OpenAI Operatorとは?ウェブブラウザを操るAIエージェントの機能・メリット・展望を徹底解説!
最終更新日:2025年02月26日

ChatGPTを開発・提供するOpenAIは、2025年1月23日(現地時間)にAIエージェントの「Operator」のプレビュー版を米国の一部ユーザーに提供開始しました。
Operatorは、クリックやスクロールなどのWeb操作を自動化し、Web上のあらゆるタスクを代替するAIエージェントです。ビジネスシーンにとどまらず、日常生活のさまざまな作業を効率化するAIとして大きく注目を集めています。
本記事では、Operatorの仕組みや主な機能からメリット、展望を徹底的に解説します。さらに、今後の可能性についてもご紹介します。
日本での提供開始前に、Operatorに関する基本的な情報を押さえたい企業担当者はぜひ最後までご覧ください。
関連記事:「AIエージェントの基本的な概念を解説、その特徴、種類、代表的サービス」
AI Marketでは
ChatGPT/LLM導入・カスタマイズに強いAI開発会社を自力で選びたい方はこちらで特集していますので併せてご覧ください。
目次
Operatorとは?

Operatorとは、シンプルなプロンプト入力でWebブラウザ上のさまざまなタスクを自動的に実行するAIエージェントです。まるで人間が行うのと同じように、マウスのクリックやスクロール、テキスト入力などを実行し、Webブラウザをリモートで操作します。
そのため、Operatorは日常生活や業務で発生する多岐にわたるタスクの効率化に大きく役立ちます。例えば、食料品のオンライン注文やレストランの予約、各種オンラインフォームの入力作業、Booking.comを介した航空券の予約まで、さまざまなシーンで活用可能です。
したがって、Operatorは汎用性の高いAIエージェントとして、今後多くのユーザーにとって欠かせないパートナーとなっていく可能性があります。
Computer Using Agent(CUA)とは
Operatorは、同社のトップクラスの生成/言語理解能力を持つ「GPT-4o」の視覚機能と、高度な推論機能を有する「Computer-Using Agent(CUA)」 を搭載しています。
CUAは、スクリーンショットを通じて画面を視認できるようになっており、ボタン・フォーム・メニューなどのGUI要素をピクセルレベルで認識できます。
そして同時に、カーソル移動やマウスクリック、スクロール、テキスト入力といった一般的なブラウザコントロールを自在に操れる機能を持っています。
推論エンジンでは、Chain-of-Thought(CoT)推論を拡張した「Visual Chain-of-Thought」手法を採用しています。タスクを分解し、各ステップの実行可否を確率分布で評価します。
つまり、CUAには「視覚・推論・行動」の3つが備わっており、Operatorに人間と同等のブラウザ操作を与えた中核的機能です。
OperatorとAPI接続の違い
従来のシステムがAPI経由でWebサイトやサービスへアクセスするのに対し、CUAはWebサイトのフロントエンドと直接対話するように設計されています。APIに頼らず、より柔軟かつ直感的な操作が可能です。
関連記事:「生成AIのAPIを一覧化し、それぞれの詳細を解説」
CUAにより、Operatorはボタンのクリックやフォームへの入力といった操作ができるため、オンラインショッピングや予約システム、各種Webフォームの入力などさまざまなWeb上のタスクを自動的に行えます。
また、主要なブラウザ使用ベンチマークにおいてトップクラスの成果を達成していることから、CUAの高いパフォーマンスと信頼性が裏付けられています。
▼累計1,000件以上の相談実績!お客様満足度96.8%!▼
Operatorで抑えておくべき機能
Operatorは、ユーザーが複雑なWebタスクを簡単かつ安全に自動化できるように多様な機能を搭載しています。
以下が、Operatorの主要な機能です。
スクリーンショット
操作するWebブラウザのインターフェースを「見る」ためにスクリーンショットを撮影します。Operatorは、Computer-Using Agent(CUA)モデルを活用し、ウェブページのスクリーンショットを解析して操作を行います。
このコンピュータビジョン機能により、Operatorはボタン、メニュー、テキストフィールドなどのGUI要素を認識し、人間のようにウェブサイトを操作できます。スクリーンショット機能は、APIやバックエンド統合に依存せずに様々なウェブサイトと相互作用することを可能にします。
引き継ぎモード
Webサイトへのログインやパスワードの入力など機密情報をブラウザに入力する際は、一時停止して引き継ぎや承認を促します。セキュリティとプライバシーを確保するため、Operatorはログイン情報の入力やCAPTCHAの認証など、機密性の高い操作が必要な場合にユーザーに制御を引き継ぎます。
引き継ぎモードにより、ユーザーは重要な判断や機密情報の入力を直接行うことができ、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
自己修正機能
タスク遂行時に問題が発生した場合、問題を分析し、必要に応じてOperator自身で修正します。
