株式会社日立ソリューションズ、墜落制止用器具フック不使用者を自動検知するAIモデルを構築・検証
最終更新日:2023年10月31日
株式会社奥村組と株式会社日立ソリューションズは、画像認識AI(人工知能)技術の活用による、墜落制止用器具(安全帯)のフック不使用者を自動検知するAIモデルを構築・検証し、十分な性能を有することを確認したことを公表しました。(構築・検証期間:2021年7月1日~2022年1月31日)
<本ニュースの10秒要約>
- 株式会社奥村組と株式会社日立ソリューションズが、高所作業の安全性工場にAIモデルを採用
- AIモデルは、作業員がフックの不使用者を画像から自動検知
- 約半年間の構築・検証期間を通して、90%以上の精度を確認
実施背景
令和2年に発生した国内の労働災害においては、墜落や転落による死亡事故が191件と最も多く、死傷者数は、20,997人*1に上るとされています。
これに伴い、厚生労働省は労働安全衛生法の改正を行い、2019年2月1日以降、高所作業で使用する安全帯の規格はフルハーネス型を原則とし、名称を「墜落制止用器具」に改めるなど、高所作業における安全基準を厳格化しました。
こうした中で、企業には、建設現場における墜落転落災害の撲滅に向け、より効果的な安全対策を実現することが求められるようになっています。
そこで、奥村組と日立ソリューションズは、画像認識AI技術を活用した、「カメラ映像からフック不使用者を自動検知するAIモデルの構築」に着手しました。
*1 厚生労働省 令和2年 労働災害発生状況 https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000775170.pdf
1. 構築・検証期間
2021年7月1日~2022年1月31日
2. プロセス
(1)フック不使用者の判定フローの検討:奥村組、日立ソリューションズ
(2)映像データの提供:奥村組
(3)AI判定手法の検討:奥村組、日立ソリューションズ
(4)AIモデル構築・精度検証:日立ソリューションズ
(5)課題抽出&対応策の検討:奥村組、日立ソリューションズ
検証について
本AIモデルは、複数現場で収集した延べ6,000件以上の画像を事前に学習させたものとなっており、建設現場のカメラ映像から親綱支柱や親綱、フックを検出し、フックが親綱にかかっていない不使用状態を自動で判定(特許出願中*2)します。
今回、埼玉県にある鉄骨建方中の建設現場において、本AIモデルの検証を行い、カメラと対象の作業員の距離が15m以内、かつ人や物が重なっていないという条件下において、フック不使用者を90%以上の精度で正しく認識できること*3を確認しました。
*2 特願2022-043541、特願2022-043542、特願2022-043434(出願人 奥村組、日立ソリューションズ)
*3 画像認識AIが危険な状態と判定した中で、実際に作業員がフックを親綱にかけていない精度。撮影環境により、精度が異なる場合があります。
今後について
2022年夏からの共同開発によって、本AIモデルに、フックの不使用状態が一定時間続いた場合において、メールや警報機器で管理者や現場の作業員に通知*4する機能が付加されたシステムを構築し、2023年から販売を開始する計画としています(図2)。
これにより、その場にいない時でも遠隔で作業員の不安全行動を管理者が検知し、適切に管理を行うことが可能となります。
両社は、今後も建設現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、安全性や生産性の向上を図っていくとのことです。
*4 監視カメラおよびパトランプなどの警報装置などの接続作業や、APIを活用したメール通知など、環境構築の事前準備が必要となる予定です。
参照元:PR TIMES
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