NTTデータ経営研究所、AI利用の最大障壁は「データ不安」と調査で判明―削除可能なら8割が許容
最終更新日:2026年01月16日

NTTデータ経営研究所は2026年1月14日、AIサービスに対する消費者意識調査の結果を発表した。
全国の15歳以上1,036人を対象とした調査により、AI普及の最大の壁は技術ではなくデータ利用への不安であり、データ削除が可能であれば約8割が利用を許容することが明らかになった。
- AIサービス選択で重視されるのは料金、使いやすさに次いでプライバシー保護とセキュリティで、多機能性より安心感が優先される
- キャラクター性を持たせたAIは期待外れの回答でも51.2%が許容し、丁寧な敬語口調を90.1%が支持する傾向
- AIによる作業指示は簡単な作業のみ受け入れられ、重要な意思決定への活用は16.3%にとどまり慎重姿勢が顕著
NTTデータ経営研究所は2025年10月14日から27日にかけて、NTTコム リサーチの登録モニター1,036人(男性511人、女性525人)を対象に、AI活用を前提としたサービスにおける消費者意識調査を実施した。
調査対象は従来型AIや生成AIについて認知または利用経験があり、AI関連サービスの企画・開発に携わっていない15歳以上の男女に限定された。本調査は、消費者がAIサービスに抱く期待や不安、抵抗感を明らかにし、提供者が留意すべき点を整理することを目的としている。

調査結果によると、AIサービス選択時に最も重視される要素は「利用料金の妥当性・納得感」(41.4%)で、次いで「使いやすさ・UI/UX」(39.1%)、「サービス概要のわかりやすさ」(35.4%)、「プライバシー・個人情報の保護」(33.0%)、「データセキュリティの堅牢性」(31.3%)が上位に挙げられた。多機能性や先進性よりも、直感的に使えるインターフェースとサービス内容の分かりやすさ、そして安心して利用できる環境が重視されている。

さらに、入力データを「いつでも自由に削除可能」または「一定期間後に削除可能」と明示されていれば利用を許容できると回答した人は全体の約8割(77.2%)に達し、データの削除要件が利用意向に大きく影響することが判明した。
生成AIにおける期待外れな回答への寛容度については、AIサービスへの「キャラ付け」が心理的受容を高める可能性が示された。全体の24.3%が「見た目や口調の変化によって利用意向が変わる」と回答し、そのうち51.2%が「キャラクター性を帯びたAIであれば間違った結果が出力されても許容できる」と答えた。

見た目の方向性としては「動物のキャラクター」や「人間らしいアバター」が6割以上の支持を得た一方、口調については「丁寧な敬語・ビジネス口調」を支持する割合が90.1%と圧倒的に高く、フレンドリーな外見とフォーマルな口調の組み合わせが効果的な設計であることが示唆された。

AIによる作業指示の受け入れについては、判断や調整をほとんど伴わない「簡単な作業レベル」が46.0%と最も高く、現段階では限定的な受容にとどまっている。一方、「重要な意思決定の指示」を受け入れられるのは16.3%、「自分の意思・意図に反する指示」は19.4%と低水準で、AIが主体的に判断を行う指示については慎重な姿勢が強い。
また、「すべてのAIによる指示を受け入れることができない」と回答した人も25.8%存在し、AIからの指示そのものへの抵抗感が依然として大きいことが明らかになった。
AI Marketの見解
本調査は、AI技術の高度化が進む一方で、消費者の受容において技術力そのものよりも心理的障壁が大きな課題となっている実態を浮き彫りにしている。特にデータ削除要件が利用意向の8割を左右するという結果は、AIサービス設計においてプライバシー管理機能の実装が必須要件となることを示唆している。
キャラクター性による寛容度向上の知見は、生成AIのハルシネーション(誤出力)問題への実用的な対処法として注目に値する。技術的な精度向上と並行して、UX設計による心理的受容の促進がAI普及の現実的な戦略となると想定される。ただし、丁寧な口調への強い支持は、日本市場における信頼性重視の傾向を反映しており、グローバル展開時には文化的差異への配慮が求められる。
作業指示の受容が簡単なタスクに限定される結果は、AIエージェント時代における人間とAIの協働モデルが、当面は「AIが提案し人が判断する」形態に留まることを示している。重要な意思決定へのAI活用が16.3%にとどまる現状では、AIを意思決定の主体とするのではなく、選択肢の提示や分析支援といった補助的役割に位置付ける設計が市場受容を高める鍵となると想定される。
参照元:株式会社NTTデータ経営研究所
AIに関する消費者意識調査に関するよくある質問まとめ
- AIサービスでデータ削除が可能であれば本当に安心して利用できるのか?
調査では入力データを「いつでも自由に削除可能」または「一定期間後に削除可能」と明示されていれば約8割が利用を許容すると回答している。ただし、削除機能の実装だけでなく、その仕組みが分かりやすく提示されていることが重要である。データがどのように扱われ、削除後にどうなるかの透明性が、実際の安心感につながると考えられる。
- キャラクター性を持たせたAIはビジネス用途でも効果的なのか?
調査では見た目はフレンドリーなキャラクターが支持される一方、口調については90.1%が「丁寧な敬語・ビジネス口調」を支持しており、ビジネス用途においても活用可能な知見といえる。外見でハードルを下げつつ、言葉遣いで信頼性を担保する設計が、業務用AIアシスタントにおいても期待外れの回答への寛容度を高める効果があると想定される。

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