大日本印刷が統計データに基づく仮想生活者とチャット可能な生成AIマーケティングサービスを提供開始
最終更新日:2025年06月17日

大日本印刷は、2025年6月30日に、総務省統計データに基づく100人の仮想生活者像とチャットで対話できる「DNP生成AIマーケティングサービス(ペルソナインサイト)」の提供を開始する。
従来のモニター調査に代わり、企業がいつでも仮想ペルソナと対話することで、コストと時間を削減しながら生活者の深層心理や本音を把握できるサービスだ
- 総務省統計データに基づく100人の仮想生活者ペルソナを構築し、チャット対話で調査が可能
- 従来のモニター調査を代替し、コストと時間を削減しながら深層心理の把握を支援
- 2025年度までに15社採用を目指し、カスタムペルソナ作成やセキュア環境での運用を実現
大日本印刷が開発した「DNP生成AIマーケティングサービス(ペルソナインサイト)」は、生活者の価値観やライフスタイルの多様化に対応した新たなマーケティングリサーチサービスだ。総務省が提供する「国勢調査」「社会生活基本調査」「家計調査」「労働力調査」などの主要統計データを生成AIに学習させ、現代日本の縮図となる100人の仮想生活者像を構築した。
また、DNPが運営する会員900万人を超える書店サービス「ハイブリッド型総合書店honto」の購買情報を組み込むことで、最新の世相や興味・関心・トレンド情報を反映している。これらの学習データは毎年更新され、常に最新の生活者像に基づいた調査を可能とする。
サービスの特長として、企業が保有する過去の定量・定性調査データを生成AIが学習することで、特定の顧客層を再現した「カスタムペルソナ」の作成が可能だ。
これにより、より細かなターゲットセグメンテーションが実現し、ターゲットに合わせたきめ細かいマーケティング施策の展開ができる。
活用シーンは幅広く、コンセプト立案からデザイン評価まで、生活者視点でのアイデア創出のヒント、カスタマージャーニーの作成、広告・パッケージ・UIなどのデザイン評価をペルソナとの対話を通じて効率的に行える。これにより製品開発やブランド戦略の精度向上に貢献する。
セキュリティ面では、利用者の入力情報が外部の生成AIの学習に利用されないセキュアなモデルを採用し、導入企業ごとにデータを分離する高セキュリティな環境で運用している。
これにより、他企業に自社情報が漏れることなく安心して活用できる環境を提供する。従来の質的調査手法では、限られたインタビュー時間で本音を引き出す難しさや、新しいターゲットや未顧客層への幅広いアプローチができないことから、十分なインサイト獲得が困難だった課題を解決する。
DNPは2009年から生活者の消費行動を調査・分析・評価する施設「ヒューマンリサーチラボ」を運営し、独自に体系化した消費行動プロセスモデルを活用して、広告・販促物やパッケージデザインの課題抽出・効果検証に取り組んできた。
こうした実績と知見をベースに開発された本サービスは、飲料・食品・日用品メーカー等のマーケティング部門や商品開発部門を中心に提供され、2025年度までに15社の採用を目指す。今後はAIエージェント機能や一括アンケート機能など、商品開発やマーケティング業務をさらに進化させる追加機能の検討も進める予定だ。
AI Marketの見解
本サービスは、統計データと生成AIを組み合わせた新しいアプローチでマーケティングリサーチの効率化を図る点で技術的に注目される。従来の定性調査が抱える時間・コスト・規模の限界を、仮想ペルソナとの対話によって解決する試みは、AI活用の実用的な事例として評価できる。
特に、総務省の公的統計データを基盤とすることで、ペルソナの信頼性と代表性を担保している点が技術的特徴だ。
ビジネス面では、従来のモニター調査に比べて大幅なコスト削減と時間短縮が実現でき、企業のマーケティング意思決定の迅速化に貢献すると想定される。また、カスタムペルソナ機能により、企業固有のデータを活用したより精密なターゲット分析が可能となり、マーケティング施策の精度向上が期待できる。
市場への影響としては、従来のリサーチ業界に新たな競争要素をもたらし、AI活用によるマーケティングリサーチの標準化を促進する可能性が高い。
セキュリティ面での配慮も企業の導入障壁を下げる要因となり、中小企業も含めた幅広い層での活用拡大が見込まれる。
参照元:大日本印刷株式会社
DNP生成AIマーケティングサービスに関するよくある質問まとめ
- 従来のモニター調査と比較してどのような利点がありますか?
コストと時間の大幅な削減が可能で、いつでも必要な時にペルソナとの対話による調査ができます。
また、100人の多様なペルソナとの対話により、従来の限られた対象者では捉えにくかった幅広い層の深層心理や本音を把握できる点が大きな利点です。
- ペルソナの信頼性や精度はどのように担保されていますか?
総務省の国勢調査や社会生活基本調査など、日本の主要な公的統計データを基盤としており、現代日本の縮図となる代表性を持ったペルソナを構築しています。
さらに、DNPの書店サービス「honto」の実際の購買データも組み込み、最新の世相を反映した精度の高いペルソナを実現しています。

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