画像アノテーションとは?手法種類・活用シーン・実施方法・成功のコツを徹底解説!
最終更新日:2025年09月10日

- 画像アノテーションは、AIに画像を正しく「理解」させるための教師データを作成する作業
- 物体の位置を大まかに知りたい場合は「バウンディングボックス」、ピクセル単位で領域を特定したい場合は「セグメンテーション」のように最適なアノテーション手法を選ぶ必要
- 品質のばらつきを防ぐための明確なルール作りや管理体制の構築、コストやセキュリティを考慮した内製と外部委託の最適なバランスを見極める
画像アノテーションは、AI(人工知能)が画像を「理解」できるようにする上で欠かせない技術です。自動運転の物体検出や病変診断、異常検知など、幅広い分野におけるAI活用を推進します。
本記事では、AIプロジェクトの成功を左右する画像アノテーションの基本から徹底解説します。物体の位置を特定する「バウンディングボックス」から、ピクセル単位で領域を塗り分ける「セグメンテーション」まで5つの主要な手法を長所・短所と共に紹介しています。
さらに、ツール活用や生成AIによる支援といった実践的な「やり方」、品質を担保するための「成功のポイント」まで、ビジネスの現場で必要な知識を解説しました。
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目次
画像アノテーションとは?
画像アノテーションとは、画像内に写っている物体や領域、意味、属性などに対して意味のある情報(メタデータ)をラベル付けする作業のことです。
画像アノテーションされたデータは、画像認識や物体検出、セグメンテーションなどのAIモデルの学習・評価に活用されます。AIモデルは、ラベル付けされたデータをもとに画像の特徴を学習し、未知の画像に対しても高精度な認識や分類を行えるようになります。
例えば、自動運転AIを開発する場合、車載カメラが撮影した映像の中の「これは車」「これは歩行者」「これは信号機」といった情報を人間が一つひとつ手作業で教えていく必要があります。
画像アノテーションがなければ、AIは単なるピクセルの集合体としてしか画像を認識できず、そこに何が写っているのかを理解することはできません。この地道なアノテーション作業が、AIの「目」を育て、人間のように世界を認識させるための土台となるのです。
アノテーションの精度や一貫性はモデル性能に直結するため、AI導入においては欠かせない工程です。
代表的な活用シーン
画像アノテーションは、以下のように多様なシーンで活用され、AIの実用化を支える重要な役割を担っています。
分野 | 活用例 |
---|---|
小売・流通 | |
医療 |
|
製造業 |
|
農業 | |
自動運転 |
|
画像アノテーションは業界を問わず活用が広がっており、AI導入による効率化や付加価値創出に大きく貢献する技術といえます。
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アノテーションの主要手法5選
画像アノテーションには様々な手法があり、AIに何をさせたいかによって最適なアプローチが異なります。ここでは、代表的な5つの手法を、それぞれの長所・短所と共にご紹介します。
バウンディングボックス
バウンディングボックス (Bounding Box)は、画像内の物体を四角い枠で囲み、その物体が何であるかを示すラベル(例:自動車、人間)を付与する最も基本的な手法です。
長所 | 作業が比較的単純で、高速かつ低コスト 物体の「位置」と「大まかな範囲」を認識させたい場合に有効 |
---|---|
短所 | 物体の正確な形状までは表現できない 物体同士が重なっていると、精度が低下しやすい |
主な用途 | 物体検出(一般的な画像検索、防犯カメラの人物検知など) |
セマンティックセグメンテーション
セマンティックセグメンテーション (Semantic Segmentation)は、画像をピクセル単位で意味のある領域ごとに塗り分ける手法です。「空」「道路」「建物」「木」といったように、同じカテゴリに属するものはすべて同じ色で塗りつぶします。
長所 | 画像内のどこに何が存在するのかをピクセルレベルで詳細に認識できる |
---|---|
