Microsoft Azure AI 音声(Azure Speech to Text)とは?音声の即時テキスト化のメリット・活用事例5選徹底解説!
最終更新日:2024年09月23日
現代社会において、情報は爆発的な速度で増加しており、その多くが音声データとして存在します。会議、講演会やセミナーの内容、日常のコミュニケーションなど、重要な情報が声という形でやりとりされています。
しかし、この大量の音声データから必要な情報を迅速に引き出し、活用することは容易ではありません。ここで重要な役割を果たすのが、音声認識技術です。特に、Microsoft Azureの提供する「Azure AI 音声」(Azure Speech to Text)サービスは、この分野における最先端の技術として注目を集めています。
この記事では、AI (人工知能) 技術を活用して業務の効率化や自動化を図りたいと考えている方々に向けて、Azure AI 音声の基本から活用方法までをわかりやすく解説します。
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目次
Azure AI 音声(Azure Speech to Text)とは?
Azure AI 音声(Azure Speech to Text)は、Microsoftが提供するクラウドベースの音声認識サービスです。このサービスは、Microsoft Azureの一部として、音声データをリアルタイムまたはバッチ処理によりテキストに変換する機能を提供します。
多くの企業が音声インターフェースを導入すると予測されています。Azure AI 音声は、この流れを加速させる強力なツールと言えるでしょう。高度な機械学習アルゴリズムを活用することで、ノイズの多い環境や多様なアクセントの音声でも、業界をリードする高精度な認識を実現します。OpenAIの音声認識AIであるWhipserモデルが搭載されています。
Azureの強力なマシンラーニング技術を駆使し、高精度なテキスト変換を可能にし、複数の言語にも対応します。以下に、2つの主要な特徴をご紹介します。
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高度なカスタマイズ性
Azure AI 音声の特徴のひとつは高度なカスタマイズ性にあります。開発者は、特定の用語やビジネス固有の語彙、頻出するフレーズを認識するようにシステムを訓練することができます。これにより、技術的な用語や特殊な製品名でも、高い精度でテキスト化することが可能です。
例えば、医療機関では、医学用語や薬品名を正確に認識することが求められます。Azure AI 音声なら、医学辞書を用いたカスタムモデルを構築することで、こうした要件に応えることができるのです。同様に、金融機関では、金融商品名や市場用語を認識するようにチューニングすることが可能です。
コールセンターの会話記録、会議の議事録、医療記録など、業界固有のユースケースにおいて高い精度を発揮します。
企業ニーズを満たす安全性
安全面においても、Azure AI 音声は企業が求める基準を満たします。HIPAA、GDPR、PCI DSSなどの主要な規制基準に準拠しており、機密データを安全に取り扱うことができます。
データの暗号化、ユーザーのプライバシー保護、厳格なコンプライアンス基準の遵守により、企業や個人が安心してこのサービスを利用できる環境が整えられています。音声データは暗号化された状態で転送・保存され、権限のない第三者がアクセスすることはありません。
また、マルチリージョンのデータセンターを活用することで、高可用性と災害対策も実現します。万が一、特定のリージョンで障害が発生した場合でも、他のリージョンでサービスを継続することができるのです。
柔軟な料金体系
料金体系も柔軟に設計されています。ユーザーは、利用量に応じた従量課金制(Pay-As-You-Go)と、一定期間の利用を約束する予約容量制(Reserved Capacity)の中から選択できます。後者では最大で20%の割引が適用されるため、安定的な利用が見込まれる場合に適しています。
Azureの使用料金見積もり方法をこちらの記事で詳しく説明していますので併せてご覧ください。
Azure AI 音声(Azure Speech to Text)でできる3つのこと
Azure AI 音声は、その強力な音声認識機能により、あらゆるビジネスシーンで多くのメリットを提供します。ここでは、Azure AI 音声の主な機能についてさらに詳しく解説します。
音声データのリアルタイム変換
Azure AI 音声の最も印象的な機能の一つは、音声をリアルタイムでテキストに変換できる能力です。この機能は以下のような用途に利用できます。
- ライブイベントの字幕生成
- 顧客サポートの自動化
- リアルタイム通訳
例えば、コールセンターにおいて、オペレーターとの会話をリアルタイムで文字起こしすることで、リアルタイムでのユーザー体験の向上や課題の特定、迅速なフォローアップなどを可能にします。リアルタイムでの変換により、即時性が求められるコミュニケーションの場でも大活躍します。
音声データのバッチ処理によるテキスト化
膨大な量の録音データを後からテキストに変換する必要がある場合、Azure AI 音声のバッチ処理機能が役立ちます。会議録音や講演の音声ファイルを一括で処理し、簡単にアーカイブや検索が可能なテキストデータへと変換できます。議事録の作成や内容の検索、分析などが容易になるでしょう。
音声での操作
アプリケーションやデバイスを音声で直接操作することも可能です。これにより、手が離せない状況でも作業を続けることができ、ユーザー体験を向上させたり、作業効率を格段にあげることができます。
以下のような一般的な音声アシスタントとシームレスに統合可能です。
- Cortana
- Alexa
- Google Assistant