Operatorは高度な推論能力を持ち、タスク実行中に問題が発生した場合、自己修正を行うことができます。例えば、複雑なインターフェースやCAPTCHAに遭遇した場合、別のアプローチを試みたり、必要に応じてユーザーに制御を戻したりします。
自己修正機能により、Operatorは多様なタスクや予期せぬ状況に柔軟に対応できます。
カスタム指示
定期的に繰り返すワークフローを保存でき、ワンクリックで開始できます。ユーザーは特定のウェブサイトや全体的なワークフローに対してカスタム指示を設定可能です。
例えば、Booking.comでの航空会社の選択基準を事前に設定したり、Instacartでの定期的な食料品の注文をワンクリックで開始できます。カスタム指示機能により、繰り返し行うタスクを効率化し、ユーザー固有のニーズに合わせてOperatorをカスタマイズすることが可能です。
シンプルなユーザーインターフェース(UI)
ChatGPT同様にシンプルなUIを提供しています。チャットインターフェースと埋め込みブラウザを組み合わせたシンプルなデザインを採用しています。
このチャットインターフェースにより、ユーザーは自然言語でタスクを指示し、Operatorの動作を視覚的に確認することができます。シンプルなUIは、複雑なタスクを簡単に実行できるようにするとともに、Operatorの動作に対する信頼性を高めることに貢献しています。
▼累計1,000件以上の相談実績!お客様満足度96.8%!▼
Operatorの安全性は?
Operatorは企業でも広く活用できるように、3層の安全対策が組み込まれており、安全性が高いAIエージェントと言えます。以下が、Operatorが提供する3層の安全対策です。
安全対策の各層 | 詳細 |
---|---|
ユーザーによる制御 |
|
データプライバシー |
|
システムの防御機能 |
|
参照:Introducing Operator|OpenAI
例えば、ユーザーによる制御機能では、パスワード入力など人間の判断が必要なタスクにおいてOperatorは作業を一時停止します。そして、個人情報漏えいなどのリスクを回避するためにユーザーに引き継ぎます。
また、一般的なAIエージェントと同様に、Operator内のスクリーンショットやプロンプト、閲覧履歴などのユーザーデータはモデルの改善目的で使用されます。Operatorでは企業の機密情報でも扱えるように、ユーザーデータが学習に使用されないようにユーザー側で設定することが可能です。
しかし、現時点では研究プレビュー版のため、以下のような注意喚起を記載しています。
Operator is a research preview and may make mistakes. Users are responsible for monitoring its output and using it responsibly.
訳(編集部) Operatorは研究プレビューであり、間違いを犯す可能性があります。ユーザーはその出力を監視し、責任を持って使用する責任があります。
つまり、これほどの対策が講じられていても、全てのリスクが排除できるわけではないことを示唆しており、Operatorの運用時には出力や過程を適宜監視することが重要です。
Operatorの動作を先取りチェック!
Operatorの動作について、OpenAIが公開している公式のデモ動画にあるレストラン予約の様子を紹介します。
- まず、Operatorへアクセスします。
Operatorのトップは、以下のようにChatGPTと同様、チャット入力欄がメインのシンプルな画面となっています。 - 「今晩7時にBeretta(レストラン)で2名分のテーブルを予約してください」と入力します。
画像引用:Youtube(Introduction to Operator & Agents) - ユーザーがEnterキーを押す
- Operatorがレストランサイトへアクセスし、予約状況を確認する様子がリアルタイムで確認できます。
画像引用:Youtube(Introduction to Operator & Agents) - 必要なリサーチが完了すると、右側の動作画面が一時停止します。
画像引用:Youtube(Introduction to Operator & Agents) - 左側のチャット欄で「Berettaの予約枠で、最も希望に近い枠は今夜19時45分です。予約しますか?」と、ユーザーに予約を確認するチャットが表示されます。
画像引用:Youtube(Introduction to Operator & Agents) - ユーザーが「お願いします」と入力
- 最終確認を行うチャットが表示されます。
画像引用:Youtube(Introduction to Operator & Agents)
以上のデモ動画から、Operatorはユーザーの判断が必要なタイミングで丁寧な確認工程を踏んでおり、安全性の高さを証明しています。
特筆すべきは、ユーザーの検索から予約を確認するまでの所要時間が、わずか58秒であったことです。デモ動画からも、非常に素早くプロンプトの理解から検索まで処理できることが示されています。
なお、デモ動画では、食料品のオンラインショッピングの様子も紹介されているため、興味がある方はご覧ください。
Operatorの展望
OperatorはWebタスクの自動化を実現する便利なツールである一方、実用上いくつか課題があり、さらなる機能強化とアップデートが必要とされています。
以下は、Operatorの今後の展望に関する主要なポイントです。