短所 | アノテーション作業に非常に手間と時間がかかる 個々の物体を区別できない(例えば、複数の車を「車」という一つの領域として認識する) |
主な用途 | 自動運転の走行可能領域認識、医療画像における臓器の領域分割、衛星画像からの土地被覆分類など |
インスタンスセグメンテーション
インスタンスセグメンテーション (Instance Segmentation)は、セマンティックセグメンテーションをさらに発展させ、同じカテゴリに属する個々の物体を区別して塗り分ける手法です。「車1」「車2」「歩行者A」「歩行者B」のように、個体を識別します。
長所 | 物体の正確な形状と位置、さらに個々のインスタンスまで識別できる最も情報量の多い手法 |
---|---|
短所 | アノテーションの難易度が最も高く、コストも時間も最大 |
主な用途 | 自動運転における車両や歩行者の個別認識、工場ラインでの部品の個数カウントや異常検知など、より高度な物体認識が求められる場面 |
キーポイント / ランドマーク
キーポイント / ランドマーク (Keypoint / Landmark)は、物体の特徴となる点(キーポイント)に印を付けていく手法です。人間の骨格推定(関節の位置)や顔認証(目、鼻、口の位置)などで利用されます。
長所 | 物体の姿勢や形状の変化を捉えるのに適している |
---|---|
短所 | 正確なキーポイントを特定するには専門的な知識や熟練が必要な場合がある |
主な用途 | 人間の姿勢推定(スポーツのフォーム解析、フィットネスアプリ)、顔認証、AR(拡張現実)での顔エフェクトなど |
ポリゴン
ポリゴン (Polygon)は物体の輪郭を多角形で細かく囲っていく手法です。バウンディングボックスでは捉えきれない、不定形な物体の正確な領域を示すのに適しています。
長所 | バウンディングボックスよりも正確に物体の形状を捉えることができる |
---|---|
短所 | 頂点を細かくプロットする必要があるため、作業に時間がかかる |
主な用途 | 不定形な物体(例:道路の白線、服など)の検出、ドローン画像からの建物や土地の精密な領域抽出など |
画像アノテーションのやり方
本章では、画像アノテーションの主なやり方を紹介します。
手動アノテーション
手動アノテーションは、人間のアノテータが画像上の対象物や領域に対して1つずつラベル付けする方法です。アノテーションの品質や一貫性を直接コントロールできるのが大きな特徴です。
高精度なアノテーションが期待できるため、医療画像の病変部位の特定や研究用途など専門的な判断を必要とするケースで特に適しています。
一方、人力ゆえに大量の画像を対象とする場合は時間と労力がかかるため、工数や人員確保が課題となります。
専用のアノテーションツールを活用した自動アノテーション
自動アノテーションは、ベンダー提供またはオープンソースのアノテーションツールを使用してラベル付けを自動化する方法です。
代表的な機能としては以下があります。
- 対象物の輪郭を自動で補正するスナップ機能
- 同じ画像内に繰り返し登場する物体を一括処理する機能
アノテータはゼロからラベルを作成するのではなく、候補を確認・修正するだけで済むため、作業工数の大幅な削減が可能です。そのため、数万〜数十万枚規模の大規模データセットでも効率的に整備できます。
ただし、完全自動で精度を担保するのは難しいため、人間によるレビュー工程を組み合わせて品質を確保する仕組みが欠かせません。
関連記事:「AI開発おすすめアノテーションツール比較!無料・有料の選び方解説」
機械学習による高速アノテーション
機械学習による高速アノテーションは、YOLOなどのAIモデルを利用して画像内の対象物をラベル付けする方法です。事前に学習済みのAIモデルを活用することで、対象物の検出からラベル付与までを完全自動で実行できます。
大量のデータを短時間で処理できるのが特徴です。
特に、監視カメラ映像のリアルタイム解析や自動運転の走行データ解析など、処理スピードが求められるプロジェクトに適しています。
精度は利用する学習済みモデルの性能や学習データに依存し、精度が低い場合は誤検出や見落としが発生することも少なくありません。
そのため、学習データの量や多様性を確保し、必要に応じて再学習やデータ拡張を行うことが重要です。
