Google Agentspaceとは?メリット・始め方・AIエージェントのこれからの展開を徹底解説!
最終更新日:2025年02月26日
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2024年12月14日(現地時間)、GeminiなどのLLM(大規模言語モデル)を提供し続けてきたGoogleが、新たに企業向けのAIエージェント構築プラットフォーム「Google Agentspace」を発表しました。
Google Agentspaceを導入すれば、社内に無数とあるデータソースを横断せずとも、シンプルなプロンプト一つで欲しい情報へ迅速にたどり着くことが可能となります。
本記事では、Google Agentspaceの概要や導入メリット、始め方について徹底解説します。Google AgentspaceやAIエージェントに興味のある企業担当者は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
Google Agentspaceとは?
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Google Agentspaceとは、マルチモーダルAIエージェントを構築、運用できる企業向けプラットフォームです。企業は独自の専門AIエージェントを構築・チューニングできます。
企業内の情報を統合し、組織全体のデータを横断的に検索・解析できる AIエージェント構築・運用プラットフォームです。Google Agentspaceは以下の機能、能力を統合して同じプラットフォームで活用できます。
- Gemini:GoogleのマルチモーダルLLM
- Imagen:Googleの画像生成AI
- Veo:Googleの動画生成AI
- Google検索(Google-quality search)
- Google Cloud
- 社内に蓄積されたデータ
Google検索は、企業内の点在するデータソースを統合して検索します。検索エージェントが社員の権限範囲内でマルチモーダル対応の検索・ナレッジグラフ・Web検索を組み合わせた結果を提供するシステムです。
Confluence、Google Drive、Jira、Microsoft SharePointなど、一般的なサードパーティアプリケーション向けの事前構築されたコネクタが提供されています。
Google Agentspaceの導入によって、従業員が専用のAIエージェントへ容易にアクセスできるようになり、より迅速な情報取得が可能となります。
なお、すでに日本語への対応は完了しており、日本リージョンでの本格導入は近日中に予定されています。また、アーリーアクセスの申し込みは日本ユーザーでも可能なため、お試しでの利用も可能です。
ニーズに応じたGoogle Agentspaceの3エディション
Google Agentspaceは、企業の規模や求めるカスタマイズ性、運用の複雑さに応じて選択できるように、3つのエディションを提供しています。
以下の表は、3つのエディション別に、概要や機能、おすすめな企業タイプについてまとめたものです。
エディション名 | NotebookLM Enterprise | Google Agentspace Enterprise | Google Agentspace Enterprise Plus |
---|---|---|---|
概要 |
|
|
|
主な目的 | 従業員が情報をアップロードし統合することで、複雑な情報をわかりやすく把握できる | 組織内に散在するテキスト、画像、音声など多様な形式のデータを一元管理し、マルチモーダルな検索 | 各部門に特化したAIエージェントの構築 |
主な機能 |
|
|
|
おすすめな企業 | データドリブンな意思決定と安全な情報活用の両立を求める企業 | 複数のデータソースを有し、組織全体で統一された情報アクセスを実現したい大企業やグローバル企業 | マーケティングや財務、システム開発など複数部門で、業務プロセスの高度な自動化を目指す企業 |
参照:Introduction to Google Agentspace|Google Cloud
上記のエディションから、業務プロセスやセキュリティ要件に合わせて最適なエディションを選択することで、Google Agentspaceを最大限に活用できます。
気になるGoogle Agentspace料金は?
