経済産業省、AI開発・利用時の契約チェックリストを発表、データ利用やセキュリティ等の具体的なチェックポイントを明示

経済産業省は2025年2月18日、AI技術を用いたサービスの利活用契約に関する具体的な留意点をまとめた「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を発表した。

このチェックリストには、インプットデータの取り扱いから個人情報保護、セキュリティ対策まで、契約時に確認すべき項目が体系的に整理されている。

チェックリストでは、AI関連サービスを「汎用的AIサービス利用型」「カスタマイズ型」「新規開発型」の3つの類型に分類し、それぞれの契約形態に応じた留意点を整理している。

特に、ユーザがベンダに提供するインプットデータの取り扱いについては、AI学習目的での利用可否や第三者提供の制限など、詳細な確認項目が設けられている。

契約条項のチェックポイントは、インプットとアウトプットの両面から体系的に整理されている。

インプット面では、データの定義、提供条件、利用目的、管理・セキュリティ体制、保持期間・消去義務などが含まれる。

アウトプット面では、AI生成物の完成義務、提供条件、保証・情報提供義務、利用条件、権利帰属などが網羅されている。また、個人情報保護法への対応として、国内および外国への第三者提供に関する具体的な留意点も示されている。

セキュリティに関する留意点も充実しており、対象システムのセキュリティ水準の確認方法、監査条項の設定、ログ保存の必要性などが具体的に示されている。

特に、システムのアーキテクチャに関する資料、ソフトウェア部品構成表（SBOM）、脆弱性情報などの確認ポイントが明記され、技術面でのリスク評価にも活用できる内容となっている。

AI Market の見解

本チェックリストは、AI開発・利用に関する契約実務の標準化に大きく貢献する内容である。

特に、生成AI技術の利用拡大に伴い重要性が増している知的財産権の取り扱いや、データの利用範囲の明確化について、実務的な指針をいち早く示している点は高く評価できる。

また、技術面でのセキュリティ対策についても具体的な確認項目を提示しており、AIシステムの安全な導入・運用に向けた実践的なガイドラインとして機能することが期待される。

このチェックリストの活用により、企業のAI導入における法的リスクの低減と、適切な契約実務の確立が促進されるだろう。

参照元：経済産業省