AnthropicがClaudeとSlackの統合機能を発表、ワークスペース内でのAI活用とコンテキスト検索が可能に
最終更新日:2025年10月08日

Anthropicは2025年10月2日、AI「Claude」とビジネスチャットツール「Slack」の統合機能を発表した。
Slack内でClaudeを直接利用できる3つの機能と、Claude側からSlackのメッセージや共有ファイルを検索できるコネクタ機能により、業務フローにAIを組み込むことが可能になる。
- Slack内でClaudeを利用可能に、ダイレクトメッセージ、AIアシスタントパネル、スレッド参加の3つの方法で活用
- ClaudeからSlackワークスペースを検索するコネクタ機能により、チャンネルやファイルから必要な情報を取得して応答精度を向上
- ユーザーのアクセス権限を尊重したセキュリティ設計で、管理者による組織全体の承認制御と既存のプライバシー設定を維持
今回発表された統合機能では、Slack内でClaudeを3つの方法で利用できる。
1つ目はダイレクトメッセージで、@Claudeとのプライベートな会話を通じてリサーチや文書作成、分析などの支援を受けられる。
2つ目はAIアシスタントパネルで、任意のチャンネルからSlackのAIアシスタントヘッダーにあるClaudeアイコンをクリックすることで、進行中の会話を中断せずにClaudeにアクセスできる。
3つ目はスレッド参加機能で、任意のスレッドに@Claudeをメンションすることで、会話のコンテキストに基づいた返答の下書きを作成し、共有前にレビューや編集が可能だ。
Slack内のClaudeは、ウェブ検索や文書分析、既存の接続ツールなど、通常のClaude機能をすべて利用できる。Claudeはユーザーがアクセス可能なパブリックおよびプライベートチャンネルのみを検索し、パブリックスレッドで支援を求めた場合も、まず非公開で返答を下書きするため、ユーザーは共有前に内容を管理できる。
ClaudeにSlackを接続することで、Claudeがワークスペースのチャンネル、ダイレクトメッセージ、共有ファイルを検索し、より良い応答とリサーチに必要なコンテキストを見つけることができる。この機能は会議準備、プロジェクト調整、オンボーディング支援、ドキュメント作成など、多様な用途で活用できる。
具体的には、関連するSlackディスカッションをレビューし、関連文書を取得して最近の更新や重要な決定事項を含むブリーフィングを作成したり、複数のチャンネルを横断して状況更新を収集し、障害を特定してプロジェクトの進捗を要約したりできる。
また、新しいチームメンバーが進行中のプロジェクトを理解するために、チャンネル履歴、共有文書、関連するメールスレッドをレビューすることも可能だ。さらに、チームディスカッションを正式なドキュメントに変換する際、会話や関連する背景資料からコンテキストを取得できる。
Slack内のClaudeは、ユーザーのClaudeアカウントと同じセキュリティ基準とプライバシー設定を維持する。ワークスペース管理者が組織全体のアプリ承認を制御し、個々のユーザーは既存のClaudeアカウントで認証を行う仕組みだ。
Claudeは、ユーザーが閲覧権限を持つチャンネルと会話のみにアクセスし、既存のSlackの権限設定をすべて尊重する。Slackの会話は、組織の保持ポリシーとセキュリティ設定に従う。
Slack内のClaudeは、有料Slackプラン利用チーム向けにSlack Marketplaceで提供開始されており、ワークスペース管理者がまずClaudeアプリを承認した後、個々のユーザーが自分のClaudeアカウントで認証できる。
Slackコネクタは、SlackアプリにClaudeをインストールしたClaude TeamおよびEnterpriseプラン顧客が利用可能で、管理者が組織のコネクタを有効化した後、ユーザーはClaude設定の「Connectors」タブでセットアップできる。
AI Marketの見解
本統合は、エンタープライズAIの実装において重要な一歩となる。技術的観点では、既存のアクセス権限とセキュリティポリシーを維持しながら、コンテキスト検索機能を実現している点が特徴的だ。
ClaudeがSlackワークスペース内の分散した情報を統合的に検索・参照できることで、従来は人間が手動で行っていた情報収集作業を自動化し、より精度の高い応答生成が可能になる。ビジネス面では、日常的な業務コミュニケーションの場であるSlackに直接AIを組み込むことで、ユーザーがツールを切り替える摩擦を削減し、AI活用の敷居を大幅に下げている。
特に会議準備やプロジェクト調整などの定型的な情報集約作業において、生産性向上が期待できる。市場への影響としては、Salesforce傘下のSlackとの深い統合により、エンタープライズAI市場におけるAnthropicの競争力が強化されると想定される。
今後、他のビジネスツールとの同様の統合が進むことで、AI活用が業務フロー全体に浸透していく流れが加速すると想定される。
参照元:Anthropic
Claude・Slack統合に関するよくある質問まとめ
- Slack内のClaudeは誰でも利用できるのか?
利用には条件がある。まずワークスペース管理者がSlack MarketplaceからClaudeアプリを承認する必要があり、その後個々のユーザーが自分のClaudeアカウントで認証を行うことで利用可能になる。有料Slackプランを利用しているチームが対象となる。SlackコネクタについてはClaude TeamまたはEnterpriseプラン顧客のみが利用でき、管理者による組織レベルでの有効化が必要だ。
- Claudeはどのような情報にアクセスできるのか?
Claudeはユーザーが閲覧権限を持つチャンネルと会話のみにアクセスする。
既存のSlackの権限設定がすべて尊重されるため、ユーザーが見られない情報にClaudeがアクセスすることはない。パブリックチャンネル、プライベートチャンネル、ダイレクトメッセージ、共有ファイルが検索対象となるが、すべてユーザー自身のアクセス権限の範囲内に限定される。

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