Google Agentspaceは現在プレビュー段階にあり、2025年2月時点で完全な一般公開には至っておらず、企業向けに限定的な早期アクセスが可能な状態です。
Google Agentspaceの一部の機能を含むAI リサーチ アシスタントであるNotebookLM Plusは、Google Workspaceの追加サービスとして、法人ユーザー向けに提供が始まっています。
尚、Google Workspaceを利用するには、有料サブスクリプションを契約する必要があります。
以下が、Google Workspaceの料金プランです。
- Business Standard:1,600円 / 月
- Business Plus:2,500円 / 月
- Enterprise:要問い合わせ
Google Agentspaceの活用例
Google Agentspaceは、各部門ごとに求められる情報収集や要約、データ分析のニーズに応じたAIエージェントを提供しています。
以下が、セールス・マーケティング・システム開発・研究開発部門における具体的な活用例です。
活用分野 | 活用方法例 |
---|---|
セールス部門 |
|
マーケティング部門 |
|
システム開発部門 |
|
研究開発 |
|
上記にあるように、Google Agentspaceは各部門の業務特性に合わせたタスクを支援するため、結果として組織全体の生産性向上に大きく役立ちます。
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Google Agentspaceのメリット
Google Agentspaceはカスタマイズ性やユーザーインターフェース、機能性において多くのメリットがあります。以下では、Google Agentspaceのメリットを紹介します。
複数の部門・地域で横断的に活用できる
従来、システム開発部門ではコード生成に特化したLLM、研究開発部門では数学や論理的思考に優れたLLMなどと、各部門ごとに個別のモデルを採用する必要がありました。
一方、Google Agentspaceは、複数のタスクをシームレスに実行できる汎用性の高いAIエージェントを提供しています。そのため、部門ごとに異なるLLMやAIエージェントを用意する手間がなくなります。
また、組み込まれた翻訳機能によって多言語をサポートし、多言語で作成されたデータにも容易にアクセスできるため、地域に依存することなく活用可能です。
したがって、Google Agentspaceの導入によって複数の部門や地域をまたがる情報へ迅速にアクセスできるようになり、社員の生産性向上とAIツールにかかる総コストの削減が期待できます。
高いカスタマイズ性
Google Agentspaceは、マーケティングや財務、システム開発など、各部門の業務特性やニーズに合わせてカスタマイズされたAIエージェントを提供します。
そのため、一から自社でAIエージェントを開発せずとも、Google AgentspaceのAIエージェントを通じて、部門固有の課題を解決できます。
従来のAIでは対応しきれなかった細かな要件にも応えることが可能となり、AI開発のノウハウがない企業でもAIエージェントを効果的に活用できます。
ユーザーフレンドリーなインターフェース
Google Agentspaceは、直感的で馴染みやすいユーザーインターフェースを持つ「NotebookLM」上で提供されています。それゆえに、まるで企業ポータルサイトのような洗練された見た目と簡素化された操作性を備えています。
Google Agentspaceであれば、初めて操作する社員やITツールが不慣れな社員でも容易に欲しい情報へアクセス可能なため、より多くの社員がAIエージェントを気軽に活用できるようになります。
テキスト・画像・動画形式に対応
Google Agentspaceは、Geminiの他に、 テキストから高品質な画像を生成できる「Imagen」動的な映像の理解や生成をサポートする「Veo」といった、Googleの特化型生成AIモデルを搭載しています。そのため、テキストや画像、動画など複数のメディア形式を統合的に理解・処理できます。
具体的にGoogle Agentspaceで対応できるデータは、以下のとおりです。
- ドキュメントやメール(非構造化データ)
- 表(構造化データ)
- 画像
- インフォグラフィック
- 音声
Google Agentspaceでは多様なデータへ特別な処理なくアクセスできるため、 AIエージェントを通じてより包括的で精度の高い回答や分析を迅速に得られます。
幅広いデータベースと連携できる
Google Agentspaceは、多くの企業でよく利用される主要サードパーティアプリケーション用の既成のコネクタを用意しています。
以下が、連携コネクタがあるサービス例です。
- Confluence
- Googleドライブ
- Jira
- Microsoft SharePoint
- ServiceNow
- Slack
- Outlook
- Salesforce
Google Agentspaceでは、ビジネスで主要なデータベースやアプリケーションが統合され、タスクに応じてAIエージェントが必要な情報を自動的に参照できる環境が整っています。そのため、サポートや社内FAQシステムを頼る場合よりも、Google Agentspace上で直接質問する方が必要な情報を素早く取得でき、トラブル対応や疑問解消が迅速になります。
また、企業向けのプラットフォームとして提供されているため、データプライバシーへの配慮も十分です。
例えば、各アプリケーション側のアクセスコントロールリスト(ACLs)を利用すれば、エージェントが参照するデータベースを制限できます。他に、インデックス取り込み時にはコンテンツフィルタを適用することも可能です。