生成AIによるアノテーション支援
ChatGPTなどの生成AIを活用し、自然言語の指示で対象物の位置やラベル名を自動生成する方法もあります。従来のアノテーションには難しい、画像の状況や意味を踏まえた「文脈理解」や、対象物に適切で自然な名前を付ける「ラベル命名」に対応できます。
例えば「この画像に写っている果物をすべてラベル付けして」と指示すると、AIが自動的に判断し「リンゴ」「バナナ」といった候補を出力します。アノテータ側の専門知識や特定のラベル理解に依存せず、多様な分野でアノテーションを行えるのが強みです。
また、人手とAIを組み合わせることで専門的な分野におけるラベル付けを半自動化でき、効率化と品質確保を両立できます。特に、自社で知見の少ない領域や、既存データのラベル整理を行う際の補助として有効です。
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画像アノテーションを成功させるためのポイント
画像アノテーションを成功させるためには、内製化・アウトソーシングのバランスやデータの管理、運用体制の構築が欠かせません。本章では、画像アノテーションを成功に導くポイントを紹介します。
内製とアウトソーシングの検討
画像アノテーションは、内製化とアウトソーシングのどちらで進めるかによってコストや品質が大きく変わります。
内製化は、機密性の高いデータや自社独自のノウハウを活かしたい場合に適しています。しかし、大量のデータを短期間で処理するには、十分な人員と工数を確保する必要があります。
一方、専門のアノテーション会社は大人数のアノテータを確保しているため、短納期のプロジェクトや数十万枚規模の大規模なプロジェクトでも柔軟に対応できます。ただし、情報漏えいや品質のばらつきが生じるリスクに注意が必要です。
そのため、データの機密性・量・精度要求に応じて両者を組み合わせる「ハイブリッド運用」が有効です。例えば、小規模で機密性の高いデータは内製で対応し、大規模で標準化可能なタスクは外部委託するといった使い分けが有効です。
ハイブリッドな運用により、セキュリティを確保しつつスピードとコスト効率を両立でき、プロジェクトの規模や性質に応じて柔軟な運用が可能になります。
関連記事:「アノテーション作業は外注?内製?ツール活用?注意点・トラブル対策方法を解説」
データの量・質・多様性を考慮する
画像アノテーションの精度を高めるためには、単に大量のデータを用意するだけでは不十分です。データのクラスに偏りがあると、モデルが特定のクラスに過学習し、実運用で精度が大きく低下する恐れがあります。
そのため、クラスごとのラベル数や対象物のサイズ、部分・全体・背景などの表示パターンを確認し、データの偏りを定期的にチェックすることが重要です。
不足が見られる場合は追加でデータを収集し、必要に応じてデータ拡張を活用してバリエーションを補ってモデルの汎化性能を維持しましょう。
関連記事:「データ収集とは?AI開発に重要な理由・具体的な収集方法や収集のコツ・種類や手法について詳しく解説!」
一貫したラベリングルールを設ける
複数のアノテータが関わる場合、作業者ごとに判断基準が異なるとラベルの一貫性が失われ、学習モデルの精度低下につながります。そのため、全員が同じ基準で作業できるようにラベリングルールを設け、曖昧なケースや例外パターンへの対応方法などを明確にすることが大切です。
ラベリングルールを設ける際のポイントは、以下のとおりです。
- 具体例を交えて分かりやすく記載
- 運用中に発生した新しいケースを随時追記して更新
- 定期的にレビューやフィードバックを取り入れる
常に最新の状況に対応できるようにすることで、現場での適用性と精度を高められます。
品質管理体制を整える
アノテーションの品質は、AIモデルの学習精度に直結するため、徹底した品質管理体制の構築が欠かせません。単に大量のデータを整備するだけでは不十分で、ラベル付けの正確性と一貫性を継続的に確認する仕組みが必要です。
具体的な取り組みとしては、以下のような方法が有効です。
- ダブルアノテーションの実施:同じデータを複数のアノテータが作業
- IoU(Intersection over Union)評価の導入:ラベルの重なり率を数値化して精度を測る
