Qwen-Imageとは?特徴、性能、API料金、利用方法、Qwen-Image-Editまで徹底解説!
最終更新日:2025年11月05日

- Qwen-Imageは英語・中国語に対応した高精度な文字レンダリングと画像生成を実現したAlibaba Cloud開発の画像基盤モデル
- Qwen-Image-Editはセマンティクス(意味)と外観を同時制御し、文字の直接編集・スタイル変換・要素の追加や削除を自然かつ一貫性を保って処理
- Qwen-Image-Edit-2509(2025年9月)は、マルチイメージ編集とControlNet連携を導入し、人物・製品・テキストの整合性と再現性を大幅に向上
Qwen-Imageは、複雑な文字レンダリングと精密な画像編集に特化した20B規模の画像基盤モデルです。
Qwen-Image-Editはセマンティクスと見た目の両面から画像を制御し、文字の直接編集・スタイル変換・要素の追加/削除を高品質に実行します。
2025年9月に公開されたQwen-Image-Edit-2509では、マルチイメージ編集対応や人物・プロダクト・テキストの一貫性向上、ControlNetのネイティブ対応が導入され、Qwen Chatの「Image Generation」「Image Editing」から体験できます。
本記事では、Qwen-ImageおよびQwen-Image-Editの特徴、性能、API料金、利用方法まで詳しく解説します。
目次
Qwen-Imageとは?

Qwen-Imageは、20BのMMDiTアーキテクチャを採用した画像生成AIの基盤モデルです。Alibaba Cloudが開発しているAIモデル群「Qwen(通義千問)」シリーズの一部です。
Qwenシリーズには、チャットAI(LLM)や、画像と言語を理解するマルチモーダルAI(Qwen-VL)など様々なモデルが含まれています。Qwen-Imageは「画像生成・編集」に特化したモデル、という位置づけになります。
最大のポイントは、他の画像生成AI(Midjourneyなど)が決定的に苦手としてきた画像内のテキスト描画にあります。これまでの画像生成AIは「セール」と書かれたポスターを作らせようとすると、「七一ノレ」になったり、文字化けになるのが常でした。
Qwen-Imageは段落レベルの意味保持や細部描画を含む高度な文字レンダリングに対応し、編集操作においても視覚的リアリズムと意味的一貫性を両立します。
また、公開ベンチマークでの評価では、画像生成と画像編集の双方で強い性能を示しています。また、中国語・英語の双方で文字生成精度の高さが報告されています。
Qwen-Image-Editとは?
Qwen-Image上に構築された編集特化版のQwen-Image-Editは、入力画像をQwen2.5-VL(視覚セマンティクス制御)とVAE Encoder(外観制御)に同時投入する設計により、精密な外観編集と意味編集を両立させています。
これにより、ポーズ変換・スタイル変換・要素の追加や削除などを行っても、被写体の一貫性と自然な質感を維持します。2025年9月公開のQwen-Image-Edit-2509では、複数画像編集時の整合性や人物・製品・テキスト編集の安定性がさらに向上しています。
Qwen Chat上で「Image Generation」または「Image Editing」を選択することで利用できます。
Qwen-Imageの特徴
以下に、Qwen-Imageの主な特徴を解説します。
高精度な文字レンダリングとテキスト編集(二言語対応)

Qwen-Imageは、段落構成や複数行レイアウト、細部の筆致まで忠実に再現する高精度な文字レンダリング能力を備えています。英語のアルファベット系言語や中国語の表意文字にも対応し、異なる書体やレイアウトでも一貫した品質を維持します。
英語だけでなく中国語(漢字)の描画能力が極めて高いのが重要ポイントです。これは、現在主流の欧米製のAIモデルに対する大きなアドバンテージです。
グローバル展開、特にアジア市場向けのクリエイティブ制作において強力な武器となります。
さらに、画像内のテキストを直接編集でき、文字の追加・削除・修正をフォントやサイズ、レイアウトを保ったまま実行できます。フォントタイプや色、素材感も自然に再現され、長文の文字生成から既存テキストの修正までを単一モデルで完結させることが可能です。
これまで「AIが画像を生成」→「デザイナーがテキストを手動で追加」という2ステップだった作業が1ステップで完結します。
編集における意味・外観の両立
Qwen-Imageは、セマンティック(意味)とビジュアル(外観)の両立を実現したマルチタスク学習パラダイムを採用しています。
これにより、被写体の構成や背景の文脈を損なうことなく、視覚的に自然な編集を行うことができます。
要素を変更しても全体の構図や照明、色調の整合性が保たれます。そのため、編集後の画像も違和感のない仕上がりになります。
編集特化版のQwen-Image-Editでは、この仕組みをさらに発展させ、IPキャラクターの生成やスタイル変換、物体の回転・視点変更などを精密に制御できます。
また、不要なオブジェクトの除去や要素の追加といった外観編集でも、非編集領域を正確に保持しながらリアルな質感を維持します。こうした一連の処理により、Qwen-Imageは意味的一貫性とリアリズムを兼ね備えた高度な画像編集を可能にしています。
マルチイメージ編集(Qwen-Image-Edit-2509)

