NTTコミュニケーションズが20種のAIエージェントを活用した業界別ソリューション提供開始
最終更新日:2025年06月24日

NTTコミュニケーションズは、エクサウィザーズとの資本業務提携により、業務に特化した20種のAIエージェントを活用した業界別ソリューションの提供を2025年6月19日から開始した。
業務理解に優れたAIエージェントを迅速かつ簡易に導入できることで、企業の生産性向上と競争力強化に貢献する。
- 業務に特化した20種のAIエージェントを活用した業界別ソリューションの提供開始
- 文書作成・データ分析・モニタリング等の各業務を行うエージェントを組み合わせた実用的なサービス
- 2026年には200種のAIエージェントへの拡大を目指し、全業界をターゲットとした展開計画
このソリューションの背景には、企業における生成AI活用の課題がある。現在、企業は「生成AIを使ってみる」フェーズから「生成AIを業務に組み込む」フェーズへと移行しているが、共通的な生成AIツールだけでは各業務への適用が困難で、導入後も業務プロセスに組み込めずに活用しきれていない現状がある。
また、業務に合わせた生成AIを導入する場合、業務ごとにゼロから設計・開発を行う必要があり、高いコストと長い開発期間が大きな障壁となっている。これらの課題を解決するため、NTTコミュニケーションズはエクサウィザーズとの協業により、業務理解に優れたAIエージェントの提供に踏み切った。
本ソリューションの特徴は、業務を理解したAIエージェントに業界知識やルールなどのデータを組み合わせることで、実際の業務プロセスに組み込んで活用できる生成AIを実現している点だ。
20種のAIエージェントは文書作成、データ分析、モニタリングなどの各業務を担当し、これらを組み合わせて各業界向けに特化したソリューションとして提供される。
ベースとなるAIエージェントに個社の業務仕様に合わせたカスタマイズを加えることで、従来のゼロからの開発と比較してコストや開発期間を大幅に削減しながら、業務の即戦力として活用できる点が大きな優位性となっている。
具体的なユースケースとして、金融業界では顧客への提案業務支援エージェントが展開される。
このエージェントは業務ヒアリングエージェントとの対話による提案方針の策定、セールスデータ分析エージェントによる商談履歴や財務データの分析、そして提案資料作成エージェントによる新規提案書の作成という一連の流れを自動化する。
製造業においては知財文書作成エージェントが導入され、業務ヒアリングエージェントによる特許ポイントの整理、社内ナレッジエージェントや外部情報リサーチエージェントによる情報収集、文書作成エージェントによる特許出願書類の作成を実現する。これらの事例は、単純な作業の自動化ではなく、専門知識を要する高度な業務プロセスの支援を可能にしている点で注目に値する。
初期ターゲットは専門性の高い業務が多い金融・公共・製造業界に設定されているが、今後は全業界への展開を視野に入れている。
2026年には200種のAIエージェントの展開を目指すという積極的な拡大計画を掲げており、ドコモグループの法人事業ブランド「ドコモビジネス」の一環として、産業・地域DXのプラットフォーマーとしての地位確立を目指している。この取り組みは、AIエージェント技術の実用化において重要なマイルストーンとなる可能性が高い。
AI Marketの見解
本ソリューションは、AIエージェント技術の実用化において極めて重要な意味を持つ。
技術的な観点から見ると、単一のAIモデルではなく、業務特化型の複数のエージェントを組み合わせるマルチエージェントアーキテクチャを採用している点が特徴的だ。これにより、各エージェントが専門性を持ちながら連携することで、複雑な業務プロセス全体を支援する仕組みを構築している。
従来の汎用的な生成AIツールが抱える業務適用の課題を、業務理解とドメイン知識の組み込みによって解決するアプローチは、企業向けAI市場における新たなスタンダードとなる可能性が高い。
ビジネス的な観点では、初期投資と開発期間の大幅な削減を実現している点が競争優位性の源泉となっている。従来のカスタムAI開発では数千万円から億単位のコストと長期間の開発期間が必要だったが、プリセットされたエージェントのカスタマイズベースでの展開により、中小企業でも導入可能な価格帯での提供が期待される。
また、20種から200種への拡大計画は、エージェントのエコシステム構築を通じたプラットフォーム戦略の展開を示唆しており、継続的な収益基盤の構築が可能となる。
市場への影響については、企業のAI活用が「実験段階」から「実装段階」へと本格的に移行する転換点となると想定される。特に専門性の高い業務領域において、AIエージェントが実際の業務プロセスに組み込まれることで、生産性向上の具体的な成果が可視化されることになる。
これにより、他の大手IT企業やシステムインテグレーターにも同様のマルチエージェント型ソリューションの開発を促進し、業界全体のAI活用レベルの向上につながると想定される。
AIエージェントソリューションに関するよくある質問まとめ
- 20種のAIエージェントはどのような業務に対応しているのか?
文書作成、データ分析、モニタリングなどの基本業務に対応している。
具体的には業務ヒアリング、セールスデータ分析、提案資料作成、社内ナレッジ検索、外部情報リサーチ、知財文書作成などのエージェントが含まれ、これらを組み合わせて各業界の業務プロセスに最適化されたソリューションとして提供される。
- 導入にあたってどの程度のカスタマイズが可能なのか?
ベースとなるAIエージェントに対して、個社の業務仕様に合わせたカスタマイズが可能となっている。
業界知識やルールなどのデータを組み合わせることで、各企業の固有の業務プロセスに適合させることができ、従来のゼロからの開発と比較してコストと開発期間を大幅に短縮できる。

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