AI駆動開発特有のセキュリティリスクと基本対策を徹底解説!リスクマネジメントの方法は?
最終更新日:2026年01月08日

- 従来のインフラ・アプリ保護に加え、「学習データ(汚染)」「モデル(盗難・解析)」「判断ロジック(敵対的サンプル)」という3つの新領域を守る設計
- AIは脆弱なコードや存在しないパッケージ(ハルシネーション)を提案するリスク
- AIエージェントに本番環境への直接権限を与えず、重要な意思決定には必ず人間が介在する「ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)」を構築
ソフトウェア開発の現場において、AIによるコード生成や自律型AIエージェントの活用は、もはや無視できない生産性の源泉となりました。しかし、この劇的なスピード向上と引き換えに、従来のITセキュリティの枠組みだけでは防ぎきれない「AI駆動開発特有の死角」が生まれています。
本記事では、AI駆動開発特有のセキュリティリスクと基本的な対策、リスクマネジメントの考え方を解説します。データの保護から開発プロセスの再設計、さらにはAIエージェントの権限管理に至るまで、技術と運用の両面から実効性の高い対策を提示します。
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目次
AI駆動開発のセキュリティはなぜ難しい?


これまでのITシステムにおけるセキュリティ対策は、主にアプリケーションやインフラ、ネットワークを防御対象として設計されてきました。脆弱性対策やアクセス制御、通信の暗号化を実施することで安全性を確保できていました。
一方、AI駆動開発のセキュリティは、従来のシステムセキュリティに加えて、以下の3つが新たな攻撃対象に含まれます。
- 学習データ:改ざんや汚染により意図的に誤った振る舞いを学習させられるリスク
- 学習済みモデル:盗難や不正な解析、改変されて不正な判断を行う危険性
- 判断ロジック:敵対的サンプルにより誤誘導されるリスク
つまり、AI駆動開発では、データ・モデル・判断というAI特有の資産を包括的に守るセキュリティ設計が不可欠です。
また、多くのAIモデルは、判断の根拠を人間が直感的に理解できない仕組みとなっています。そのため、不正挙動や攻撃の早期発見が難しく、インシデントの早期検知や原因分析の対応が遅れ、被害の長期化につながります。
さらに、AIは運用中も学習を続けるため、開発時に安全でも運用フェーズで新たな脆弱性が生じる場合もあります。そのため、AI駆動開発のセキュリティは、運用中も攻撃され続ける前提で設計・監視・改善が必要です。
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AI駆動開発特有の主なセキュリティリスク


AI駆動開発では、従来のシステムセキュリティで守ってきたアプリケーション・インフラ・ネットワークに加え、AIのデータとモデルそのものが攻撃対象となる点が特徴です。以下では、AI駆動開発ならではの代表的なセキュリティリスクを紹介します。
営業機密・知的財産の流出
最も身近なリスクは、開発者がデバッグのために社外秘のソースコードや顧客データ、独自のアルゴリズムをそのままAIに貼り付けてしまうことです。そのため、AIに入力する学習データにマスキングや匿名化、除外処理を行わないまま学習に使用されると、以下のような間接的なプライバシー侵害が発生します。
一般的なAIサービスの設定では、入力データが再学習に利用される可能性があります。これにより、競合他社への回答に自社のノウハウが混じるリスクが生じます。
AI駆動開発では、学習前のデータ精査や前処理だけでなく、学習させても問題ないデータのルール設計と定期的な監査が不可欠です。また、エンタープライズ版(データが学習に使われない契約)の導入とAPI経由の利用も効果的です。
AIが生成する脆弱なコード
AIは、とりあえず動くコードを作るのは得意ですが、安全なコードを作るとは限りません。AIは学習データに基づき、古い書き方や、セキュリティ要件(入力バリデーションや認証ロジック)を無視したコードを出力することがあります。
「AIが書いたから大丈夫」という過信こそが最大の脆弱性です。人間によるコードレビューの質を落とさない体制構築が不可欠です。
ハルシネーションによる攻撃
AIが存在しないソフトウェアライブラリ(パッケージ)を提案することがあります。攻撃者がその「存在しない名前」で悪意のあるパッケージを公開しておくと、開発者が気づかずにインストールしてしまう「パッケージ・タイポスクワッティング」のAI版が発生します。
AIが推奨した外部ライブラリは、必ずその実在性と信頼性を検証するプロセスが必要です。
エージェント型AIの過剰な権限
最近のトレンドである、自律的にコーディングやデプロイを行うAIエージェントには注意が必要です。
AIに本番環境へのアクセス権限やコードの直接マージ権限を与えすぎると、予期せぬ挙動やプロンプトインジェクションによって、システムが破壊される恐れがあります。
プロンプト・インジェクションとは、生成AIやAIエージェントに与える指示(プロンプト)を不正に操作し、本来想定していない振る舞いを引き起こす攻撃です。攻撃方法の違いによって、大きく以下の2種類に分けられます。
- 直接型プロンプト・インジェクション:ユーザーが入力欄から制約を無視する命令を直接与え、AIの本来の指示やルールを上書きしようとする攻撃
- 間接型プロンプト・インジェクション:AIが参照する外部データに攻撃指示を埋め込み、AIにデータではなく命令として誤解釈させる攻撃
プロンプト・インジェクションの本質的な脅威は、AIが命令と単なるデータを完全に区別できないことです。例えば、参照用データであるWebサイトの文章を誤って命令として扱い、アクセス権限の逸脱や情報漏えい、不正な処理実行を招くことが考えられます。
AI駆動開発の重要なセキュリティ対策


