Azure AI Agent Serviceとは?メリット・始め方・AutoGPTとAgentGPTとの違いを徹底紹介!
最終更新日:2025年03月09日
AIエージェントが企業での業務効率化の切り札として注目されていますが、開発や運用には専門知識や複雑な環境構築、そしてセキュリティの確保が不可欠です。そこでマイクロソフトが提供するのが「Azure AI Agent Service」です。
本記事では、Azure AI Agent Serviceのメリット、導入手順を解説するとともに、同様の注目ツールであるAutoGPTやAgentGPTとの違いを紹介します。
AIエージェントの開発基盤を検討中の企業担当者は、必見の内容です。
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目次
Azure AI Agent Serviceとは?

Azure AI Agent Serviceとは、最新のLLM(大規模言語モデル)の高度な自然言語処理機能と、汎用的なプログラムアクションをシームレスに連携できるAIエージェント開発ツールです。GPTやLlamaなどの生成AIモデルを組み合わせて、質問への回答、タスクの実行、ワークフローの自動化を可能にします。
企業向けのAzure AIサービスのなかの、Azure AI Foundryの一部として提供されています。Azure AI Agent Serviceを利用することで、複雑なリソース管理の負担を気にすることなく、効率的かつ安全にAIエージェントの構築からデプロイ、スケーリングまで行えます。
また、開発できるAIエージェントの柔軟性が高く、例えばソースを元にした質問への回答(RAG)や各種アクションの実行、複雑なワークフローの完全な自動化など、幅広いビジネスシーンで適用可能です。
したがって、Azure AI Agent Serviceは、汎用性の高いAIエージェントを迅速に実装・展開できる理想的なプラットフォームと言えます。
関連記事:「AIエージェントとは?自律型?生成AIとの違いや特徴、種類」
Azure AI Agent Serviceの活用例
Azure AI Agent Serviceを活用することで、各部門におけるさまざまな業務シナリオに対応するAIエージェントを構築可能です。具体的には、以下のようなエージェントを実装できます。
エージェントの種類 | できること |
---|---|
調査 | 市場動向や業界の最新情報を継続的に監視し、レポート作成を自動化 Azure AI SearchやBingなどのツールを活用して情報を収集し、レポート作成をサポート |
営業 | 営業チームが最も有望なターゲットに注力できるように、見込み客の調査と自動選別 営業チームが最も有望なターゲットに注力できるように、見込み客の調査と自動選別 |
顧客サービス | 顧客へのパーソナライズされたメッセージを自動で送信し、積極的なフォローアップをサポート |
開発サポート | コードベースのアップグレードやコードリポジトリの開発をサポート |
生産性アップ | 電子メールを自動で送信して会議をスケジュールするなど日常的なタスクの自動化 |
Azure AI Agent Serviceは多岐にわたる業務プロセスを自動化し、企業全体の生産性向上に大きく寄与します。
関連記事:「AI開発の手順は?システム構築の流れを徹底解説!費用・人材探し・失敗予防注意点完全ガイド」
【比較】Azure AI Agent Service・AutoGPT・AgentGPT
MicrosoftのAzure AI Agent Service、OpenAIのAutoGPTとAgentGPTはいずれもAIエージェント構築プラットフォームですが、それぞれ強みや適した用途が異なります。
それぞれの特徴や優位点は、以下のとおりです。
比較項目 | Azure AI Agent Service | AutoGPT | AgentGPT |
---|---|---|---|
開発環境 | Azure AI Foundry SDK/ポータル | GitHubで公開されているオープンソース | Webブラウザベース |
AIモデル | GPT-4、Llama3、Mistral、Cohereなど | GPT-4、GPT-3.5 | GPT-4、GPT-3.5 |
セキュリティ | エンタープライズグレードのセキュリティ | ユーザーが自己管理 | Next-Auth.jsによる認証 |
インターフェース | コードベースとポータルベース | コマンドラインインターフェース | インタラクティブなWebインターフェース |
コスト | Azureの料金体系に基づく | 無料(ただし、OpenAI APIキーが必要) | 無料(ただし、GPT-4アップグレードには追加費用) |
サポート | Microsoftによる公式サポート | コミュニティサポート | カスタマーサポートあり |
特徴 |
|
|
|
