三菱食品、全業務にAIを導入 基幹システム「MILAI」の大規模刷新で食品流通のデジタル化
最終更新日:2024年08月05日
2024年8月5日、三菱食品株式会社は基幹システム「MILAI」の大規模刷新プロジェクトの開始を発表した。2030年までのロードマップに基づき、フルクラウド化を皮切りに、AIやAutoMLの全面導入、マイクロサービス化などを段階的に実施する。約100億円を投じて2024年8月から始動するこのプロジェクトは、食品流通業界のデジタル化を加速し、新たな価値創造を目指すものだ。
<本ニュースの10秒要約>
- 三菱食品が基幹システム「MILAI」の全面刷新を開始し、2030年までに段階的に実施
- フルクラウド化、AI・AutoML導入、マイクロサービス化により業務効率化と高度化を実現
- データ活用基盤との連携強化で、迅速な意思決定と業務プロセスの自動化を推進
MILAIの刷新:背景と目的
三菱食品は、約8年前にメインフレームからオープン系システムへの移行を完了したが、食品流通業界特有のレガシーシステムの課題や急速な技術革新に直面している。このような環境変化に迅速に対応するため、経営計画「MS Vision 2030」に基づき、「データ活用基盤の強化とAI技術の徹底活用」を実現する基幹システム刷新プロジェクトを策定した。
このプロジェクトの主な目的は、先端デジタル技術と最新アーキテクチャを採用し、クラウドサービスのメリットを最大限に活用した基幹システムへの刷新だ。AIやAutoMLを融合させることで、あらゆる業務の効率化と高度化を図り、卸機能全般の強化を目指している。さらに、昨年度先行構築したクラウドデータ活用基盤との連携を強化し、内部データと外部データを統合・分析することで、全社的な迅速な意思決定や業務プロセスの自動化を推進する。
プロジェクトの具体的な内容と期待される効果
MILAIの刷新プロジェクトは、3つの主要な段階で構成されている。第一段階は、2024年8月から開始するフルクラウド化だ。約100億円を投資し、基幹システムをオンプレミスからクラウドサービスに全面移行することで、システム管理コストと運用負担の大幅な軽減を図る。
第二段階では、受発注、物流、販売、在庫、会計などの各機能を個別にリファクタリングし、システムをマイクロサービス化する。これにより、パフォーマンスの向上とコストの最適化を実現する。第三段階では、食品卸の多様な機能をクラウドサービスとして提供し、他企業が自社のシステムに組み込んで利用できる仕組みを構築する。
これらの取り組みにより、システムの柔軟性と拡張性が大幅に向上し、ビジネス環境の変化に迅速に対応できるようになる。また、AIとAutoMLの導入により、データ分析や予測の精度が向上し、より効率的な在庫管理や需要予測が可能となる。
データ活用基盤との連携強化と新たな価値創造
MILAIの刷新プロジェクトは、単なるシステム更新にとどまらず、データ活用基盤との連携強化を通じて、ビジネスの成長を加速させる取り組みだ。全ての内部データと外部データ(気象・人流情報など)を統合・加工・分析することで、より精度の高い意思決定と業務プロセスの自動化が可能となる。
例えば、気象データと販売データを組み合わせることで、より正確な需要予測が可能になり、在庫の最適化や食品ロスの削減につながる。また、人流データを活用することで、店舗ごとの需要変動を予測し、効率的な商品配送を実現できる。さらに、このデータ活用基盤を他企業とも共有することで、企業間の壁を越えたデータ利活用のエコシステムを構築し、食品流通業界全体の効率化と新たな価値創造を目指している。
今後の展望と業界への影響
三菱食品は、このMILAI刷新プロジェクトを通じて、「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」というパーパスの実現を目指している。基幹システムとデータ活用基盤のモダナイゼーションにより、食品流通業界のデジタル化を牽引し、業界全体の効率化と高度化に貢献することが期待される。
特に、クラウドサービスを通じた食品卸機能の提供は、中小規模の食品卸業者にとって大きな機会となる可能性がある。自社でシステム構築やデータ分析の環境を整えることが難しい企業でも、高度な機能を利用できるようになるためだ。
参照元:PRTIMES
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