AI中心の世界にどのように適合するかを示すことが、新規ビジネスを獲得するチャンスを高める。
チャネルパートナーの活用と今後の展望
生成AIの影響がまだ不確実な中、コンサルタントや大手プラットフォームなどのチャネルパートナーの重要性が増している。これらのパートナーとの関係構築を検討し、顧客向けのソリューションに自社製品を組み込んでもらうことが有効だ。ただし、顧客との関係や製品の実装をパートナーに委ねすぎないよう注意が必要だ。
今後の展望としては、マクロ経済の不確実性、SaaSの整理統合、生成AIの初期採用が重なる現在の市場環境は永続的なものではない。現在の課題に対して思慮深く、粘り強く、そして持続的にアプローチする創業者は、将来的に有利な立場に立つことができるだろう。
AI Market の見解
この分析は、生成AI時代における企業向けソフトウェア販売の課題と機会を的確に捉えている。技術的には、生成AIの影響を時間軸で分類し、各セグメントの特性を理解することの重要性を示している。これにより、製品開発や販売戦略の最適化が可能になる。
ビジネス的には、製品主導の成長戦略から従来型の営業活動への回帰が注目される。この変化は、B2Bソフトウェア業界全体に影響を与える可能性がある。また、明確なROIの提示と生成AIを見据えた製品ロードマップの重要性は、今後のソフトウェア開発と販売のあり方を大きく変える可能性がある。
市場への影響としては、生成AI関連以外の分野でも大きな機会が存在することが示された点が重要だ。これにより、多様なソフトウェア企業が存続し成長する余地があることが明確になった。一方で、チャネルパートナーの重要性が増していることは、ソフトウェアエコシステム全体の構造変化を示唆している。
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