NTTデータ、企業が自ら業務特化型AIを開発可能にする基盤「LITRON Builder」提供開始
最終更新日:2025年12月10日

12月9日、NTTデータは2026年4月から、企業や利用者が自社業務に最適なエージェント型AIを自然言語で開発可能にする開発基盤「LITRON Builder」の提供を開始する。
ITスキルに依存せず、企業のガバナンスルールや業務に最適化されたAI開発を実現し、LITRON関連ビジネス全体で2027年度末までに累計200億円規模の売上を目指す。
- 自然言語でのノーコード開発に対応し、ITスキルを持たない現場担当者でも業務特化型エージェント型AIを自ら開発可能
- 開発済みエージェントを他社と共有できるLibrary機能により、NTTデータ製AIや他企業のAIを組み合わせた活用が可能
- チャット操作不要でワークフロー上でAIが自律動作し、審査業務など複雑な処理を一気通貫で完了する環境を提供
NTTデータが2026年4月に提供開始する「LITRON Builder」は、企業が自社業務に最適化されたエージェント型AIを開発するための基盤だ。従来の汎用AIツールやノーコードツールでは業務プロセス全体の変革には至らず、現場の生産性向上に課題が残っていた。
同社はエージェント型AI実行基盤「LITRON CORE」を通じて業務活用を支援してきたが、企業独自のルールやセキュリティ要件に対応しながら、より自律的に業務フローを理解・開発・実行するAIへの需要の高まりを受け、新たに開発基盤を提供する。
LITRON Builderは自然言語、ローコード、コーディングなど、あらゆる方法での開発に対応し、高度なITスキルを持たない利用者でも業務特化型AIを作成できる。
LITRON Builderの主な構成要素として、開発済みエージェントを他社と共有可能にするLibrary機能、パブリッククラウドからオンプレミスまで対応するMulti Platform機能、コンサルティングやBPOなどのオプションサービス群を提供する。
Library機能では、NTTデータが開発した「LITRON Sales」や「LITRON Marketing」といった特化型AIサービスのほか、他企業が作成したエージェントも活用可能で、部品化と共有を通じて開発効率と知見循環を促進する。
また、さまざまなSaaSや社内システムとの連携にも対応し、企業のITインフラ環境に応じた柔軟な開発・利用を実現する。
本基盤の特長として、自社固有の判断ルールや書式に対応する業務特化型AIの開発、チャット操作を必要とせずワークフロー上でAIが自律的に動作する環境、開発したAIを資産として再利用できる共創エコシステム、30年以上の社会インフラ運用実績に基づく高セキュリティ・高信頼のAI実行環境を挙げている。
LITRON Generative Assistantで提供している独自技術(特許出願中)も活用し、回答精度の高いエージェント型AIを実現する。
ユースケースとして審査業務特化型AIを例示しており、個人ローン審査では申し込み情報取得、信用情報分析、返済能力分析などの各エージェントが連携し、必要な審査プロセスを動的に組み合わせて一気通貫で審査業務を完了する。
NTTデータは、まずパブリッククラウドでの提供と自然言語・コーディングでの開発に対応し、今後はオンプレミス環境への展開やローコード開発への対応を予定している。
同社はLITRONシリーズを中心にエージェント型AIの開発・利用・拡張を支援する共創エコシステムを強化し、業種・業務を問わず現場にフィットしたAIの普及を進める方針だ。LITRON関連ビジネスについて、2027年度末までに累計200億円規模の売上を目指す。
この取り組みは「Smart AI Agent」構想に基づき、企業が自らAIを創り出し業務変革を加速させる社会の実現を目指すものとしている。
AI Marketの見解
LITRON Builderは、エージェント型AI開発の民主化を進める基盤として注目される。技術的特徴として、自然言語によるノーコード開発とコーディングの両方に対応する柔軟性、LITRON COREとの組み合わせによる開発から実行までの一貫した環境提供、既存の業務システムやSaaSとの連携機能が挙げられる。
特にLibrary機能を通じた開発済みエージェントの共有は、企業間でのAI資産の再利用を促進し、開発効率を大幅に向上させる仕組みだ。ビジネス的観点では、IT部門だけでなく現場担当者自身が業務特化型AIを開発できる環境を提供することで、企業のAI活用における内製化を加速させると想定される。
審査業務のような複雑なプロセスを一気通貫で処理できる点は、金融機関や行政機関など厳格な判断基準を必要とする業界での導入が期待される。また、パブリッククラウドとオンプレミスの両方に対応する柔軟性は、セキュリティ要件の高い企業にとって重要な選択肢となる。
市場への影響として、NTTデータが目標とする2027年度末までの累計200億円という規模は、同社のエージェント型AI事業への本格的なコミットメントを示している。
企業が独自のAIを自社で開発できる環境が整うことで、従来のSI事業者主導のAI導入から、企業自身がAIを内製化する流れが加速し、AI開発市場の構造変化を促す可能性がある。
参照元:株式会社NTTデータ
LITRON Builderに関するよくある質問まとめ
- LITRON BuilderとLITRON COREの違いは何か?
LITRON Builderはエージェント型AIを開発するための基盤であり、LITRON COREはそのエージェント型AIを実行するための基盤だ。両者を組み合わせることで、企業のガバナンスルールや業務に最適化されたAIの開発から実行までを一貫して行える。BuilderではLibrary機能により他社のエージェントも活用でき、自然言語やコーディングなど様々な方法で開発可能となっている。
- どのような企業や業務に適しているか?
審査業務のような複雑な判断プロセスを必要とする業務や、企業独自のルールや書式に対応する必要がある業務に適している。金融機関の個人ローン審査などが典型例で、申し込み情報取得から信用情報分析、返済能力分析まで複数のエージェントが連携して一気通貫で処理する。また、ITスキルを持たない現場担当者でも自然言語で開発できるため、業種を問わず幅広い企業での活用が想定される。

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