利用可能ユーザーの拡大
まず、2025年2月時点ではOperatorの利用ユーザーは制限されており、現在利用可能なのはChatGPT Proのプランに加入する18歳以上の米国ユーザーのみです。そのため、今後は米国以外のユーザーやChatGPT PlusやTeam、Enterprise加入者への利用拡大が期待されています。(一部のユーザーは、VPN経由でアクセスを行っているユーザーもいるようです。)
加えて、現在は「Operator.ChatGPT.com」からしかアクセスできませんが、より幅広いユーザーが利用できるようにChatGPT本体への機能統合が計画されています。
機能性向上
また、Operatorは誤用や有害な結果を防ぐために、以下のような機能制限を設けています。
- 複雑・特殊なタスクを確実に処理できない(詳細なスライドショーの作成/複雑なカレンダーシステムの管理/高度にカスタマイズされたWebインターフェースとのやり取り)
- リスクの高いタスクを積極的に拒否する設計(金融取引の実行/電子メールの送信/カレンダーイベントの削除)
- 実行可能なタスク数や、同時に保持できる会話数に動的な制限
特に、実行の難易度が高いタスクや、情報漏えいなどのリスクが高いタスクは、ユーザーの安全性を優先して制限または拒否する設計となっています。現在は小規模な導入となっているため多くの機能制限がありますが、今後はユーザーのフィードバックをもとに改善され、これらの機能制限が減ると期待されます。
CUAのAPI提供
さらに、近日中にComputer-Using Agent(CUA)のAPIが提供されることで、Operatorのようなブラウザタスク専用のAIエージェントを独自に構築できるようになる見込みです。APIの提供により、各企業のニーズに合わせたカスタマイズや統合がさらに進むと期待されます。
これらの展望は、Operatorが今後より広いユーザー層に利用され、機能性や柔軟性が向上することで、Webタスクの自動化や業務効率化の新たなスタンダードとなる可能性を示唆しています。
OpenAI OperatorがAIエージェント時代の先駆け?
OpenAI Operatorは、AIエージェント技術の本格的な実用化の引き金となるでしょう。Operatorの登場は、AIエージェント市場に大きな影響を与えています。
これから、複数のAIエージェントが協調して複雑なタスクを解決するマルチエージェントシステム(MAS)の実用化が進むでしょう。Google AgentspaceやProject Astraなどの取り組みは、この方向性を示しています。
さらに、Google CloudのVertex AI Agent BuilderやMicrosoftのCopilot Studioなど、AIエージェント開発を支援するプラットフォームの進化が期待されます。これにより、より多くの企業がカスタムAIエージェントを開発・導入できるようになるでしょう。
また、Project MarinerやMagentic-One、AutoGPT、AgentGPTなどの取り組みにより、AIエージェントの自律性と汎用性が向上すると予想されます。これらのプロジェクトは、人間の介入をさらに減らしつつ、複雑なタスクをこなせるAIエージェントの実現を目指しています。
OpenAI Operatorについてよくある質問まとめ
- OperatorはどのようなWebタスクを自動化できますか?
Operatorは、Webブラウザ上で行う様々なタスクを自動化できます。例えば、オンラインでの商品注文、レストラン予約、フォーム入力、航空券予約など、人が日常的に行う操作を代行します。
- Operatorの安全性について教えてください。
Operatorには、ユーザー制御、データプライバシー、システム防御の3層の安全対策が組み込まれています。機密情報の入力時にはユーザーに操作を引き継ぎ、データは学習に利用しない設定も可能です。ただし、研究プレビュー版であるため、動作の監視は必要です。
まとめ
OpenAI Operatorは、Web上のタスクを自動化するAIエージェントです。GPT-4oの視覚機能と高度な推論力を備えたComputer Using Agent(CUA)を搭載しており、スクリーンショット機能でWebサイトを視認し、カーソル移動やクリック操作などのブラウザコントロールを自在に操ります。
しかし、現時点では研究プレビュー版であり、利用できるユーザーや機能には制限があります。また、AIによる自動化には、誤動作やセキュリティ上のリスクも伴うため、出力結果や動作の監視は欠かせません。
より高度な自動化や、自社システムとの連携、独自のAIエージェント開発を検討する場合は、専門家のサポートを受けることも有効な選択肢となります。
AI Marketでは

AI Marketの編集部です。AI Market編集部は、AI Marketへ寄せられた累計1,000件を超えるAI導入相談実績を活かし、AI(人工知能)、生成AIに関する技術や、製品・サービス、業界事例などの紹介記事を提供しています。AI開発、生成AI導入における会社選定にお困りの方は、ぜひご相談ください。ご相談はこちら
𝕏:@AIMarket_jp
Youtube:@aimarket_channel
TikTok:@aimarket_jp
運営会社:BizTech株式会社
掲載記事に関するご意見・ご相談はこちら:ai-market-contents@biz-t.jp