ACLsとコンテンツフィルタリングの適用によって、情報のセキュリティと正確性を確保できます。
企業ユース可能な高いセキュリティ
Google Agentspaceは、企業向けにセキュリティとプライバシーが強化されたプラットフォームです。
以下のような高いセキュリティ機能を採用しています。
- 堅牢なクラウドインフラ:設計段階からセキュリティが確保されたGoogle Cloudインフラストラクチャ上に構築
- データプライバシーの徹底保護:プロンプトや出力、学習における全データが厳重に保護され、外部への情報漏えいリスクを防止
- コンプライアンスと細やかなIT制御:ロールベースのアクセス制御(RBAC)やIAM統合、Sec-4 クラウド コンプライアンスにより、常時データを安全に管理
- NotebookLM Plusのセキュリティ機能:ソースやクエリ、応答が全て組織内に留まるように設計
上記のセキュリティ機能により、機密データや業務プロセスを保護しながら、安全にAIエージェントを活用できます。
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Google Agentspaceの始め方
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Google Agentspaceは、2025年2月現在は早期アクセスの申し込みとなっています。一般公開時期は、今後随時変更される可能性があります。
なお、Google Agentspaceは、より幅広いユーザーが使いやすくなるような改善を計画しています。
特に、注目を集めているのが「ローコードビジュアルツール」の実装です。近日中には実装が完了すると言われており、ローコードビジュアルツールが完成すれば、非エンジニアでも直感的な操作で独自のAIエージェントの構築やチューニングができるようになります。
そのため、IT部門に依存せず、各部門の社員が自ら業務課題に即したエージェントを作成でき、現場での革新的なアイデア創出やプロセス改善が促進されます。
Google Agentspaceが加速するAIエージェント構築プラットフォーム
Google Agentspaceをはじめ、AIエージェント技術は急速な進化を遂げ、企業や開発者の注目を集めています。特に、シングルエージェントからマルチエージェントシステム(MAS)への移行が顕著になっています。
従来のシングルエージェントシステムから、複数のAIエージェントが協調して動作するマルチエージェントシステム(MAS)への移行が進んでいます。この変化により、より複雑なタスクの処理や、柔軟な問題解決が可能になっています。
主要プレイヤーの動向
GoogleはProject AstraとVertex AI Agent Builderを通じて、次世代AIアシスタントの開発を進めています。また、Project Marinerは、AIがChromeブラウザを自動操作し、複雑なウェブタスクを実行できる技術です。これにより、ユーザーの指示に基づいて自動的にウェブ上のタスクを遂行することが可能になります
MicrosoftはMagentic-OneやCopilot Studioを展開し、企業向けのAIエージェント構築プラットフォームを提供しています。
OpenAIはOperatorを通じて、AIがブラウザを操作してタスクを実行する能力を実証しています。
他にも、AutoGPTやAgentGPTなどのオープンソースプロジェクトも注目を集めています。
Google Agentspaceについてよくある質問まとめ
- Google Agentspaceのセキュリティ対策やデータ管理機能はどのようになっていますか?
各アプリケーションのアクセスコントロールリスト(ACL)を利用して、エージェントが参照するデータベースを厳密に制限可能です。
また、インデックス取り込み時のコンテンツフィルター適用や、高度なセキュリティ・管理機能により、企業レベルのデータ保護とコンプライアンスが確保されています。
- Google Agentspaceはどのようなデータソースへのアクセスや統合が可能ですか?
Confluence、Googleドライブ、Jira、Microsoft SharePoint、ServiceNow、Slack、Outlook、Salesforceなど主要なサードパーティアプリとの連携が既成のコネクタとして用意されており、企業内の多様なデータソースを統合して活用できます。
まとめ
Google Agentspaceは、 Googleの先端AI技術の「Gemini」と「Google-quality search」、企業内に散在する「データソース」を統合し、シングルのマルチモーダルAI検索エージェントを提供する企業向けプラットフォームです。
セールスやマーケティング、システム開発など各部門に特化したAIエージェントが用意され、それぞれのエージェントはシンプルなプロンプト操作で、情報抽出や関連業界の分析、レポートの要約などを実行します。
また、Google Agentspaceは、部門・地域を問わず活用できる高い汎用性と幅広いデータベースとの高い連携性を有しているにも関わらず、企業向けに考慮された高いセキュリティ性が特徴です。特にNotebookLM Plus上で提供されることで、ソースやクエリ、応答が全て組織内に留まる設計となっており、機密情報でも安全に取り扱えます。
今回の機会にGoogle Agentspaceを導入し、特化型AIエージェントによる各部門の業務効率化を進めてみてはいかがでしょうか?
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