GPT-5.2とは？無料で使える？提供モデルの種類・料金・GPT-5.1との性能比較、実際に試した結果まで徹底解説！

OpenAIは2025年12月11日、ChatGPTにも搭載しているGPT-5シリーズをアップグレードしたモデル「GPT-5.2」を公開しました。本モデルは、専門的な知識業務や長時間稼働するエージェント向けに設計されています。

スプレッドシートやプレゼンテーション作成、コード作成、画像理解、長文コンテキストの統合、ツール活用、複雑な多段階タスクなど、実務の成果物生成を幅広く支援することを目的としています。

本記事では、GPT-5.2の提供モデルの種類、API料金、GPT-5.1との比較までを徹底的に解説します。

GPT-5.2とは？

GPT-5.2は、GPT-5をアップグレードしたAIモデル群であり、「GPT-5.2 Instant」と「GPT-5.2 Thinking」を中心に構成されています。

専門的な知識業務においては、長文コンテキストを前提とした情報の統合や、ツール呼び出しを伴う多段階タスクの処理に強みを持ち、実世界の業務を想定した一貫性の高い出力が重視されています。調査、文書作成、分析、意思決定支援といった知識労働を、より安定した品質で支援できるよう設計されています。

また、人々がより大きな価値を生み出せるよう、スプレッドシートやプレゼンテーションの作成、コード作成、画像認識といった作業に加え、ツール活用や複雑な多段階プロジェクトの処理など、幅広い業務での活用が想定されています。

開発背景としては、知識業務での生産性向上を目的に、実務に近い成果物の作成や複数工程にまたがる業務を、より少ない手戻りで処理できるよう設計されています。

GPT-5.2の提供モデルの種類

GPT-5.2は、用途や処理の複雑さに応じて使い分けられる複数のモデルで構成されています。主に「GPT-5.2 Instant」「GPT-5.2 Thinking」「GPT-5.2 Pro」「GPT-5.2-Codex」の4種類が提供されており、それぞれ想定される利用シーンや性能の方向性が異なります。

GPT-5.2 Instant

GPT-5.2 Instantは、応答速度と扱いやすさを重視したモデルです。日常的な業務や学習での利用を想定しており、情報探索、手順説明、技術文書の作成、翻訳などのタスクで安定した応答を返すことを目的としています。

GPT-5.1 Instantで導入された温かみのある対話トーンを引き継ぎつつ、重要な情報を先に示すなど、説明の分かりやすさが向上している点が評価されています。

GPT-5.2 Thinking

GPT-5.2 Thinkingは、専門的な知識業務や複雑なタスク処理を主な用途とするモデルです。長文ドキュメントの理解や要約、アップロードしたファイルを前提とした質問応答、数学やロジックの段階的な説明、多段階の計画立案や意思決定支援など、深い推論を必要とする業務での利用が想定されています。

また、長文コンテキスト推論ではOpenAI MRCRv2において高い一致率が示され、最大256kトークン規模の文脈を扱うタスクでも精度を維持できる点が強調されています。

GPT-5.2 Pro

GPT-5.2 Proは、GPT-5.2の提供モデルの中で、高い品質と信頼性が求められる難度の高いタスクに適したモデルとして位置づけられています。重要な判断や精度が重視される質問、複雑な分析、品質優先の生成タスクでの利用が想定されています。

推論パラメーターを設定できる点や、品質を最優先とする用途向けに推論設定「xhigh」に対応している点が示されています。

GPT-5.2-Codex

GPT-5.2-Codexは、2025年12月18日にリリースされたCodexでのエージェント活用型コーディング向けにGPT-5.2を最適化したモデルです。

長期の開発タスクを想定し、大規模なコード変更（リファクタリングや移行）や、リポジトリ全体を扱う作業での活用が意識されています。加えて、防御的なサイバーセキュリティ領域での支援も強化されているとされています。

参考：GPT-5.2-Codexの公式記事

GPT-5.2の性能

GPT-5.2 Thinkingの性能面では、知識業務タスクを評価するGDPvalで70.9%（wins or ties）を記録したほか、SWE-Bench Pro（Public）で55.6%、SWE-bench Verifiedで80.0%といったスコアが示されています。

Vision分野では、ScreenSpot Pro（w/ Python）で86.3%、CharXiv Reasoning（w/ Python）で88.7%とされ、GUIスクリーンショットや科学図表の理解能力の向上が示されています。

