ファンケル、角層画像1枚から皮膚の生理状態を評価するAI技術を開発、サービスにも既に応用
最終更新日:2022年10月21日
株式会社ファンケルは、2022年10月20日、角層細胞に刻まれた皮膚生理情報を解読するAI技術の開発に成功したと発表した。
ファンケルは、スキンケア用品や化粧品などの開発・販売を行う企業だ。今回同社が開発したAI技術は、1枚の角層画像から皮膚の生理状態を評価するというものであり、同社の新たなカウンセリングサービスでも一部が既に応用されている。
<本ニュースの10秒要約>
- 皮膚と関係が深い角層細胞に注目し、画像1枚から皮膚状態を評価するAIモデル開発に至った
- 角層細胞の形状が持つ特徴を数値化するモデルと、バイオマーカー量を推定するモデルを開発
- 「AIパーソナル角層解析」で既に一部を応用、今後もAIモデルの発展・向上に取り組む
角質に隠されている皮膚情報の解読を目指す
角層細胞は、皮膚の内部で誕生した後に約1カ月かけて皮膚の表層へと移動し、移動の最中には代謝を行う性質を持つ。そのため角層細胞の形状およびタンパク質からは、細胞が元々持っている遺伝的要素に加えて、代謝過程における影響を反映した後天的要素も確認することができる。
こうした角層細胞の特徴と皮膚機能の関係については、これまでも多くの研究が行われてきた。人の肌に関する事業を手がけるファンケルもまた、角層中のタンパク質に注目する形で研究を推進。皮膚機能に関係が深いと考えられる数種類のタンパク質(角層バイオマーカー)も発見してきた。
角層に関する研究を進める中でファンケルは、角層にはさらに多くの皮膚に関わる重要な情報が未だ隠されていると判断。形状とタンパク質の両面で角層細胞の詳細な検証を進め、角層細胞から皮膚生理情報を解読するAIモデル開発に至った。
角層細胞の画像をAIに機械学習
ファンケルは今回、2つのAIモデルを開発した。ひとつは、角層細胞の形状が持つ約70種の特徴を数値化するモデルだ。もうひとつは、角層細胞に含まれるバイオマーカー量を推定するモデルとなっている。
前者のモデルでは、角層細胞の画像に含まれる一つひとつの角層細胞の領域をAIに機械学習させることで、細胞が持つ形状の自動認識および特徴値の分析を実現。後者のモデルでは、生化学的な方法で測定した角層バイオマーカーの量と角層細胞の画像とを組み合わせて学習させることで、角層バイオマーカー量9種の推定を可能にした。
このAIモデル開発では、東芝デジタルソリューションズ株式会社のアナリティクスAI「SATLYS」が活用された。元データとなる画像は、女性約1,000人からテープストリッピング法で角層細胞を採取した上で、その画像をデジタルマイクロスコープで撮影している。
成果は学会でも発表、「AIパーソナル角層解析」
ファンケルが開発したそれぞれのAIモデルでは、肌の水分量やバリア機能、また弾力・シワ・炎症など多様な生理指標値の推定が可能であることが確認された。この成果について同社は、2022年7月に行われた第25回画像の認識・理解シンポジウムにて発表。同年9月に行われた第32回国際化粧品技術者連盟学術大会においても発表を行っている。
なおこのAI技術は、同社が同年9月16日から全直営店舗で提供を開始した無償カウンセリングサービス「AIパーソナル角層解析」にて、既に一部が応用されている。同社は今後も、AIモデルと数理モデルの発展・向上に取り組み、「美と健康」の追求に向けてさらなる進化を図るとしている。
参照元:PRTIMES
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