- サンプリングチェックの実施:品質管理担当者を設けて誤差をレポートし、修正依頼のフローを標準化
人手による確認と定量的な評価を組み合わせることで、安定した高品質データを維持できます。
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代表的な画像認識AIモデルと画像アノテーション手法の関係
代表的な画像認識AIモデルのアーキテクチャと、そのアーキテクチャで必要な画像アノテーションを以下のテーブルにまとめました。
AIモデル(アーキテクチャ) | 概要と特徴 | 適用されるアノテーション作業 |
---|---|---|
YOLO |
|
|
Faster R-CNN |
|
|
EfficientDet |
|
|
Grounding DINO |
| テキスト指示に基づくバウンディングボックス |
Segment Anything Model(SAM) |
|
|
HRNet | 高解像度特徴マップを用いた高精度なキーポイント検出 | キーポイントアノテーション |
Vision Transformer(ViT) | Transformerベースで画像を文脈的に解析 | 画像分類 現在では物体検出やセグメンテーションなど、多様なタスクに応用される基盤技術となっている |
それぞれのAIモデルには得意分野や特徴があり、目的に応じて適切なアノテーション手法を選択することが重要です。用途に適したモデルを活用することで、効率的かつ高精度なデータ整備が可能となり、AIシステム全体の性能向上につながります。
画像アノテーションについてよくある質問まとめ
- 画像アノテーションとは何ですか?
画像に写っている物体や領域に対し、「これは車」「これは歩行者」といった意味のある情報(ラベル)を付ける作業のことです。このラベル付けされたデータがAIの「教師データ」となり、AIが画像を正しく認識するための学習に使われます。
- 自社で行うのと外注するのではどちらが良いですか?
機密性の高いデータや少量データは内製、大規模かつ標準化できるタスクは外注が適しています。両者を組み合わせるハイブリッド運用が効率的です。
- 画像アノテーションにはどのような手法がありますか?
目的に応じて主に5つの手法があります。
- バウンディングボックス: 物体を四角い枠で囲む最も基本的な手法。
- セマンティックセグメンテーション: 画像を「空」「道路」など意味のある領域ごとにピクセル単位で塗り分ける手法。
- インスタンスセグメンテーション: 同じ種類の物体も「車1」「車2」のように個別に区別して塗り分ける手法。
- キーポイント: 人間の関節や顔のパーツなど、物体の特徴点に印を付ける手法。
- ポリゴン: 物体の複雑な輪郭を多角形で細かく囲む手法。
- 画像アノテーションはどのように行うのですか?
主に4つのやり方があります。
- 手動アノテーション: 人が一つひとつ手作業でラベル付けを行います。
- 専用ツールの活用: アノテーション作業を効率化するツールを使い、半自動で進めます。
- 機械学習による高速化: YOLOなどのAIモデルを活用し、ラベル付けを自動化します。
- 生成AIによる支援: 自然言語での指示に基づき、生成AIがアノテーション作業を補助します。
まとめ
画像アノテーションは、AIが画像を「理解」するために欠かせない技術です。
適切なアノテーション運用を行うことで、AIモデルの学習効率が向上し、AIを活用した業務の自動化を推進できます。
この機会に画像アノテーションの仕組みと成功ポイントを理解し、画像データを効果的に活用しましょう。しかし、実際に最適なアノテーション手法を選定し、品質・コスト・納期を管理しながら効率的な運用体制を構築するには、専門的な知見が求められる場面も少なくありません。
もし、自社のデータに最適なアノテーション方法が分からない、あるいは品質管理体制の構築に不安があるといった課題をお持ちでしたら、一度専門家に相談してみるのも有効な選択肢です。AI開発の知見が豊富なパートナーは、プロジェクト成功への確かな近道を示してくれるでしょう。

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