主な用途 | 企業ユースレベルの安全性と柔軟性を兼ね備えた開発基盤が必要なシーン | コンテンツ作成や分析、データ処理など、自律的な作動が望ましいシーン | パーソナライズなセールスやマーケティングなど、ユーザーの介入が必要なシーン |
上記より、個人向けやプロトタイピングを目的とする場合はAutoGPTやAgentGPT、一方企業全体での大規模なシステム統合や高い信頼性が求められる場合ではAzure AI Agent Serviceがより適した選択肢と言えます。
参考:Introducing Azure AI Agent Service|Azure AI services Blog
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Azure AI Agent Serviceのメリット

Azure AI Agent Serviceは高度なAIエージェントを迅速に実現できるように環境が整えられています。以下では、Azure AI Agent Serviceのメリットを紹介します。
AIエージェント開発が簡単に
Azure AI Agent Serviceは、「OpenAI SDK」や「Azure AI Foundry SDK」を利用することで、わずか数行のコードでAIエージェントの構築から実行まで可能です。
OpenAI SDKとはGPT-4などOpenAIのLLMなどをシンプルなAPI呼び出しで利用できるライブラリです。Azure AI Foundry SDKはAzure AIプラットフォームの各種機能を統合し、エンタープライズ向けAIアプリケーションの構築基盤を提供するツールチェーンです。
例えば、Azure AI Foundry SDKでは以下のシンプルな流れでAIエージェントを容易に構築できます。
- LLMの指定
- タスクの実行方法に関する具体的な指示
- 他のサービスへアクセスできるツールを定義
このように、Azure AI Agent Serviceを活用すれば短いコードで高度なAIエージェントを構築できるため、従来の複雑なエージェント開発プロセスを大幅に簡略化できます。結果として開発時間の短縮につながります。
主要な生成AIと連携
Azure AI Agent Serviceは、Microsoftをはじめ、OpenAIやMeta(旧Facebook)、Mistral、Cohereなど、生成AI業界をリードするパートナーのLLMを一元的に統合しています。
具体的には、以下の主要な生成AIモデルを利用できます。
- GPT-4oシリーズ(音声/画像/テキストに対応したマルチモーダルモデル)
- GPT-4シリーズ(高精度な自然言語処理が可能)
- GPT-3.5シリーズ(低コストモデル)
- DALL-E(画像生成特化)
- Whisper(音声認識特化)
- Meta Llama 3.1 405B(膨大なパラメータを持つ高性能モデル)
- Mistral large 2407(軽量ながら高速な生成が可能)
- Cohere Command R+(長文コンテキストのタスク向けに調整したモデル)
上記にあるように、テキスト生成だけでなく、画像生成や音声生成、コード生成に対応するモデルも選択できます。Azure OpenAI Serviceを通じて、GPT-4やGPT-3.5などのOpenAIモデルも利用可能であり、これらを組み合わせることで、より幅広いタスクに対応するエージェントを構築できます。
豊富なラインナップにより、用途に応じた最適なモデルを選択でき、タスク固有のエージェントの構築や総所有コストの最適化が可能です。
外部システムとの高い連携性
Azure AI Agent Serviceは、「Azure Logic Appsコネクタ」を通じて1,400以上の外部システムと連携することが可能です。
以下が、連携できるシステムの一部です。
- Microsoft TeamsやExcelなどのMicrosoft製品
- Dropbox
- Gmail
- SAP
- Bing Search(リアルタイムのWebデータを取得)
- Microsoft Fabric(構造化データを統合したデータ分析プラットフォーム)
- SharePoint(社内のプライベートデータが格納されたプラットフォーム)
- Azure AI Search(エンタープライズ向けの高度な検索機能)
- ローカルファイル
- トリップアドバイザーなどの独自ライセンスデータ
Azure AI Agent Serviceを通じて、上記のような社内の多様なシステムやデータソースと統合することで、AIエージェントの回答精度の向上や適用範囲の拡大を実現します。
企業使用を前提にした高い高度なセキュリティ
Azure AI Agent Service は、企業が規制要件を満たしながら機密データを保護できるよう、エンタープライズ向けの高度なセキュリティ機能をパッケージ化しています。
以下が、具体的なセキュリティ機能です。