これにより、エンドユーザーにとって自然な方法でのインタラクションが可能となり、ユーザーエクスペリエンスの向上につながります。単なる音声認識ツールを超え、ビジネスプロセスを根本的に変革する強力なツールになり得ます。
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Azure AI 音声(Azure Speech to Text)の利用5ステップ
Azure AI 音声サービスを活用することで、ビジネスやプロジェクトにおける音声データの扱いが大きく変わります。ここでは、Azure AI 音声を使用するための基本的なステップを解説します。
1: Azureサブスクリプションの設定
Azure AI 音声を利用するための最初のステップは、Microsoft Azureにサインアップし、有効なサブスクリプションを取得することです。これにより、Azureの広範囲にわたるクラウドサービスにアクセスできるようになります。
関連記事:「Azureのサブスクリプションとは?種類ごとの特徴・リソース管理方法・活用法をわかりやすく解説!」
2: Speechサービスの作成
Azure Portal内でSpeechサービスのリソースを作成します。これにより、音声認識や音声合成などの機能にアクセスできます。
3: 開発環境の準備
Azure AI 音声は、REST APIやSDKを通じてアクセスできます。これにより、Python、Java、C#など、複数のプログラミング言語で音声認識機能を組み込むことができます。
開発に必要なSDKをダウンロードし、あなたのアプリケーションに統合することで、音声認識機能の開発を開始できます。
4: 音声認識のカスタマイズ
Azure AI 音声のカスタマイズ機能を利用することで、特定の用語やビジネス固有の語彙を認識するようにシステムを訓練することが可能です。Speech Studioを使用して語彙を追加し、認識精度を向上させることができます。
5: 音声データのテキスト化
開発したアプリケーションを通じて、音声データをAzure AI 音声サービスに送信します。サービスは音声をテキストに変換し、リアルタイムまたはバッチ処理によって結果を返します。
これらのステップを踏むことで、Azure AI 音声サービスを利用できます。
Azure AI 音声(Azure Speech to Text)の活用事例5選
Azure AI 音声(Azure Speech to Text)の応用範囲は非常に広く、多岐にわたる業界や業務で力を発揮します。以下では、この先進的な音声認識サービスを活用する具体的なユースケースを3つご紹介します。
会議議事録作成の自動化
多くのビジネスシーンでは、会議や議論の内容を正確に記録することが重要です。Azure AI 音声を使用すると、会議中の会話をリアルタイムでテキスト化し、議事録を自動生成することが可能になります。
手書きやタイピングによる記録の手間が省けるだけでなく、会議後のレビューや共有が容易になり、生産性が向上します。
文字起こし
文字起こしは、Azure AI 音声のもう一つの重要な用途です。インタビュー、ポッドキャスト、ビデオコンテンツの制作過程で、音声からテキストへの正確な変換が求められる場面が数多く存在します。
例えばコールセンターにおいて、オペレーターとの会話をリアルタイムで文字起こしすることで、リアルタイムでのユーザー体験の向上や課題の特定、迅速なフォローアップなどを可能にします。
Azure AI 音声を活用することで、これらの音声コンテンツを効率良く、高い精度で文字起こしすることが可能になります。
顧客対応の品質向上
Azure AI 音声を活用することで、カスタマーサポートのプロセスも大幅に改善できます。例えば、音声認識技術を使用して顧客からの問い合わせをテキスト化し、そのデータを基に迅速かつ正確な対応をするといったことが可能です。
顧客の要求をより迅速に理解し、適切な対応策を見つけることができます。また、これらのテキストデータは後から分析することも可能で、顧客のニーズや問題点を把握し、サービス改善にもつながります。
リアルタイムの多様性対応翻訳生成
ライブストリーミングイベントにおいて、リアルタイムの字幕生成に活用することで、聴覚に障がいのある方や、母国語以外の言語でのイベントに参加する方など、より多くの人々にコンテンツを届けることができます。
手での操作が難しい現場での音声操作
Azure AI 音声は、音声による操作機能も提供しています。これにより、手を使わずに機器を操作したり、アプリケーションを制御したりすることが可能になります。
例えば、工場の現場で両手がふさがっている作業者が、音声で機械を操作したり、倉庫内で棚卸しをしながら在庫数を音声入力したりといった使い方が考えられます。
Azure AI 音声(Azure Speech to Text)についてよくある質問まとめ
- Azure AI 音声(Azure Speech to Text)でできることは?
- 音声データのリアルタイム変換
- 音声データのバッチ処理によるテキスト化
- 音声での操作
- Azure AI 音声(Azure Speech to Text)にはどんな活用事例がある?
- 会議録の自動化
- 文字起こし
- 顧客対応の品質向上
- リアルタイムの多様性対応翻訳生成
- 手での操作が難しい現場での音声操作
まとめ
この記事では、音声認識技術を駆使したAzure AI 音声についてご紹介しました。基本的な概要から、具体的な利用方法、ユースケースなどを具体的に解説し、ビジネス活用にもたらすメリットをお伝えしました。音声認識へのニーズが高まる中、今後もAzure AI 音声は大きな注目を集めるでしょう。
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