2025年9月版のQwen-Image-Edit-2509では、複数画像を組み合わせた同時編集に対応しました。「人物+人物」「人物+プロダクト」「人物+シーン」などの構成を自然に統合し、ポーズや照明、構図の整合性を維持したまま合成できます。
たとえば、人物写真と背景素材を組み合わせて新しいシーンを作成したり、複数のキャラクターを一枚にまとめたりといった編集も滑らかに行えます。ControlNetのキーポイントマップと組み合わせることで、ポーズの変化をより自然に表現できます。
人物・プロダクト・テキストの一貫性強化(Qwen-Image-Edit-2509)
Qwen-Image-Edit-2509では、人物・製品・テキストそれぞれの一貫性が大幅に強化されました。人物では顔や髪型などの特徴を正確に維持しながら姿勢変更やスタイル変換を行え、製品画像では単色背景から自然な広告ビジュアルを生成できます。
また、テキスト編集ではフォントや色、質感を含めた調整が可能となり、文字とビジュアル要素を一体的にデザインできます。これにより、広告ポスターやSNS用の画像制作をより高い完成度で行うことができます。
ControlNetのネイティブ対応(Qwen-Image-Edit-2509)

Qwen-Image-Edit-2509は、ControlNetの条件入力(Condition Map)にネイティブ対応しており、深度マップ・エッジマップ・キーポイントマップ・スケッチなど複数の制御モードを同時に扱うことができます。
これにより、構図・ポーズ・照明・輪郭線などを細かく制御しながら、高い再現性を保った画像生成や修正が可能です。
以下のように、各マップがそれぞれ異なる役割を担い、より緻密な編集をサポートします。
| マップタイプ | できること |
|---|---|
| 深度マップ(Depth Map) | 画像内の奥行き構造を保持しながら背景や被写体を再構成 前景と背景の距離感や光の方向をコントロールすることで、立体感のあるシーンを自然に再現 |
| エッジマップ(Edge Map) | 線画の輪郭情報をもとに構成を維持しつつ、スタイルや質感を変更 スケッチから完成画像への高精度な変換や、手描きラフの再現などに最適 |
| キーポイントマップ(Keypoint Map) | 人物の骨格や姿勢を指定してポーズや動作を制御 異なるポーズを取らせても顔や体の特徴を一貫して保ち、自然な人物表現を実現 |
さらに、複数のControlNet条件を組み合わせる「マルチコンディション編集」にも対応しています。スケッチ+深度+キーポイントなどの複合制御で、精密かつ再現性の高い編集を実現します。
このようにQwen-Image-Edit-2509では、ControlNetを内部アーキテクチャに統合したことで、ポーズ制御・構図補正・影の調整などの複雑な操作を、1回のプロンプトで直感的に指定できるようになっています。
参考:Qwen-Image公式紹介記事
参考:Qwen-Image-Edit公式紹介記事
参考:Qwen-Image-Edit-2509公式紹介記事
Qwen-Imageの性能ベンチマーク評価
Qwen-Imageは、画像生成(GenEval・DPG・OneIG-Bench)や編集(GEdit・ImgEdit・GSO)など複数のベンチマークで最高水準の結果を達成し、生成と編集の両面で高い汎用性を示しています。
文字レンダリング性能で他モデルを圧倒
文字レンダリングに関する評価では、LongText-Bench、ChineseWord、TextCraftで特に優れた結果を示しています。英語・中国語の文字生成で既存モデルを大幅に上回り、高精度な文字レンダリングと汎用的な画像生成能力を両立していることが分かります。
以下の図は、他モデル(GPT Image 1、Seedream 3.0、FLUX.1など)との比較結果です。
左の「Generation/Editing」ではQwen-Image(紫色)が全項目で最高値を示し、右の「Text Rendering」でも0.9前後のスコアで文字レンダリング精度を圧倒しています。