セキュリティ機能 | 機能の詳細 |
---|---|
企業独自ストレージへの直接連携 | Assistants APIとは異なり企業のデータソースに直接接続しエージェントが安全にデータへアクセスできるよう設計 |
専用の仮想ネットワーク | パブリックへのデータ出力を厳格に禁止し、内部ネットワーク内での通信を維持する |
認証の簡素化 | キーレスセットアップや代理認証(On-Behalf-Of)を活用 |
無制限のスケール | 無制限のパフォーマンスとスケーリングを活用でき、予測可能な待機時間と高スループット |
エージェントの出力を常時監視 | パフォーマンスと信頼性を評価するために、監視ダッシュボードへOpenTelemetry互換のメトリックを組み込める |
コンテンツフィルタとプロンプトシールド | カスタムのコンテンツフィルタなどで有害コンテンツを検出 プロンプトシールドによりクロスプロンプトインジェクション攻撃からエージェントを保護 |
これらの機能により、Azure AI Agent Serviceは、AIエージェントがアクセスする社内の機密情報や顧客情報のプライバシーを確保しています。
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Azure AI Agent Serviceの始め方
Azure AI Agent Serviceの使用を開始するには、「Azure AI Foundryハブ」と「AIプロジェクト」を作成する必要があります。
以下が、具体的な手順です。
- Azureのサブスクリプションを契約(無料で作成可能)
- Azure AI Foundryハブを作成
既存のハブがない場合は、プロジェクトを作成するとデフォルトでハブが作成されます。 - Azure AI Foundryポータルでプロジェクトを作成
- GPT-4oなどの互換性のあるモデルをデプロイ
もしくはSDKを使用してサービスへの API 呼び出しを開始
Azure AI Agent Serviceは分かりやすいUIになっているため、難しい操作なく簡単にエージェントを作成できます。
Azure AI Agent Serviceの利用枠
Azure AI Agent Serviceは、安全性を確保するためにいくつか利用制限を設けています。以下が、現在の利用枠です。
制限項目 | 制限値 |
---|---|
エージェント / スレッドあたりの最大ファイル数 |
|
エージェントの最大ファイル サイズ | 512MB |
エージェント用にアップロードされた全ファイルの最大サイズ | 100GB |
最大エージェントトークン数 | 2,000,000トークン |
参考:Azure AI Agent Service のクォータと制限
上記の制限により、利用形態や業務規模に合わせた最適な設定が可能なため、さまざまなシナリオでのAIエージェント活用を促進します。なお、利用枠は変更になる場合もあるため、利用前にAzure AI Agent Serviceで最新情報を確認するとよいでしょう。
関連記事:「Microsoft Azureの料金の仕組みは?費用を抑える方法」
Azure AI Agent Serviceについてよくある質問まとめ
- Azure AI Agent Serviceの主な特徴は何ですか?
最新のLLMや多様な生成ツールを統合し、チャット、画像生成、音声認識など複数のAI機能を単一プラットフォームで提供する点が特徴です。
また、柔軟なカスタマイズ性とエンタープライズ向けの高いセキュリティ・コンプライアンス機能も備えています。
- AutoGPTやAgentGPTとどのような違いがありますか?
AutoGPTは自律的に複数タスクを実行するシステム、AgentGPTはユーザーがインタラクティブに操作・カスタマイズできる環境を提供します。
一方、Azure AI Agent Serviceはこれらの長所を取り入れつつ、エンタープライズ環境での統合性、スケーラビリティ、セキュリティを強化しており、企業向けの柔軟なAIエージェント開発を実現します。
まとめ
Azure AI Agent Serviceは、Microsoftが提供するエンタープライズ向けAI開発エージェントツールです。
具体的には、GPT-4oやLlamaをはじめ主要なLLMと、SharePointなどの1,400種類以上の多様な外部ツールを統合し、RAGや複雑なワークフローに対応する高度なAIエージェントを開発できます。
また、AI開発のノウハウに依存することなく幅広い企業で活用できるように、開発を簡略化できるローコードの仕組みと堅牢なセキュリティ機能を搭載している点も特徴です。
さらに詳細な活用方法や、貴社固有の課題解決への適用について検討されたい場合は、AIエージェント開発に精通した専門家にご相談いただくことをお勧めします。
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