なお、画像理解の具体例として、マザーボード画像に対する部品認識では、GPT-5.2 Thinkingが低品質な画像でも各コンポーネントの位置関係を正確に把握し、バウンディングボックス付きで識別できる一方、GPT-5.1では空間的な配置理解が限定的であることが示されています。

ツール利用に関しても、Tau2-bench Telecomで98.7%、Tau2-bench Retailで82.0%と、高い安定性が示されています。

GPT-5.2 Proの性能面では、GDPvalで業界専門家に対する勝率が74.1%とされているほか、GPQA Diamond（no tools）で93.2%、ARC-AGI-2（Verified）で54.2%（high）など、Pro向けのスコアが確認されています。

GPT-5.2 ThinkingとGPT-5.1 Thinkingの性能比較

GPT-5.2では、知識業務、コーディング、学術、抽象的推論など複数の領域でベンチマーク結果が公開されています。以下は、GPT-5.2 ThinkingとGPT-5.1 Thinkingについての主要な性能指標を比較した一覧です。

そのほかにも、科学図表の理解を評価するCharXiv Reasoning（w/ Python）や、数学コンテストHMMT、上級数学を対象としたFrontierMath、ARC-AGI-1（Verified）などにおいても、GPT-5.2 ThinkingはGPT-5.1 Thinkingを上回るスコアが示されています。

この比較から、GPT-5.2 ThinkingはGPT-5.1 Thinkingと比べて、知識業務や抽象的推論といった複雑なタスクで大きな性能向上が示されていることが分かります。特にGDPvalやARC-AGI-2では差が大きく、実務に近い知識労働や高度な推論を伴う場面での改善が強調されています。

一方で、コーディングや学術分野でも安定した向上が確認されており、GPT-5.2 Thinkingは従来モデルと比べて、より広い領域で一貫した性能改善が示されたモデルと位置づけられます。

参考：https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-5-2/

提供状況と価格

GPT-5.2は、ChatGPTでは有料プラン向けに提供されています。対応プランは、Plus、Pro、Go、Business、Enterpriseで、GPT-5.2 Instant、GPT-5.2 Thinking、GPT-5.2 Proの各モデルが順次利用可能となっています。

安定した提供を行うため、GPT-5.2は段階的に展開されており、利用できない場合は時間を置いて再度試す必要があります。なお、ChatGPTではGPT-5.1がレガシーモデルとして有料ユーザー向けに3か月間提供され、その後提供終了が予定されています。

GPT-5.2とAPIにおけるモデル命名・提供形態

開発者は、GPT-5.2 Proで推論パラメーターを設定でき、GPT-5.2 ProおよびGPT-5.2 Thinkingでは、品質を最優先とするタスク向けに推論設定「xhigh」を利用できます。これにより、精度や一貫性が重視される処理において、用途に応じた調整が可能となっています。

ChatGPT上のモデル名と、APIで利用する際のモデル名の対応関係は以下の通りです。

API料金

GPT-5.2のAPI料金は、100万トークンあたりの入力・出力単価として設定されています。キャッシュされた入力には90%の割引が適用されます。

GPT-5.2は1トークンあたりの単価はGPT-5.1より高く設定されていますが、トークン効率が高いため、同等の品質に到達するまでの総コストは抑えられる場合があります。

なお、APIでは現時点でGPT-5.1、GPT-5、GPT-4.1を非推奨とする予定はなく、将来的に変更がある場合は開発者に十分な猶予をもって通知されるとしています。また、GPT-5.2はCodexでも利用可能で、今後数週間以内にCodex向けに最適化したバージョンの公開が予定されています。

実際にゲームを作って検証｜GPT-5.2 ThinkingとGPT-5.1 Thinkingの生成精度を比較

GPT-5.2 Thinking は、フロントエンド開発を前提としたシングルページアプリを、単一のプロンプトから高い完成度で生成できるモデルです。

HTML・CSS・JavaScript を組み合わせた構成を理解したうえで、画面レイアウト、アニメーション、インタラクション、ロジックを一体として設計できる点が特徴です。

特に、ゲームやシミュレーション、体験型コンテンツなど、非標準的で動きの多い UIに強く、抽象的な演出指示や世界観の指定も具体的な実装として反映できます。また、見た目だけでなく、スコア管理や難易度調整、パラメータ操作といった内部ロジックまで含めたコードを生成できるため、プロトタイプや初期実装の作成を大幅に効率化できます。