以下では、AI駆動開発の基本的なセキュリティ対策を紹介します。
セキュリティが保証されたAIツールの導入
信頼性の高いAIツールでは、データの取り扱いルールやアクセス制御、監査機能が整備されています。入力データがモデルの再学習に利用されない「オプトアウト」設定が保証されたプランを契約します。
無料版や個人アカウントの利用は、意図しない機密情報の流出を招く「シャドーAI」リスクの温床です。
AI駆動開発では、安全に使えるツールを選ぶことが最も優先すべきセキュリティ対策です。
アクセス制御
AI駆動開発におけるセキュリティ対策の基本は、誰がどの範囲でAIを利用できるのかを厳密に管理することです。特に、学習済みモデルや推論APIは外部から狙われやすく、重点的に保護する必要があります。
主なアクセス制御の例は以下のとおりです。
- モデルAPIへの認証・認可設定
- 推論回数・レート制限
- モデルファイルへの直接アクセス制限
アクセス制御を適切に設計することでモデルの不正利用や盗難、解析リスクを抑制できます。AI駆動開発では、システム全体の防御だけでなく、個別にアクセス管理を行うことが大切です。
AIエージェントの権限を制限する
AIエージェントを活用してコーディングを行う場合、最も注意すべきは過剰な権限です。
AIに直接、本番サーバーへのアクセス権やデプロイ権限を与えてはいけません。必ず「人間による承認(Human-in-the-loop)」のステップを挟むか、読み取り専用の権限に限定します。
そして、AIが生成・実行するコードは他のシステムから隔離された「サンドボックス」環境で動作させ、異常な挙動(外部への不正通信など)がないか監視します。
ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)の導入
AI駆動開発のセキュリティ対策では、すべての判断をAIに委ねないことが重要です。AIが書いたコードを「信頼できない入力」として扱う、Zero-Trust(ゼロトラスト)の考え方を開発プロセスに導入します。
そのために有効なのが、人が適切に介在する仕組みであるヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)の導入です。
具体的な対策方法は、以下のとおりです。
- 信頼度が低い判断は人が確認
- 重要な意思決定は人が最終承認
- 異常時はAIの判断を停止
また、AIが生成したコードには、古いライブラリの使用や脆弱性(SQLインジェクション等)が混入しがちです。そのため、CI/CDパイプライン(コードを自動でテスト・ビルドする仕組み)に静的解析ツール(SAST)を組み込み、人間がチェックする前に機械的に脆弱性を弾く仕組みを構築できます。
HITLは、AIの精度不足を補うためではなく、AI特有のセキュリティリスクを制御するための仕組みです。人とAIの役割を明確に分けることで、AI駆動開発をより安全に運用できます。
既存ITセキュリティ基盤の活用
AI駆動開発では、AI特有のセキュリティ対策に注力しがちですが、従来のITセキュリティ基盤を確実に機能させることも不可欠です。AIは単独で動作するものではなく、既存の業務システムやデータ基盤、外部サービスと密接に連携するためです。
そのため、以下のような既存のITセキュリティ対策も活用しましょう。
- ネットワークセキュリティによる不正アクセス防止
- 脆弱性管理・パッチ適用による既知リスクの排除
- インシデント対応体制による迅速な検知・復旧
ITセキュリティを固めたうえで、AI特有のリスク対策を新たに取り入れることで実効性のある防御が実現します。
運用ルールの整備
AI駆動開発では、技術的な対策だけでなく、人の行動に起因するセキュリティリスクを抑えるための対策も不可欠です。どれほど高度なセキュリティを実装しても、運用が属人化していればリスクは残ります。
例えば、データの扱い方が不適切な場合、システム自体は正常に動作していても、結果としてトラブルや不祥事を招きます。
そのためAI駆動開発では、リスクを技術・運用・組織の観点で評価することが不可欠です。技術対策だけに頼るのではなく、運用設計や責任体制まで含めて管理することで実効性のあるリスクマネジメントが実現します。
そのため、以下のようなルール整備が必要です。
- 学習データの取り扱い・持ち出しルールの明確化
- プロンプトや設定変更時の承認フローの整備
- AI利用範囲や禁止事項の明文化
AIは使い方を少しでも誤るとリスクが顕在化するため、してよいことだけでなく、してはいけないことを全体に共有することが欠かせません。
AI駆動開発のセキュリティは、技術・仕組み・人の三位一体で成り立ちます。運用ルールを整備し、人由来のリスクを最小化することでAI駆動開発の安全性を高められます。
起きたときの影響を制御する