Qwen-Imageの料金と商用利用
APIを使わなくても、Qwenチャットから無料でQwen-Imageシリーズを体験できます。ログイン不要で、基本的な画像生成や編集機能をすぐに利用可能です。
Qwen-Image(およびQwen-Image-Edit)のモデルは、Apache 2.0ライセンスのもとで公開されています。Apache 2.0はオープンソースライセンスであり、商用利用を全面的に許可しています。
自社のサービスや製品に組み込んで利用したり、このモデルを使って生成した画像を商用目的(広告、製品デザインなど)で使用したりすることがライセンス料なしで認められています。
APIの従量課金体制
Qwen-Imageシリーズは、Alibaba Cloudが提供する画像生成・編集モデル群でありModel Studioを通じてAPIを利用する場合は従量課金です。各モデルの価格と仕様は以下の通りです。
| モデル名 | 入力 | 出力 | 価格(1画像あたり) | 無料クォータ |
|---|---|---|---|---|
| qwen-image | Text | Image | $0.035 | 100画像(有効期間90日) |
| qwen-image-plus | Text | Image | $0.03 | 100画像(有効期間90日) |
| qwen-image-edit | Text, Image | Image | $0.045 | 100画像(有効期間90日) |
いずれのモデルも、Model Studio上で同一のスロットル制限(120 RPM)が適用され、アカウント単位で公平な利用を確保する仕組みとなっています。商用利用やAPI経由での利用に関する明確なライセンス情報は公式には記載されておらず、現在はAlibaba Cloudアカウントを通じた呼び出し専用とされています。
なお、qwen-image-plusはqwen-imageと同等の機能を持ちながらも価格が低く、コスト効率重視のユーザーに推奨されるモデルとされています。
Qwen-Imageを使う方法は?
Qwen-Imageシリーズは、一般ユーザーから研究者・開発者まで幅広い層が利用できるように設計されています。利用方法は大きく以下の3つに分けられます。
- 「公式サイトやアプリを通じた利用」
- 「API利用」
- 「モデルダウンロード」
公式サイト・アプリから利用
最新モデルを体験するには、Qwenチャット(https://chat.qwen.ai/)にアクセスしてください。
ログイン不要で基本機能を試すことができ、アカウント登録を行うと履歴管理や追加機能も利用可能になります。
- Qwen-Image:Qwenチャットで「画像生成」を選択すると、最新のQwen-Imageモデルを体験できます。
- Qwen-Image-Edit:Qwenチャットで「画像編集」を選択すると、編集モデルのQwen-Image-Editを利用できます。
- Qwen-Image-Edit-2509:同じく「画像編集」機能からアクセス可能で、ControlNet対応の最新編集モデルを体験できます。
APIから利用

Alibaba CloudのModel Studio APIを通じて、Qwen-ImageおよびQwen-Image-Editモデルを呼び出すことができます。開発者はプログラム経由で画像生成・編集を自動化できます。
モデルをダウンロードして利用

Qwen-Imageシリーズは、Hugging FaceやModelScope上で公開されており、研究や検証目的でダウンロードして利用できます。各モデルは「Text-to-Image」または「Image-to-Image」タスクとして登録されています。
Qwen-Imageについてよくある質問まとめ
- Qwen-Imageとは何ですか?
Qwen-Imageは、Alibaba Cloudが開発した20B規模のMMDiTアーキテクチャを採用した画像生成・編集モデルです。
文字を含む複雑な画像生成に強く、中国語・英語双方で高精度なレンダリングを実現します。
- Qwen-Imageを使うにはどのような方法がありますか?
利用方法は以下の3つに分類されます。
1. 公式サイト・アプリから利用: Qwen Chat上で「Image Generation」「Image Editing」を選択
2. API経由: Alibaba Cloud Model StudioのAPIを利用
3. モデルダウンロード: Hugging FaceやModelScopeから入手し、研究・検証に使用可能
- Qwen-Imageの主な特徴は何ですか?
以下の特徴があります。
- 高精度な文字レンダリング: 英語や中国語の段落レベルのテキストでも、レイアウトやスタイルを保ったまま正確に描画できます。
- 編集時の品質維持: 意味(セマンティック)と外観(ビジュアル)を両立させ、要素を編集しても全体の自然さを損ないません。
- 高度な編集機能 (Qwen-Image-Edit): マルチイメージ編集や、ControlNetのネイティブ対応により、ポーズや構図を指定した精密な修正が可能です。
- Qwen-Imageの料金体系と商用利用について教えてください。
2つの利用形態があります。
- オープンソース: Apache 2.0ライセンスで公開されており、ライセンス料なしで商用利用が可能です。
- API利用: Alibaba CloudのModel Studio経由でAPI(従量課金制)として利用できます。1画像あたり$0.03〜$0.045で、モデルごとに100画像の無料クォータ(90日間有効)が提供されています。
まとめ
Qwen-Imageは、高度な文字レンダリング能力と編集時の意味・外観の両立により、文章量の多いポスターやスライド、細部修正を伴う編集など実務的な場面で有用性を発揮します。
編集特化のQwen-Image-Editは、二言語の精密なテキスト編集やスタイル変換、要素操作を高品質に実行でき、2025年9月版のQwen-Image-Edit-2509では、複数画像編集や各種一貫性の向上、ControlNet対応が追加されています。
ただし、この技術ポテンシャルを実際のビジネス成果に結びつけるには、自社のワークフローに合わせたAPI連携の設計や、オープンソース版を活用する場合のセキュリティと運用体制(MLOps)の構築が不可欠です。
「自社のブランドガイドラインに沿った画像を安定的に生成させたい」「既存のCMSやPIMシステムとどう連携させれば業務が効率化できるのか」といった具体的な導入設計や費用対効果の試算については、AI導入の知見を持つ専門家へ相談することが最適な選択肢となるでしょう。

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