Preferred Networks・さくらインターネット・NICTが国産生成AIエコシステム構築で基本合意を発表
最終更新日:2025年09月19日

Preferred Networks、さくらインターネット、情報通信研究機構の三者は2025年9月18日、安心安全で日本社会と調和する国産生成AIのエコシステム構築に向けた基本合意を締結したと発表した。
- PFNがPLaMo 2.0後継のLLM群を2026年春に向けNICTと共同開発し日本語性能と文化理解を強化
- さくらインターネットが生成AIプラットフォームで完全国内完結のAI活用基盤を提供開始
- NICTが700億ページの日本語Webデータを活用したAI複合体と能動的評価基盤を開発推進
今回の基本合意は、生成AIの普及に伴う悪意利用やヘイトスピーチ等の不適切出力、AIエージェントの制御不能な暴走といった懸念やリスクへの対応として実施された。
三者は日本の文化や制度を充分に考慮した生成AIへの期待の高まりを背景に、高品質かつ大量の学習データを用いた安全で高性能な国産LLMの開発とサービス化を目指す。
これらを通じて、学習データの収集・クリーニング・構築から生成AIの学習・チューニング・サービス提供・実活用まで含めた包括的なエコシステムの構築を図る。
PFNは2026年春に向けて、フルスクラッチ開発した国産LLMのPLaMo 2.0の後継となるLLM群をNICTと共同開発する。PFNが独自に構築した日本語データを多く含む大量の合成学習データやWebデータに加え、NICTが独自に収集・構築したWebページやインストラクションデータ等を学習に用いることで実現する。
この取り組みにより、日本語性能に優れ、日本の文化・習慣・法制度等への理解を高めた生成AIの開発を進める計画だ。開発されるLLMは日本社会との調和を重視し、従来の汎用的な生成AIとは異なる特徴を持つと想定される。
さくらインターネットは、フルマネージドの生成AI向け実行基盤「さくらの生成AIプラットフォーム」において、選択可能な基盤モデルとしてNICTとPFNが共同開発するLLMを提供する。これにより利用者は、クラウド基盤からアプリケーションまで完全に国内で完結した生成AIの活用が可能になる。
本取り組みでは、上述のLLMをプラットフォーム上でサービス化し、NICTのAI評価基盤の商用化に向けた検討・実証を進めるとともに、パートナーとの協業を通じて多様な人材が活躍できる新たな機会を生み出し、地域の活性化にもつなげる方針だ。
データのインプットからアウトプットまでを一貫して整備し、日本企業や官公庁が安心して利用できる信頼できるAIプラットフォームの提供を目指す。
NICTは2008年から独自に収集している700億ページを超える日本語Webページを活用するとともに、PFNと共同開発するLLMやNICTが独自に開発したLLM、さらにはこれまでに開発した動作原理の異なるAI等を組み合わせ、信頼性・創造性・多様性に富んだAI複合体を開発する。
加えて、そのAI複合体を用いて、どの程度日本文化に沿った回答がなされるか、ハルシネーションが発生するか等を動的に評価し、弱点を改善するための学習データを自動生成できる能動的評価基盤を開発していく。
これらの技術は問題のある生成AIの特定・改善に役立つほか、国産生成AIの能力向上に貢献すると想定される。
AI Market の見解
本基本合意は、日本における生成AI技術の自主開発と実用化に向けた重要な取り組みと位置付けられる。技術的特徴として、PFNのフルスクラッチ開発技術、さくらインターネットのクラウドインフラ、NICTの大規模日本語データという各社の強みを組み合わせた垂直統合型のアプローチが注目される。
特にNICTが保有する700億ページの日本語Webデータは、日本語特化型LLMの学習において他社では代替困難な貴重なリソースとなる。
ビジネス的には、海外製生成AIへの依存リスクを軽減し、データ主権の確保と日本企業の競争力向上に寄与する可能性がある。
国産生成AIに関するよくある質問まとめ
- この国産生成AIはいつから利用できるのか?
PFNとNICTが共同開発するLLM群は2026年春の提供を目指している。
さくらインターネットの「さくらの生成AIプラットフォーム」では、このLLMが選択可能な基盤モデルとして提供される予定だが、具体的なサービス開始時期は明示されていない。
- 海外製の生成AIと比べてどのような特徴があるのか?
日本語性能に優れ、日本の文化・習慣・法制度等への理解を高めた設計となる点が主な特徴だ。
また、クラウド基盤からアプリケーションまで完全に国内で完結するため、データの国外流出リスクを回避でき、企業や官公庁が安心して利用できる環境を提供する。

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