Microsoftが2025年下半期のグローバルAI導入レポートを公開、南北間のデジタル格差が拡大
最終更新日:2026年01月14日

Microsoftは2025年1月8日、世界的なAI導入状況に関する報告書を公開した。2025年下半期において、生成AIツールの利用者は世界人口の約6人に1人に達し、前半期比で1.2ポイント増加した。
一方で、グローバル・ノースの導入速度はグローバル・サウスの約2倍となり、デジタル格差の拡大が明らかになった。
- 世界の生成AI利用率が1.2ポイント増加し、約6人に1人が利用する水準に到達
- グローバル・ノースの利用率24.7%に対し、グローバル・サウスは14.1%と格差が拡大
- UAEが利用率64.0%で首位を維持、韓国は政府施策により7ランク上昇し18位に躍進
Microsoftは匿名化されたテレメトリーデータを基に、OS・デバイス市場シェア、インターネット普及率、人口などを調整した指標でAI普及率を算出している。この測定方法の詳細は同社のAI普及に関する技術論文で公開されている。
2025年下半期のデータによると、世界全体での生成AI利用率は前半期比で1.2ポイント増加し、およそ6人に1人が生成AIツールを使用している状況となった。これは、主流となってからまだ間もない技術としては顕著な進展と言える。

しかし、データは南北間の格差拡大を示している。グローバル・ノースでは労働年齢人口の24.7%がAIツールを利用しているのに対し、グローバル・サウスでは14.1%にとどまる。
グローバル・ノースの導入速度はグローバル・サウスの約2倍のペースで進行しており、この傾向は今後も続くと見られる。デジタルインフラ、AI教育、政府による導入に早期から投資を行った国々が上位を占めており、UAEは労働年齢人口の64.0%が利用する首位の座を維持し、前半期の59.4%から4.6ポイント上昇した。シンガポールは60.9%で2位、ノルウェー、アイルランド、フランス、スペインなどが続いている。
米国は、AIインフラと最先端モデル開発でリーダーシップを持つものの、利用率では28.3%で23位から24位に後退した。これは、イノベーションとインフラだけでは広範な導入につながらないことを示している。
一方、韓国は年末時点での成功事例として注目される。政府施策、韓国語での最先端モデル機能改善、消費者向け機能の充実により、グローバルランキングで25位から18位へと7ランク上昇した。
韓国では学校、職場、公共サービスで生成AIが活用されており、ChatGPTの急成長市場の一つとなったことで、OpenAIがソウルにオフィスを開設する計画も発表されている。

2025年のグローバル状況を再構築するもう一つの展開として、オープンソースAIプラットフォームDeepSeekの急速な台頭が挙げられる。DeepSeekはMITライセンスでモデルをオープンソース化し、完全無料のチャットボットを提供することで、高度なAIへのアクセスを制限する財政的・技術的障壁を除去した。
予想通り、中国、ロシア、イラン、キューバ、ベラルーシで強い導入が見られるが、特筆すべきはアフリカ全域での急速な普及拡大である。これはHuaweiなどの企業との戦略的提携や積極的なプロモーションによって支援されている。
この動きは、米中間のAI競争における重要な側面、すなわち各国のモデル導入を促進する競争を浮き彫りにしている。DeepSeekの成功は、アフリカ全域での中国の勢い拡大を反映しており、この傾向は2026年も加速すると見られる。
またDeepSeekの台頭は、AIの世界的普及がアクセス性要因に影響されるという広範な真実を強調しており、次の利用者層は歴史的に技術進歩へのアクセスが限られていたコミュニティから生まれる可能性がある。今後の課題は、イノベーションが格差を深めるのではなく縮小する方向で普及することを確保することである。
AI Marketの見解
本報告は、AI普及における地政学的な構造変化を明確に示している。技術的観点では、DeepSeekのようなオープンソースモデルの台頭が、従来の商用プラットフォームに依存しない新たな普及経路を創出している点が注目される。
MITライセンスによる完全オープン化と無料提供は、技術アクセスの民主化という理想を実現する一方で、米国主導のAIエコシステムに対する戦略的な対抗軸を形成している。
ビジネス的特徴としては、AI導入率がデジタルインフラと政府施策に強く相関する点が重要である。韓国の7ランク上昇は、言語対応と政府主導の導入施策が組み合わさった成果であり、AI普及には技術力だけでなく政策的コミットメントが不可欠であることを示している。
米国の順位後退は、技術革新の発信地であっても、国内の広範な導入には別のアプローチが必要であることを意味する。
参照元:Microsoft
グローバルAI導入に関するよくある質問まとめ
- グローバル・ノースとグローバル・サウスの定義は何か?
報告書では明示的な定義は示されていないが、一般的にグローバル・ノースは先進国・高所得国を、グローバル・サウスは発展途上国・低中所得国を指す概念として使用される。本報告では、デジタルインフラとAI導入環境の整備状況による区分として用いられている。
- DeepSeekの急成長の主な要因は何か?
DeepSeekはMITライセンスでのオープンソース化と完全無料提供により、財政的・技術的なアクセス障壁を除去した点が最大の要因である。特にアフリカではHuaweiなどとの戦略的提携により、従来の商用プラットフォームが十分に浸透していない地域での急速な普及を実現している。

AI Market ニュース配信チームでは、AI Market がピックアップするAIや生成AIに関する業務提携、新技術発表など、編集部厳選のニュースコンテンツを配信しています。AIに関する最新の情報を収集したい方は、ぜひ𝕏(旧:Twitter)やYoutubeなど、他SNSアカウントもフォローしてください!
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
過去のニュース一覧:ニュース一覧
ニュース記事について:ニュース記事制作方針
運営会社:BizTech株式会社
ニュース掲載に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-press@biz-t.jp
