OpenAIが低コストで高性能な新モデル「o3-mini」を発表、無料プランでも技術系タスクに対応可能

OpenAIは2025年1月31日（現地時間）、新しい推論モデル「o3-mini」を発表した。

このモデルは、科学、数学、コーディングなどのSTEM分野で特に高い性能を発揮し、従来のo1-miniと比較して24%高速な処理が可能だ。

ChatGPTの無料プランユーザーにも提供され、有料プランユーザーには1日150メッセージまでの利用が可能となる。

また、開発者向けには関数呼び出しや構造化出力などの機能も搭載され、実用的なAIアプリケーション開発にも対応する。

＜本ニュースの10秒要約＞

• 従来モデルと比較して処理速度が24%向上し、応答時間が平均7.7秒まで短縮、高度な推論能力と低コストを両立
• 数学やプログラミングのコンテストで高評価を獲得し、専門家による評価でも56%の確率で従来モデルより優れた回答
• ChatGPTの無料プランユーザーにも提供開始され、有料プランユーザーには1日150メッセージまでの利用枠を確保

技術的特徴と性能評価

o3-miniは、Low・Medium・Highの3段階の推論努力レベルを選択可能で、タスクに応じて精度と速度のバランスを調整できる。

数学コンテストAIME 2024では高推論モードで87.3%の正解率を達成し、PhD級の科学的質問では79.7%の正確性を示した。

また、プログラミングコンテストCodeforcesでは2073のEloレーティングを記録し、ソフトウェアエンジニアリングタスクでも48.9%の精度を実現した。

開発者向け機能と提供形態

開発者向けには、関数呼び出し、構造化出力、開発者メッセージなどの機能が実装されている。

Chat Completions API、Assistants API、Batch APIを通じて提供され、API使用量tier 3-5の開発者から順次利用可能となる。

ChatGPT Plusユーザー、Team、Proユーザーは即日利用可能で、Enterprise向けは2025年2月から提供開始予定だ。

安全性と評価結果

o3-miniは、人間が作成した安全性仕様について推論を行うdeliberative alignment技術を採用している。

外部の専門家による評価では、従来のo1-miniと比較して56%のケースでより優れた回答を提供し、難しい実世界の質問における重大なエラーを39%削減した。

また、不正使用やジェイルブレイクに対する耐性も向上している。

AI Market の見解

o3-miniの登場は、高性能なAIのビジネス活用を更に加速する。

特にSTEM分野における高い性能と、無料プランユーザーへの提供は、AI技術の裾野を大きく広げる可能性がある。開発者向け機能の充実により、実用的なAIアプリケーション開発が加速することが予想される。

また、推論努力レベルの選択制により、用途に応じた柔軟な運用が可能となり、ビジネス現場での採用も進むだろう。

コスト効率の向上と安全性の確保を両立させた点は、今後のAIモデル開発の方向性を示すものとして注目に値する。

参照元：OpenAI