そのまま動作確認が可能なレベルのコードが出力されるため、アイデア検証から実装の叩き台までを一気に進められる点が、GPT-5.2 Thinking の大きな強みといえます。

今回は上記をもとに、簡単に子供が楽しめるゲームを作成し、GPT-5.1 ThinkingとGPT-5.2 Thinkingでどう違うのかを比較してみました。

下記の動画は実際にプレビューで試している様子です。左がGPT-5.1 Thinkingで右がGPT-5.2 Thinkingです。

以下は各LLMに入力した共通プロンプトです。

GPT-5.1 Thinkingでは、お菓子を3種類に設定していたものの、ケーキがあめと同じ形になってしまい、見た目での判別が難しく感じました。また、画面が縦に長く、スクロールしないとかごが見えない点や、ゲーム中にスコアが常に表示されていない点も気になりました。修正を試みたものの、バグが発生してしまい、結果としてゲームが正常に動かなくなりました。

一方でGPT-5.2 Thinkingは、3種類のお菓子が直感的に分かりやすく表現されており、光っているお菓子は得点が2倍になるなど、ゲーム性がしっかり感じられて良い印象でした。ただし、本来は線より下に行くと消えるはずの光っているお菓子が、バグによって線上に残ってしまう点は改善が必要だと感じました。

また、お菓子を連続で入れるとコンボ数が表示されるようになっている点も工夫を感じられます。その後、ゲームの修正をすると光っていたお菓子はきちんと消えるようになりました。

全体として、GPT-5.1 Thinkingは修正を重ねようとしても思うように反映されず、試行錯誤の途中で動作が不安定になってしまう印象がありました。一方で、GPT-5.2 Thinkingは指摘した改善点が反映されやすく、バグ修正や仕様変更にも柔軟に対応できていると感じました。

そのため、細かい調整を重ねながらゲームを完成形に近づけていく過程がスムーズで、自分のイメージや意図を形にしやすい点が大きな違いだと思いました。

他にもこのようなゲームも作成してみました。

制限時間内に同じ順番で入力し、ミスなくどれだけ長く続けられるかというルールです。ステージがを選ぶことができ、自分で難易度を設定できるのも誰でも楽しめるポイントになっています。

GPT-5.2とGPT-5.1の画像認識精度を比較

上記の画像は、同じ風景に対して「ビルは赤、橋は黄色、船は青の“枠”で囲う（塗りつぶさない）」という同一プロンプトを与えたときの、GPT-5.2 と GPT-5.1 の出力結果を比較したものです。

GPT-5.2 の結果を見ると、建物・橋・船をそれぞれ指定どおり枠線で囲えていて、全体的にプロンプトに忠実で思い通りの結果になりました。しかし、一つだけ画像中央の橋ではない看板を黄色の枠で囲ってしまっており、物体の認識が間違えてしまっています。塗りつぶさずに枠線だけで区別できている点や、対象ごとの分類精度は高いと感じました。

一方で GPT-5.1 は、枠で囲うという指示がうまく反映せず、枠の内側まで色で塗りつぶしてしまっています。塗りつぶすことでこの画像のどこが建物でどこが船なのかが少し分かりにくく、プロンプトの意図を正確に汲み取れていないように感じました。

全体として、GPT-5.2 は細かい指定（枠のみ・色分け・対象の区別）まで比較的きちんと理解できているのに対して、GPT-5.1 は指示の解釈が曖昧で、視覚的なコントロールが難しい結果になっている、という違いが分かりやすく表れている結果となりました。

GPT-5.2の活用事例

X上では、以下のような投稿が共有されています。

GPT-5.2 Proが考える「最強プロンプト設計の考え方」

GPT-5.2についてよくある質問まとめ

まとめ

GPT-5.2は、専門的な知識業務と長時間稼働するエージェントを主眼に設計されたモデルとして公開され、GDPvalなどでの性能向上、長文コンテキスト推論、Vision、ツール呼び出し、事実性の改善が示されています。

ChatGPTの有料プランで順次提供され、APIではモデル名（gpt-5.2 / gpt-5.2-chat-latest / gpt-5.2-pro）が提示され、トークン単価も公開されています。これにより、用途や要求される品質に応じてモデルを選択し、業務内容に適した形で活用できる構成となっています。