NTTドコモビジネス、生成AIエージェントによる発話ベースルーティングを三菱UFJ銀行に提供開始
最終更新日:2025年12月18日

NTTドコモビジネスは2025年12月16日より、生成AIエージェントを活用したコールセンターソリューション「発話ベースルーティング」を三菱UFJ銀行に提供開始した。
顧客の発話内容をリアルタイムで解析し、用件に応じて最適なオペレーターへ自動接続することで、顧客満足度向上とコールセンター業務の効率化を実現する。
- 生成AIが顧客の発話内容をリアルタイム解析し、最適なオペレーターへ自動振り分けを実施
- 2024年3月から7月のPoC実施により金融機関独自用語の学習を行い、振り分け精度が向上
- 従来のIVRにおけるメニュー選択の負担軽減と、オペレーター業務の偏り解消を同時に達成
NTTドコモビジネスが三菱UFJ銀行へ提供する本ソリューションは、コールセンターへの着信時に生成AIが発話内容を解析し、用件の内容に応じて最適なオペレーターへ接続する仕組みだ。
従来のIVRでは、音声ガイダンスを聞いた後に顧客自身が適切なメニューを判断し選択する必要があったため、ガイダンス再生中の途中離脱、適切なメニューが選択されなかったことによる応対時間の長時間化、一部のオペレーターへの業務の偏りといった課題が存在していた。これらの課題を解決するため、三菱UFJ銀行とNTTドコモビジネスは本ソリューションの検討に着手した。
2024年3月から7月にかけて実施されたPoCでは、実際のオペレーターが対応している問い合わせを再現し、着信を適正なオペレーターへ振り分ける試験を繰り返し行った。
PoCを通じてAIが金融機関独自の用語の学習とデータ蓄積を行った結果、問い合わせ内容の正しい認識が可能となり、振り分け精度の向上を実現した。
用件の特定が困難な問い合わせに対しては、独自開発の生成AIによる学習・振り分け技術を活用し、振り分け先への接続フローの継続的な改善を行っている。なお、この顧客の用件を特定する技術については、三菱UFJ銀行と連名で特許出願中となっている。
本ソリューションでは、三菱UFJ銀行が利用中のフリーダイヤルの一部メニューを、生成AIによる発話ベースルーティングへ接続する。顧客は用件を自由に発話するだけで、その内容を生成AIが判断し、最適なオペレーターへ接続される仕組みだ。
これにより、問い合わせ時の顧客の負担を軽減し、満足度を高めるとともに、一部のオペレーターへの業務集中を防ぎ、コールセンター全体の業務効率を向上させることが可能となる。
本ソリューションは、NTTテクノクロスの「CTBASE/Intelligent Router」と「VoiceMall」を活用した音声自動応答ソリューションとして構成されている。
NTTドコモビジネスは今後、金融業界の顧客が取り組むコールセンターのカスタマーサポート品質向上の実現に向けて、各種サービス・ソリューションの提供を行うとともに、金融業界のみならず、様々な業界におけるコンタクトセンターDXの実現に取り組む方針だ。
なお、NTTコミュニケーションズは2025年7月1日に社名をNTTドコモビジネスに変更し、産業・地域DXのプラットフォーマーとして新たな価値を生み出す取り組みを進めている。
AI Marketの見解
本ソリューションの技術的特徴は、生成AIによるリアルタイム発話解析と継続的な学習機能にある。従来の音声認識技術とは異なり、金融機関特有の専門用語や複雑な問い合わせ内容を理解し、適切な振り分けを実現している点が注目される。
PoCを通じて実際の業務データを学習させることで、精度向上を図ったアプローチは、エンタープライズ向けAI導入における実践的な手法と想定される。ビジネス的には、顧客体験の向上とオペレーション効率化を同時に達成する点で、コールセンター業界における重要な転換点となる可能性がある。
特許出願中の独自技術により、用件特定が困難なケースにも対応できる点は、競合との差別化要素となる。今後、金融業界以外の業種への展開が進めば、コンタクトセンターDX市場全体における生成AI活用の標準的なソリューションとして普及していくと想定される。
参照元:NTTドコモビジネス株式会社
発話ベースルーティングに関するよくある質問まとめ
- 発話ベースルーティングと従来のIVRの違いは何か?
従来のIVRは音声ガイダンスに従って顧客自身がプッシュボタンでメニューを選択する必要があったが、発話ベースルーティングは顧客が自由に用件を話すだけで、生成AIが内容を解析し自動的に最適なオペレーターへ接続する。これにより、メニュー選択の手間が省け、ガイダンス途中での離脱や誤ったメニュー選択による応対時間の長時間化といった課題が解消される。
- どのようにして振り分け精度を向上させたのか?
2024年3月から7月にかけて実施されたPoCにおいて、実際のオペレーターが対応している問い合わせを再現し、振り分け試験を繰り返し実施した。この過程でAIが金融機関独自の用語を学習しデータを蓄積することで、問い合わせ内容の正しい認識が可能となり、振り分け精度が向上した。さらに独自開発の生成AIによる学習・振り分け技術を活用し、継続的な改善を行っている。

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