AI駆動開発では、想定外の挙動が発生することを前提に設計する必要があります。AIは確率的に判断を行う以上、誤認識や予期しない出力を完全にゼロにすることができないためです。
具体的には、以下のような制御点を事前に設計しておくと安心です。
- 誤認識が発生しても、即座に人が介入できるか
- 重要な意思決定をAI単独で行っていないか
- 異常な挙動を検知した際に、自動的に処理を停止できるか
このような仕組みを構築することで、AIの誤作動がそのまま業務停止や重大事故につながるリスクを回避できます。
AI駆動開発のリスクマネジメントでは、起きないようにすることではなく、起きたときに被害を最小限に抑える仕組みを作ることが重要です。
継続的な監視を前提とした運用設計
AI駆動開発におけるリスクの多くは、導入後の運用フェーズで顕在化します。時間の経過とともに、利用環境の変化や攻撃手法の進化が起こり、開発時には想定していなかった挙動やリスクが生じます。
そのため、AI駆動開発では以下のような監視の仕組みを組み込むことが不可欠です。
- 推論ログの常時監視による挙動把握
- 精度や異常値の可視化による早期検知
- 定期的な再評価・再学習による性能と安全性の維持
AI駆動開発では継続的な監視を前提に設計することで、リスクの顕在化を未然に防ぎ、AIの価値を長期的に維持できます。
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AI駆動開発特有のセキュリティリスクについてよくある質問まとめ
- AI駆動開発特有の主なセキュリティリスクにはどのようなものがありますか?
AIの性質に起因する以下のリスクが代表的です。
- 機密情報の流出: 開発者がプロンプトに機密コードや顧客データを入力してしまう。
- 脆弱なコードの混入: AIが古い書き方やセキュリティ要件を無視したコードを出力する。
- ハルシネーション攻撃: AIが提案した「実在しないパッケージ名」を悪用される。
- 過剰な権限: AIエージェントに本番環境へのアクセス権を与えすぎることで、不正操作を招く。
- AI駆動開発では、従来のITセキュリティ対策だけでは不十分なのですか?
不十分です。
AI駆動開発では、アプリケーションやインフラに加えて、学習データ・学習済みモデル・推論結果といったAI特有の要素が新たな攻撃対象になります。
そのため、従来のITセキュリティに加え、AI特有のリスクを考慮した対策が必要です。
- セキュリティ対策は導入時だけ行えば十分ですか?
いいえ。AIのリスクは運用開始後に顕在化するケースが多いため、継続的な監視・評価・改善が不可欠です。
推論ログの監視や定期的な再学習をリスク管理プロセスとして組み込む必要があります。
- AI駆動開発において重要なセキュリティ対策は何ですか?
技術と運用の両面から、以下の対策を講じることが重要です。
- ツールの選定: 再学習にデータを利用させない「オプトアウト」設定済みのツールを導入する。
- アクセス制御: モデルAPIやファイルへのアクセスを厳密に管理する。
- 権限制限: AIに直接デプロイさせず、人間が承認するフロー(HITL)を挟む。
- 監視とスキャン: 静的解析ツール(SAST)の活用や、推論ログの常時監視を行う。
まとめ
AI駆動開発では、データ汚染攻撃や敵対的サンプル、プロンプト・インジェクションなど、従来のシステム開発にはなかったAIならではの脅威が加わります。
これらのセキュリティリスクに対しては、データ管理やアクセス制御の徹底、HITLの導入など、技術と運用の両面からの対策が欠かせません。技術だけに頼るのではなく、運用ルールや責任体制を含めた組織全体のリスクマネジメントの視点を持つことでAIを安全に活用できます。
しかし、進化の速いAI分野において、自社のみで最新の攻撃手法を網羅し、最適なガバナンスを維持し続けるのは容易ではありません。自社の開発プロセスが現在の脅威に対して十分に堅牢であるか、あるいは導入検討中のツールがエンタープライズ基準を満たしているかなど、より深い知見に基づく客観的な評価が必要な場合は専門家の知見を借りることも有力な選択肢です。
リスクを正しくコントロールし、AIの真の価値を享受するためのパートナーとして専門コンサルティングの活用もぜひ検討してみてください。


AI Market 運営、BizTech株式会社 代表取締役|2021年にサービス提供を開始したAI Marketのコンサルタントとしても、お客様に寄り添いながら、お客様の課題ヒアリングや企業のご紹介を実施しています。これまでにLLM・RAGを始め、画像認識、データ分析等、1,000件を超える様々なAI導入相談に対応。AI Marketの記事では、AIに関する情報をわかりやすくお伝えしています。
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